ヒーローとヴィランが馴れ合うタイプの世界で、やさぐれ合法ロリTS魔法少女 作:ゴーローR
ヒーローとヴィランが争う、ちょっとコメディ寄りの世界。
そんな世界に私が転生したのは、今から二十数年前になる。
ヒーローになったのは、生まれてから十二年経った頃のことである。
当時の私は、前世の記憶を引き継いだだけの平凡な
そう、少年である。
いわゆる私は、TS転生者に分類されるわけだが、TSと転生者はイコールではない。
転生者が、転生先でTSしたのだ。
ややこしいな。
原因は言うまでもなく、魔法少女になったこと。
正確には”魔法少女にされた”というのが正しいが。
まぁ、なってしまったものは仕方がない。
とはいえ、TSの影響は甚大だった。
今まで男だった存在が女になったのだから、当然だ。
不思議なことに、これまで数多のヒーローが世界に誕生していたけれど。
TSしてヒーローになった人間がいなかったこともあって、私は大いに注目を集めた。
ただ、まぁそれはいいのだ。
ヒーローというのは得てして注目を集めるものだし。
この世界においては、アイドルの一種としてヒーローを推すオタクも一定数いるくらいなのだから。
問題は、TSによって起きたあれやこれや。
当時のことは、正直思い出したくない。
そこが一番美味しいところだろ、って?
そこを見せないとTSの意味ないだろ、って?
うるさい、私が見せたくないというのだから、見せやしないのだ。
同級生の性癖を男女問わず破壊しつくしたり、同年代のヒーローの性癖を男女問わず破壊し尽くしたことなんて。
語るつもりは、私にはない!
――なお、あくまで私に語るつもりはないというだけで、実際に語られないわけじゃないことと。
加えてTS特有のアレヤコレヤなイベントが過去に起きていたという事実は、変えられないのだが。
今、このときの私は知る由もないのであった。
というメタい語りは置いといて。
正直、最初のうちは女になったことを楽観視していた。
どうせ、一時的なものだから、と。
私を女にしたマスコットの”コット”だって、そのつもりでいたくらいだし。
何故なら、この世界のヒーローは多くの場合は一年、長くても数年で引退するのが普通だからだ。
なんというかこう、番組が一年で終わる……みたいな感じで。
どういうわけか多くのヒーローは、一年でヒーローを引退する。
宿敵を倒して戦う力を失ったり、後進に力を託したり。
一番の理由は、ヒーローの全盛期が短いからなんだけど。
魔法少女の場合は、それがもっと顕著だ。
なにせ、魔法少女は変身しないと魔法が使えない。
そして、ある一定の時期をすぎると魔法少女は変身できなくなる。
何故なら――
ある程度、衣装は余裕を持って作られているけれど。
それでも、持って三年。
それが魔法少女の寿命と言われている。
だけど、もし仮に
――はい、そういうわけで未だに合法ロリ魔法少女をしているのがこの私、真知野ヒカルになります。
これ、そもそもTSのせいで人間やめちゃったから成長しないんじゃ?
とか、思うことはあるものの、コットは多分成長はしてるはずと言っている。
そして調べた限り、身体構造はあくまで人間のそれなので人外になったわけでもない。
なんか魔法少女を続けられるから続けているという理由で、私は今も魔法少女をしているのだ。
しかし、そういう理由で他人よりも圧倒的にヒーロー歴が長いからか。
トップヒーローなんていう、絶対私に与えられちゃいけない称号が与えられてるんだけど。
いいのかなぁ、これ。
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その日、私は酒のツマミが切れたので深夜にコンビニまで出かけていた。
こういうのをマスコミ連中にすっぱ抜かれることがあるんだけど、そんなもんネタにならないって上の人が没にするらしい。
私の扱いが酷いと思う。
その日の私は、上はノースリーブのタートルネックに薄手のコート。
下はホットパンツという服装で外出していた。
というか、私が外に出る時は、少しでも大人っぽく見せるため概ねこの衣装だ。
もしくはジャージ。
茶色の髪はポニテでまとめて、鏡を見ればそこにはつかれた目の合法ロリが映っていることだろう。
そんな道中のことだ。
なんか、街が深夜にしては騒がしいな? と思ったのは。
というか、こう。
明らかに何かが何かを破壊する音が聞こえてくる。
もしかしてと思って、既にお休みモードで通知が届かなくなっているスマホを見てみると――
「あ、やっぱりコットからメッセージが来てる」
内容は「君の家の近くにヴィランらしき存在が出現したらしいから、気をつけるように」とのこと。
それ以外のメッセージも来てないところから察すると、本当にただ気をつけるように言っているだけのようだ。
既に別のヒーローが出撃し、対応しているということだろう。
まぁ、当番じゃないヒーローに出撃を頼むのは、基本的には非常事態だしな。
「じゃあ、そのまま気にせず帰るか……とか言ってると」
この世界はなんというか、前世と比べてフラグが成立しやすい。
こんな露骨な前フリがあって、実際に事件が起きているらしい状況で。
『アアァアァァァァアアアアアア!!』
件のヴィランらしき存在が、私のところまでやってこないわけないよな。
せめてもの救いは、まだコンビニにたどり着いていなかったこと。
ツマミを防衛しながらの戦闘にならなくてよかった。
「しかしヴィランらしき何か……とは言うけれど、これはヴィランって言うより――」
私の前に現れたのは、黒い人影。
黒に染まった人のような獣。
そう呼ぶしかない何かだった。
そして私は、こういう”何か”を前に見たことがある。
「
周囲の家の壁とか、地面とか。
そういう部分を破壊しながらも、極力人を傷つけないように動いている。
本質的には、この人の影もヒーローなのだろうというのが、伝わってくるようだ。
流石に、これを放って置くのはまずい……というか。
いくら傷つけないようにしているとはいえ、こんな目と鼻の先にいる人間を無視することはできないだろう。
この子をどうにかしないと、ツマミが買えない。
「なら、やるしかないか」
なんて、最悪な理由で私は戦うことを決め。
手をかざすと、そこにペンダントのようなものが出現する。
これが私の変身アイテムだ。
魔法少女によくあるやつね、カードキャプターとかリリカルとか。
「スタートアップ」
そう呼びかけると、ペンダントが一瞬にして杖に変化し、私の身体を光が覆う。
着ている服がどこかへ行ったかと思うと、代わりに黒を基調としたドレスが出現。
丁寧な変身バンクの末、一人の魔法少女が現れる。
「魔法少女マジェスタ☆ヒカル、ここに推参……っと」
最後に、だるそうに杖を肩に引っ掛けて変身完了だ。
今日は珍しく、変身バンクがフル尺だったな。
『アアァァァァアァァアァァアァァ!』
黒い人影が、勢いよくこちらへ突っ込んでくる。
なかなかの速度だ、暴走形態ということは普段より数段強いのだろう。
これを一般のヒーローが相手するのは骨だな、と思いつつ。
私は早速、ある行動に出た。
「迷える魂よ、マジェスタ☆ヒカルの名のもとに、今道を示しその魂を
魔法少女、特に女児向けの作品にはいわゆる「浄化技」と呼ばれるものがある。
敵を倒すのではなく、「浄化」することで戦闘を終わらせるのだ。
この浄化技、発動さえしてしまえばその効果は絶大。
多くの場合、そのまま戦闘が終了する一撃必殺の技。
ただし、その分発動できなければ意味がなく、発動するまでに敵を結構弱らせる必要がある。
それがお約束、というものだ。
ここはそんなヒーローがいる世界、お約束は大事にしなくてはならない。
なので私は――
「マジェスティック・ピュリフィケーション!」
え? 弱らせる必要とか、お約束はどうしたって?
知らないよ、私は初手で浄化技をブッパできるんだ。
だったらやらない理由はないでしょ。
もしこれで、相手を浄化しきれなくとも。
その精神を大きく落ち着けることはできる。
ので、初手浄化技ブッパは、あらゆる面に置いて有効な一手だった。
『アアアアァァァ……ァ……ァァ』
特に今回は、無事に一発で暴走するヒーローを止めることができた。
やはり、戦闘は初手浄化技ブッパに限る。
「……さて」
黒い人影は、少しずつ変化していく。
現れたのは、制服姿の中学生くらいの少女。
「どうしたものかなぁ、これ」
流石に、このまま放置して帰るわけにはいかないよな。
面倒だなぁ。
TS要素は、本筋ではないけど拾いたいみたいな色気があります。
今は拾えませんが、そのうち、そのうち……