ニチアサでよく見る敵組織の長に転生したんだが…科学とファンタジー両方かよ!? 作:平和推し
まぁ主人公はガッツリ利用しますが…
中太縮れ麺に鶏ガラ醤油スープ、チャーシューとネギと海苔、ナルトにメンマ(シナチク)それらを収める雷紋の描かれた深い皿。周囲を見渡せばパリッと焼かれた餃子や、パラっとしたチャーハンと共に麺を啜るスーツや、作業着の男たち…
「ほい、兄ちゃんミニチャーシュー丼ネギ追加トッピングお待ち」
「ありがとうございます」
そしてその男たちに混じってラーメンを啜っていたのは、世界征服を企む悪の秘密結社の親玉であり、闇の世界の皇帝でもある男、ジルムートだった。
その外見は変装でごく一般的な大学生風だったが…。
(やっぱりこういうメシは懐かしいなぁ、今の食事に不満がある訳じゃ無いけどジャンクなメシをかっ喰らう事でしか摂取できないモノはあるからな)
何故彼が変装して中華屋でメシを食っているのか、それは息抜き…もあるが、1ヶ月間幹部である『聖律卿ライティ』に任せた宗教が世間でどう扱われているのか確認する為である。
彼らの作った『浄化世界教』はまず、SNSでとある一本の動画を投稿した。それは内容として、指を紙で切った教団幹部に教祖のライティが額に手を翳して、傷が治ったというシンプルな内容で、最後に教団のホームページのURLが表示されるという効果があるのか分からない代物だった。
案の定というべきか、軽く炎上した。曰く、胡散臭い。曰く、詐欺集団だろ?曰く、嘘乙wガキでもわかるわ、頭大丈夫?w。曰く、異常者定期、さっさと潰れろ。
中にはライティに対するセクハラメッセージや、ア◯オカ宗教にリア凸します笑などというものが多数投稿された。
だが、ジルムートはこれをチャンスだと、セクハラメッセージを送った人間に遠隔で味覚が段々麻痺して行く呪いを使おうとしたライティの機嫌をなんとか宥めて説明した。
「我々という存在と人間の間にある例えるなら…天地の狭間か?そこには
この台詞を聞いた教団員達はすぐにSNSで『
そして更なる炎上と同時にこの宗教はネット上で有名になり、初めての集会には100人近い人間が集まった。
何故か宗教施設内なのにライブ配信者の配信を止める事なく、動画や写真の撮影すら許されたのを参加した人間は不思議に思いつつ、自分達が正義側だと
そこで彼らはライティの…彼女の魔法、奇跡の凄さを目の当たりにした。
まず最初の登場から普通では無かった。フードを被った教団幹部達が誰も居ない祭壇に頭を同じタイミングで下げた瞬間、空中に青い光球が集まって、楕円状の光る膜のようなモノが現れると、その膜からライティがふわりと浮かびながら登場したのだ。
さながら天使、もしくは女神の降臨である。
そして驚く人間を尻目に彼女は説法をはじめ、それが終わると人間に“何かお困りならご相談ください。大抵の病は主の奇跡で治せるので…”それを聞いた人間の中で、最初に(自称真面目エリート)大学生である青年は『自分の肌をキレイにしてみろ』とスマホのカメラを彼女に向けて言った。
ライティが手を翳した瞬間、なんという事でしょう!陽キャ男を内心下に見ながら、ネットに集中し自分の容姿に無頓着で、ニキビ痕や角栓詰まり、更にはそばかすなどでお世辞にもキレイとは呼べなかった肌が、赤ちゃん(又は赤さん)のようなスベスベ卵肌に!
「どうしました?まるで鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして?あなたの希望を私は叶えたんですよ?」
「う、嘘だ…、何かトリックが!騙されないぞ!」
「残念ですがコレが現実なのですよ?あ、信じられないのなら元に戻せますがいかがされます?」
「え!?えっと…し、信じます。自分が間違ってました…」
そしてこの場にいた人間は彼女の力を信じて全員が入信した。
そこからは簡単だった。難病に苦しむ富豪から一般の人間まで、ライティの奇跡を求めて足を運んだり、ライティ自身が病院に赴いて治した。ライティが治療できない物はライティに結界を張らせて、そこにダークネスの科学者や医療チームを送って治療した。
ライティの奇跡は既存の宗教団体から信者を次々と自主的に改宗させ、様々な権力者を味方に引き入れた。
(そうなってから一か月…少し調べただけでもヤベェよ…中東の金持ちから欧米のスーパースター、大企業の幹部や取締役、巨大な財閥系の組織、有名スポーツ選手や映画監督、更には裏社会のトップまでライティにお熱とは…)
ラーメンを啜りながらジルムートは内心戦慄する。やはり宗教は危険なモノだと、そしてそれの真のトップが自分である事に、若干気が滅入りながら、チャーシュー丼に手を伸ばした。
魔法少女も戦隊ヒーローも出てきてないですが、この作品はヒーローやヒロインと戦う悪の親玉の話です。