モンハン世界を異世界に紹介する配信ちゃんねる! 作:クラウディ
なんか一発ネタで始めたら予想以上の反響あってプレッシャーがががが……!!
あ、今回の話より「擬人化」「オリジナル設定」などのタグを追加させてもらいます。
『今回の配信はここまでとさせていただきます。それでは皆様またの機会に~』
脳内に流れる映像の向こう側で、そう言い残した『クルファ』の姿がかき消える。
どうやら、彼が行っていた配信が途切れたようだ。
そのことを理解すると、彼女は自身の体を大きく後ろに倒しベッドに倒れ込む。
「……すごかったぁ……」
思わず彼女の口からこぼれた言葉には、先程まで見ていた映像の中の世界への興味、驚き、そして感嘆が含まれていた。
冒険家を志す彼女にとって、クルファが見せてくれた世界は心躍るモノばかり。
広大な世界、生命の息吹が感じられる大地、力強く生きる魔物――『モンスター』達。
そんな世界を少しだけしか知らないというのに、彼女は深く魅せられたのだ。
「私も行ってみたいなぁ……って、世界そのものが違うんだから無理かぁ……でもなぁ……」
――「世界そのものが違う」
クルファにも説明されたことだが、確かにあの世界は自身が住む世界とはまるっきり違うと理解できるほど、この世界以上に過酷なのが分かってしまった。
しかしそれでも、彼女は届かないものに手を伸ばしたくなってしまったのである。
「あーあ! たまたま『
そう言いながら彼女は、普通なら叶いもしない願望を口にしながらベッドに横になった。
『なるほどね……それもまた面白そうかしら?』
彼女を観察する誰かの視線に気づかないまま……
配信を止めつつ、ディノバルドの狩猟が完了したことで古代林から帰還した私は、龍歴院のお隣にある『ベルナ村』へと戻り、活動拠点としている「マイハウス」へと帰ってきていました。
そこまで苦戦しなかったとはいえ、狩りの疲れは溜まっていると感じた私は早速風呂に入ろうとマイハウスの扉を開けたのですが……
「控えめに言って、60点よ」
「ろ、60点ですか……」
「なによ、60点も取れれば十分でしょ?」
「60点? お父さん、テスト受けてたの?」
帰って来て早々、顔なじみである『純白のドレスを着た少女』に評価を付けられています。しかも割と辛口の評価を。
あ、『純白の少女』ってところで大体察した方はいらっしゃるでしょう。
彼女の名前は「ルーツさん」。
我らが偉大な「祖なる龍」――『ミラルーツ』様です。
――『ミラルーツ』
『伝説の中の伝説』、『全ての龍の祖』、『祖なるもの』……そのほか様々な異名が存在するとされている、超が何個も付くようなビッグネームな方です。
説明しようにも彼女のことは伝承にすらほとんど残っておらず、彼女とそれなりに付き合いが長いと思っている私の主観でしか語れません。
「達観している」、「神出鬼没」、「王」……普段は威厳があり、まるでつかみどころのない方のようにも見える彼女ですが、実は結構「感情的」で「気分屋」な方でもあります。
ある時は、とある古龍が暴れていた時、討伐しに派遣された私と古龍の間に割って入って古龍を宥めることもあれば、気まぐれに私の家にやってきては作った夕食を食べつくして帰っていく。
そんな彼女との馴れ初めは……語れば長くなるので割愛しますが、なんでか気に入られているとだけは言っておきます。
そんな彼女が、私がマイハウスの扉を開けて入ってきたときにはもうベッドの上で『娘』と共に遊んでいたのです。
「何故いるのか?」という疑問がほとんど沸かなかったくらいには、彼女が我が家に上がり込んでいることに驚かなくなってきたので、それとなく話題を振ってみると返ってきたのが先程の60点評価でした。
60点……まぁ何となく察せられる通り、古代林で行っていた「配信」についての評価ですね。
60点しか取れなかったことを残念がればいいのか、それとも祖龍様に60点ももらえたことに喜べばいいのか……。
「初めてであそこまでやれたのは及第点、それどころか合格よ。私も面白いと思ってたわ。『ルーチェ』、貴方もそう思わない?」
「??? うん! お父さん、すごく頑張ってた!!」
「良い子ね~」
いとも簡単に心を読まれたことにもはや動揺が無くなってきてしまった……っと、そんなことよりも先程から気になっていることが皆さんにはあるでしょう。
私のことを「お父さん」と呼び、ルーツさんの膝の上に座って笑顔を浮かべたり疑問符を浮かべたりする少女。
『ルーチェ』という名前の彼女は、数年前、ルーツさんによって連れてこられた子であり、私の「養子」となっている子……いえ――
――愛娘である『龍』……『冥灯龍ゼノ・ジーヴァ』です。
そもそもの話として、何故「ルーツさんが人の姿をしているのか?」についてお話をさせていただきます。
彼女は現在、人間でいうところの16歳程度の少女の姿をしています。
先程の狩りの時にも話しましたが、モンスターハンターの世界には魔法というものは存在しません。
ですが一部の生命体の中には、魔法じみた現象を行使できる種族がこの世界には存在しており――
――そんな彼らの種族名を『古龍種』と呼びます。
――『古龍種』
現在確認されている既存の生態系統から大きく逸脱したモンスター達の総称であり、中には御伽噺の中でしか存在しないと思われている生物達も含まれます。
骨格、生態ともに異質且つ不明瞭であり、現在一般的に知られているモンスターなどとは比較にもできないような強大な力を振るう『上位者』。
そんな彼等ですら敬意をもって接するのが、古龍の中の王である「ルーツさん」こと『ミラルーツ』なのです。
古龍という存在を少し理解してもらった上で先程の「ルーツさんが人の姿をしている問題」に戻ります。
古龍の方々は天災に匹敵するほどの圧倒的なエネルギーを持ち、気まぐれに身をよじるだけで町が一つ吹き飛ぶレベルの力が振るえてしまいます。
ですが、彼らはその膨大なエネルギーに比例して、他の生命体よりも長く生きることが多いのです。
そんな古龍の中でも、遥か昔……それこそ、数千年は生きていそうなルーツさん達のような古龍は時折、『
ところで、皆さんは「モンスターハンター」というゲームをプレイしている際、ふと気になってクエストの依頼者を見たことはありますかね?
ゲーム内でも基本的には「交易ルートがモンスターによって通せんぼされているから狩猟してほしい」や、「村に被害を与えるモンスターを狩猟してほしい」などの依頼が大半を占めており、実際、この世界でもそれは変わっていません。
で す が、
世の中には、美食というものを探求するために大型の甲虫モンスターを食べようとする「美食家」や、『ラージャン』と呼ばれる超危険なモンスターの毛皮でコートを作りたいという「我儘な第三王女様」がいたりと、割と理不尽な依頼を投げてくる方もいます。
まぁ、そこまでなら……いや、改めて考えるとこれも割と理不尽だな……それはさておき、そんな依頼でも個人的にはまだ常識の範囲内なんですよ。
じゃあ、どうしてこの話を突然したのかって思いますよね?
実はなんですが、『
そして偶然ですがルーツさんも白いドレスを着ています。
このベルナ村って標高が高くてそれなりに肌寒いはずなんですけどねぇ……
……そうです。
暇を持て余した結果、
今回の配信も同じ感じです。
どうやってあれほどの体をここまで小さくできているのかはわかりませんが、まぁ私はそういうものだと認識してるのでこれ以上は考えていません。
古龍相手に考えたら負け、負けなんです……!
という訳で、ルーツさんが人になっている理由は説明しました。
ようやく本題に入れます。
――何故、私は養子である「ルーチェ」を『冥灯龍:ゼノ・ジーヴァ』と呼んだのでしょうか?
『ゼノ・ジーヴァ』……最近になって「新大陸」という土地で発見された巨大な龍の名称であり、ルーツさんと同じく『古龍種』に分類される生命体です。
大地に流れるエネルギーライン――『地脈』から膨大なエネルギーを吸い取ったことで、他の大型モンスターと比較しても3倍以上の大きさを誇るゼノ・ジーヴァ。
その中のとある生まれたての個体が、
……その時、久しぶりに自分の中の常識が壊される音を聞きましたね……いやはや懐かしい……。
龍が人になる技があるとか、それを生まれたての個体でも使えるとか、そんな生まれたてのルーチェを私に預けてくるとか、キナコ達と一緒にルーチェを育てるのに四苦八苦したりとか……
「?? お父さんどうしたの? 考え事?」
「あ、いえ、ルーチェのことを考えていたのですよ。私の娘は可愛いとね」
「え、えへへへへ……嬉しいなぁ……」
おっと、ルーチェに心配されてしまったようですね。
今は夕飯を支度している時間、あまりぼーっとしていられません。
鍋で煮込んだシチューに隠し味のチーズを溶かしながら焦げないようにかき回す。
そんな私を見ながら、ルーチェはテーブルにフォークやスプーンを置いていき、シチューが出来上がるのを待っている。
その瞳は待ちきれないと言わんばかりに輝いており、ただのどこにでもいるような少女のよう。
……本当に、可愛い子です。
「……ねぇお父さん……」
「? どうしましたかルーチェ?」
鍋をかき混ぜていると、ルーチェから声をかけられました。
「お父さんって、怖くないの?」
「怖くない、とは……?」
「今日も狩りに行ってたのを、ルーツお姉ちゃんと一緒に見てた……また危ないことをしてた……」
「……あぁ、あれですか」
そうでした、ルーチェはルーツさんと一緒に見ていましたね。
危ないこと……おそらく、ディノバルドとの最後の一騎打ちのことでしょう。
私にとっては慣れっこですが、感情豊かに育ってくれたルーチェにとってはやはり怖いのでしょう。
肉親を失う怖さは誰にだってありますから。
「大丈夫ですよ、そう簡単に死にませんし、ルーチェを置いて死ぬつもりもありません」
「でも……」
「大丈夫。なんて言ったって、私はルーチェの『お父さん』ですから」
「……今日は一緒に寝たい……だめ?」
「ふふっ、良いですよ」
そう言いながら、私はシチューを鍋から皿によそい、食卓に並べていく。
「それでは手を合わせてくださいルーチェ」
「うん、私達を生かしてくれる命の巡りに感謝して」
「「いただきます」」
こうして、色々とあった1日は過ぎていくのであった。
「……ふふっ……やっぱり面白いねぇクルファは」
「……何をしているんだ王女」
「あ、『紅いの』だ」
この世界のどこかにある廃墟――『シュレイド城跡地』。
そこでは2人……否、二体の龍が相対していた。
「私はいつも通り、クルファの姿を見ていたのよ」
「……なるほどな、最近のお前が監視している人間か」
「取らないでよね? もし横取りしようとしたら……」
「するわけがないだろう。お前に噛みつかれるのはごめんだ」
「ふーん……」
片方はクルファとよく話している少女「ルーツ」。
もう片方は赤い衣に身を包んだ男だ。
「それで、お前はあの人間に干渉して何をしたいんだ?」
「んー……」
「
「……そうか」
「つまんないの~。紅いのも探してみたら? あ、ほら! 私みたいに試練を与えてさ!」
「生憎のところ、俺に人間を愛でる趣味はない。帰らせてもらう」
「え~? ボコボコにされるのが怖い癖に~? ……って、もう行っちゃった」
「ま、いいや」
「これからも楽しませてよね、クルファ?」
一人残された少女は、心底愉快そうに笑っていた。
~登場人物紹介~
・配信を見ていた一人の女性
どこかの異世界で冒険者をやっている。
知らなかったものを知るのが大好き。
多分いずれ拉致られる可能性が浮上した。
・クルファ
「祖龍様に気に入られている逸般人」兼「擬人化ドラゴンを養子にしている一児のパパ」兼「本作の主人公」。
割と子煩悩で、娘のためなら限界を越えることもできそうな人。
娘が幸せな結婚をするまでは死ねないつもり。
得意料理はシチュー。
・ルーツさん
超エンジョイ勢。
楽しければそれで良いかな~と思っている。
傍迷惑な人だがちゃんと威厳はあるしそれに対する心構えもとうの昔に完成している。
それはそれとして試練は与えるね!
・ルーチェ
ゼノ・ジーヴァが偶然にも擬人化してしまった結果生まれた少女。
ルーツさんに拾われ、クルファに育てられた。
「将来の夢はお父さんと結婚する」と言うくらいにはお父さん大好きっ子。
クルファは笑って受け流したけど、その時のルーチェの目は『
好物はクルファの作るシチュー。
・赤い衣を纏った男
いったい何バルカンなんだー()