2011・05・26・☀・12:45・稲羽市・八十神高校・生徒会室。
6月の中旬に林間学校があるようだ。林間学校にもあまりいいイメージはないが、制理や鳴上たちもいることだし、つまらないものにはならないだろう。ただ、制理から聞いた八十神高校の林間学校というのが『地域の清掃活動みたいなもの』だって聞いた時には驚いてしまったがな。
なんで清掃活動を1泊2日でやらなくてはならないのかと思ってしまったが、その提案もモロキンがやったらしい。それで通りでと感心してしまった。で、俺たちがなぜ生徒会室に集まっているかといえば、1・2年合同の清掃活動についての話し合いだからだ。せっかくの昼休みを使って、こんなことする必要があるのかと思ってしまう。
「生徒会役員は、クラスからではなく、生徒会としてやってもらうことになったから」
生徒会長はそう説明する。すると反発の声が上がる。
「なんでクラスでやってはいけないんですか?」
「俺に言われても困るよ。全部、諸岡先生が決めたことだから」
そう。生徒会長に言われると、生徒会の役員たちがもろもろにモロキンへの悪口を言い出した。確かに俺もそう思う。こういうのはクラスでやるからいいのであって、なんで生徒会の方でやらなきゃいけないのか。制理だってそう思ってるはずだ。
「制理も里中や天城とやりたいだろ?」
「できればそうね。でも男女4人のグループに分かれるわけだから、私は他の人と組むことになるわね」
「そうか、里中と天城が組んだら制理は外れることになるか」
3人1組だったら話は変わってたのか。しかし、男女4人のグループ?なんか中途半端な気もするが、俺たちのだけは男3女3の6人グループだった気がする。
ただ、その6人グループもいろんなところからの弾かれ者が集まったようなグループだったけどな。だから会話という会話なんかなかった。
そんなことは置いといて、清掃活動の他には飯盒炊爨で何を作るのか?いくつか候補はあるのか。カレー——まあ、飯盒炊爨の定番だわな。それにチャーハン、ラーメン!? キャンプ場でラーメンってどうなんだよ。
生徒会長が紙(林間学校のことが書かれたもの)を見ながら話し出す。
「林間学校の1週間前までには、1年と2年の全クラスから何を作るかを決めて提出する最終日とする。遅れたりすると材料を揃えるのに問題が生じるからな」
そして、副会長が生徒会長の言ったことに補足として加える。
「えーと、具材は商店街とジュネスから揃えられればいいのですが」
すると今まで黙っていた雪柳先生が口を開いた。
「そのことなんだけど、グループが各自、自分たちが何を作りたいのか考えて材料も揃える、という方針に変わったみたいね。諸岡先生が先に言ってたのも自分で作ってたのに、急遽今のやつに変えると報告されたんだから」
「モロキン、俺たちを振り回さないで欲しいんだけど」
「あなた達には迷惑をかけるわ。ただ、材料を自分たちで揃えるというのは私は賛成ね。学校が用意したものをそのまま使うより、自分たちで個性を出し合うのがいいかなと私は思う」
「確かに。雪柳先生の言うとおりかな。カレーを作るにも色々とスパイシーとか考えるし、学校側が用意したものだけじゃ足りないと思う人もいるよね」
副会長はうんうんと頷いていた。確かに俺も色々と凝り始めたもんな。同じものを作るにしたって、調味料とかを変えて色々試したりするしな。叔母さんも文句言わずに食べてくれるし。
「制理はどちらがいい?」
「私も自分で材料を揃える方かな。最近料理もするようになったしね」
そういえば料理をし始めたって言ってたな。俺が手料理を食べたいと言ったら、『まだ人に食べさせられるようなものじゃない』って断られたけど、いずれは食べてみたいものだ。
「諸岡先生がそう言ってるなら、各自で材料を揃える、これに決めるしかないですよ」
生徒会長は呆れながらこう言った。今更だが昼飯はどうした?と言われるかもしれないが、一応、生徒会室に弁当を持ってきてここで食べたわけだ。
それから話し合っているんだからな。生徒会と保健委員会は、万が一のために救護用のテントを用意しないといけないようだ。こういうのって大人の教師の仕事じゃねえのかって思うが、自主独立を意外にも掲げている学校だからな、ここは。生徒会長と副会長と保険委員の会長と副会長が後は話をつけるそうだから、これ以上俺たちが話すことは何もなかった。
雪柳先生は俺たちにモロキンが勝手に決めたことを謝ってくれたが、何でもかんでも勝手に決めるモロキン自体が悪いのであって、雪柳先生が悪いのではないからな。
こうして林間学校の話は、モロキンが決めたことが採用されるだけとなったのだった。
どれだけ林間学校が好きなんだよ……モロキン。
2011・05・26・☀・13:30・稲羽市・八十神高校・2ー2組。
午後の授業は歴史だな。祖父江先生が資料集の150ページを開くように言っている。
「では、150ページ。古代エジプトの地図をご覧あそばせ。エジプトが誇る巨大なピラミッドが載っておるであろう。これらのピラミッドじゃが、奴隷によって建設されたというのは、過去の通説じゃ。発掘により、労働者の出勤簿が発見されての。その説は覆されたのじゃ。ホホホ、わらわは最初から古代エジプトの高貴なる民族を信用しておったのじゃ。やはり、遺跡は古代文明の花であるな。皆も古代ロマンを感じるであろう? わらわの兄上は、古代文明に造詣のないつまらぬサムライであったわ。無骨なカブトなど被って、みっともない。このネメスの方がよっぽど優雅ですわ! む? そこ! 話がそれたと思って油断してる花村氏! ピラミッドが奴隷によって建造されたという通説を覆した根拠を答えなさい!」
「ふぉ!? え、えーと、何だっけ? さっき労働者の何かって言ってたよな……? ……八幡……頼む……」
花村は俺に聞いてきたので、ため息をついた後、正しい答えを小声で言った。
「出勤簿と」
「出勤簿です」
「おや、きちんと要点を抑えているとは。感心いたしましたぞ、花村氏や。そう、労働者の出勤簿が発見されたことで通説は覆ったのじゃ。この出勤簿に書かれた欠席理由じゃが、なんと『二日酔い』という記載まである。もし奴隷が強制労働させられていたとしたら、そんな理由が通るわけがないのぅ。どうやら、通説と現実は大きくかけ離れておったようじゃな」
「八幡、サンキュな! 俺もしっかり授業、聞いとかねーとな……」
「はぁ〜、その言葉何回聞いたか分からないぞ……」
俺はそう思いながら、授業を真面目に受けているのだった。
2011・05・30・☁・13:30・稲羽市・八十神高校・2ー2組。
午後の最初の授業はモロキンの授業だな。なんだか憂鬱になるんだが、真面目に聞いてないと平気で怒ってくるからな。
「巽完二が、まだ休んでるそうだが……本当に病欠か疑わしいもんだ! 大方遊び呆けてるに決まっとる! ……ん、何だ貴様ら、その顔は。決めつけるな、と言いたそうだな。まさか巽完二と付き合いがあるのか? いいか、この言葉をよく肝に銘じておけ! 『友達は第二の自己である』! アリストテレスの言葉だ! 付き合う相手をよく選ぶことだな! 自分の価値を下げることになるからな! まああんな社会のクズに人望が集まるとは思えんがな」
俺は授業を真面目に聞いた。むかつくことを平気で言ってくるが、普通に耐えて聞くことにしたのだ。というかモロキン、巽の事を全く知らないんだな。上辺だけのことしか見てねえ。こいつのおかげで林間学校も随分とつまらないものになっているからな。
お久しぶりです。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江