ニチアサでよく見る敵組織の長に転生したんだが…科学とファンタジー両方かよ!? 作:平和推し
クリスタレンジャー達は世界を守る為に今度こそ立ち上がる!
その筈!
「どういう事だよ親父!なんで出撃許可が下りないんだよ!」
クリスタレンジャーのリーダー、赤石正義はニュースで“秘密結社ダークネスが世界侵略に乗り出した”というテロップを見て、父親である赤石良太郎に出撃許可を求めて、その提案を却下されていた。
「政府から通達があった。“日本政府は第一回目のダークネスとの戦いで多数の犠牲をだしたため、ダークネスが攻めて来た際の自己防衛として防衛力をこの国に集中させる”と」
「ハァ!?なんでだよ!敵の親玉を叩けば解決だろ!本拠地も分かっているなら尚更じゃないか!」
そう言って父親に詰め寄る正義に、良太郎は熱意のすっかり冷めた目つきで淡々と説明した。
「正義、よく聞け、今のクリスタレンジャーは日本政府の命令下にあって、その所属は自衛隊だ。つまり国の決定が絶対であり、個人の主張はどうでも良いわけだ」
「個人の主張っ…でも!」
「でもじゃない!いいか!もう正義の味方ごっこは終わりなんだ!これからはもう正義など法の元に施行されるシステム上の…」
その時、けたたましい警報音が鳴り響いた。
『侵入者ヲ検知!侵入者ヲ検知!隔壁封鎖!隔壁封鎖!緊急事態!緊急事態!』
「なんだ!?…おい!どうなっている!」
良太郎は受話器を取って緊急回線から警備に確認をとった。
『こちら警備!所長!逃げてください!敵はエネルギー弾も実弾も効きません!迎撃に向かった警備隊及び常駐していた『対怪生命体科』は壊滅です!』
「なんだと!敵はなんだ!?あの白い化け物か!?」
『それは…!?まず…ザッ…ザザ…」
そして無情にも通信がきれた。
「おい!?応答しろ!…正義!逃げなさい!」
「は!?大丈夫だって俺にはセブクリスベルトがある!」
「いや、そうだとしてもだ…」
その時、扉の外からパチパチと手を叩く音が聞こえてきた。
「実に素晴らしい家族愛…なんともまぁ…感激モノですね。」
良太郎博士は立ち上がり息子の前に立った。
「誰だ!?貴様は一体…」
そうして扉を開けて入ってきたのは浅黒い肌に、頭には黒いツノ、整った顔立ちで、豪奢な黒ずくめの服装の男だった。
「実際に会うのはコレが初めてだね。私こそ秘密結社ダークネスの3代目の長…ジルムートだ。よろしく頼む」
そう軽薄な笑みを浮かべて慇懃無礼な礼をするジルムート。
「な!?ダークネスの頭目だと!?」
「へっ…なら話は早え!変し…」
「待ちたまえクリスタレッド」
ここで親玉を叩くチャンスだと思ったのか、ニヤリと笑ってセブクリスベルトを装着しようとした正義をジルムートは手で制した。
「あ!?なんだよ!」
「なぜ先行して戦おうとする?もしかしたら話し合いの可能性もあるし、今のうちに仲間のレンジャー達を呼び出して増援を待つのも重要だぞ?何せ強力なボスよりも、一撃で倒せるが確実にコッチにダメージを与えてくる集団の方が厄介な事は多々あるからな*1」
なぜか実践的なアドバイスをする秘密結社の長。
「は?お前敵だよな?」
「敵だな」
「「なんでアドバイスするんだよ!?」」
「親子だな」
「「無視するな!?」」
先程までのシリアスさが立ち消えとなり、生温い空気になる。
「と、とにかく…お前が長って言うなら絶対に俺はお前を倒す!」
「ほう…何故だ?」
「決まってんだろ!
そう言って揺るがない目でジルムートを見る正義。
「クク…ハハハハハ!!」
「な、何を笑って…」
「素晴らしいなクリスタレッド!つまりはお前たちは自分自身が正義の存在だと断言できるという訳か!?傑作!なんとも面白い喜劇だ!」
ジルムートはひとしきり笑うとスン…と静かになる。そして顔を上げると、そこには氷のように冷たい目があった。
「では問おう!君の祖父である赤石賢太郎はセブクリス鉱石を使った発電を実用化してこの施設を作った…しかし!彼はあろう事かその発電で発生するダークリスエネルギーが世界に及ぼす影響を知りながら、自分の功績のために我が祖父に無実の罪を着せ、学会から追放した!コレは正義か?」
「え?そ、それは…」
「正義!耳を貸すな!ヤツはダークネスの…」
ジルムートはそんな良太郎の声を隠すように大声で尋ねる。
「重ねて問おう!君の父はクリスタレンジャーを引退した後、君の祖父の跡を継いで科学者になった…しかし!あろう事か政治家と癒着し、セブクリス鉱石を使った発電関連の事業を斡旋してもらうだけでは無く、クリスタレンジャーへの寄付募金という体のマネーロンダリング、純粋な気持ちでクリスタレンジャーへと集まった金の不正使用、クリスタレンジャーを応援するという名目で成立させた『対怪人税』!コレら全ては君の中では正義か?」
「は?うそだろ…そんななって…」
「正義!?ち、違う!そんなのはまやかしだ!」
「残念だが、事実だ。」
ジルムートは茶封筒に入れていた大量の書類をばら撒いた。
「過去に良太郎が政治家と癒着していた証拠書類と、それを裏付ける防犯カメラの写真だ」
「な!?いつの間に!?」
ジルムートはニヤリと笑った。
「さてどうするクリスタレッド?君の正義はコレをどう判断する?」
次回もお楽しみに!