ヒーローとヴィランが馴れ合うタイプの世界で、やさぐれ合法ロリTS魔法少女   作:ゴーローR

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4 煌めく世界の大首領☆

 さて、シアちゃん後輩の件で、私が片付けないと行けない問題はもう一つある。

 シアちゃんの正規ヒーロー登録手続きだ。

 ヒーローは届け出を出すと正規のヒーローとして登録することができる。

 そうすると、様々な特典があるし、何より国がヒーローのプライバシーを保護してくれる。

 将来的にはヒーローを引退した後に、ヒーロー系企業や組織に就職する伝にもなるし、いい事ずくめだ。

 

 そんなヒーローの正規登録手続きをするための場所は、主に二つ。

 一つは役場、もう一つは国から手続きをしてもいいと認可を受けた民間組織。

 今回私がやってきたのは後者。

 その名も――

 

 

 悪の組織『絶対スタア帝国』本部である。

 

 

 今なんか変なワードが入ったな? と思うかも知れないが。

 悪の組織である。

 『絶対スタア帝国』というヴィラン組織である。

 でもヒーローの正規登録手続きができる国に認可された組織だ。

 どういうこっちゃねん、という話。

 

「――すいません、ヒーローの正規登録手続きがしたいんですけど」

 

 なんにせよ、早速私は『絶対スタア帝国』本部へやってきていた。

 なぜここにやってきたかというと、役場より近いからである。

 私の自宅から徒歩で通える範囲なんですもの。

 そこは二階建ての広いビルで、まさに大企業って感じのオフィスだ。

 なお、地下には地上の数倍広大な空間が広がっている。

 そんな『絶対スタア帝国』の受付で、私は事務の人に手続きをお願いする。

 

「はーい☆ 御本人さんですか?」

「代行です……って」

 

 んで、そんな事務の人の顔を見てみたら。

 知っている顔だった。

 

「……スタアじゃん、なんでここにいるのさ」

「えー? お姉様が来るって、風の噂で聞いたから。スタア、頑張って駆けつけたんですよ?」

 

 スタア、本名は煌星(キラボシ)スタア。

 年は十八歳、合法ロリな私より少し背が高いものの、歳の割には小柄な部類。

 美しい金の髪をツーサイドアップにして、大きなリボンでまとめている。

 今は事務の人の制服を来ているけれど、普段はもうちょっと派手な服を来ている事が多く。

 何と言っても特徴的なのは、その顔立ち。

 この世の可愛いという概念を詰め込んだような可愛い系の顔立ちに、溢れんばかりの目力。

 というか、目が星の形をしている。

 漫画的な表現とかではなく、ほんとに星の形をしている。

 すごい。

 そんなスタアは――

 

 

「いや、そうじゃなくって。君、この組織の大首領でしょ、ボスでしょ」

 

 

 『絶対スタア帝国』を纏めるボス、大首領だ。

 

「もー、大首領っていい方はきらかわじゃないですから、トップスタアって呼んでください☆」

「じゃあ、スタアで」

「お姉様に、呼び捨てで呼ばれちゃった☆」

 

 それはいつものことじゃん。

 というわけで、まぁ、なんだ。

 『絶対スタア帝国』は、以前から話をしているヒーローと馴れ合うタイプのヴィラン組織だ。

 その馴れ合いっぷりは、ヒーローの正規登録手続きがこの組織でできてしまうくらい。

 一体どこが悪の組織なんだよって思うかも知れないが、ちゃんと定期的にこの組織のヴィランが街を襲っているし、ヒーローとも戦っている。

 プロレスじゃないかって言われたら否定できないけど、スタンスとしては悪の組織そのものだ。

 

「それで、登録手続きお願いしてもいい? わざわざ事務の人の格好してるなら、やってくれるんだよね」

「もー、お姉様ったら。もう少しスタアとお話してくれないんですか?」

 

 そんな『絶対スタア帝国』の大首領が、この煌星スタア。

 世界一きらかわな自分が、世界を征服するべきという思想の元。

 日夜世界征服を目指して暗躍する、すごいヴィランだ。

 具体的に言うと、私の初手浄化技を一発は耐える。

 これを耐えられるかどうかが、強いヴィランとそうでないヴィランの境目だったりするぞ。

 

「そうはいうけど、別にこれ仕事でやってるわけじゃないし。親切心で手伝ってるだけだから、とっとと終わらせられるなら終わらせたい」

「相変わらずてきとーですねー。聞きましたよ? ダストっていう怪物系ヴィランと戦ってる女の子を助けたって」

「行きがかり上ね」

 

 自分の関わらないところで起きている事件に首を突っ込むことはしないけど。

 眼の前で起きている事件を放置するほどではない、というのが私のスタンスだ。

 ヒーローはこの世界にいっぱいいるんだから、それくらいでちょうどいいんだよね。

 

「正規手続きは、その子にやらせてもよかったんじゃないですかぁ?」

「あの子は今、病院で安静にしてないと行けないから。想像以上に無理してたみたい」

 

 書類の記入とかはやってもらったけど、流石にそれを提出するとなると無茶だ。

 

「やっぱり、未成年のヒーローが無茶するのって、良くないことですよ」

「そうだね」

「そのためにも、スタアは絶対、未成年のヒーローが無茶しなくていい世界を作らないといけません☆」

 

 現在、『絶対スタア帝国』は未成年のヒーローが戦わなくてもいい世界を作るために活動している。

 その活動の悪逆非道っぷりたるや、とんでもなく。

 そもそも何でそんな事をしているかといえば、未成年のヒーローが減ればそれだけ『絶対スタア帝国』の敵が減るからだ。

 結果として、少しずつだが未成年ヒーローは年々減少傾向にある。

 ポイントは、未成年ヒーローが減少傾向にあっても世界の秩序が保たれているというところだな。

 いやぁ、なんてわるいそしきなんだ、ぜったいスタアていこく……(棒読み)

 

「やっていることは善行なんだけど、最終目標は世界征服なんだよね」

「だってだって、お姉様。世界はもともと、世界で一番きらかわなスタアが導くべきなんですよ? 今の世界のほうが間違った世界なんです。それを正すためには、世界を征服しなくてはいけません☆」

「まぁ、応援はしてるから」

 

 態度や言動はともかく、スタアが支配した世界は今よりも良い世界だろうからな。

 

「そうだお姉様、スタアと一緒に世界を支配しませんか? 今なら、世界の半分がついてきます」

「そんなどこかの魔王みたいな……面倒だから絶対にやだよ」

「世界を支配するってことは、お姉様に納税の義務がなくなるってことですよ? もう、毎年確定申告をしなくてもよくなるんですよ?」

「的確に私が興味を唆る理由を上げるんじゃない!」

 

 確かに確定申告はしたくないけどさ!

 いいんだよ、私は税理士に投げてるから!

 投げられるだけの収入があるから!

 いやでもやっぱ、確定申告しなくていいのは魅力的だな……

 

「いやいやダメだって。そもそも私は正規登録手続きに来たのであって、世界の押し売りをされに来たわけじゃないんだよ」

「あ、そっちならもう終わりましたよ」

「いつの間に……」

 

 話しながらも、手は動かしていたらしい。

 相変わらずスペック高いなぁ。

 

「手続きが終わったなら、私はこれで失礼するから」

「えー! もっとお話しましょうよ! ……そうだ、これから『スタア☆チャンネル』で帝国のヴィランとヒーローの対決配信があるんです。生で見ていきませんか?」

 

 『スタア☆チャンネル』はスタア帝国が運営する配信チャンネルだ。

 登録者数一億超えの超大型配信チャンネルで、主なコンテンツはスタアの生配信と、帝国のヴィランがヒーローと戦う配信だ。

 どちらもカリスマ的な人気があり、後者に至ってはチャンネルで帝国のヴィランと戦うためにヒーローになったなんて人もでてくるくらい。

 この世界、こういう対決配信は日常的な娯楽として認識されている。

 殺伐としてるなぁ。

 

「いやぁ……もしそれで、私が配信に写ったりしたら私を配信に出せってコメントで埋まったりしそうじゃない?」

「それはそれでありかと」

「でも、これまで一度も私を対決配信に出してくれたことないよね」

「それはー」

 

 スタアの目が、露骨に泳ぐ。

 視線を逸らして苦笑しながら、ぽつりと。

 

 

「お姉様の戦闘スタイルって……めっっっっっちゃ塩いので……」

 

 

 ……まぁ、はい。

 初手浄化技ぶっぱが基本です。

 たまに不意打ち入れてから浄化技ぶっぱするときもあるけど。

 どっちにしろ、塩です。

 

 結局、万が一配信に写った時に、私を対決配信に出せというコメントで炎上しても困るという理由で、私は見学しないことになった。

 そのほうが楽だし、妥当だと思います。




主人公のことをお姉様と慕う大首領です。
こういう作品ならいるべきだと思って出しました。
対戦よろしくお願いします。
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