「はい、と言うわけで借金返済RTA豪団会殺戮タイムだ!」
そう言ってケイト・リードは笑っている。
豪団会と言えば日本でも有数の殺し屋組織だ。
それを潰すとなると十分な準備が必要だ、必要なはずだ。
なのにこの女ときたら何も持ってきていない!
「なぁ、ケイト・リード、お前は馬鹿なのか? 相手は日本有数の殺し屋組織だぞ? 素手で行ってどうする? ちなみに私はハンドガンとナイフを用意した。なんならスナイパーライフルもある」
「そんなんじゃ丸一日かかっちまうだろ! そしたらアタシは雪奈に斬られるんだよ! つうか弟子は武器持ってきてるなら自衛くらいは出来るな? ならよし!」
コイツは何を言っているんだ?
普通は武器を用意するんだぞ?
「よっし、じゃあ行きますか!」
「! 馬鹿! 行くって正面からか?! 死にたいのか?!」
「馬鹿野郎! 今回は豪団会を全滅させるのが仕事だろ! なら正面から行った方が早いだろ!」
「……イカれてる。普通はもっと……」
「はいはい、無駄口叩かないじゃお邪魔しまーす!」
「あ、馬鹿!」
ケイトは豪団会の入っているビルに無防備にも突入した。
「あ? ネェちゃんたちここがどこかわかっとんのか? 帰るんならなんも……
「うるせぇ、死ねや」
ケイトは素手で豪団会の男の首をちぎり取った。
そこからは地獄だった。
銃撃を物ともせず嗤いながらまるで紙を千切る様に人の首をちぎり飛ばすケイト・リード、私はただその光景を見ることしかできなかった。
豪団会も最初は善戦していた。
しかしケイト・リードはおかしかった素手で人を殺していく。
確かに素手で人を殺すことは可能だ。
私にだって出来る。
けど、首を飛ばすなんて荒技は普通できない。
腕を千切ることなんてできるはずがない。
胴をへし折ることなんて不可能だ。
それを当然の様にやってのける。
しかも、自分は擦り傷一つ負っていない。
アレは人間じゃない。
「ふぅ……お仕事終わり! おい、弟子殺り残しないか見てきて!」
そう言ってケイトリードは笑っていた。
返り血一つ浴びずにたった1時間で豪団会を殲滅した。
「わ……わかった」
本当に私はコイツを殺せるのか?
あの怪物を?
到底そんなビジョンは見えない。
寧ろ……
「私が死ぬ、な」
そんな言葉が口から溢れる。
豪団会の生き残りは一人もいない。
全員惨殺された。
これが紅い獣の本気、私はただ遊ばれてただけだ。
嫌な汗が止まらない。
私は……どう殺される?
首を引きちぎられる?
腕と足を引きちぎられて達磨にされる?
それとも……
「おい」
「ひっ!」
「んだよ、変な声あげて? とりあえず清掃員呼んだし帰るぞ。早く借金返さないと雪奈に殺されちまう……」
「そ……そうだな、早く帰ろう」
……本当に私は運が良かった。
コイツの気まぐれで生かされてる。
私の生殺与奪の権は変わらずケイト・リードが握っている。
◇◆◇
「いやぁ! 儲けた儲けた! とりあえず借金も返済したし今日は何時もよりいい酒呑もうかなぁ!」
「……なぁ、ケイト・リード、なぜ私を弟子にした?」
「んぁ? なんだよ急に?」
「今日見た実力で分かった。お前はいつでも私を殺せる。なのになぜ殺さない? なぜ弟子にした?」
「んー」
ケイト・リードは少し考えてから応えた。
「昔のアタシに似てたからかな。いや、言うほど似てないか? まぁ、きまぐれだよ。アタシを殺そうとした奴は何人もいたけど弟子は最後まで目が怯えてなかった、だから弟子にした」
「……意味がよくわからない」
「まぁ、骨がある奴だと思ったから弟子にしたって感じ」
そう言ってケイト・リードはワインを開けて飲み始めた。
「まぁ、どうでもいいだろ、別に?」
「……そうか、わかった」
納得のいく答えは得られなかったが分かったことは一つ私は本当にコイツの気まぐれで生かされていると言うことだ。
……本当に運が良かった。
それだけは確かだ。