俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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雪子姫の城編5話です。


雪子姫の城編ー43ー5話ー雪子のシャドウと本音。

 

2011・04・17・☀・18:30・稲羽市・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。

 

俺が制理を送り届けた後、アパートの駐車場に叔母さんの車が停まっていたので、今日は帰ってきているんだなと思いながら叔母さんの部屋へ戻った。部屋に入ると、叔母さんが難しい顔をしていた。話を聞いてみると、天城の件が新聞社の方にまで伝わっていたらしい。叔母さんは色々と調べているようだった。

 

「このことは誰にも話しちゃだめよ。世間一般にはまだ知られていないんだから。……というか、八幡はどうしてそんなことを知っていたの?」

 

「な、なんでって……クラスメイトに刑事の叔父さんを持つやつがいてさ。それで聞いたんだよ」

 

「クラスメイトに? あ……ああ、なるほど。堂島さんね。甥っ子が一年間こっちに来るって言ってたし、年も同じだって聞いたわ」

 

「堂島……ああ、鳴上のやつか。叔父さんの家に居候してるって言ってたしな。その叔父が堂島さんって刑事なのか。叔母さん、その人と知り合いなのか?」

 

俺はリビングの壁際に座りながら話を続けた。

 

「知り合いよ。稲羽じゃ警察官も新聞記者も学校関係者も、地域の行事で顔を合わせる機会が多いからね」

 

「なるほど」

 

田舎特有の狭いコミュニティってやつか。だから小西先輩の件もあちこちに伝わっていたのか。そういう息苦しさが嫌で、小西先輩は都会に憧れていたのかもしれない。

 

「それにしても、天城さんがいなくなるなんて……ただでさえ山野アナや小西早紀さんのこともあるのに、心配だわ」

 

天城は、あのフザけた城――雪子姫の城の中にいる。クマや俺たちが知っている限り、こちらの世界で雨が続いて朝に霧が出なければ、天城は無事だ。しかし霧が出てしまえば……その前に助け出さなければならない。

 

「あ、ジュネスで日常品と食料は買ってきたから」

 

「ありがと」

 

それが、俺が帰ってきた時に叔母さんと交わした会話の主な内容だ。そして今は、晩飯を食べながら話をしている。今日の夜ご飯はナポリタン。叔母さんが食べたいと言ったし、俺も久しぶりに食べたかった。作ったのはもちろん俺だが。テレビでは民法のニュース番組が流れていた。

 

【次は、千葉県のある公立高校のお話です】

 

……は? 総武高校だって!?俺の記憶の片隅にしか残っていない固有名詞。もう二度と目にすることはないと思っていた総武高校の名前が、全国ニュースで流れるとは思わなかった。

 

「八幡、番組変えようか?」

 

叔母さんが気を使って言ってくれたが、俺は首を振った。

 

「別に変えなくていい」

 

「いいの?」

 

「どの面になってるのか、見てやりたいしな」

 

「そ、そう……八幡がいいなら、私は何も言わないわ」

 

総武高校がどうなっているのか、拝んでやるか。

 

【総武高校生徒会副会長の雪ノ下雪乃さんが、地域密着型のイベントを企画立案。小中高を含めた大型プロジェクトを発表。その前哨戦として、小学校の入学式を取り仕切るイベントを進行――】

 

あいつ、生徒会の副会長になってたのかよ。奉仕部はどうしたんだ? 由比ヶ浜がいるから廃部にはなっていないだろうが……あいつ一人でやっていけるのか?ニュースを続けていると、生徒会の映像に由比ヶ浜の姿もあった。

 

あいつら、奉仕部を捨てて生徒会に入ったのか? いや、あの平塚先生が許すわけがない。ということは、生徒会の中で奉仕部の活動を続けているのか……雪ノ下のことだ。そういう算段も立てているのだろう。叔母さんはテレビに映る二人を見て、ぽつりと言った。

 

「この子たちが、八幡に全てを押し付けて……」

 

「叔母さん……今の俺はあいつらのことなんか、どうでもいい。あんなことがなければ、俺はこっちに来ることもなかったし、制理とも出会えなかった。だから……まあ、結果オーライってことだ」

 

「……そう。それならいいんだけど」

 

今だから言える。あの頃、俺は変わることを恐れていた。周りに合わせるために自分を偽ることが正しいのかと疑っていた。リア充を心底嫌悪し、雪ノ下や由比ヶ浜にあんな仕打ちをされ、クラスで孤立しても「いつものこと」と片付けていた。

 

だが今は違う。稲羽で起きていること、そして天城を救い出すことが最優先だ。あいつらのことを考える余裕などない。

 

総武高校関連のニュースは約十分ほどで終わり、俺はもう何も感じなくなっていた。心のどこかに残っていたものも、完全に消えたと実感した。

 

 

2011・04・19・☀・??:??・雪子姫の城内。

 

あれから2日間、俺たち六人とクマは「雪子姫の城」と呼ばれるダンジョンを、敵を倒しながら進み続けていた。ペルソナや武器を持っていても、所詮はただの高校生だ。いきなり強くなれるわけもなく、全員で協力しながら慎重に先へ進んだ。

 

前線は俺、鳴上、花村、里中の四人。制理と雪柳先生がクマを護衛する形だ。途中、様々な仕掛けや中ボス級のシャドウを突破し、ようやく最終階である8階に到達した。扉の向こうに天城がいることを確認し、全員で突入する。

 

案の定、そこにはシャドウ化した天城と、本物の天城がいた。

 

「あら?あらあららららぁ?やっだもう!王子様が4人も!もしかしてぇ、途中で来たサプライズゲストの4人さん?いや〜ん、ちゃんと見とけばよかったぁ!つーかぁ、雪子ねぇ、どっか、行っちゃたいんだぁ。どっか、誰も知らない遠くぅ。王子様なら、連れてってくれるでしょうぉ?ねぇ、早くぅ」

 

「むっほ?これが噂の❝逆ナン❞クマ!?」

 

「4人の王子様って、俺に鳴上、花村だよな?あと1人って誰だ?」

 

「それって、クマ君じゃないかしら?私たち3人は女性だし」

 

「雪柳先生、ですよね…」

 

「4人目は、クマで間違いないクマ!」

 

「私はクマ君は入ってないと思う。昔、雪子って千枝のこと王子様とか言ってた時期あったし」

 

「せ、制理…それって小さい時の話でしょ?今そんなこと思ってないでしょ…」

 

「制理、そう、ふふ、そうよ。アタシの王子様…いつだってアタシをリードしてくれる…千枝は強い、王子様…王子様❝だった❞」

 

過去形?今ではもうそう思っていないってことなのか?

 

「だった?天城さん、今でもそういうことじゃないの?」

 

「雪柳先生、そうよ、❝だった❞…結局、千枝じゃダメなのよ!千枝じゃアタシをここから連れ出せない!救ってはくれない!」

 

「雪子…」

 

「や、やめて」

 

ピンクの着物姿の天城がそっと立ち上がってそう言った。

 

「老舗旅館?女将修行?そんなうざい束縛…まっぴらなのよ!たまたまここに生まれただけ!なのに生き方…死ぬまで全部決められてる!あーやだ、イヤだ、嫌ぁーっ!!」

 

「そんなこと、ない…」

 

「どっか、遠くへ行きたいの。ここじゃない、どこかへ…誰かに連れ出して欲しいの…1人じゃ、出ていけない…1人じゃ、アタシには何も無いから…」

 

「やめて…もう、やめて…」

 

「希望も無い、出ていく勇気も無い…うふふ、だからアタシ、待ってるの!ただじーっと、いつか王子様がアタシに気付いてくれるのを待ってるの!どこでもいい!どこでもいいの!ここじゃないなら、どこでも!老舗の伝統?町の誇り?んなもん、クソくらえだわッ!」

 

「なんてこと…」

 

「それが本音…そうよね?もう1人の❝アタシ❞?」

 

「ち、違う…」

 

「よせ、言うなッ!」

 

「ダメッ、天城さん!言っちゃダメッ!」

 

「違う!あなたなんか…私じゃない!」

 

天城のシャドウが天城本人に否定されて、暴走してしまう。

 

クソっ!

 

結局こうなってしまうのか!

 

シャドウの方が本人に言わせるように煽ってきやがる。暴走するのが目的のように!

 

「うふふふふふ!いいわぁ!力がみなぎってくるぅ!そんなにしたら、アタシ…うふ……あはは…、あはははははは!!!」

 

シャドウの天城は暴走して、籠の中の鳥のような、不死鳥みたいな姿になった。天城がこの衝撃が吹き飛ばされ、そのまま気絶してしまった。雪柳先生が天城のそばに行って抱えるようにして、こちら側に連れてきた。

 

それにしても、山野アナ、雪柳先生、里中と暴走してきたのを見たが、それぞれが全く違う姿をしている。やはり心の中の抱えた姿なのか?

 

「雪子、もういいよ。待ってて!今助けてあげる」

 

「……私、千枝よりは短いけど、それでも一緒にいたのに気づいてあげられなくて、ごめん。千枝と一緒に助けてあげるから」

 

「天城!お前には制理の件、色々とアドバイスしてもらった。だから今の俺がいる。今度は俺がお前を助けてやる番だ!」

 

「天城さん、心に溜まっている鬱憤をここで吐き出して!私も色々と吐き出して、気持ちが楽になったから」

 

俺たちと天城のシャドウが暴走した籠の中の小鳥のようなものと戦うことになった。

 

籠の中の小鳥とこれから呼ぶことにする。

 

籠の中の小鳥は、燃える羽みたいなのを無数に飛ばしてくる。

 

「来い!ベンケイ!」

 

ベンケイの無数の盾によって、みんなの方に向かってきた燃えるような羽は防いだ。しかし近づこうにもこうして攻撃をされるとなかなか近づかねえ。制理や雪柳先生が遠距離から攻撃を放っても、籠の中の小鳥はすぐに籠の中に入って攻撃を防ぐ。

 

「くっそ、攻撃が全然当たらねえ」

 

「千枝!アレの弱点は氷よ!」

 

「OK 、任せて、来て、トモエ」

 

里中がペルソナのトモエが氷属性で攻撃したため、籠の中の小鳥に大ダメージを与えた。

 

「制理ちゃん、クマのポジション奪わないで、クマ!」

 

「別にクマくんのポジション奪うつもりないから」

 

「氷なら、来い!ジャックフロスト!」

 

籠の中の小鳥は、弱点だったらしく大ダメージを受けたみたいだな。俺たちは、弱点をついた攻撃をしようとしたが、弱点を守るための盾を張り出した。

 

「くそっ!弱点を守りやがった!」

 

「地道に攻撃するしかねえな!」

 

「それしかないな」

 

俺と花村と鳴上とで、そう言うと籠の中の小鳥に攻撃、物理攻撃を食らわせるために向かったが、籠の中の小鳥の翼をバタバタとして風をを起こし俺たちは吹き飛ばす。

 

「なんちゅう風だよ」

 

「そういうことができるのか」

 

「こっちも盾を構えてやるしかないな!」

 

「どうするの、八幡、鳴上君?」

 

「制理……どうするったってよ…」

 

「どうしたものかな…弱点を消せる方法がないものか」

 

弱点を消せる方法か。そんな方法があったら逆に教えて欲しいものだが。俺のペルソナではそんなことできねえし、制理のペルソナでもそんなことできないだろうし。どうしたものかね……。

 

そんな時に里中と雪柳先生の連携攻撃によって、籠の中の小鳥が体勢を崩して、その場に倒れ込む。どうやら弱点を守る盾も消えてるようだな。

 

一か八か…やってみるか。俺は鳴上と制理を見て俺はやろうとしてることを説明する。

 

「比企谷、やれるんだな」

 

「ああ、なんとかやってみるさ」

 

「比企谷君、私も援護するわ!」

 

「雪柳先生、ありがとございます」

 

「最後は里中と制理、お前たちが全部が決めろ!」

 

「え?比企谷君!?」

 

「八幡!?」

 

「天城は、お前たちの親友だろ!親友が助け出すのが一番の理想だろ!」

 

俺は一体何を言ってるんだろうな。こういう役目は鳴上のはずなのに、俺が言っている。本当に変わったんだなと改めて思った。

 

別に無理やり自分を変える必要はない。でも俺は無理やり変わったわけではない。いつの間にか自分が変わっていたんだ。

 

「比企谷!まずは任せるぞ!」

 

「任せとけ、鳴上!」

 

俺はそういうと走り出してペルソナを発動させる。ベンケイの盾を利用して、籠の中の小鳥を封じた。もちろん弱点封じの壁も作らせるつもりはねえ。

 

「こしゃくな真似を!」

 

「鳴上!もう一度さっきの攻撃を!」

 

「ああ!ジャックフロスト!」

 

ベンケイの盾の中で、ジャックフロストの氷の攻撃で、籠の中の小鳥がダメージを受けている。雪柳先生のペルソナ、カンスケの攻撃で、そこに追撃の攻撃を与えた。

 

「ジライヤ!」

 

花村のペルソナ攻撃で、さらに攻撃を与え、相当ダメージが入ったようだ。それを見た俺は、

 

「制理、里中!最後のとどめをさせ!」

 

「うん、比企谷君、ありがと」

 

「八幡、ありがとう」

 

2人はそう言って、籠の中の小鳥の方へ歩みを進め2人のペルソナによって倒されたのであった。

 




お久しぶりです。

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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