ニチアサでよく見る敵組織の長に転生したんだが…科学とファンタジー両方かよ!?   作:平和推し

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 クリスタレンジャーは悪の組織と戦うヒーローです!
 
 彼らのお陰で僕たちは毎日平和に過ごしています!

 お巡りさん達も一緒になって悪い組織と戦って居ます!

 クリスタレンジャーをよろしくお願いします!


33話 偶像と本物

 「…なんか俺たち変わったな」

 

 学校から帰って家でテレビコマーシャルを見ながらそう呟くのは赤石正義。

 クリスタレンジャーのリーダーであり、最近自分の将来に漠然とした不安を覚えて寝る前に悩む年頃の中学生だ。

 

 彼が変わったと呟いた理由は新年が始まって今まで国から何か制限なり、指示だったりを受け付けていなかった独立組織だったクリスタレンジャーが、防衛省の管轄に置かれて、クリスタレンジャーのヒーロースーツ程では無いが、研究所が独占してきた技術を提供*1して、日本政府主体の怪人対策部隊“対怪生命体科”が設立された事で、殆どお飾りになってしまった事である。

 

 「確か防衛省の人の説明だと…何だっけ?」

 

 赤石は目を閉じて回想でその長ったらしい説明を思い出す。

 

 

 『…昨今において減少傾向から増加に盛り返して来た怪人や怪獣などと呼称される“怪生命体”。この存在の増加は日本国民の安全保障及び経済活動における著しい影響を与えており、日本国民の安定的な生活における極めて重要度の高い事案である。』

 『…これを今まで民間研究所に所属する未成年者中心の部隊による対処に頼る事案に制定していたのは大変な政治的、未成年の少年少女の権利と人命を蔑ろにするような重大な判断ミスである。』

 『…以後このような事態を防止するためにも防衛省は民間研究所との最新の技術交流を通した“怪生命体対策戦闘部隊”…通称『対怪生命体科』を設立し、未成年者の権利保護及び国内安全保障の充実を優先する事と決定しました。』

 『…つきましては速やかな対応として研究技術や技師などの人材を含めて我々と協力する事をお願いしたい。無論コレは政府の決定事項であり、該当する技術の秘匿は国民安全の著しい悪化を引き起こしかねないとのご理解していただけますでしょうか?』

 

 

 要約すると…

 

 ①なんか最近減っていた怪人の出現増えてヤバいよね?

 

 ②国民とか会社とか不安になるよね?

 

 ③それの対処民間の研究所と未成年に任せんのダメだよね?

 

 ④という訳で国でそれ専用の部隊作るわ!

 

 ⑤だからコッチの言う事聞いてね?あと秘密にして来た技術とか技師使いたいから教えてね?断んないよね?

 

 という事である。

 

 

 勿論赤石博士は最後まで食い下がろうとしたが、最終的には首を縦に振りクリスタレンジャーはヒーロー(本物)から偶像(お飾り)と化した。

 怪人が現れたとしても、今までとは違って彼らが直接出向く前に対怪生命体科が交戦してその後弱った怪人に『クリスタカノン』*2を使用してトドメをさす簡単な作業になってしまった。

 

 更に言えば今まで自分達を頼りにしてきた防衛省の人間にも変化があった。

 

 安全だから…

 手早い対処こそが重要…

 我儘で国民の安全が脅かされるんですよ?感情論など不要です…

 貴方達、コレは日本の防衛作戦です。子供の遊びじゃありません…

 そんなに働きたいならスーツ纏ってファンサでもしていてください…

 子供の癖に…

 

 明らかな子供扱い、怪人と戦うヒーローでは無く広告塔としか見られずに、ただ大人に言われるがままに行動させられる…

 そんな生活は正義の心の情熱を冷ましていき、彼はすっかり精神的に擦れてしまった。

 

 「今じゃ俺達って偶像だよな?しかも偶像=アイドルみたいなさ…ハァ…」

 

 赤石はそう言ってため息をついた。

 

 

 

 所変わって東北地方のとある都市では…

 

 「人類よ!恐れ慄け!我々ダークネスの新たな兵器を!」

 

 そう言ってどこから持ってきたのか分かりづらい大きなコンテナを持ってきて宣言するのは、1人のダークネスの戦闘員だ。

 

 「あ、ダークネスだ!」

 「また変な怪人じゃね?」

 「へっぽこ怪人作戦は飽きたつーの!」

 

 そう言って町の住人は今回も、()()()()()()()()()()()()を連れてきたと思って大騒ぎすること無く、中には動画を回し始める者や写真を撮る者までいた。

 

 「ち、違うわ!今回のはヤバいぞ!いでよ!“CRKー001”!!…本当にヤバいからな警告はしたぞ?さらばだ!」

 

 そしてコンテナが開いて出てきたのは…

 

 得体の知れない化け物だった。

 

 のっぺりとして顔を構成するパーツは見当たらず、温もりを一切感じさせない灰色の皮膚で覆われた頭部。

 ツルツルとしてマネキンのような胴体。

 おおよそ人間とは言えない関節が増えて、可動域とリーチを増やした筋肉や、鉤爪があるわけでは無いのに、武器だと感じさせる4本の腕。

 異常なまでに血管が浮き出て、丸太のように太く力強い印象の4本の足。

 

 そしてその得体の知れない化け物は、無いはずの目を周囲に向けると…

 

 ガバァ…

 

 そんな音を立てて頭部の一部が裂けて、棘まみれの口を作り出し…

 

 Grrrrrry!!

 

 悍ましい咆哮を上げた。

*1
半強制的に

*2
18話辺りで登場したアイテム。ロボ太をロボスーツを着た戦闘員と勘違いした赤石博士が、生体ターゲットを狙うように設定していたせいで、一般人を殺しかけて胸糞悪い展開を引き起こしたアイテム。正義は再び使用するのを躊躇ったが、高威力で正確性があるなどの理由でコレを使えと命令されている。大衆の為なら子供の感情論など黙殺されるのだ。




 
 次回も楽しみに!
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