モンハン世界を異世界に紹介する配信ちゃんねる! 作:クラウディ
結構いろんな話が書けたらワイルズのストーリーとかと絡ませたいなぁ……
・なんだこの生物!?
・デッッッッッッッカ!!!???
・なにあの尻尾!? 剣!?
・いやいやいやいやデカいデカいデカいデカい!! 普通に上位種の魔物レベルにデカいんだけど!?
・本当に大丈夫なんだよねクルファさん!!??
・ふむ、全長の半分もあるような尾部が屈強な後脚によって支えられ、それでいて重心におかしいところは存在しない。強いな、あのモンスター
・言ってる場合かよ!? ぜったい2人で挑む相手じゃねぇって!!
「グルルルル……」
「…………」
「ウニャァ……お腹が減って気が立ってるみたいですニャ……」
私達を警戒しながら一定の距離を保ちながら移動する巨大なモンスター――『ディノバルド』。
竜盤目、獣脚亜目、尾剣竜上科、ディノバルド科に属するこのモンスターは、個人的な主観ではあるもののかなり手ごわい部類に入るモンスターだ。
前世で言うところのティラノサウルスのような骨格をしたこのモンスターは、まるで剣のような尻尾を地面に擦りながら大きく息を吸うと、それだけでもたたらを踏んでしまいそうな「咆哮」を上げた。
「グルルルッ、ゴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「ッ……!」
・うぐぉおおおおおおおおおおおおお!!?? さっきも聞いたけどこれただの咆哮か!? 普通に上級の音響魔法でもおかしくないだろ!?
・み、耳がぁ……!!?? 金属をこすり合わせるみたいな音だから余計にぃ……!!??
・ッ! 威嚇だけでこれかッ!!
開幕の合図と言わんばかりに、威嚇の咆哮を上げるディノバルド。
その衝撃は凄まじく、右手に持つ大きな盾を構えていなければ吹っ飛ばされていたと予感させるほど。
そんな咆哮を上げたディノバルドは腹を空かしているからなのか、地鳴らしを上げるほど荒々しい足取りでこちらに急接近してくる。
そして、私達から30メートルは離れた場所まで来ると、力を籠めるように身を屈め……その場から『
・……はぁっ!!??
・跳んだぁあああああああ!!??
・まさかそこまでとは!!
・あの巨体で跳びやがるなんてなぁ!!
・クルファさん逃げてぇええええええええええええええええええ!!!!!
・ドラゴンですら翼を使わねぇと飛べねぇんだぞ!? どうなってんだそいつ!?
その跳躍の高さはそれなりに大柄な私が大きく見上げるほどであり、1階建ての住宅を容易く飛び越せるほど。
恐ろしいほどの筋力量を見せつけるディノバルドの姿に、配信のコメント欄が一気に加速している。
そもそもの話として、このディノバルドも含めた「獣竜種」に分類される種は、「飛竜種」と呼ばれる飛行能力を持った種と違い、進化の過程で完全な陸上生活に適応した竜の総称である。
陸上生活に特化した進化をしているため、後脚2本で10メートルを軽く超す巨大な体を簡単に支えるほどの筋力をしており、翼に筋力が集中した飛竜種と違ってフィジカル面では比肩する種がほとんど存在しないほど。
他の種と比べて生態の研究が進んではいるものの、それが必ずしも倒しやすさに繋がらない。
そういう種がディノバルド達――「獣竜種」なのだ。
大きく跳躍し、重力にひかれて落ちてくるディノバルドの姿を目に収め、次の手について考えていく。
他のモンスターであればそのままとびかかってくるのが普通だろう、それならば私自身、十分に対応できる。
――だが、ディノバルドは距離を詰めるためだけにただ跳んだのではない。
「ゴアァッ!!!!!!!!」
「グッ……!!」
跳躍しながら身を翻したディノバルドは、自身の全長の半分にも及ぶ巨大な尻尾をこちらに叩きつけてくる。
その尻尾の一撃を、尻尾の側面に当てるようにして押し付けた盾を用いることで、押し出されるように逸らし、追い打ちをされない距離にまで後退することができた。
ゴロゴロと地面を転がるようにして受け身を取ることで吹き飛ばされた時の衝撃を逃し切る。
モロに受けていたらこのブラキウム装備であっても無事では済まなかっただろう、それを確信させるほどの一撃だった。
「大丈夫ですかニャ旦那様!!」
「大丈夫だよキナコ。君の方は?」
「大丈夫ですニャ!! 無傷ですニャ!!」
私を心配して駆け寄ってきたキナコの方も無事なようだ。
流石は私の無茶についてきてくれた勇気のある子。生半可な攻撃は容易く回避できている。
「グルルルル……」
自慢の尻尾による一撃を回避されたことに苛立ちを募らせるディノバルドが、先程尻尾を打ち込んだ場所から地面に切り込んだ尻尾をどかす。
地面には深い斬撃痕とその衝撃による岩盤の隆起が確認でき、その威力を物語っていた。
すらりと引き抜かれるように土煙から姿を現した尾は、金属のように輝く青い刃のよう。
――『ディノバルド』
獣竜種に属する、竜盤目、獣脚亜目、尾剣竜上科、ディノバルド科のモンスターで、別名を『斬竜』。
熱帯気候の密林や砂漠、火山帯などの高温地域に生息する獣竜種の大型モンスターだ。
肉食性で、種全体の気性は至って獰猛。
一度狙いを定めた獲物は仕留めるまで執拗に追跡し、他種の大型モンスターと鉢合わせても動揺するどころかむしろ積極的に戦いを挑む好戦的な竜。
濃赤色の鱗と外殻、逆巻く炎を想起させるような独特な形状の青い突起――『炎状殻』が並ぶ背部と、これだけでも特徴的な見た目なのだが、彼らを象徴するのはその全長の半分を占めるほどに長く巨大な尻尾である。
まるで巨大な一本の「剣」にも見えるその尻尾は、その見た目に違わず持ち前の質量と合わさって立ちはだかる敵を「叩き斬る」。
撫でるように振るだけでも容易く草木を薙ぎ払い、先程のように体重を乗せて振り下ろせば地面を叩き割りながら隆起させるすさまじい破壊力を誇っているのだ。
それがディノバルド。
「灼熱の刃」と称される『
そんなディノバルドを狩猟するクエストを、私は受けているのである。
・ヒェッ……あんなの食らったらひとたまりもない……
・え、ちょ、はぁっ!? 今のを受け流せるのかよ!?
・い、今何やったの!? 全然見えなかったんだけど!?
・あれだな。クルファの奴さん、あの一撃を食らう前に盾で逸らしやがった。しかもあの重さの一撃を紙一重で逸らすっていう神業じみたことをやってな
・同じ研究者だということがにわかに信じがたいほどの腕前だな……
・キナコちゃんも結構余裕そうに回避してたな……慣れてるにしても動きが早い。ハンターってそういうもんなのか?
先程の一撃を見て、配信の向こう側にいる人達の困惑が大きくなる。
分かりますよぉ……この世界の生き物達ってあまりにもフィジカルですもんねぇ……マジカルな方のモンスターに慣れてると余計にインパクト大きいですから……。
と、そんなことはさておき、傍にいるキナコに声をかける。
「気づいたかいキナコ? あのディノバルド……特異個体ではないのが信じられない体格だね」
「ウニュゥ……あんなに大きいとボクの攻撃はあんまり当たらなさそうですニャ……旦那様……」
「うん、いつも通りサポート頼むよ。それと配信の対応もお願いしても良いかな?」
「はいニャ!」
言葉少なめに報告し、配信用のお守りを受け取ったキナコは、地面に潜ってディノバルドの視界から外れる。
残された私は武器を構えなおし、ディノバルドへと相対した。
「グルアァッ!!!!!!」
「ッ!!!」
こちらの出方を窺っていたディノバルドは、私が一人だけになったのを確認すると、跳躍はしないものの踏み込みながら尻尾を叩きつけて来る。
落下による勢いはないものの、それでも綺麗な弧を描くような軌道で振り下ろされる尻尾は、私のような小さい命など容易く切り殺してしまえるだろう。
――しかし、
「はぁっ!!」
「ギュオッ!!??」
先程と同じように盾を用いることでその一撃をいなした私は、横に吹っ飛ぶ勢いを利用することで体を回転させ、左手に握る剣を尻尾に叩きつける。
ギャリッという硬質なものがこすれ合う音と共に、握る刃がディノバルドの尻尾に食い込んだ。
しかし、食いこんだと言ってもそれはあまりにも浅い。
この自身よりも大きい尻尾を両断するには、同じ攻撃をあと50回以上与えなければ不可能だろう。
だが、そんな隙をこのディノバルドが与えてくれるわけがない。
「ゴアァッ!!!!!!」
「おっとっと」
すぐさま尻尾を振り回し、食いこんだ刃諸共、しがみついていた私を振りほどきにかかる。
巻き込まれる前に刃を引き抜いて、バックステップやガードを駆使した私と尻尾を振り回しながら距離を取ったディノバルドは、先程のように睨み合いの状態に戻った。
「グルルルル……!!」
「落ち着け……空気にのまれるな……」
噴火寸前の火山のような唸り声を上げるディノバルドからは、先程までの「捕食者」としての気配は消え、相対する私を倒さなければならない「敵」と認識する。
燃え盛る炎のような殺意を正面から浴びせられ、心臓の鼓動が強く響き始めるのを気合で抑え込み、不動の心で以て構えなおした。
今から始まるのは果し合いでも何でもない、美しさなんて捨てた泥臭い「狩り」の時間だ。
ならば、自身は全力で――
「『狩る』だけだッ!!!!」
「ゴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
こうして、古代林での「ディノバルドの狩猟」は始まったのである。
「あー、始まっちゃったニャ。旦那様のことだし、こっちに注意が向くのも面倒だろうしニャァ……」
・なんでそんなに呑気なのキナコちゃん!?
・おまっ、自分の主人の助けに行かないのかよ!?
・ヤバいって!! あんな圧力感じたことねぇって!!!
「安心してくださいニャ皆さま。旦那様はちょっとやそっとじゃ病院にも行かないようなタフさを持ってますニャ」
クルファがディノバルドへ駆け出すのと同タイミングで、少し離れた場所から様子を見守っていた彼のオトモである「キナコ」は、主人から託されたお守りと共にその姿を視界に収めていた。
自身の主が強敵に立ち向かっているのを呑気に眺めているキナコの姿に、お守りによってこの世界を見ることができている「異世界」の者達は焦り始める。
なんせ、感じる圧力は彼らの世界でも上位種の魔物に比肩するほどで、そんな怪物にたった一人で立ち向かっているのだから。
普通なら自殺志願者と取られても過言ではない状況。
だというのに一切の焦りを感じていないキナコの姿を見て、異世界の者達は更に困惑する。
「ウニュゥ……なんと説明すればいいのやら……あっ! そうニャ! えっと、ポーチの中にあれが……これニャ!」
そう言ってキナコが取り出したのは一枚の写真。
そこには染色技術が進んでいないからなのか色褪せてはいるものの、傍にいる人が小人に見えるほどに巨大な
・え……こ、これは……?
・でっかい……イカ……??
・クラーケン……なのか……!?
・え、クラーケン!? あの伝説の魔物の!?
その突然の写真に困惑する異世界の住人達。
中には自身の知っている魔物と知識を照らし合わせて、その生物の正体を推測する者もいる。
その反応に「い、異世界にもコイツがいるのかニャ……」と若干遠い目をするキナコ。
しかし、伝えたいことはそうではないと頭を振ったキナコは自身の手元にある写真について説明し始めた。
「この写真は、旦那様が数年前に
・はぁっ!!??
・いやちょっと待ってよ!!?? いくらなんでも大きすぎない!!??
・え!!?? こ、こんなお城みたいな大きさをしたモンスターを!!??
・たった一人で討伐した!!??
・ハハハハハッ!!! こんなデカブツを一人で討伐か!! クルファの奴さん、やっぱり只者じゃねぇみたいだな!!
キナコが告げた言葉に、沸き立つ異世界の住人達。
あのディノバルドですら小さく見えるような大きさのモンスターをたった一人で討伐……異世界を基準にしても相当おかしい領域に入るのだろう、コメントのほとんどが驚愕の色で染まる。
その反応にキナコは嬉しそうに顔をほころばせた。
なんせ尊敬する主人が褒められているのだ、特にクルファに懐いているキナコからしてみれば我が身のことのように嬉しいのだろう。
・……そちらのギルドはどうして彼一人に任せたんだい? これほどの規模のモンスターなら大人数で向かわせるべきだと思うが……
「……やっぱりそう思いますかニャ?」
・……不快な気持ちにさせてしまったなら申し訳ない。だが、これだけ巨大なモンスターなんだ。一人で戦うのは無謀だろうに……
しかし、たった一人で向かわせたことに疑問符を浮かべるものもいるようで……そのことに、少しだけ表情を曇らせるキナコ。
だが、意を決してキナコは言葉を紡いだ。
「……他のハンターさん達もまた別のモンスターと戦ってたニャ。その時のギルドはオストガロアだけに戦力を集中できないくらいに忙しくて……旦那さんが一人で戦ったのはそれだけ信頼されてたからニャ」
・……君は彼の仲間なんだろう? その時は……
「……ボクも一緒に戦ったニャ。でも、ボク程度じゃオストガロアには手も足も出なくて……旦那様の足を引っ張っちゃったニャ……」
そう言って当時のことをふり返るキナコ。
今まで戦ってきたモンスターのどれよりも大きく、そして強すぎた『
自身の持てる力を全力で振るっても届かなかった感覚は、「
それを察したコメントの主は、すぐさま謝罪をする。
・……すまない、無遠慮な質問だったね
「大丈夫なのニャ。あの時はもう変えられないから……これからは……いや、これからも旦那様のために頑張っていくつもりだニャ!」
だが「それでも」と、キナコは前を向いているのだから、これ以上は無粋というものだろう。
・キナコちゃん……!
・健気だ……すっごい健気だ……!
・ねぇねぇキナコちゃん! もしよかったら他にもいろんな話を聞かせてくれない? 私、あなた達のこともっと知りたくなったの!
・お、俺もだ! これから長い付き合いになりそうだしな!
「皆さま……! ありがとうございますニャ! このキナコ、何でも質問に答えますニャ!」
先程の暗い空気がすぐさま変わっていき、配信も盛り上がっていく。
もし、この光景をクルファが見ていたら「それでこそキナコだろう」と言っていたはずだ。
そして、そんなクルファの方にも動きがあった。
・おっと、良い話をしているところ悪いがクルファの奴さん、そろそろ決めるつもりだぜ?
・あ! 本当だ!
・って、あのディノバルドの尻尾燃えてねぇか!?
・少し見ない間にディノバルドがすごくボロボロに!?
「ウニャニャ!? い、いつの間に!?」
キナコが慌ててディノバルドの方を見れば、既に全身に傷を負った状態となっており、戦いも佳境に入っていたようである。
「グ、グルル、ルルッ……!!」
「…………」
負傷しているのもそうだが、それ以上に動き回ったことで息の上がっているディノバルドに対し、まるで揺るがない山のように呼吸が乱れないクルファ。
ディノバルドからしてみれば、クルファという「強敵」は心底気味の悪いものとして映っていただろう。
先程から何度も尻尾による攻撃を加えているというのに、膝をつくことすらしない。
ひるむことはあっても隙を作り出せない上、カウンターのように強力な一撃を叩きこんでくる。
怒りを爆発させ力を込めて叩き斬ろうとしても、そういう時に限って逸らされて当たらない。
冷静になろうとしても、的確に打ち込んでくる攻撃が癪に障る。
――「怪物」。
その言葉が相応しいまでの底知れなさだった。
最初にクルファという小さな生き物を認識した時、ディノバルドの内心は怒り、そして落胆と侮りがあった。
「せっかくの食事の邪魔をするとは」という怒りと、「こいつごときが己を止められるわけがない」落胆と侮り。
しかしどうだ、今の状況は。
有効な攻撃を一度たりとも与えることができず、自身は逆に追い詰められている。
これが自身と同じ体格のモンスターなら半ば納得はできただろう。
だが相手にしているのは、自身の足で踏みつぶせてしまいそうなほどに小さい生き物だ。
普通のディノバルドなら、命の危機を感じてなりふり構わず逃げ出しているはずの傷と圧倒的に不利な状況。
――しかし、このディノバルドは違った。
「グァアッ!!!!!!」
「……来るか……」
たとえ不利な状況でも、勝ち筋が見えなくても――
――逃げることだけは『意地』でもしたくなかった。
生物としての本能に逆らい、我を通すその気力と共に、彼は自身の尻尾に噛みついた。
そして、徐々に引き抜くように力を溜めることで広範囲を薙ぎ払おうとする。
熱せられた刃が研ぎ澄まされ、全てを断ち切るための一太刀へと至らせた。
これが、彼の持てる全身全霊の一撃。
外そうが外さないがこれで自分の命の炎は潰えるだろう。
――だがしかし、それでもよかった。
ある種の感謝を胸に、ディノバルドは眼前の「強敵」に狙いを定める。
自身の全てをねじ伏せたこの小さき強者に、せめてこの一刀だけでも……!!
「……そうか……分かったよ、君の最後の願いを受ける」
そんなバカみたいな願いに、「強敵」は真正面から応じてくれた。
剣と盾、それぞれの手に握っている2つの得物を合体させ、封じ込められていたエネルギーを解放する。
剣による打ち合いで増幅されたエネルギーが盾へと供給され、内蔵されたビンに補充された。
――その瞬間、得物から迸ったエネルギーが巨大な「剣」へと変化する。
――「エネルギーブレイド」。
クルファが扱うチャージアックスに特殊な改造を施すことで、エネルギーによる刃を構成し薙ぎ払う強力な機構。
チャージアックスという武器がそもそもエネルギーを増幅し、それを解放することで絶大なダメージを与える武器ではあるが、この機構はそれをさらに一段階上へと引き上げた。
しかし、その強力さから連発することは出来ず、強力なエネルギーを扱う関係上、使用者が振るい切れるのかどうかすらも怪しい代物。
しかし、使いこなせさえすれば強力なダメージを与えられるので、必殺技として使う者が世の中にはいる。
クルファは今、その技で以てディノバルドと打ち合おうとしているのだ。
「ッ……!!!」
それを見たディノバルドは、大きく目を見開いたと同時に大きく溜めた一撃を解放する。
溜めに溜めた一撃は空気すらも燃やし、火花をほとばしらせて唸りだす。
そんなディノバルドの一生において、最高の一撃だと確信できる斬撃。
それがクルファへと迫った。
それに合わせて、クルファも光の刃を全身で振るい、ディノバルドの一撃と打ち合う。
バチバチとぶつかり合う音が周囲に木霊し、時間が引き伸ばされるような感覚に陥る。
「ぜぇりゃあッ――――!!!」
――しかし勝負は、残酷なまでにあっさりと決着した。
「……グ、グォオオオオオ……」
「……ありがとう、そして安らかに……」
「……グルルルル………………」
生命の鼓動を停止させていくディノバルドの傍に駆け寄り、彼を最後まで見送る。
彼の行動がクエストを依頼してきた誰かにとって不利益をもたらすものであった、だから私のようなハンターが彼らを狩るために向かう。
そこで命のやり取りをするのが僕達のやるべきことだが、それでも彼は最後まで必死に生きようとしていた。
……眩しい。
あまりにも眩しい生き様に、私は「敬意」を抱かざるを得なかったのだ。
私の言葉が届いたかどうかは分からないけど、彼は満足そうに息を引き取っていく。
「……願わくば、彼の次の生も満足が行くものでありますように……」
彼に長い黙祷を捧げ、彼の遺体から「剥ぎ取り」をしていく。
この世界において、「剥ぎ取り」という行為は勝者の権利であり義務だ。
彼らの命に感謝を、彼らがもたらしてくれた恵みに敬意を表す行為。
だが、決して欲張らず彼らを自然に還すための最低限な剥ぎ取りをする。
それが彼らを狩った者としての心構えだと思ったからだ。
「……ふふっ、彼、本当に強かったんだな……」
狩猟中、そして剥ぎ取った時の感覚からして彼は上位以上は確実。
上位クラスのさらに上……「マスタークラス」に入ったばかりだったのだろうか、彼がもっと成長していれば私も勝てなかったのかもしれない。
彼から獲得できた素材をポーチへ丁寧にしまい込み、再度彼の遺体に黙祷をささげてキナコの元へと向かう。
「キナコー。そっちはどうだーい?」
「あ、旦那様。お疲れ様ですニャ。はい、配信用のお守りですニャ」
「ありがとうキナコ。皆さん、どうでしたかね? これが私達の世界での狩りです。楽しんでいただけたでしょうか?」
あれだけ白熱した狩りができたのだ。
狩りが始まる前のリアクションの良さからして、皆さんは喜んでくれているだろうと思いコメント欄に目を向けると……
・いやいやいや楽しむどころか肝が冷えたわ!!
・なんでぶった切られそうなのに真正面から受けて立っちゃったの!!??
・このバッ!! お馬鹿さん!! 命がいくつあっても足りませんよ!!
・流石の俺でもあそこまでのやつはやろうとしねぇな……今度やってみるか……?
・遺体は自然に還す……黙祷をささげる……まるで神聖な儀式のようだな、君の狩りは
・君本当に研究者かい????
「え、えぇ……??」
なんか思っていた反応と違うコメントであふれていた。
そんなこんなで初配信は無事に(?)終わったのである。
~登場人物紹介~
・クルファ
「自称ただの研究者」兼「感覚バグってる龍歴院の英雄」兼「モンスターに敬意を表する系ハンター」
なんであそこまで心配されるのか分からない。
たとえ力尽きてもベースキャンプ送りなだけなのに……
・キナコ
割と感情が重い系オトモ。
モンハン世界基準でもちゃんと強い。
オストガロア相手は分が悪かったんや……。
回復、鬼人笛、罠設置などなんでもござれなサポート猫。
・コメント欄にいる異世界の皆さま
異世界の狩りに度肝を抜かれた人達。
信じられるか? まだ始まったばかりなんだぜ?
・ディノバルド君
めっちゃ男らしく散っていったモンスター。
もし人間に生まれ変わったら……というのはまた別のお話。
・ルーツさん
今頃シュレイド城で爆笑していそうなエンジョイ勢。