ローズの受難   作:ラットマンΣ

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失敗作

 政府から連絡が入った。

 端的に言うと私は失敗作と認定された。

 そしてその後処理をする者を送る、と。

 あぁ、そうか、私は失敗作か。

 ならもうどうでも良い。

 その連絡を受けた日の夜、こっそりと蒼葉邸を後にした。

 もう、あそこにいる理由も意味もないのだから。

 1人、街を彷徨う。

 行く宛なんてない。

 ただ、1人になりたかった。

 私は技術的には強くなったかもしれない。

 けど、致命的なところが弱くなった。

 なら、もう……

 

「……ッ!」

 

 不意に弾丸が頬を掠める。

 そこには私と瓜二つの少女が立っていた。

 あぁ、後処理って私のことか。

 いっそこのまま殺された方が楽、か。

 けど……

 

「死にたくないなぁ」

 

 身体に力を入れる。

 武器はない。

 とにかく銃の有利を殺す。

 なら、近づくだけだ。

 地面を踏み締め、蹴り飛ばす。

 

「…………」

 

 目前の少女は微動だにせず銃を撃つ。

 弾丸が肌を掠める。

 どうにか避けられてはいる。

 ……間合いに入った! 

 一撃、鳩尾に決める。

 しかし少女は微動だにしない、それどころかカウンターで顔面を殴られる。

 

「ぐっ……」

 

 モロに入った一撃は痛い。

 対して相手は表情一つ変えちゃいない。

 兎に角銃を奪わなければ……

 

「がぁ……ッ」

 

 仕込みナイフで腹を刺される。

 出血が止まらない。

 このまま死……

 

「アタシの弟子に何してんだ? てめぇ」

 

「ケ……イト?」

 

「黙って止血してろ。すぐ終わらせる」

 

「…………」

 

 ケイトと少女が向かい合う。

 少女は銃を捨て姿勢を低くする。

 

「ローズと同じ顔、ねぇ? デザイナーベビーだからか? だからって容赦はしねぇぞ?」

 

 たった一瞬の出来事だった。

 少女が動いたコンマ数秒後にケイトが消えた。

 そうして再び姿を現したと思ったら少女の首から先が消えていた。

 あー、やっぱり化け物だ。

 

「おい! ローズ! しっかりしろ!」

 

「……無理だよ、血を流しすぎた」

 

 ケイトはそんな言葉を無視して蒼葉邸へと向かう。

 あぁ……助かるわけない……の、に……

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 夢を見た。

 可哀想な少女の夢。

 紛争で両親を殺されたった1人で生きていく事になった少女の成れの果て。

 少女は獣になった。

 そうしなければ生きていけなかったから。

 だけど、中身は空っぽで何もなくて……

 

 

 

「お、目覚めたか?」

 

「グレン? 私は……」

 

「そこの馬鹿に助けられたんだよ」

 

 そう言ってグレンが指差す方にはケイトがいた。

 

「誰が馬鹿だ! まぁ、グレンのおかげで助かった訳だし別にいいけどさ!」

 

「……何で助けた?」

 

「あぁん? そりゃお前、だって……」

 

 ケイトは言葉を探している。

 

「アレだ! 弟子だから! まだアタシ越えてないのに死ぬとか無しだからな!」

 

「そう……」

 

「んだよ、張り合いないなぁ……とにかく当分は安静にしてろ」

 

「ケイト、まだ来るよ。連絡があった、後始末をするって」

 

「そ、なら全員殺すだけだ。お前は寝てろ」

 

 そう言ってケイトは部屋を後にした。

 きっとケイトの事だ本当に全員返り討ちにしてしまうだろう。

 なら、もう少しだけ眠っていよう。

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