2011・05・17・☂️・23:45・稲羽市・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。
最近は事件の進展もなく、山野アナや小西先輩の件についても新しい情報は入ってこない。警察でも新情報を掴めていないのに、新聞記者が掴めるわけがない。
ただ、巽完二にもタイムリミットがあるのは間違いない。天城の時も、数回映った後にテレビの中に放り込まれている。引き続き明日も巽完二を見張る必要があるわけだな。
ただ、気になることがあった。さっき制理と話したんだが、天城から巽完二の母親と話したらしい。その時に『完二が家にいない』と聞かされたと。
母親曰く、黙っていなくなることは結構あるという。巽完二のあの性格なら、母親に報告するとも思えない。
だが……今回はそういうわけにもいかない。巽完二がマヨナカテレビに映り、それを犯人も見ている可能性は大いに高いからだ。
もうすぐ午前0時だ。雨も降っている。マヨナカテレビが映る条件は揃った。万が一はっきり映ったら、巽完二はすでにテレビの世界に放り込まれたことを意味する。
そうなれば、俺たちと別れた後に犯人が動いたということだ。万が一にもこんなことにはなってほしくはないが、犯人がどんな人間なのかわからない以上、俺たちは常に後手後手に回るしかない。
「もうすぐ午前0時だな……テレビの前に行かないと」
俺の悪い予感は当たった。映像が鮮明に映り始めている。これは天城の時と同じだ。もうテレビの世界に放り込まれたということだ。
「くそっ! 俺たちが帰った後に、犯人が巽完二を……!」
映像の中の巽完二は、ふんどし一丁の姿で現れた。
【皆様……こんばんは。『ハッテン、ボクの町!』のお時間どえす。今回は……性別の壁を越え、崇高な愛を求める人々が集う、ある施設をご紹介しまぁす。極秘潜入リポートをするのは、このボク……巽完二くんどえす! 一体、ボクは、というかボクの体は、どうなっちゃうんでしょうか!? それでは、突・入、してきます!】
一瞬、俺は巽完二の姿を見て固まっていた。想像を斜め上いく内容だったからだ。天城の時も驚いたが、巽完二の映像はさらに斜め上をいくものだった……。性別の壁を越え? 崇高なる愛? それを求める施設? それってまさか……。
「……それがサウナみたいな施設?」
巽完二が入っていったあの施設はサウナってことか? それが崇高なる愛を求める者が集まる施設?色々と考えていると、制理から電話がかかってきた。すぐに携帯を取って通話ボタンを押す。
「八幡! マヨナカテレビ、見た!?」
「ああ、見た! 巽完二はもう向こうの世界に放り込まれている!」
「そうだね……私たちが帰った後に、巽君は……」
「ああ……あのまま俺たちがあいつのそばにいたら、犯人を捕まえることができたかもしれねえ!」
「……うん。こうなってしまった以上……巽君を、雪子の時のように救いにいきましょう!」
「ああ。あいつらも見てるだろうから……明日みんなで話し合わないとな」
「そうだね……みんなで話し合って、助けにいきましょう」
「ああ……おやすみ、制理」
「おやすみ、八幡」
制理との話を終えた俺は、色々と考えているうちに、いつの間にか眠っていたのだった。
ー綾奈Side
2011・05・18・☂️・00:25・稲羽市・稲羽マンション5-8・綾奈の部屋・リビング。
鳴上君とさっきまで話していた。こんな時間に生徒と電話で会話するのはおかしい話だけれど、巽完二君のことで急を要する内容だったから仕方ない。彼がマヨナカテレビに映った瞬間、私は本当にびっくりした。
【皆様……こんばんは。『ハッテン、ボクの町!』のお時間どえす。今回は……性別の壁を越え、崇高な愛を求める人々が集う、ある施設をご紹介しまぁす。極秘潜入リポートをするのは、このボク……巽完二くんどえす! 一体、ボクは、というかボクの体は、どうなっちゃうんでしょうか!? それでは、突・入、してきます!】
この映像を見た時、私はしばらく固まってしまった。どう言葉にしていいか、すぐに出てこない。これが巽完二君が内面に抱えている問題なの? 天城さんも、心の奥に秘めていたものがあんな形になって現れた……。
私だって……。
「とにかく、こうなってしまった以上……鳴上君たちと一緒に、助けに行かないとね」
私は雨が降る窓の外を見つめながら、静かに決意した。
2011・05・18・☂️・15:30・稲羽市・八十神高校・自称特別捜査隊の部屋。
俺たちは放課後になると、ここの部屋にみんなで集まった。もちろん雪柳先生もいる。議題に上がったのは、当然昨日のマヨナカテレビのことだ。花村が
「もう少し昨日粘っていれば犯人を捕まえられたかもしれない」
と愚痴ったが、今更言っても始まらない。すでに完二は向こうの世界に放り込まれているのだから。
「❝マヨナカテレビ❞って、結局何なんだろ」
「ん」
「確かにそこが謎だよな。どこの地域でも都市伝説的なものはあるが……マヨナカテレビのようなものは他にはないだろうな」
「鳴上……そうだよな。都市伝説はあくまでも都市伝説だからな。マヨナカテレビも都市伝説みたいなものだが、本当に映るからな」
マヨナカテレビと、俺たちの前に現れたあいつが何か関係しているのかは未だにわからない。別々のものなのだろうか?
「最初は、心霊現象みたいなもんかなって。噂を試したら見えたんだよね。そしたら、❝もう1つの世界❞なんて大事に関係してて……」
「マヨナカテレビが噂になってるってことは、実際に見ている人たちが結構いるってことよね」
「だな、制理。普通、都市伝説的なやつを試すようなやつはほとんどいないだろうからな。どうせ見えやしないって先入観があるから。だが、実際に見えるもんだから、最初に見たやつがだんだんと他のやつに言って、それが噂の中で広がったってとこだろう」
「確か、❝雨の夜の0時に、ついていないテレビをじっと見つめる❞だっけ、噂の内容」
都市伝説みたいなものは、誰かが意図的に広げたりするものもあるが、マヨナカテレビの話も誰かが意図的に広げた可能性はある。
ただ、他の都市伝説と違うのは実際に見えることだ。だから、噂が信憑性を増して広がっていると考えた方がいいかもしれん。
「八幡の言うとおりだな。んなの、なんかのきっかけがないと普通試さないじゃん。アホらしくて。実際やりゃ誰でも見れるんだ。それも何度でも。もしこれが広まってみんなが見たら……」
「花村君、それはとんでもないことになるわよ。他人に見られたくない部分を他人に見られることになるわけだから」
「クマの話を元にすると、あの映像は失踪者自身が生み出してるってことらしい」
「要は、なんとなく見えてるわけではなくて、失踪者のせいで見えてるってことらしいけど」
「前にも言ったが、山野アナや小西先輩の残留思念もあったからな」
「……ハァ……てか雪子ん時も見えたけど、当の雪子はそんなに関わった覚えはないわけじゃん?」
「私もかかった覚えはないし……」
雪柳先生も、あの世界に迷い込んだことで❝もう1人の自分❞が出てきたわけで。
「あのさ、ちょっと話逸れるんだけど……あの映像って、犯人は見てるんだよね?」
「たぶんね。きっとどっかで面白がって……まさか楽しんでるってこと!? 人を放り込んで、その後に映る❝番組❞を楽しんでいるの!?」
おそらくその可能性もあるよな。犯人がサイコパスっぽいからな。被害者を放り込んで、その被害者がどのような姿になるのかを楽しんで見ている可能性は大いにある。
「あーなるほど、可能性あるな。うわ、頭の中の犯人像が一気に変態属性になった。❝キミの全てが見たいよ、雪子た〜ん❞!」
「うっわ、うわ、うっわーー!」
変態属性のサイコパスか。とんでもない犯人だな。
「てか、雪子の一連の話見られたんなら、一緒にあたしのも見られた可能性あり!?」
「その可能性は0じゃないだろうな」
鳴上が淡々とそう言った。それを聞いた里中は顔を真っ赤にして叫んだ。
「!! 犯人絶対許さんっ! 顔じゅう靴跡にしてやる!」
「千枝……変態な犯人なら、それこそ喜びになるんじゃないの!?」
制理の言う通りだな。変態サイコパスの犯人なら、里中の蹴りですら喜びの対象になるんじゃねえのか。まあ本人がそれでもやるって言うなら止めはしないが。里中が急に気合を入れるために掛け声を出す。
「やろーども! 1、完二を助ける! 2、犯人、潰す! 3、犯人、ぶっ潰す! オーケー!?」
里中、2と3は同じ意味なんだがな。まあ、それだけ里中も気合が入ってるってことだな。俺たちは完二を助けるために全員で気合いを入れた。
天城がまたもや笑いの壺に入ったらしく、もうどこでも気にせず笑うようになったんだなと感心してしまった俺であった。
この後すぐに、ジュネスの方へ俺たちは向かうことにしたのだった。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江