俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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原作開始前7話です。


原作開始前ー8ー7話ー冬へと向かう稲羽と八幡と。

2010・11・03・☀・13:30・稲羽市・稲羽市役所周辺

 

今日は文化の日で休みだというのに、叔母さんの用事に付き合わされている。

 

俺も叔母さんもちょっと厚めのコートを着ている。文化祭の終わった次の日から冷えてきたからな。

 

本来なら家でゴロゴロやりたいとこだったが、今の俺の状況では自分の部屋がないのだ。叔母さんの家のリビングが自分の部屋みたいなものなんだが、叔母さんの私物(特に下着系)がある中で、リラックスなんか出来やしないからな。

 

そんな中、叔母さんは秋の風景という取材がてらに散歩までさせられるとは…というか、秋からもう冬に変わるんじゃねえ?

 

叔母さんは突然俺の方を見て質問してきた。

 

【八幡は、秋といえば何?】

 

【は?秋といえば読書の秋か?】

 

【読書の秋か、それもあるわね。他には芸術の秋とか食欲の秋とか】

 

【秋の三大要素だろ】

 

稲羽は山沿いの方だから山の方から時たま冷たい風が吹いてくる。

 

【さ、さむっ…まだ冬じゃねえのに冷てえ風が吹くんじゃねえかよ】

 

千葉にいる頃はまだこの時期にこんな厚めになったことねえからな。

 

【こっちでは、11月になったらもう冷たい風が吹くわよ】

 

しばらく叔母さんと歩いていると、俺の顔を見てきて

 

 

【八幡、ちょっと町のバスケットコートまで買い物ついでに散歩しない?】

 

と誘ってきた。俺は面倒くせぇと断ろうとするが、叔母を怒らせると怖いオーラに押されて渋々同行することに。

 

バスケットコートに着くと、見覚えのある顔と声が聞こえる。

 

吹寄と里中がバスケを楽しんでいる姿が目に入る。吹寄は動きやすいスポーツウェア姿で、汗をかきながら里中と1対1の勝負中のようだ。

 

里中はわかるが、吹寄って委員長なのにこんなアウトドア派なのかと意外に思った。

 

そんな2人を見ていたら叔母さんが

 

【ねえ、あの子達、吹寄さんと里中さんじゃないの。八幡、声かけてみたら?】

 

【俺、バスケとか興味ないから】

 

と拒む。

 

しかし里中が俺と叔母に気づき

 

【比企谷君!静江さん!こんにちは!】

 

と元気よく手を振ってくる。バスケに集中してこちらに気づいてくれるなよ。渋々挨拶することに。

 

【ちぃっす】

 

というか、叔母さんの名前を呼びかよっ……そこまで仲良くなったってことか。

 

すると里中が俺を手招きして呼んでくる。

 

【比企谷君もバスケやろうよ!】

 

と誘ってくる。そもそも俺はがせいぜい経験したことあるのは、1人バスケだぞ。1人リバウンド1人シュート1人ダンク…そんなのばっかだぞ。他に1人野球、1人テニス…言ってて悲しくなってきたぜ。運動が苦手とか言って断るしかないか。

 

【俺、運動は苦手だから】

 

と誤魔化して断る。しかし吹寄も

 

【比企谷君、運動は苦手でも、見てるだけでも楽しいよ。ちょっとやってみない?】

 

と優しく声をかけてくる。俺は委員長である吹寄まで誘ってくるのかと内心で辟易しつつ、彼女の真面目な態度に断りにくいなと思い渋々参加する。

 

 

吹寄と里中が2対1で俺と対戦することに。というか、俺は男だからこうなることも分からなくはないが…何かがおかしいだろ…叔母さんも止めるどころか応援してるし。

 

俺は案の定ボールをドリブルできず、制理に簡単にカットされるが、吹寄がプレイしながらアドバイスをしてくる。

 

【比企谷くん、動きは悪くないよ。もう少しリズムを意識してみて】

 

【アドバイスされても、俺には無理だ】

 

と自嘲する俺。

 

【無理じゃないよ。少しずつ慣れればいいだけ】

 

との言葉に、どこか励まされる俺。

 

ゲーム後に吹寄が俺に話してくる。

 

【私、身体を動かすのが好きだから、よくここでバスケしてるんだ。千枝と雪子もよく付き合ってくれるけど、雪子は旅館の手伝いもあるからね。でも雪子って運動も得意なんだ】

 

と笑う。

 

へぇ~吹寄って、意外とアクティブなんだな。天城もそうなんだな、人は見かけによらずか。

 

【クラスのみんなにも、こういう楽しい時間を共有してほしいな】

 

この言葉に、吹寄ってほんと真面目だなと感心するぜ。

 

この後も叔母さんもバスケに混ざり、2対2ハーフバスケをすることに。

 

俺と吹寄、里中と叔母さんに分かれて。

 

バスケ中に吹寄が

 

【実は、いとこにグラビアアイドルの吹寄星奈がいてさ、よく間違えられるんだよね】

 

と笑う。

 

まあ確かに、吹寄ってスタイルいいけど…グラビアは似合わなそうだよな。

 

【星奈から水着とか下着とか送られてくるけど、流行り物に興味ないから、放置してる」

 

と言うと、俺は素直な気持ちを言う。

 

【芸能人から貰えるとか、そういうのって結構高いんじゃねえ?着ないとかもったいないんじゃねえのか?】

 

ちょっと皮肉って言ってしまう。吹寄は苦笑いしながら

 

【私、こういう(バスケのユニホームみたいな)シンプルなのが好きだから】

 

と吹寄は言った。

 

吹寄は意外と堅実だなと見直す。あとそれと何気に叔母さんもバスケが上手いんだな。

 

この日はこんな感じで、吹寄と里中と叔母さんとバスケをして楽しんだ。

 

 

2010・11・03・☁・22:30・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。

 

今日はバスケをやったせいで明日は筋肉痛に…布団に入りながら天井を見る。

 

吹寄制理…

 

最初の印象は、雪ノ下みたいに完璧主義で面倒くさいタイプだなと警戒してた。

 

文化祭準備中のリーダーシップや「吹寄おでこDX」の威圧感に、「この人、怖い」と感じてしまった。

 

今日知ったことだが、吹寄のアウトドア派な一面や、バスケを楽しむ無邪気な姿を見て、

 

【真面目なだけじゃなくて、意外と普通の高校生っぽいな】

 

と見直しちまったな。

 

吹寄のクラスのために頑張る姿勢に、俺にはできないことだな。まあ、真似しようとは思わないが。

 

そういうとこ本当に尊敬に値するぜ。

 

今日はなんだか吹寄のことばかり考えていた。

 

2010・11・24・☀・15:45・八十神高校・1年廊下。

 

もうすぐ12月ってのに、稲羽市はめっちゃ冷えてきたな。さすが山沿いの田舎だ。12月になったらもっと厚めコートが必要になるな、こりゃ。

 

俺はさっさと家に帰って、叔母さんの部屋のこたつに潜り込むのが一番だ。

 

そう思いながら教室を出て、廊下を歩いていると、担任の雪柳先生に呼び止められた。

 

【比企谷君、クラスに吹寄さん残ってる?】

 

雪柳先生が俺に聞いてくる。俺は首を振って答えた。

 

【吹寄ですか?俺が出る時にはもういませんでしたよ】

 

【そうね、ちょっと残念だったね】

 

雪柳先生が残念そうな表情をする。手に持ってるのは書類っぽいな。まあ、俺には関係ないし、さっさと帰ろうとしたら、雪柳先生がニコッと笑ってウィンクしながら言ってきた。

 

【比企谷君、ちょっとお願いがあるの】

 

…は?俺に?何だよ、このデジャヴ。総武高校の文化祭準備で、雪ノ下が休んだ時に書類を届けたあの時の感覚が蘇る。嫌な予感しかしねえ。

 

【この書類を吹寄さんのお宅まで届けてくれないかな?】

 

…は?ちょっと待て。俺、吹寄の家なんか知らないぞ!雪ノ下の時もそうだったけど、なんで俺がこんなメンドくさい役目を押し付けられるんだよ。

 

【私、これから急用が出来て隣の市に出張に行かなくてはならなくなったの。だからお願い、比企谷君。後で何かお礼をさせてもらうから】

 

ここまで言われちまうと、さすがの俺も断るわけにはいかねえな。雪柳先生の優しさが逆にプレッシャーだ。俺はため息をつきながら答えた。

 

【分かりました。そうは言っても、俺、吹寄の家なんか知らないんですが?】

 

【彼女の家は、比企谷君の…静江さんのアパートの後ろ側にあるわよ】

 

【は?へ?…吹寄の家が叔母さんのアパートの後ろ側?】

 

確かに裏側には立派な住宅街が立ち並んでるけど、その一角が吹寄の家ってことかよ。俺はちょっと驚いて聞き返した。

 

【そうよ。近頃仲が良かったから、お宅ぐらい知ってるのかなと思ってたけど違ったんだ】

 

雪柳先生がそう言うけど、俺は首を振る。

 

「確かに前よりは話すようになりましたけど、家まで行くほどの仲では…」

 

雪柳先生が腕時計を見て慌てた。

 

【あ、やばっ、その書類、吹寄さんに渡してね。明日は出張で学校に来れないからね】

 

そう言うと、雪柳先生は職員室の方へ急いで戻っていった。俺はため息をつきながら呟く。

 

【仕方がねえ。やりたくはねえが、この書類をそのまま放置するわけにもいかねえ…。吹寄んちに持っていくしかねえか】

 

俺は靴箱に向かい、靴を履き替えて学校を出た。

 

 

2010・11・24・☀・16:10・吹寄家。

 

 

学校から鮫川河川敷を抜けて、商店街を通り、叔母宅の帰宅ルートを使って吹寄家に到着。裏の住宅街に来てみると、確かに立派な家が多いな。稲羽市って田舎だけど、こういう住宅街もあるんだなと思いながら、吹寄家のインターホンを押す。

 

すると、男の声が応対してきた。

 

【どちら様でしょうか?】

 

【俺、吹寄制理さんと同じクラスの比企谷八幡って言いますが、ご在宅でしょうか?】

 

【姉ちゃんのクラスの人?ちょっと玄関開けますから待っててください】

 

【はい】

 

俺がそう返事すると、玄関の扉が開き、若い男が顔を出してきた。中学生くらいかな?お兄さんにしては若すぎるし、吹寄の弟だろうな。俺を家の中に通してくれた。

 

【えーと、姉ちゃんにどのような用事で?】

 

【担任から制理さんに持ってくるように言われたんです】

 

俺は持ってきた書類を弟に見せる。すると、階段をドタバタと降りてくる足音が聞こえてきた。見ると、吹寄が…何だその格好!?下着姿(白)で応対してくるじゃねえか!

 

【ごめんなさい、比企谷君。さっき雪柳先生があなたが持ってくるって電話を受けてたから】

 

吹寄がそう言うと、弟が顔を赤くして叫ぶ。

 

【姉ちゃん、服ぐらい着てよ、恥ずかしいじゃん!】

 

【何?別に私がどんな格好でいたってかまわないでしょ?】

 

弟はそう言って、自分の部屋に戻っていったっぽい。…俺も叔母さんの下着姿を日常的に見てるから、その気持ちは分かるぞ、弟。

 

…いや、ちょっと待て。もうすぐ12月だぞ?その格好、寒くねえのか?確かに玄関から暖房の暖かさが伝わってくるけど、年頃の女子がこんな格好で応対するのはどうなんだよ。普通なら「キャァー!」とか言って叩かれるイベント発生だろ。吹寄にはそういう羞恥心がないのか?ってことは、学校では真面目でカタブツな委員長キャラだけど、家ではだらしないキャラってことか?

 

【どうしたの?比企谷君】

 

吹寄が不思議そうに俺を見る。俺は慌てて答える。

 

【あ、ああ、この書類が雪柳先生から預かったものだ】

 

俺は吹寄に書類を渡す。

 

【ありがとう、比企谷君。そうだ、お茶ぐらい飲んでいく?」

 

「お構いなく。俺もすぐに家に帰って家事しないといけないからな】

 

【あ、静江さんが帰ってくる前でしょ?家事全般、比企谷君がやってんでしょ。なんだかすごいなと思うわ」

 

吹寄が感心したように言う。俺はちょっと照れつつ答えた。

 

【まあ、家事は好きでやってることだからな。それじゃ俺は帰るわ】

 

【うん、また明日ね、比企谷君】

 

こうして俺は雪柳先生から頼まれた書類を吹寄に渡し、吹寄家を後にして叔母さんの家へ帰宅した。

 

 

2010・11・24・☀・16:35・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング

 

帰宅して靴を脱ぎながら、俺はため息をつく。

 

吹寄のあの姿…。俺の中で、吹寄の『真面目カタブツ委員長』のイメージが完全に崩壊したな。まあ、叔母さ、んも似たようなもんだから慣れてるっちゃ慣れてるけど、吹寄がそんなタイプだとは思わなかった。学校での真面目さと、家でのだらしなさのギャップがすごいな。

 

でも、考えてみれば、吹寄って人間らしいよな。バスケの時もそうだったけど、クラスのために頑張る姿とか、俺みたいな転校生にもちゃんと気を遣ってくれるとことか…。俺には真似できない真剣さだ。

 

雪ノ下とはまた違う、吹寄なりのリーダーシップって感じだな。

 

…って、俺、吹寄のこと考えすぎじゃね?最近、吹寄のことばっかり頭に浮かんでくる気がする。まあ、別に嫌いじゃないけどさ。

 

俺、まさか吹寄を!?吹寄の下着姿が頭に浮かんでくる。

 

俺は首を振って、家事の準備を始めることにした。

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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