荒野に隣接した森との境目にディオーネは立っていた。片手で光線銃を構え、立ち並ぶ木に銃口を向けている。木の幹には射撃訓練の的のような模様が描かれており、彼女はそこを狙って引き金を引いた。
樹皮が弾け飛び、ひっそりとした空気を震わせる。中央に描かれた最も小さな円に掠るようにして弾痕が残っていた。
「……90点、ですわね」
それを近くから確かめて、ディオーネは呟く。
ゾゾギガ星人アンサーニにリリアが拉致されたあの事件から一週間が経つ。あれからディオーネは、こうした射撃訓練に自主的に取り組むようになっていた。
というのも、彼女はあの事件に責任を感じていたからだ。
Σズイグルがリリアを十字架状の棺に閉じ込めたとき、ディオーネは光線銃でそれを破壊しようと考えた。だが、どこを狙っていいか分からず、引き金が引けなかった。そして、目の前で姉の拉致を許してしまったのだ。
ミクリアやフィオネは気にしなくていいと言ってくれたが、その言葉に甘えるわけにはいかない。また同じようなことが起きても、今度は冷静に対処できるように成長しなければならない。
(今度は、わたくしがリリアお姉様を助けられるように……)
再び射撃位置につき、銃を構える。最適な姿勢や着弾のブレといった知識は、書庫の本で勉強していた。
集中力を保ったまま、引き金を引く。発射されたエネルギー弾は、見事、正鵠を射抜いた。
★
「うぅ~~ん……?」
隠れ家のコンピュータールームで呻き声を出すのはミクリアだ。
パソコンのモニターとにらめっこをしている。そこに表示されていたのは、宇宙共通語ではなく、ゾゾギガ星の言語だった。
「わっかんないわよ~~! どうなってるのよ、ゾゾギガ星の科学は! もうちょっと私たちのレベルに合わせてくれないと、何も分からないわよ!」
あの事件の後――ダルヤはアリゲラに音波消火させ、工房の火災を止めた。姉妹たちの最終目標は惑星からの脱出。高度な科学力を持つゾゾギガ星人の工房を調べれば、何か使えるものが見つかるかもしれないと考えたのだ。
そして、その目論見は最高の形で成就することとなった。
工房の最下層。何故か自爆の影響を受けずに無傷で残っていたそこに踏み込むと、宇宙船が収められていたのだ。怪獣の頭のような形の艦橋を中心にして、その左右から腕のようなウィングが「八」の字のように接続されているという、独特なデザインの宇宙船だ。後に調べたところ、「ゾルガウス」という宇宙戦艦とのことだった。
これに乗れば惑星脱出は容易い。一同は揃って歓喜したが、それはすぐに打ち砕かれることになった。
この船の起動方法が誰にも分からなかったからだ。それどころか、乗り込む方法すら分からない。何せ、外壁のどこにも扉らしいものは見つからなかったのだ。
仕方なく船はそのままにして、かろうじて生きている残りのコンピューターからデータを抜き取り、それを解読することになった。
だが、そこで使われている言語は宇宙共通語ではなく、ゾゾギガ星のもののようだった。姉妹はおろかダルヤも知らない言語だったため、手も足も出ない。そこでミクリアが解読に当たることになった。書庫にあった翻訳本――大抵の宇宙語は何パターンかに類別でき、どのグループに所属するか突き止めれば翻訳は可能とする本だった――を使うことで、何とか意味が通るような文章にはできたのだが、
「……はあ」
それ止まりだった。ミクリアには「文書に対する卓越した記憶力・理解力」という特異体質があるものの、別言語で記された高度な科学というのは流石に難解だった。
例えば、ゾゾギガ星では常識とされていて記述が省かれていることが、惑星タンザナではとても辿り着けていない領域であったりした。そのたびに別の専門書を引っ張り出してきては自分の頭で推論を立てて考えていく必要性があり、解読を困難にしていた。
「……でも、私がやらないと……」
ミクリアは特異体質があるだけで、頭脳明晰というわけではない。ただ、特異体質があるという点で他の誰よりもこの作業に向いている。姉妹たちの脱出は、彼女の肩に懸かっているといっても過言ではない。泣き言など言っていられる立場ではないのだ。
「――よし、やるぞっ!」
ミクリアは気を取り直して、モニターと専門書に向き直った。
★
部屋は
ソファに座っていたフィオネは本を閉じ、ベッドの上に視線を向けた。横たわっているリリアは無表情でこんこんと眠り続けている。ベッドのそばには点滴が立てられ、布団から出された彼女の腕に繋がっていた。
(リリア姉さん……)
あの事件から一週間が経っても、リリアは寝たきりだった。立つことができず、起きていてもすぐ疲れて眠ってしまう。それがゾゾギガ星人の実験による後遺症であることは疑いようもなかった。
ダルヤと妹三人の意見は一致していた。リリアは「生命力の譲渡」という能力を利用された。奪われた生命力は一日や二日で回復できる量を優に超え、彼女の寿命まで蝕んでしまったのだと。
(わたくしは、姉さんのために何ができるのかしら)
クロノームの襲撃に遭った日、ダルヤは「フィオネの怪獣知識は姉妹を守っている」と言ってくれた。しかし、それはあくまで戦闘を請け負ってくれるダルヤとアリゲラたちがいたからだ。フィオネ自身に守る力はない。
(リリア姉さん、わたくしは……)
(わたくしは、どうすれば……)
悪い想像はしたくないが――もしリリアがこのまま衰弱していったら。眠り続けて二度を目を覚まさなかったら。残されたその妹たちは、いったいどうすればいいのだろう。
フィオネが微かな溜め息を落とすと、部屋のドアが開いた。外での射撃訓練を終えたディオーネだった。
続いてミクリアが入ってくる。彼女はへとへとの様子で、憔悴した顔からは解読作業が難航していることがうかがえた。
そして、最後に――
「みんな、メシできたぞ!」
フィオネがドアを開けると、両手にトレーを乗せたダルヤが立っていた。
トレーには保存食を活用した料理が乗せられている。ライスに白身魚のほぐしを乗せたものが四人分と、病人用のお粥が一人分だ。
「リリア、食えるか?」
フィオネがダルヤの視線を追うと、ベッドではリリアが起き上がっていた。
「リリア姉さん、大丈夫ですの?」
「ええ。十分休めたから。ご飯もいただくわ」
そのまま五人は、リリアの部屋で晩餐を始めた。故国の宮廷では食事は食堂でするのがしきたりだったが、姉ひとりを置いていきたくないのは妹たちの総意だった。結果、こうしてリリアの部屋に集まるのが恒例のこととなっていた。
口に入れるのは、故郷で食べてきた豪勢な料理とはかけ離れた保存食の寄せ集めだ。しかし、こうして五人で集まり、談笑しながらとる食事は、皆にとってかけがえのない時間となっていた。
★
「そういえば、ダルヤ」
夕食が終わり、何となく皆がリリアの部屋に残っていた中で、フィオネは彼に訊いた。
「今のダルヤは、アリゲラ、リザリアス、そしてギガロガイザが仲間なのですよね」
「ああ。それがどうかしたか?」
「前々から気になっていたのですけれど……アリゲラは旧知の仲で、ギガロガイザはこのあいだ知り合った仲。とすると、リザリアスとはどうやって出会ったんですの?」
「確かに」とミクリアが追随した。「戦闘円盤と戦ったときはアリゲラと喧嘩してたわよね。私たちを襲おうともしてたし。どういう成り行きで仲間になったのか気になるわ」
姉妹たちの視線が集まって、ダルヤは苦笑した。首の後ろを指で掻きながら、「たいして面白い話じゃないぞ」と言う。
「聞かせていただけますか?」と答えたのはリリアだった。そして「病人の暇潰しのために」と悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「しょうがないな――」
ダルヤは観念して話し始めた。
「あれは、オレが故郷のタビアット星を離れた少し後の話で――」
☆☆☆
――宇宙に旅に出るのは初めてだった。本来、タビアット星人は宇宙環境で生きられるような種族じゃないからな。オレにそれができたのは、レイブラッドの因子のせいだった。レイオニクスになると同じ種族の人間と比べて身体能力が上がったり、特殊能力を得られたりするんだ。オレで言うと、テレポート能力なんかだな。
そんなわけだから、宇宙に出て何をすればいいのか、どうやって生きていけばいいのか、皆目見当もつかなかった。オレはアリゲラの背に乗って、ただひたすらに銀河の旅をした。道中、宇宙商人に出会って情報をもらったりしながら放浪して……そしてある日、知的生命体が棲む惑星を見つけたんだ。
その星は、惑星「ファイロー」と言った。恒星「ヴァン=ダン」系の第四惑星で、二つの衛星を持っていた。文明レベルはオレの故郷より少し進んでいるくらいで、有人飛行機が空を飛び始めた時代だった。
当然、高度な人工衛星なんてものがあるわけがない。オレは簡単にその星に侵入することができた。――だけど、そこで気を失ってしまったんだ。最後に食料や水分を補給したのが二週間くらい前のことで、それからずっと飲まず食わずだったからだ。レイオニクスだったから何とか耐えられていたものの、ここにきて遂に力尽きてしまったってわけだ。
オレが気を失ったのは町の外れだった。町の真ん中にアリゲラを降ろすわけにもいかなかったからそうしたんだが、そのせいで一日経っても誰にも気付かれなかった。オレは数時間おきに目を覚ましたが、指一本動かせず、またすぐ気を失うのを繰り返した。もしかしてこのまま死ぬのかと、本気で思ったよ。
時間の感覚がなくなるくらいそれを繰り返して――そしてある日、オレは誰かの声で目を覚ましたんだ。
――ねえ、大丈夫?
当時は言葉が分からなかったが、心配しているのは表情で分かった。オレが声も出せないのを見て、水を分けてくれた。水筒を傾けて口に入れてくれたんだが、途中から上手く飲み込めずに咽てしまった。オレの顔を不安そうに見るその人に、オレは笑ってみせた。その人も、安堵して笑みを浮かべた。
その人はルキナといって、ボブカットの黒髪が美しい女性だった。ファイローでは黒髪の人間しか生まれないらしく、彼女はオレの赤髪を珍しがっていた。オレは身振り手振りや、地面に描いた絵で、自分が異星人であることを打ち明けた。彼女は最初ひどく混乱していたが、次第に落ち着いて話を聞いてくれた。そして、オレを信用してくれた。
彼女は十六歳で、オレの星ではまだ少女と言えるくらいの外見だった。だけどファイローの基準だと独り立ちすべき大人として扱われるようで、彼女もすでに家と職を持っていた。オレは一人暮らしの彼女の家に厄介になった。対外的には記憶喪失の男ということになり、町の住人として暮らすようになった。その暮らしの中で、オレは次第にその星の言語や文化に馴染んでいった。
彼女は新聞記者としての仕事をし、オレは故郷で漁師だった経験を活かして海や川で魚を獲った。そんな日々を半年くらい続けた。オレたちは母星も違うのに不思議と馬が合い、口喧嘩ひとつなく共同生活を送っていた。
――どうしてその星に滞在していたのか、みんなは不思議に思うかもしれないな。確かに、今のオレは宇宙の放浪者だ。だけどそのときは母星を出奔したばかりだったし、放浪し続けるという気がそもそもなかったんだ。
それに、オレは
正直に言うと、オレは彼女に惹かれていた。オレの星の基準からするとまだ少女のようなのに、社会の中に自分の地位をしっかりと築き、自己というものを確立している彼女に。それは……恋愛的な意味もあったが、それ以上に、人間としての尊敬や憧憬の気持ちでもあった。
オレは彼女に訊ねてみたことがある。どうして見ず知らずのオレを拾って、ここまで世話してくれるのかと。早く旅立てと言われればオレはすぐにでもこの星を去る。それくらいあんたには感謝している。もし気を遣わせてしまっているのなら、遠慮なく言ってほしい――と。
そしたら、ルキナは大笑いしたんだ。おかしくて仕方がない、とでも言うように。
そして、オレに顔を寄せて言ったんだ。――あなたと同じ理由だよ、と。
その日を境にオレと彼女の仲は深まった。オレは異星人だが、もうこの星に骨をうずめてもいいかと思い始めていた。旅立つことを考えて仕事にはついていなかったが、この星を離れるという選択肢を捨てようと考えた。ずっとこのまま彼女の隣で生きたいと、心の底から思っていた。
でも、その安息にも終わりが訪れた。
ある日、一筋の流星が夜空を流れたんだ。
オレたちが住む町の外れに、その流星は落下した。周辺には巨大なクレーターができ、大規模な山火事が起きた。火事自体はアリゲラがひそかに音波で消火してくれたんだが、それによって妙な事実が浮かび上がった。
クレーターの中心には隕石がなかったんだ。落下の衝撃で砕け散ってしまったのか。だが、それにしては周囲にそれらしい破片も残っていない。この出来事は不可思議な事件として広まり、町の誰もが首を傾げた。
それからのことだ。町の住人が行方不明になるという事件が多発した。新聞は誘拐事件だと騒ぎ立てた。様々な証言によると、学校帰りの子供や仕事帰りの大人が狙われているらしい。獣の唸り声のような音を聞いたという話もあった。山火事のせいで町に下りてきた肉食動物の仕業という説が浮上したが、痕跡が何もないというのは不可解だ。これもまた妙な事件として人々の頭を悩ませ、恐怖を掻き立てた。
オレはひそかに事件の原因を探っていた。もしレイオニクスの力が役に立てるのであれば、それで解決したいと思っていた。そしてある日、ルキナが会社からの帰路についているとき、そいつが姿を現わしたんだ。
石畳の路地を割り砕き、町を見下ろす巨体。夜空に咆哮を轟かせる藍鼠色の体躯。
――そう。お察しの通り、この事件の犯人がリザリアスだったんだ。
宇宙から飛来したリザリアスは当初衰弱していたが、人間を捕食することで力を取り戻していった。原因不明の不可解な事件を発生させることで人々の間に「恐怖」の感情を引き起こし、それを餌にして体を再生させていったんだな。
スペースビ―ストっていうのは、そういう生物なんだ。宇宙商人から危険生物の情報を教えてもらっていたから、オレは偶然それを知っていた。……もっと早くに気付けてたら良かったんだけどな。
リザリアスはルキナを捕食しようとしていた。オレは咄嗟に飛び出し、アリゲラをモンスロードした。
町中で戦闘が始まった。まだ戦闘には不慣れだったオレたちだが、必死に戦った。熱線を躱し、光弾を飛ばし、敵の体を切り裂いた。こいつを止めるという思いをがむしゃらにぶつけた。アリゲラはオレに応え、リザリアスを叩き伏せた。
……そこでオレは気付いたんだ。周りからの視線に。
怪獣同士の戦いは町のみんなを家から引っ張り出していた。そして、その誰もが眼前に広がる光景に目を疑い、恐れの感情を抱いていた。その対象はアリゲラとリザリアスだけではなく、怪獣を操っていたオレにも向けられていた。
町の被害も相当なものだった。付近の家や商店は潰れ、原型を留めているものはほとんどなかった。怪獣たちが倒れ込んで壊したものもあるし、熱線や光弾の余波でこうなったものもあった。当たり前だが、怪獣同士の戦いはチンピラの喧嘩のようにはいかない。守るための戦いでも、破壊が生じてしまうんだ。
リザリアスにトドメを刺そうとしているアリゲラをオレは止めた。リザリアスはスペースビースト。無闇に爆発させて細胞を撒き散らかせば、その細胞ひとつひとつから新たなビーストが生まれる危険性がある。
オレは倒れたリザリアスに歩み寄り、バトルナイザーを差し出した。リザリアスは光に包まれ、バトルナイザーに宿った。そのときは「仲間にする」というよりは、「捕獲」のような気持ちだったんだ。
そして、このスペースビ―ストをバトルナイザーに収めた以上、この星にはいられないと思った。それに、レイオニクスであるオレがいると、また災いが降ってくるような気もしたんだ。
「レイオニクスとレイオニクスは互いを引き寄せ合う」という不文律がある。怪獣がいるせいなのか、戦いが生まれているせいなのか、はたまたレイブラッドの因子がそうさせているのか……それは分からないが、実際のところレイオニクスは衝突し、戦う
オレは即刻、惑星ファイローを去った。最後までルキナの顔は見れなかった。もし引き留めようとしている様子なら後ろ髪を引かれそうだったし、逆に、彼女までオレに恐怖していたらと思うと怖かった。
その後、ファイローを訪れたことは一度もない。あの星がその後どうなったのかも、ルキナがどんな人生を歩んでいったのかも知らない。……何事もなく、幸せになっていてほしいと願うばかりだ。
リザリアスとの出会いは、こんな形だった。
……どうだ? あんまり面白くなかっただろ。
★
ダルヤの話が終わり、その場が解散になると、廊下に出た彼の手をフィオネとディオーネが握った。
二人に手を引かれ、ダルヤはフィオネの部屋に連れ込まれた。天井の照明はつけないまま、枕元のスタンドライトが灯される。闇の中に暖色の光があふれ、室内を陽と陰とに二分した。
二人は何も言わずに服を脱ぐ。透き通るような白い肌が仄明るく照らされる。朱色を萌した二人の顔が近づいてきて、ダルヤの唇に交互にキスをした。
それは、彼の話を聞いたからというのもある。これまで何一つ知らなかった彼の過去。故郷を離れて旅に出、ようやく見つけた安息の地を自ら捨てたという話。彼を愛するフィオネとディオーネは、それを聞いて居ても立ってもいられなくなった。彼を慰撫したいと、そう思った。
ただ、動機はそれだけではなかった。
彼の人生において、自分たち以外に心を寄せた女性がいたことに対する小さな嫉妬。
そして、「迷惑をかけまいとして愛する者の前から去った」という彼の行動に対する焦燥があった。
――実の姉が臥せっているときに、こんなことをすべきではない。それは二人とも分かっている。それでも、二人は彼を求めずにはいられなかった。
ずっと彼にそばにいてほしい。自分たちのそばに繋ぎ留めておきたい。その気持ちを愛欲という形で彼にぶつけた。
その気持ちがダルヤに伝わっていたかは定かではない。
ひとつ確かに言えるのは、そのときの彼は、彼女たちの想いに応えようと努めていた。彼女たちの不安を紛らわせるため、彼女たちの心と体を満たすため、自分の持てる力を十全に発揮して、二人の柔らかくしなやかな肢体を抱きしめた。
奉仕していたのは、ある意味彼も同じだったのかもしれない。
――三人の営みが終わり、隠れ家が寝静まった頃。
月が蒼白い光を投げかける荒野に、二つの人影が佇んでいた。
「見つけたわ。ダルヤ」
「私たちからは逃げられない……」
艶やかな唇の端を、嫣然と吊り上げる二人。
隠れ家の入口を眺めながら、そっと呟く。
「私の――」
「私たちの――」
「かわいい、弟――……」
≪登場人物≫
■ルキナ
年齢:16歳
身長:151㎝
スリーサイズ:84(E)-53-84
惑星ファイローの住人。
行き倒れになっていたダルヤを介抱し、半年間、家で共同生活を送った。
ダルヤは彼女の自立した精神性に惹かれ、彼女もまたダルヤに好意を持っていた。しかし、リザリアスの飛来により、二人は引き裂かれることとなった。
≪用語≫
■惑星ファイロー
恒星「ヴァン=ダン」系の第四惑星。
文明レベルは、地球で喩えると二十世紀初頭。
怪獣は棲みついておらず、ある程度平和な星だった。
――第2章 完