脳筋データキャラとかいうやつ   作:洛叉

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演算結果:ERROR ELITE

 

 

 幼児アンドロイドが楽しげに笑うと、次の瞬間——

 

 

「うわッ!?」

「ッ……!?」

 

 突如、隊員たちが弾き飛ばされた。アンドロイドが動いたのは一瞬。

 そう、軽く片腕を横に振るっただけ。たったそれだけでA班は壊滅寸前となった。

 

 

「ッ……速すぎるッス!!」

 

 スパロウが叫ぶ。

 刹那、金庫室の中に隊員のうめき声が響く。

 

 一人、また一人と、容赦なく床へと叩きつけられていく。

 

 

「えへへ、もう終わり? ボク、まだ全然遊び足りないのになぁ」

 

 幼児アンドロイドが無邪気に言いながら、転がった隊員の方を見下ろす。

 そして——

 

 

「次はお姉ちゃんの番だよね?」

 

 再度スパロウに向かって駆け出した。

 スパロウは即座に銃を構え、トリガーを引いた。

 

 

───バンッ!バンッ!

 

 

 鋭い銃声が響く。

 しかし——

 

 

 

「えへへっ」

 

 幼児アンドロイドは、まるで遊びのようにそれを防いだ。

 一発は小さな手のひらで弾かれ、もう一発は頭を傾けただけでかわされる。さらに、銃弾の軌道を正確に見切り、腕を素早く振るって弾道をずらした。

 

 

「流石に凹むッスよッ!!」

 

 スパロウは素早く後退しながら射撃を続ける。しかし、そのたびにアンドロイドはまるで踊るような動きでかわし、時に弾丸を指でつまみ取るほどの正確さを見せた。

 

 

 

「そろそろお姉ちゃんの番だよ?」

 

 幼児アンドロイドが不気味に笑う。次の瞬間——

 

 

 

ガキィン

 

 

 

 スパロウの銃弾が空中で弾かれた。

 見れば、アンドロイドは金庫室に散らばった銃弾の薬莢を拾い、それを投げつけることで迎撃していた。

 

 

「……何でもありッスね」

 

 スパロウが驚愕する間にも、アンドロイドは一気に距離を詰めてくる。その速度はまさに異常だった。

 

 

「ねぇねぇ、もっと楽しく遊ぼうよ!」

 

 無邪気な声とともに、小さな拳が振るわれる。スパロウは咄嗟に身を翻し、ギリギリで回避した。

——だが、壁が粉々に砕け散った。

 直撃していれば確実に即死していた。

 

 

「いい加減にしろ」

 

 低く響く声と同時に、シュタインの拳が唸る。

 

 

 

ゴォッ!!

 

 

 弾丸のような勢いで繰り出された拳。しかし——

 

 

「えへっ」

 

 幼児アンドロイドは、軽く跳ねるような動きでそれを回避した。

 直撃すれば即死級の一撃を、まるで遊びのようにかわしている。

 

 

「ほ、ほらぁ、そこのおじさんの方がアタシよりもずーと強いし、楽しめるッスよぉ……」

「おじさんはつまんなそうだから、いいや」

 

 まるでおもちゃを選り好みする子供のような口ぶり。

 スパロウは奥歯を噛みしめながら、即座に回避行動を取る。そこから僅かに遅れて、床を軽く削る風圧が叩きつけられた。

 

 

「……チッ、しつこいッスね!」

 

 

 

───バンッ!バンッ!バンバンッ!!

 

 

 

 反撃の銃弾が撃ち放たれる。しかし、それすらもアンドロイドは軽やかに回避し、時に小さな指先で弾道を逸らす。

その間、シュタインはすでに計算を開始していた。

 

 

(……この状況での作戦成功率は?)

 

 彼はこの状況下でも瞬時に戦闘データを整理し、スパロウが脱落した場合の勝率を計算する。

 

——結果: 21.7%

 

 

(……駄目だな)

(負けはしない。ただ、アイツは私と戦闘する気は一切ない)

(スパロウを撃破さえすれば、アイツは逃げながらでもハッキングを再開するはずだ)

(一番避けるべき事態にだけはさせない)

 

 シュタインは無駄な動きを一切省き、瞬時に最適解を計算する。

 

(目標の加速性能、予測回避率、行動パターン——完璧に把握した)

 

 

「スパロウ、止まれ」

「は、はぁッ!? そんなこと言われても——」

「いいからやれ。理論上、それで勝てる」

「〜〜!!あー分かった!分かったッスよ!!!」

「それでいい」

 

 通信機でやり取りをしつつ、スパロウが地面を削りながら停止し、シュタインは微かに膝を曲げた。

——次の瞬間、彼の姿が消えた。

 

 遂に首根っこを掴まれるスパロウ。

 圧縮された空気が弾けるような音。

 シュタインの身体が、一気に加速する。

 

 

(目標地点まで0.4秒——最適解を叩き込む)

 

 シュタインの視界が一気に狭まる。

 全身の筋力を最大効率で制御し、一切の無駄を排除した超高速の直線軌道。

 

 

「えっ——?」

 

 幼児アンドロイドの笑顔が、一瞬だけ曇った。

 

 

(間に合わない。 反応はするが、回避の余地はない)

「理論上——」

 

——シュタインの拳が、狙い澄ました角度で振るわれる。

 

 

「お前はもう逃げられない」

 

 

 

────ドガァッ!!!!

 

 

 

 空気が爆ぜる音と共に、拳がアンドロイドの腹部を正確に捕らえた。

直撃。

 人体ならば内臓は破裂し、骨は粉砕され、即死級の一撃——

 

 

——その瞬間。

 

 

「えへへっ♡」

 

 幼児アンドロイドが、笑った。

 

 確かに衝撃は伝わったはずだ。

 機体のフレームがきしむ音が微かに聞こえる。

 だが、それだけ。

 

 

 シュタインが僅かに眉を上げる。

 拳の感触は、まるで重厚な金属の塊。いや、それ以上に”弾力”があった。

 

 

(衝撃吸収機構……それも相当な高性能。これはデータにない)

 

 通常のアンドロイドなら、関節やフレームにダメージが蓄積される。

 だが、この機体は違う。

 内部に何らかの緩衝材を組み込んでいるか、あるいは強力な”自己修復機能”があるのか。

 

 

「おじさん、やっぱ強いねぇ」

 

 

 

ギュルルッ

 

 

 

 瞬間、アンドロイドの小さな腕が高速回転を始めた。

 まるでモーター駆動のような不気味な音。

 

 

「でもねぇ——」

 

 

パシュ

 

 

 

「ほう」

 

 何かが弾け飛ぶ音。

 それと同時にシュタインの腕が掴まれる。

 そのまま、シュタインは反対側の壁に投げ飛ばされた。抵抗できないまま、頭から激突する。

 

 

「シュタインさんッ!!!」

「ボク、もっと面白いこと思いついちゃった」

 

 アンドロイドの手から放たれたのは——

 

 金庫室に散乱する”金属片”や”弾薬の薬莢”だった。

 次の瞬間、凄まじい速度でそれらが隊員たちに襲いかかる。

 

 

「うおッ!?」

「ぐっ……!」

 

 まるで弾丸のような速度と精度。

 金属片が強化スーツ越しから皮膚を裂き、薬莢が額や頬を切り裂く。

 

 

「投擲ッスか……!!」

 

 スパロウが叫ぶ。

 しかし、その言葉を発する間にも、彼女の肩口を鋭い金属片がかすめた。

 

 

「チッ……地味に痛ぇッス……!」

 

 隊員たちは咄嗟に遮蔽物へと身を隠すが——

 

 

「えへへっ♡ もっともっと!」

 

 

 

パシュッ!バシュッ!バシュッ!!!

 

 

 

 幼児アンドロイドの手が次々と薬莢や破片を投げつける。

しかも、その精度が異常に高い。

 

——“腹部”

——“関節部”

——“銃のトリガーにかかる指先”

 

 致命傷にはならないが、戦闘続行が難しくなる部位を的確に狙っている。

 

 

——単なる投擲ではない。

——人工知能による”最適解の投擲”。

 

 狙い撃ちされた隊員の一人が呻きながら銃を落とした。

 

 

「おっと♡ いいの? そんな簡単に武器を手放しちゃって」

 

 クルッ、とアンドロイドは軽やかにターンしながら、次の標的を見定める。

 

 そして——

 

「お姉ちゃん、もっと遊ぼ♡」

「もう、お姉ちゃんは疲れたッスよっ!!!」

 

 スパロウの方へと、再び金属片を放った。

 

 それを即座に身を翻す。

 だが、その一瞬の動きを、アンドロイドは見逃さなかった。

 

 

「はい、もうひとつ♡」

 

 

 

——バシュ!!

 

 

 

 二発目の投擲が、完全にスパロウの回避軌道を読んで放たれる。

 

 

 鋭い衝撃がスパロウの脇腹を直撃した。

 金属片ではなく”銃のマガジン”だ。

 

 

「ぐぅッ……!!?」

 

 瞬間、スパロウの身体が揺らぐ。

 

 

(ヤバ……ッ!)

 

 この隙を逃すはずがない。

 アンドロイドが、弾丸のような速度でスパロウに突っ込んでくる。

 そのまま、脇腹へ追撃の蹴りが決まった。

 

 

「がっ……あ………」

 

 口の中に鉄の味が広がる。そのまま、重力に逆らうように天井に追突し地面に附すスパロウ。何とか落としたリボルバーを握るが、立ち上がることが出来ない。

 

 

「お姉ちゃん、もっと遊ぼー♡」

 

 悪魔のような声がスパロウの脳に響く。咄嗟に引き金を引くが、簡単に避けられる。

 

 

「ちゃーんと狙わないとーほら、もう一発いくよー」

 

 幼児アンドロイドが軽く膝を曲げ、飛びかかる瞬間——

 

 

 

シュンッ!

 

 

 

 金庫室の奥から、何かが音もなく飛来した。

 

 

 

——カツン

 

 

 

 鋭い金属音が響く。

 それは、隊員の一人が落とした”防弾シールド”。

 まるで砲弾のような勢いで飛んできたそれにアンドロイドは咄嗟に首を傾け、その投擲物を避ける。

 

 

「えへっ、やるねー!おじさん」

 

 だが、その一瞬の隙が——“最適解”だった。

 

 

(狙い通り)

 

 

 シュタインの姿が、アンドロイドの背後に消えた。

 

 

「投擲なら私もできるぞ」

 

 幼児アンドロイドが振り向いた瞬間。

 

 

 

ドガァッ!!!!

 

 

 

 彼の”全力投擲”によって投げつけられた金属片が、真正面からアンドロイドの顔面を直撃した。

 

 

「ぐぅっ……!?」

 

 初めて、幼児アンドロイドが苦悶の声を上げる。

 

「……効いたか?」

 

 シュタインは冷静に構え直した。

 幼児アンドロイドの額が、微かにへこんでいる。

 

「二回目…投げたものよりも先に動いて、ボクを捕まえて回避させない…めんどーだなーおじさん……」

「それに」

「……ボクの顔、傷つけるなんて……」

 

 アンドロイドから笑顔が、消える。尚、それでも変わらない声色で。

 

 

「えへへ……♡」

「もう、許さない♡」

 

 幼児アンドロイドの背中が展開した。

 

 

——ゴキンッ!!

 

 

 

 そこから飛び出したのは高密度炸裂弾。

 

 

「これなら、楽しく遊べるよね?」

 

 今度は、投擲ではなく——

 

 “爆発”の時間だ。

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