ニチアサでよく見る敵組織の長に転生したんだが…科学とファンタジー両方かよ!?   作:平和推し

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 前回、食堂に貼り付けたアンケートの結果、人気が高くて選ばれた某少佐の演説をすることになったジルムート。
 そのお陰かダークネスは一気にやる気を出して世界征服に臨むのだった。


37話 世界よ!我々は帰ってきた!

 その日、世界は彼らの本気を知った。

 

 

 東京スクランブル交差点…そこでは朝の通勤ラッシュ時間帯である事の影響が無くとも、いつもと変わらない大勢の人が信号待ちをしていた。

 

 車のエンジン音、排気ガスと大勢の人の匂い、冷えた空気を掻き消していく都会の熱気があった。

 

 

 …交差点から見える大型モニターが砂嵐になるまでは

 

 

 「なんだ!?」

 「マジ?ヤバくね?とりあえず撮っとこ…」

 「故障?」

 「なんかのサプライズ告知か?」

 

 

 そしてその異変は世界中で確認された。

 ニューヨークのタイムズスクエアで…

 イギリスのロンドンにあるパブで…

 北京の街頭モニターで…

 ロシアの国営ラジオで…

 インドで…

 メキシコで…

 ブラジルで…

 

 あらゆる人々が注目する情報ネットワークに突如として発生した異変は次の動きを見せた。

 

 『ザ…ザザ…おはよう…もしくはこんばんはかな?とりあえずご機嫌様人類の皆様。』

 

 砂嵐のノイズが晴れていき、モニターに映ったのは背後からの光でシルエットになっている角が生えている男だった。

 

 「誰だ!?」

 「なんだ?サイバー犯罪者?」

 「ハッカーだ!」

 「ヤツさ…」

 「ヤツって…」

 「ああ!」

 「それって…」

 「なんだ?とりあえず録画しよ。」

 「皆見て!今俺スクランブル交差点に居るんだけど…ハッカーみたいなヤツがさ!」

 

 

 人々の反応は驚いたり、犯罪か疑う者もいたり、どこかで聞いた様なセリフを話す者達がいたが、全員がそのモニターに映る男に注目していた。

 

 『私は悪石・ジルムート・ヴァン・ダークネス・神皇である。諸君らの暮らすライトワールドの裏側、シャドウワールドに存在するダークネス帝国の皇帝である。』

 

 「異世界って事!?マジかよ!」

 「異世界とかなろうかよ…」

 「どうせ嘘だって…」

 「つーか、クリスタレンジャーの敵じゃね?」

 

 『名前で気づいた者もいるであろうが、秘密結社ダークネスと名乗っている組織は私の国の軍である。その目的とはライトワールドの侵略と支配である。』

 

 「やっぱクリスタレンジャーの敵だ!」

 「クリスタレンジャーなら勝てるだろ、昔も勝ってたし」

 「最近見ねえなクリスタレンジャー」

 

 『私は諸君らに宣戦布告する!我々は世界移動装置であるゲートをとある無人島に設置し、そこに秘密基地を建てた!』

 

 モニターに映る男の言葉に合わせて、様々な装置や兵器の写真が映し出され無人島の座標も公開された。

 各国の軍事用偵察衛星がその座標に眼を向けると、確かにそこには無人島に建造された要塞とそこに集う様々な兵器がバッチリ写っていた。

 

 

 『我々の本気が理解できたかね?とはいえ君達人類にも利益はあるとも…我々の超技術の結晶であるこの要塞には宝がある!我々が作ったこの映像の兵器は全て我々の世界で得られた資源で作られている。それすなわち石油やレアメタル含めた鉱産資源、実り豊かな大地、更にはセブクリス鉱石の上位互換すら存在する!』

 『君達が我々を下した暁には我々は大人しく君達の要求に応えると約束しよう!この世は弱肉強食!勝った者は正義だ!』

 

 「あの敵…自分達が負けたら人間達が侵略し返すとか俺たちの事なんだと思ってるんだ?」

 「いや、昔はそれよくあったらしいわ」

 「多分やるだろ。欲深い生き物なんだよ人間は」

 

 何故かジルムートは人間側のやる気を出させるために、褒美を提示した。

 無論だが、既に裏取引を行なっている国の上層部はコレが単なる罠だと知っている。

 ジルムートが狙うのは世界の弱体化…そのためには裏取引相手の大国に賛同してくれる何も知らない国々の軍も動いてもらう必要があり、ジルムートとは敢えて人間の欲を掻き立てる情報を提示した。

 

 『さぁ人類よ!我々に挑んで来い!』

 

 ジルムートはそう言って通信を切った。

 

 【セブクリス研究所】

 

 『赤石博士…という訳でクリスタレンジャーが使っている“セブクリスベルト”コレを出来るだけ大量に用意して貰いたい。自衛隊の隊員に配備させたい。』

 「何故です防衛大臣?そもそも既に技術提供は…」

 『秘密結社ダークネス、彼らを倒そうと世界中で軍事行動が盛んになっている。アメリカもロシアも、中国も既に潜水艇と空母打撃群を配備した。日本は彼らに遅れを取る訳にはいかんのだよ。』

 

 そう言ってモニターの向こうで淡々と説明する防衛大臣。

 

 「…クリスタレンジャーは決してそんな事には…」

 『あのねぇ…コレは政府からの要請だよ?君のその…幼稚な理由なんていらないんだ。それに君は今まで私達と()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 「っ!…はい。分かりました」

 『わかればいい。では頼んだぞ。』

 

 そしてモニターの電源が切れ、赤石博士は椅子にもたれ掛かりため息を吐くと…

 

 ダン!と椅子の肘掛けを叩いた。

 

 「クソ!クソ!なんでだ!なんで…俺は…ただヒーローを…目指して…皆の為に…」

 

 彼は回想する。

 

 初めて父親の発明品であるセブクリスベルトを使ってクリスタライダーとして戦闘員と戦った日…

 強大な怪人との死闘…

 父親との確執…

 そして父親との死別…

 

 新たに始まるクリスタレンジャーの責務…

 仲間との出会いと絆…

 恋人との束の間の蜜月…

 強大な怪獣と仲間との喧嘩…

 

 新たに研究者としての道を歩む日々…

 父親となる覚悟…

 政治家との連携と会合…

 いつの間にか離れていく息子と妻の距離…

 

 

 「どこで間違えた?俺は…」

 

 

 英雄(ヒーロー)になりたい青年だった哀れな男の慟哭が、無機質な部屋に響いていた。




 次回も楽しみに!
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