モンハン世界を異世界に紹介する配信ちゃんねる! 作:クラウディ
気分転換に見ていたYou〇ubeのオススメに上がった動画からこのネタを思いつきました()
「はいどーも皆さんこんにちは。突然のことで混乱されているでしょうが、まぁ害はないのでゆっくりしていってください」
・!!??
・なんだこれ!?
・え、ちょ、何か目の前に別の景色となんか文字が見えるんだけど!?
・こ、これはどんな魔法なんだ!?
・幻覚魔法……にしては確かに害はない……だが俺の耐性を無視してこれほどの情報を送り付けるとは、何者だ貴様?
「あははは……まぁそう思うのが普通ですよね……私だっていきなりこんなことさせられてめっちゃ混乱してますし……とりあえず自己紹介をしておきます。私はクルファ。皆さんから見れば異世界や別世界といった場所でしがないハンターをやっています」
・いやいやいや!! この状況でいきなり自己紹介!?
・焦ったぁ……いきなり変な音が鳴ったと思ったらこんな映像流されるとか……仲間に変な目で見られるところだった……
・ふむ……いきなりのことで驚いたが、この状況は興味深いね。ぜひともこの魔法を続けてくれ
・えっと、ハンターのクルファさんでいい? 休みの日だったから良いんだけど仕事中にこういうことされるとだいぶ危ないから……
「返す言葉もございません……」
あーあ、やっぱりこうなることは分かっていたでしょうに……ルーツさんは何を考えていらっしゃるのやら……。
……あ、申し遅れました。
私の名前はクルファ、この世界で生きるしがない一般ハンターであり、ルーツさんという方から「異世界へ向けての配信をやってみないか?」という提案を半ば強制的に受理させられた不憫な男です。
え、情報が流石に足りな過ぎるだって?
まぁ、それは私も思います。
なので少しだけ詳しく情報を開示していきましょう。
そもそも私は『前世』というべき記憶があります。
そこでの人生は平々凡々。強いて言うなら諦めの悪さがあるくらいなのですが、流石によくある転生トラックの衝撃を乗り越えることはできなかったようです。
そして次に目を開けた時には、今生においての母の腕の中でした。
そんなことを経験した結果、気づいた時には「この世界」に転生したと自覚する私。
なんとかこの世界でも生きていけるようになっていた時、私が出会ったのがルーツさんです。
ルーツさん……本名というか識別名は「ミラルーツ」。
この時点で知る人は知っているでしょう、私が転生した世界のことを。
そうです、私が転生したのは「モンスターハンター」というゲームの世界だったのです。
――モンスターハンター。
よくヘリが落ちることで有名なゲーム会社さんが制作したこのゲームは、強大な生物……「モンスター」を狩猟するハンターとなって様々な依頼をこなしたり、装備を作って強くなる大人気ゲーム。
どこまでも広がる自然と、そこで力強く「生きている」多種多様なモンスター達の生態。
そんな世界に私は転生したのです。
そんな世界で頑張ってハンター家業を続けていた時、ちょっと魂が特殊だということを先程も名前を上げさせてもらったルーツさんが見抜き、そのまま私を中継地点として異世界に配信してみようとか突然言ってきたのでした。
あ、ルーツさんはこの世界のとてもすごい方で、なんか大抵のことはできるそう。
そんな彼女の手によって今のような配信ができるようになった私は、ルーツさんに言われるがままに配信を始めたというわけなのです。
どうやら無事に異世界へと接続できたようで、今私の目の前にあるルーツさん特製のお守りから投影される半透明の画面には、困惑する私の顔とおそらく異世界にいらっしゃるであろう方々のコメントが映っていました。
困惑の反応がほとんどを占めているコメントを見ながら、私は説明を続けます。
「本当にお忙しいところをすみません……できれば話題を広げるために質問をしてもらえると助かります……!」
・ふむ、一つ質問を良いかな?まず、この状況と君の身分などを教えてもらえると助かる。
「なるほど……そうですね。まずはこの世界について話しましょう」
真っ先に質問を投げかけてくれた方の質問に答えながら、お守りを動かして映る景色を変えてみる。
そこには広大な自然を悠々と闊歩する巨大な草食竜……「リモセトス」が数多く存在するフィールドが映ったのです。
・!!??
・デッッッッッッッカ!!!???
・四足獣……にしてはかなり大きいな……何メートルだ……?
・でも温厚そう……可愛いなぁ……
・うへぇ、軽く数えただけでも20匹以上はいるな……
「お、良い反応してくれましたね。彼らの種族名はリモセトス。草食種、竜盤目、奇首亜目、首鳴竜上科、リモセトス科の温厚な竜です。主にこの古代林に生息する子達で、危害を加えなければ襲っては来ませんよ」
そう言って、物珍しそうに傍に寄ってきたリモセトスの子供を撫でると、リモセトスの子供は気持ちよさそうに喉を鳴らしてじゃれついてくる。
リモセトスという生物を簡単に例えるなら、四足歩行で、首が長いブラキオサウルス型の竜といった方が分かりやすいだろう。
そんな彼らがいるこのフィールドは「古代林」という名称の場所だ。
他の地域と比較しても時代がズレているような雰囲気を感じられるこのフィールド。
そんな場所の大きく開けた平原に、配信を付けた私はいるのです。
・りゅうば……なんだって……?
・……このようなタイプの竜は見たことがないな……古代林という場所も……なるほど、先程言っていた異世界やらなにやらはそういうものと理解した方が良いかい?
「そうですね。知り合いからやってこいと言われたので異世界に繋がっているのかどうかは私自身、半信半疑でしたが……皆さんの反応だと繋がっているようですね。それと本当に突然つなげてしまい申し訳ありません……!」
・えぇ……
・あんたも分かってなかったのかよ……
・ってか、世界を越えてつなげられるとかアンタの知り合いナニモンだよ……
「それに関しては私も知りたいですねぇ……」
配信を見ている方々も理解してくれたのか、段々と緊張がほぐれてきたようなコメントが多くなってくる。
それにつられて私も強張っていた肩の力を抜き、改めて配信を再開した。
「さて、改めて自己紹介をしましょう。私の名前はクルファ。龍の歴史を研究する学院と書いて「龍歴院」という機関に所属する研究者であり、現在は休暇をもらってフリーランスのハンターをやっています。皆様、よろしくお願いします」
・よろしく~
・よろしく!
・よろしくお願いしますクルファ君
・よろしく頼むぜクル坊
・研究者なのかアンタ? その割にはやたらゴツイ装備を纏ってるが……
・金属……にしては見たことない素材ですね
お、やっぱり私が纏っている『防具』が気になりますか。
「この防具はこの世界に生息するとある竜……『ブラキディオス』の特異個体から獲得できる甲殻を用いて作られているものでして、装備の名称を『ブラキウム』と呼びます。この背負っている「チャージアックス」と呼ばれる武器も同じモンスター……あー、皆さんの世界で言うところの魔物の素材から作られているものですね。この世界ではモンスターの素材を用いて装備に加工することは割と一般的なので」
私が現在纏っている防具と装備は、ブラキディオスの特異個体――前世では俗に「臨界ブラキ」と呼ばれていた『猛り爆ぜるブラキディオス』というモンスターの素材から作られており、その性能は実体験込みで折り紙付きである。
そもそも「モンスターハンター」というゲーム、そしてこの世界ではモンスターの素材を加工することで武器や防具を生産するのは普通である。
なにせ、この世界のモンスターは我々のような人間からしてみても完全に「上位者」と言うべき存在。
そんな相手に肉体だけを強くするだけじゃ早々に限界を迎える。
そんな状況の中で先人の方々が編み出した技術の一つがこれなのだ。
私達にとっては普通のことなのだが、配信を見ていられる方々はそうではないようで……
・竜の素材で装備を作る!? ただでさえ攻撃が通りにくい奴らの素材を武具に加工してるのか!?
・いや、確かにやれないことはないけど、正直加工費がバカにならない。鉱石で武器を作るだけでもキツイのに……
・そっちの世界どうなってるんだ!!
・ブ、ブラキディオス……? なんかまた新しい竜の名前が……
「工房技術は私の管轄外なので何とも言えませんが……あ、ブラキディオスというモンスターは獣竜種に属するモンスターでして……あぁそうだ、獣竜種についても説明しなければならないのか……」
なんだかんだインパクトを与えつつも、こうして私の異世界の方々へ向けた「モンハン世界の配信」はスタートしたのです。
~登場人物紹介~
・クルファ
本作の主人公であり、モンハン世界に転生した元一般人、現フリーランスのハンター。
半年前はバリバリにいろんなところで活躍していた「龍歴院の英雄」。要するにモンスターハンターダブルクロスの主人公ポジだった人。
とある時に知り合った「ルーツさん」に脅s……誘われて配信を始めることになった苦労人。
得意武器は「片手剣」「チャージアックス」。
・コメント欄にいる異世界の皆さま
多分常識がぶっ壊される未来が待っている人達。
規格外の生態系とそこで力強く生きる住人達に腰を抜かしそうになるが、「こんなのモンハン世界じゃ日常茶飯事だぜ!」と言われる模様。
・ルーツさん
みんな大好き祖龍様。
本作の主人公に配信してみようぜと声をかけた元凶。