ウルトラギャラクシー 四人の姫と怪獣使い   作:幽明卿

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最終話 VS 閻魔獣・宇宙爆弾怪獣

 

 

 室内は沈痛に満ちていた。

 

 姉妹たちの隠れ家、リリアの部屋である。部屋の主だった長女はベッドに寝かされているが、その顔の上に表情はない。安らぎも苦しみもない、全くの無表情がベールのように被せられている。

 妹たちは、かつて姉が見せていた穏やかな笑顔をその上に重ね、落涙する。フィオネとディオーネはベッドのそばに崩れ、嗚咽を部屋に響かせている。ミクリアは二人の背後で気丈にも立っていたが、無理をしているのは明白だった。

 

(……オレが)

 

 そして、ダルヤは。

 ミクリアの隣に立ち、懊悩に満ちた目でリリアの顔を見下ろしていた。

 

(オレが、もっと強ければ……)

 

 拳を握りしめる。彼は、その拳で自分自身を殴りつけてやりたかった。

 ミクリアたちに謝罪もしたかった。自分の都合でレイオニクス同士の戦いに巻き込んでしまったこと。自分が弱かったせいで、リリアの命を奪ってしまったこと。……だが、そんな慙愧や悔恨を口にしたところで、失われた命は帰ってこないのだ。

 

「自分を責めないで、ダルヤ」

 

 彼の心を見透かしたように、ミクリアは言った。その目元は赤く泣き腫れ、頬には雫の跡が残っている。彼女はそれを手の甲で拭い、言葉を継いだ。

 

「貴方を援護すると決めたのは私たちなの。この星を去るときは、五人一緒が良かった。だから、これは貴方のせいじゃない。自分を責めるくらいなら……リリアの勇気を讃えてあげて」

 

 そう言うと、彼女はポケットからネックレスを取り出した。金のチェーンに水色の宝石が飾られているものだ。中央の宝石の周りには透明な宝石が細かく散りばめられ、全体を雪の結晶の形にしている。――四姉妹と出会った最初の日、リリアに護衛の報酬として提案されたネックレスだった。

 

「リリアの近くに落ちてたの。あのときは受け取ってくれなかったけど……リリアの形見、よかったら貴方が持っていてくれないかしら」

 

 差し出されたそれに、ダルヤは手を伸ばした。本当は姉妹たちが持っているべきものだと思った。だが、ミクリアの想いを無碍にするわけにもいかない。それに、リリアからは妹たちを頼むとも言われている。彼女の遺品を受け取ることは、その願いを叶える表明になるような気がした。

 

「……?」

 

 手のひらに乗せたそれに視線を注いでいたときだった。

 ダルヤはまばたきした。中心に嵌め込まれた水色の宝石――その中に、異質な煌めきが見えた気がしたのだ。

 

 目を凝らす。気のせいだったのか、何も見て取れない。

 今度は目を閉じて意識を研ぎ澄ませる。視覚ではなく、感覚で何かを感じ取ったのかもしれない。ダルヤはそれを探った。

 

 そして探り当てた。

 宝石の中に微かに残されている、純白の生命力の欠片を。

 

「……これは!?」

 

 ダルヤの声に、三人が振り向く。彼はネックレスを目の高さに吊るし、驚きの表情で観察していた。

「どうしましたの?」とディオーネが訊く。彼の答えは、その表情に値するほど驚愕のものだった。

 

「この宝石の中に、リリアの生命力を感じる」

「な……何ですって?!」

「間違いない。だが、どうして? 偶然、エネルギーを貯蔵できる宝石だったのか?」

 

「もしかして――」とフィオネが言葉を挟んだ。

 

「もしかしてその宝石、『マーポワ』ではありませんの?」

「マーポワ……ゾゾギガ星人が持っていた宇宙鉱石のことね」

 

 その鉱石は付近の生物から生命エネルギーを吸収する性質があり、それを利用するため、ゾゾギガ星人はこの星に目をつけたのだ。

 確かに、リリアを救出したとき実験室で見かけた鉱石と、ネックレスの宝石は酷似していた。もしこれがマーポワであれば、理屈は成り立つ。リリアがこれまで身につけていたことで、少しずつ彼女の生命力を吸っていたのだろう。

 

「このネックレスは、お前たちの父親が作らせたものなんじゃなかったのか?」

「ええ。――でも実は、その真ん中の宝石が何かは分かっていないの。お父様に訊いても教えてくれなかったわ」

 

「このネックレスは、リリア姉さんが成人した際に贈られたもの……」と、フィオネが頭を捻りながら言う。「とすると、四年前に贈られたものですわ。王国の調査隊がこの星を訪れたのが、確か五年前……」

 

「なるほど。つまり、調査隊が地質調査の際に見つけたマーポワを母星に持ち帰り、それを宝石にしてあしらったのがこのネックレスなのか。そしてそれを、お前たちの父親がリリアに贈った」

 

 ディオーネが声をあげた。

 

「そ、その生命力をリリアお姉様に与えれば……!」

 

 ミクリアとフィオネも色めき立つが、ダルヤは「いや」と難色を示した。

 

「それをおこなえる施設がない。ゾゾギガ星人ならできたかもしれないが、あの工房は自爆で壊されちまった」

「で、ですが……!」

「それに、この量じゃ少なすぎる。人ひとりの生命を維持するためには、もっと多くのエネルギーが必要になる」

「……」

 

 部屋の中が再び静まり返る。せっかく掴めたと思った希望が無意味だと分かったのだから当然だろう。だが――

 ダルヤは言葉を続けた。その声は、わずかに震えていた。

 

「この生命力をリリアに与えて生命活動を再開させたうえで、強いエネルギーをさらに注ぎ込めば……あるいは……」

 

 ディオーネは弾かれたように立ち、彼に詰め寄った。

 

「そんなこと、できますの?!」

「……」

 

 ダルヤは唾を飲み込んだ。苦悩と葛藤が眉の間に表れる。その表情の変化に、ディオーネは息を呑んだ。

 彼女の横を通り、ダルヤはリリアの枕元に立つ。リリアの顔は蒼ざめていて、もう動く気配もない。まるで精巧な作り物のようだ。

 少しのあいだ黙り込んでから――彼は口を開いた。

 

「……オレがやる」

 

 姉妹たちは、彼の背中に不安げな視線を送る。彼の口ぶりは、それまでの表情に反して静かなもので、その変化が不可解だった。まるで彼という存在そのものが別のものに変わってしまったかのような、そんな得体の知れない戸惑いが胸に湧いた。

 ダルヤは彼女たちを振り返って続ける。

 

「だけど、今のオレにはできない。今の力じゃ……」

「……ダルヤ様。まさか……」

 

 ダルヤはディオーネから目を逸らした。その視線は再びリリアの顔の上に注がれる。

 彼は目を閉じる。今度は眉間に皺を寄せることもなく、すぐに瞼を持ち上げる。

 そして、琥珀色に透徹した瞳で、三人の顔を順に見渡した。

 

「みんな、今までありがとう」

 

 まるで別れのような言葉に、姉妹たちは口を噤んだ。

 

「オレは、今までひとりで戦ってきたわけじゃない。みんながいたからこそ戦ってこれたし、みんなのおかげで成長することができた。強くなれた」

 

 姉妹たちは、ダルヤの存在によって自分たちは成長できたのだと思っている。

 だが実のところ、彼のほうからも同じことを思っていたのだ。

 

 リリアが、ミクリアが、フィオネが、ディオーネが――この四人がいたからこそ。

 彼女たちがそばにいてくれたからこそ、強くなれたのだと。

 

「だけど――」と、彼は逆接の言葉を繋げる。

 

「次の戦いは、オレひとりでやり遂げなきゃいけない」

 

 その言葉は、三人に確信を抱かせた。彼がこれから何をしようとしているのかを。

 

「みんなはここで待っててくれ。オレが朝までに帰らなかったら、そのときは……オレを待たず、この星を離れろ」

「ダルヤ……」

 

 皆、口々に彼の名を呼ぶ。彼はそれに答えることなく、ドアを開けて部屋を出ていった。

 ダルヤはそのまま隠れ家の外まで出る。すると、レイオニクスの気配が感覚で分かった。どうやってかは知らないが、()()()()も状況を把握しているらしい。自分たちの位置を教え、彼を誘っているのだ。

 

 ダルヤはバトルナイザーからアリゲラを出し、その首に跨った。

 

「すまない。だけど時間がないんだ。力を貸してくれ」

 

 フューネラルとの戦いから数時間しか経過していない。あの戦いでアリゲラは大怪我を負った。少しバトルナイザーの中で治癒の時間を過ごしたとはいえ、全快には程遠い体調だった。

 だが、アリゲラは穏やかな鳴き声を出して彼に応えた。ジェット器官を働かせ、ダルヤが指示する方角へ飛ぶ。そうしていると、前方に海が見えてきた。

 

「……そこか」

 

 気配を感じる場所でアリゲラを降ろし、バトルナイザーに戻す。

 海辺の土地だった。浜と岩礁に隣接しており、反対側からは森が押し寄せてきている。その間には広い原野が荒涼として横たわっていた。顔を横に向けると、深い紺青に染まった海原が広がっている。夕暮れの光を受け、スパンコールのような煌めきで海面を飾りつけていた。

 

「来たわね。ダルヤ」

 

 降り立った彼の正面に二人の女が現れた。それぞれ、藍色の髪と緋色の髪を夕日に晒している。ダルヤの実姉であるアスマとザミンだった。

「思い出すわね」とアスマが言う。その視線は海原に向いていた。

 

「故郷にいたときのことを。あの頃も、私たちは海を眺めながら暮らしていたわよね」

「そうだな」

「……ふぅん」

 

 弟の返事を聞き、アスマは面白そうに目を細める。左側に結われたサイドテールを()()と手で払い、挑発的な声を投げかける。

 

「ちょっと心配してたわ。この景色を見て、決意が揺らいじゃうんじゃないかって」

「覚悟は決まったようね」

 

 その隣でザミンも言う。ダルヤは淡々と「ああ」とだけ答えた。

 

「あの子を助けたいのね」

「……レイブラッドの因子を覚醒させるということは、レイブラッド星人に近づくということ。怪獣を操る力はもちろん、本人の身体能力や超能力も強化される。そうだろ」

 

「ええ」とザミンは肯定した。「『真のレイオニクスバトル』で私たちと戦い、勝つ。そしてその力を奪う。そうすることで、あなたは次の領域に進むことができる」

 

「なら、すべきことはひとつだ」

「そうね」

 

 空は夕凪だ。風も吹かない。打ち寄せる波も限りなく小さく、鼓膜を震わすまでには至らない。口を閉ざした三人は、そんな静寂の中でバトルナイザーを握りしめる。

 

 最初にそれを掲げ、声を張り上げたのはアスマだった。

 

「天より来たれ! ――ヴァラロン!!

 

≪バトルナイザー モンスロード!≫

 

 藍色の光の塊が眩い閃光を放ち、怪獣を出現させる。

 岩のようなごつごつとした体表の二足歩行怪獣。その頸部から鼻先にかけては蛇のように細長く、輪郭は丸みを帯びている。

 背中には蜂の腹部のような形の突起が四つ備わり、それらの先端を含む体の各所に赤い棘を生やしていた。

 

 そして、最も目を引くのはその頭部だった。

 まるで戦闘機のコックピットのような外観で、先端の上半分が半透明になっている。そしてその内部からは、怪獣の眼なのか、丸い光が妖しく透き通っているのだった。

 

「ギュィィィァァァァァ!!」

 

宇宙爆弾怪獣 ヴァラロン 
体長:55メートル 体重:66,000トン 

 

 続いてザミンが、緋色のサイドテールを躍らせながらバトルナイザーを掲げた。

 

「大地に轟け! ――ザイゴーグ!!

 

≪バトルナイザー モンスロード!≫

 

 今度は緋色の光が射出され、ヴァラロンの隣で怪獣の姿を形作った。

 背中側を群青に、腹側を朱色に染め上げた60メートル級の巨大二足歩行怪獣。大きな角を頭部から背中にかけて何本も伸ばし、背中からは針のように鋭利な棘を無数に生やしている。全体的に刺々しいフォルムをしており、隣のヴァラロンとは対照的だ。

 

 大きく裂けた怪獣の口が開かれる。

 重々しく、そして笑っているかのようにも聞こえる声で空気を震わせる。

 

「ギャァァアアアアゴァゴァゴァ……!!」

 

閻魔獣 ザイゴーグ 
体長:66メートル 体重:70,000トン 

 

「これが、姉貴たちの本気か……」

 

 二体の怪獣からは尋常でない威圧感が発され、空気を押し潰している。対峙しているだけでぺしゃんこにされてしまいそうだ。まるで、深海に沈めた空き缶のように。

 その強力さも手に取るように分かる。アスマとザミンは一卵性双生児であり、レイブラッドの因子を半分ずつ分け合ってしまったために、レイオニクスとしてのレベルはそこまで高くはない。だが、このレベルの怪獣であれば弟への最終試練としては十分すぎるほどだ。むしろ、操る脳が二倍になっていることで、脅威度が増している疑いすらあった。

 

「ダルヤ。さあ、あなたも」とザミンが促す。

「出してきなさい。本気を」そう、アスマが挑発する。

 

 ダルヤは自身のバトルナイザーの画面に目をやってから――それを高く掲げあげた。

 

「いけ! イズマエル! ギガロガイザ!

 

≪バトルナイザー モンスロード!≫

 

 二つの金色の光が乱れ飛び、空中で弾ける。その閃光の中から二体の怪獣が解き放たれ、それぞれの重量で大地を鳴動させる。

 姿を現したのはイズマエルとギガロガイザ。ほんの数時間前まで敵同士だった二体が、今はダルヤの前に並び立っていた。

 

「ギャァァアアアアアッ!!」

「キシャアアッルルルルルッ!!」

 

フィンディッシュタイプビースト イズマエル  
体長:60メートル  体重:60,000トン  

 

銀河皇獣 ギガロガイザ 
体長:61メートル 体重:48,000トン 

 

 召喚された怪獣たちが相向かう。

 ザイゴーグの無数に並んだ金色の眼が、ヴァラロンの妖しい瞳が、イズマエルとギガロガイザを睨む。

 場の緊張感が高まる。目には見えずとも、怪獣たちの闘志が煙のように立ち昇り、渦を巻いているかのようだ。

 

 ダルヤは小さく呼吸をする。自分の側に立つ二体の背中を見上げ――

 

「いくぞ!」

 

 決戦の始まりを告げる、鬨の声をあげた。

 

 イズマエルがザイゴーグへ、ギガロガイザがヴァラロンへ突進する。敵の二体も歩を進める。計四体分の地響きが静寂を引き裂き、場を戦場へと塗り替える。

 ザイゴーグは棍棒のように膨らんだ右腕を振るう。一目見て危険だと警戒していたため、イズマエルはそれを抱え込んで止めようとした。

 しかし、ザイゴーグの腕力は想像以上だった。抑え込むことができず、その殴打をまともに喰らってしまう。

 

「グォォオオオンゴァゴァゴァ……!!」

 

 嘲笑うかのようなザイゴーグに、イズマエルはすかさず反撃する。

 イズマエルは殴られた衝撃で倒れないように、足腰に力を込めていた。その力を利用し、攻撃の「溜め」に転用する。ノスフェルと同様の爪を勢いを加えて振り抜き、ザイゴーグの体表を切り裂いた。

 

「ギュァアアアゴァゴァゴァ……!」

「ギャァァァアアアオオッ!!」

 

 二体が同時に体を回す。その尻尾が振り回され、激突する。

 どちらも譲らない。すぐさま体の向きを戻し、互いに正面衝突する。二体の雄叫びが響くと同時に、足元から土埃が立ち昇った。

 

 

 

「キシャアアッルルルルルッ!!」

「ギャァァァォォォォ……!!」

 

 ギガロガイザとヴァラロンは、互いに接近しながら遠距離攻撃を仕掛けていた。

 ヴァラロンの全身に点在する赤い棘。そこから電撃が乱れ飛んでいる。

 対するギガロガイザも、全身からの放電を宙に放つ。お互いの電撃がぶつかり合い、激しく衝突している。その拮抗状態を保ったまま、近距離戦の間合いとなる。

 

「ギュァァァァァ!!」

 

 ヴァラロンが爪を振り下ろす。ギガロガイザはそれを腕で止め、反対の手でパンチを叩き込む。

 だがそのとき、ヴァラロンの手がその手首を掴む。ギガロガイザの体が引き寄せられたかと思うと、その胴体に激烈な痛みが走った。

 ヴァラロンの腹部には赤い棘が縦に並んでおり、ノコギリ状になっている。それがチェーンソーのように高速で動いたことで、ギガロガイザの体表が切り刻まれたのだ。

 

「ギギャアアッルルルルッ!!」

 

 ギガロガイザは掴まれていたのとは反対の手で、ヴァラロンの頭部を殴りつける。流石に応えたのか手首の拘束が緩み、脱出が叶う。

 後退りする敵に向けて助走をつけ、飛び膝蹴りを放つ。だがヴァラロンもまた横薙ぎの蹴りでそれを迎える。

 

 互いの足がぶつかったことで勢いが相殺される。地面に降りたギガロガイザは拳を構えるが、それはヴァラロンも同じだった。

 同時に放たれた正拳突きが、両者ともに命中し、その体を後退させる。

 

 二体の怪獣は双眸を爛々と光らせながら、そこに宿る闘志を相手にぶつけた。

 

 

 

(これが……ダルヤの本気……)

 

『真のレイオニクスバトル』の影響で戦いのダメージを感じながら、ザミンは思う。

 ダルヤは今、本気で姉を倒しにきている。戦いの果てに、姉と弟、そのどちらかが死ぬことになってもだ。

 

 それだけ、彼に大切なものができた。

 そして今、彼はそれを守りたいと切望している。

 

(そのために……私たちも手加減はしない!)

 

 彼の覚悟に応えるためにも、姉も強い意志を持たなければならない。

 最愛の弟を手にかけるつもりで戦わなくてはならない。

 

「――ザイゴーグ!」

 

 ザミンは怪獣に命令を授ける。

 するとザイゴーグは、体を丸めるように上体を屈めた。背中にびっしり生えている棘の中の二本が赤いエネルギーを纏い、前方へ湾曲する。

 

「イズマエル、避けろ!」

 

 ダルヤの指示が飛ぶ。イズマエルが素早く横っ飛びしたのと同時に、棘が発射される。それらは標的を見失ったかと思われたが、突然直角に飛び上がり、さらに進行方向を地面に向けて降下する。

 棘が地面に突き刺さる。その衝撃で土埃が数十メートルも立ち昇り――煙の中から、強大な存在が新たに生まれる。

 

「なに……!?」

 

 現れたのは棘の本数と同じ、二体の怪獣だった。

 青い血管を体に張り巡らせているゴーグファイヤーゴルザ。さらに、大顎を朱色に染めたゴーグアントラー。ザイゴーグの棘は、彼の分身たる怪獣を作り出す能力を持っているのだ。

 

「グォォォォオオン……!」

「ピギャアオオオオン!」

 

閻魔分身獣 ゴーグファイヤーゴルザ  
体長:55メートル  体重:59,000トン  

 

閻魔分身獣 ゴーグアントラー  
体長:40メートル  体重:20,000トン  

 

 二体の分身獣が戦場に乱入する。(ゴーグ)ファイヤーゴルザは、取っ組み合っているザイゴーグとイズマエルのもとに向かい、イズマエルを攻撃する。

 その頭突きを横手から受けたイズマエルは煩わしそうに払いのけようとする。だが、Gファイヤーゴルザに気を取られた瞬間、顔面に凄まじい衝撃が襲いかかった。ザイゴーグの棍棒で真正面から殴られたのだ。

 

「ピシャァアアアオオオ……」

 

 よろめき、呻くイズマエル。後退りをしながら、腹部に位置するクトゥーラの顔から黒い霧を吐き出す。その瘴気に包まれたザイゴーグの体から火花が散るが、彼は余裕の表情で突っ切ってきた。

 

「グワァァアアアアンゴァゴァゴァ……!!」

 

 ザイゴーグの背中の針山、そして頸部から立ち並ぶ角の数々が赫々とスパークする。頭部から伸びる二本角が明滅し、ザイゴーグは大きく裂けた口から光線を吐き出した。

 血のように紅いそれは螺旋を描きながら突き進み、イズマエルの体を大きく吹き飛ばした。

 

「グォォオオオンゴァゴァゴァ……!」

 

 

 

 時を同じくして、ヴァラロンとギガロガイザのほうでは――

 

「やりなさい! ヴァラロン!」

 

「ギャァァァキシュゥゥゥ……」

 

 ヴァラロンの尻尾の先端が瘤のように膨らむ。それは自分の意思で切り離すことができるようで、尻尾を振ると同時にすっぽりと抜け、ギガロガイザへ投げつけられた。

 

「――撃ち落とせ!」

 

 危険を感じたダルヤが叫ぶ。ギガロガイザは即座に命令を遂行し、螺旋光線でそれを破壊する。

 大爆発が虚空に轟く。そこを中心として、暴風が放射状に荒れ、砂や石を浚って吹き飛ばしていった。

 

 ヴァラロンの尻尾から生成されるそれは爆弾だった。しかも、起爆タイミングは自分の意思で決めることが可能だ。今回は先に撃ち落とせたからよかったが、様子見していれば大惨事になっていたところだった。

 

「ギャァァァキシュゥゥゥ……!」

 

 ヴァラロンが二発目の爆弾を生成し、同じ要領で投げつける。ギガロガイザもまた、同じように撃墜しようとしたが――

 突如、爆弾が軌道を大きく変えたのだ。そのせいでギガロガイザの光線が外れてしまう。

 

「ピギャアオオオオン!」

 

 邪魔をしたのはゴーグアントラーだった。その口から放った磁力光線で爆弾を引き寄せたのだ。

 そして、ギガロガイザの光線が外れたのを見るや、磁力光線を止める。爆弾は地面に落下し、ごろごろとギガロガイザのほうへ転がった。

 

 ヴァラロンの頭部が眩い閃光で明滅する。次の瞬間、爆弾が火を噴き、周囲に爆発エネルギーが拡散された。

 

「ぐぅぅぅ……ッ!!」

 

「キシャアアッルルルルルッ……!!」

 

 爆弾との距離はある程度開いていたため、致命傷には至らなかった。とはいえ、爆発の威力そのものが絶大だ。ギガロガイザにも、レイオニクスであるダルヤにも相当なダメージが入る。

 

(くっ……二対四では、さすがに分が悪すぎる……)

 

 イズマエルもギガロガイザも強力な怪獣だ。しかし昼間に死闘を繰り広げたばかりで、ダメージの蓄積が残っている。そのうえ、相手のヴァラロンとザイゴーグも尋常ならざる力を持っているのだ。一対一でも苦戦は必至なのに、さらに敵が増えてしまえば、形勢があちらに傾くのは自明の理だった。

 

『キュァアアッ!!』

 

(……!)

 

 ダルヤが渋面を作っていると、彼の頭の中に声が響いた。バトルナイザーに目を落とす。その一番目の画面で、彼の最も信頼する相棒が自己主張していた。

 

「アリゲラ……」

 

 昼間の戦いで、アリゲラも深手を負っている。だが、このまま手をこまねいていても訪れるのは敗北だけだ。アリゲラの闘志からも、その考えは伝わってくる。

 ダルヤは「わかった」と頷いた。バトルナイザーを掲げあげ、その名を高らかに宣言する。

 

「いけ! ――アリゲラ!!

 

≪バトルナイザー モンスロード!≫

 

 放たれた金色の光から、赤い翼が颯爽と飛び出してくる。

 パルス孔から光弾を発射し、ゴーグアントラーとGファイヤーゴルザのもとへ雨のように降らす。その注意を引き付けることに成功し、空へ向かって放たれる二体の光線を高速機動で躱していった。

 

「キュァアアアッ!!」

 

宇宙有翼怪獣 アリゲラ 
体長:55メートル 体重:11,000トン 

 

「ピギャアオオオオン!!」

 

 ゴーグアントラーが前翅を開き、内部に収められていた後翅を広げる。それを高速で羽ばたかせることで空中に踊り出す。大顎の間から虹色のエネルギー光線を放ち、アリゲラを追跡する。

 アリゲラは左右に体を傾け、光線を避けていく。さらに大きく前方宙返り(インサイドループ)の軌道を描き、ゴーグアントラーの背後に回る。たとえダメージが残る体であったとしても、空はアリゲラの独壇場だ。スピードをぐんぐん上げていき、ゴーグアントラーの翅を翼で斬り払った。

 

「ピャゥゥオオオオオン……!」

「キュァアアオン!!」

 

 ゴーグアントラーは悲鳴をあげながら落下する。アリゲラはその上空へ飛び上がり、さらに高速降下しながら翼を繰り出した。鋭い斬撃はゴーグアントラーの外骨格の隙間を的確に捉え、その体躯を首と胴体に切り離した。

 地面すれすれでアリゲラの軌道が再び空へ向かう。その上空ではゴーグアントラーだった物体が爆発し、消滅していた。

 

 

 

「ギャァァァォォォォ……!!」

 

 上空を飛び回るアリゲラにヴァラロンが顔を向ける。全身の棘から頸部、そして頭部へとエネルギーが収束していく。今にも放電攻撃が放たれようかというそのとき、彼の横面を光線が襲った。ギガロガイザが放った螺旋光線だ。

 

「ギュゥゥゥアァァァァ……!!」

「キシャアアッルルルルルッ!!」

 

 怒りを滲ませた唸り声を漏らすヴァラロン。駆け寄っていたギガロガイザは跳躍し、勢いをつけたドロップキックをその胴体に叩き込んだ。

 流石のヴァラロンでも応え、受け身も取れずに倒れ込む。地面の上で悶える彼に追撃をかけようかというギガロガイザだが、横手から迫る存在に気付く。

 巨大な球体だった。それはGファイヤーゴルザが体を丸めた姿だ。球状となって勢いよく転がることで、7万tの重量を活かした体当たりを仕掛けてきているのだ。

 

 とはいえ、ギガロガイザほどの怪獣になると止められない攻撃ではない。両手を突き出し、その勢いを殺してやろうとする。

 しかしそのときだった。衝突の寸前に、Gファイヤーゴルザが体を広げたのだ。そして、何かが飛び出してくる。――ヴァラロンの爆弾だ。Gファイヤーゴルザの真の目的は体当たりではなく、爆弾を悟られないように接近することだったのだ。

 

「ギガロガ――――」

 

「ギュァァァァァ!!」

 

 ダルヤの言葉が言い切られるより先に、ヴァラロンの頭部が閃光を放つ。

 Gファイヤーゴルザを巻き込みながら爆弾が炸裂する。その膨大なエネルギーが衝撃と炎になって噴き上がり、至近距離からギガロガイザの体を襲った。

 

「ぐぅぅぅう……ッ!! あぁあああ゛あ゛ッ!!」

 

 ギガロガイザが受けた衝撃がそのままダルヤを襲い、彼の体は後方へと吹っ飛ばされた。

 直接的な肉体へのダメージはないものの、体の前面が焼け爛れたような感覚がする。まるで、マグマの中に沈んでいくかのようだ。ダルヤは体を起こそうとするが、力が入らない。息をするだけでも精一杯だ。

 

「――ヴァラロン。やりなさい」

 

「ギャァァァォォォォ……!!」

 

 弟の痛々しい姿を見たうえで、アスマは冷酷に命じる。

 ヴァラロンの全身の棘が光り、頭部へエネルギーを収束させる。倒れ伏すギガロガイザに電撃光線を浴びせ、トドメを刺そうという心算だった。

 

 しかし、その攻撃は遮られた。上空から青白いビームが襲ってきたのだ。

 

「これは……!?」

 

 アスマは、ビームが飛んできた方向へ目を向ける。そこには、独特な形状をした宇宙船が飛行していた。

 黒鋼のボディを持つ「ゾルガウス」だ。ウィングの先端に開いているブラスターから、ヴァラロンとザイゴーグに向けてビームを放つ。

 

 ダルヤの腕に巻かれた通信機が音を立てる。送信元はゾルガウスだった。

 

『ミクリア様、フィオネ様、ディオーネ様から命を受け、馳せ参じました』

「……ここは危ない。帰るんだ」

『その返事は想定済みです。お三方からの伝言があります。「宇宙船を壊したくないなら、ちゃんと勝って帰ってきて」だそうです』

「……言ってくれるな」

 

 ダルヤは失笑を洩らし、痛みが残る体を起き上がらせた。

 ギガロガイザもまた立ち上がる。その頭上に、ゾルガウスが降りてくる。

 

『〝Mode:Zor-Gigalogaiser〟に移行します』

 

 ゾルガウスの機体が三分割され、それぞれがギガロガイザの体に纏われる。

 ウィング部分は首の付け根を挟み込むように取り付けられ、艦橋は甲冑のように頭部に被せられる。

 機体のエネルギーを力に変え、ギガロガイザはバイザー越しに双眸を蒼白く輝かせる。そして二体の敵怪獣に向けて、咆哮を浴びせてみせた。

 

「ギギャァァルルルルッグォォオオオン!!!」

 

銀河要塞獣 ゾルギガロガイザ  
体長:70メートル  体重:63,000トン  

 

 二門のブラスターにエネルギーが集っていく。それぞれから金色に輝く光線が放たれ、蛇のようにうねりながら二体の怪獣に向かっていった。

 

「ギャァァァォォォォ……!!」

「ギャァァアアアアゴァゴァゴァ……!!」

 

 ヴァラロンは頭部からの電撃光線で、ザイゴーグは口から吐く赤色光線で迎え撃つ。激突し、複雑な衝撃波が嵐のように吹き荒れる。

 敵は二体だったが、ゾルギガロガイザは負けてはいなかった。勢いを衰えさせることなく、光線を拮抗させる。そんな中、ダルヤがバトルナイザーを握って指示を出す。ただし、ゾルギガロガイザにではない。

 

「今だ! イズマエル!」

 

「ギャァァァアアアオオッ!!」

 

 ザイゴーグもヴァラロンもゾルギガロガイザを相手しており、イズマエルにまで手が回らない。その隙を突く。

 光線を吐いてザイゴーグを撃つ。同時に、グランテラの尻尾からホーミング火球を連射し、ヴァラロンの頭上から降らせる。二体の怪獣はそのダメージによって怯まされる。形勢がゾルギガロガイザに傾き、金色の光線が二体を呑み込んだ。

 

「きゃぁああっ!!」

「くっ、うぅぅう……っ!!」

 

 怪獣たちの痛みと苦しみがアスマとザミンを襲う。――が、アスマは歯を食いしばり、「ザミン!」と姉に呼びかけた。

 

「アレをやるわよ! お願い!」

「ええ――!」

 

 転がされていたザミンが立ち上がり、バトルナイザーを翳す。ザイゴーグの無数に連なる金色の眼が妖しく輝き、背中の棘を一本射出した。

 飛び上がったそれは、ヴァラロンのそばに着弾する。ゴーグアントラーたちを生み出したのと同様に、新たな分身獣が現れる。漆黒の体躯に巨大な剣を生やしたツルギデマーガだった。

 

「ギャァアアアアッグルルルルルッ!!」

 

閻魔分身獣 ツルギデマーガ  
体長:40メートル  体重:20,000トン  

 

 目の前の敵に対して雄叫びをあげるツルギデマーガ。ゾルギガロガイザへ走り出そうとしたその肩を、突然ヴァラロンが掴んだ。

 

「ギュァァァァァ!!」

「グックルルルルルッ!!?」

 

 ツルギデマーガの悲鳴が響く。ヴァラロンがその首に噛みついたのだ。

 じたばたと暴れようとするツルギデマーガだが、ヴァラロンの牙は離れない。そして、漆黒の体躯はまるで風船のように萎んでいく。ヴァラロンがその生体エネルギーを吸収しているのだ。

 

「なんだと……!?」

 

 ヴァラロンの姿が変わる。肩のあたりから後方へ向かって、バッファローの角のような捻じれた突起物が生える。頭部にも二本の角が生え、手の両側からも赤い突起物が伸びる。

 変化前からあった各部の紅い棘と同じように、突起物もまたエネルギーの放出口となっていた。それらから紅色の電撃を周囲に向けて放散させる。まるで、あふれんばかりのエネルギーを誇示するかのように。

 

「ギギャァァァオォォォグッグググググ……ッ!!」

 

宇宙爆弾怪獣 ヴァラロン(第2形態)  
体長:60メートル 体重:69,000トン 

 

 ギガロガイザが姿を変えたのと同様に、ヴァラロンもまた進化形態となった。

 ザイゴーグとヴァラロンが並び、イズマエルとゾルギガロガイザが並ぶ。上空には、様子を窺うようにアリゲラが旋回する。

 

 お互い、手の内は出し尽くした。つまり――これから始まる衝突で、決着がつく。

 

「いくぞ! アリゲラ! イズマエル! ゾルギガロガイザ!」

 

「キュァアアアッ!!」

「ギャァァアアアアアッ!!」

「ギギャァァルルルルッグォォオオオン!!」

 

 バトルナイザーを介してダルヤの闘志が力と変わり、それを授かった三体の怪獣が叫ぶ。

 対するザイゴーグとヴァラロンも雄叫びをあげる。死力を尽くした攻防が始まる。

 

「ヴァラロン! 電撃よ!」

 

「ギギャァァァオォォォグッグググググ……ッ!!」

 

 ヴァラロンの全身から紅色の電撃が乱れ飛ぶ。発射口が多すぎて、まるで網の目かのようだ。夥しい数の稲妻が虚空を奔り、三体に向かっていく。

 アリゲラは高く飛んでそれを躱す。他二体ほど耐久が高くないため、一発攻撃を受けただけで致命傷となることは分かっている。うかつに手出しはできない。上空で様子を窺うのが賢明な判断だ。

 

 だが、そうもいかないのが残る二体だ。主戦力であるイズマエルとゾルギガロガイザは真っ向から立ち向かわなくてはならない。

 ゾルギガロガイザが一歩前へ出る。ゾルガウスの機体に蒼白い燐光を流すと、体前方に波紋状のバリアを生成した。迫りくる電撃光線を防ぎ、イズマエルのことも守る。

 

「――イズマエルっ!」

 

 ダルヤの声に応じ、イズマエルが顔を空に向ける。バリアを跳び越すように、空からザイゴーグの棘が降ってきていた。イズマエルはリザリアスグローラーの口から熱線を、尻尾と左腕から火球を放ち、それらを撃墜する。

 

 ヴァラロンの電撃攻撃がやむ。それと同時に、ザイゴーグが地響きと共に突っ込んでくる。

 迎え撃つのはイズマエルだ。己の体でその突進を受け止めようとしたが――そこにザミンの声が響く。

 

「今よ、ザイゴーグ!」

 

「グワァァアアアアンゴァゴァゴァ……!!」

 

 ザイゴーグの胸には赤い発光体が埋め込まれていた。外見はただの肉体なのだが、突然、発光体の周囲が花弁のように開いた。「X」状に開かれた内部から二本の触手が飛び出してくる。それらがイズマエルとゾルギガロガイザに巻き付き、エネルギーを吸収する。

 

「なっ……! ――アリゲラ!」

 

「キュァアアオン!!」

 

 上空からアリゲラが突っ込む。体を90度傾けながら戦場を横切り、翼で触手を断ち切る。

 だが、離脱は許されなかった。アリゲラの眼前にザイゴーグの棍棒が迫る。まるでボールを打ち返すように棍棒が振り抜かれ、アリゲラの体が弾き飛ばされる。

 

「ぐっ、あ゛……!!」

 

 レイオニクスがダメージを負ったこのときを、アスマは狙い澄ましていた。

 握りしめたバトルナイザーを掲げる。それと同時に、ヴァラロンの全身から紅色の電撃が纏われる。乱れ飛んだ放電攻撃が雨のように降り注ぐ。レイオニクスと共に隙を生じさせたイズマエルとゾルギガロガイザの体を、槍のように貫いた。

 

「ぐあああああああああっっ!!」

「――ヴァラロン!!」

 

 さらに畳みかける。アスマの絶叫が響く。

 ヴァラロンの尻尾には、進化前より巨大になった爆弾が膨らんでいた。無論、威力も上がっている。身動きのとれない二体にそれを投げつける。十分に接近したところを見計らい、起爆させる。ヴァラロンの頭部が閃光を放った。

 

 ――炸裂。爆炎。そして轟音。

 

「ピシャァアアアオオオ……」

「グォォォオオン……」

 

 重い重い地響きが、三度鳴り渡る。そして最後に、ダルヤの体が静かに倒れる。

 彼の意識は失われていた。暗黒の世界で静止し、さざ波すらも立たない。完全なる無抵抗であり――彼の三体の怪獣も、意識こそあれど立ち上がる体力は残っていなかった。

 

 ザイゴーグとヴァラロンの足が進む。二体の怪獣が立てる地響きが、ダルヤの体に振動を走らせる。それでも、彼は目を覚まさない。

 

「……終わりなの? ダルヤ」

 

 アスマが呟き漏らす。普段の挑発的な声音は微塵もなく、途切れそうなほどか細い声だった。

 

「立って。ダルヤ……」

 

 縋るようにザミンも言う。しかし、その声は届かない。

 ザイゴーグとヴァラロンのどちらもが、口にエネルギーを溜める。それが発射されれば、この戦いは終わるだろう。誰も望んでいない形で。

 

「ダルヤ――!」

 

 二人の願いも虚しく、怪獣たちがトドメの一撃を放とうとしたときだった。

 馴染みの深い声が甲高く響いた。アリゲラがザイゴーグたちの前に立ちはだかり、仲間たちを守るように翼を大きく広げていた。

 

「キュィィイ……!」

 

 ただ、その声も弱々しい。何もしなくても倒れてしまいそうだ。

 アリゲラは、姉妹たちにとっても家族のような存在だった。だが、倒さなくてはならない。最後の最後まで、弟を信じるのであれば。

 

 アスマは、声を張り上げた。「ダルヤ!」

 

「あなたは勝たなきゃいけないのよ。これから先、あなたを襲う数多の戦いに。迫りくる理不尽や悪意に、勝ち続けなければならないのよ!」

 

 ザミンも妹に続く。

 

「守りたいのでしょう? あなたが愛する人たちを。これから先、ずっと。あなたは負けちゃいけないの。だから――」

 

 二人の声が重なり、響く。

 

「立ちなさい! ――ダルヤ!」

 

「ギュィィィァァァァァ!!!」

「ギャァァァアアアアッッ!!!」

 

 二体の光線がアリゲラに向かって放たれる。

 躱せるはずもなく、直撃する。眩い光が閃き、巨大な爆炎が立ち昇る。何もかもを塗り潰し、消し去るような漆黒の煙が、周囲に立ち込める。

 

 轟音が重々しい残響と化し、辺りに尾を引き続ける。

 それが次第に薄れ、微かな響きとなって消え入る。

 場に、静寂が訪れる。

 

 空気が動き始める。凪の時間が終わりを告げ、陸から海へ、風が吹く。

 煙が薄れゆく。その中に……赤い甲殻を纏った怪獣がいた。

 

「アリゲラ……!」

 

 二体の格上怪獣の光線を受けたというのに、アリゲラはまだ立っていた。

 ――その様子は先程と異なっていた。全身に紫色のオーラを纏っていたのだ。煌びやかな光の粒を内包したオーラが、炎のように揺らめいて彼を覆っている。

 

 そしてその背後には、同じオーラに身を包むダルヤがいた。

 手に握られたバトルナイザーが光の塊となり、その光が形を変えていく。フューネラルが持っていたのと同じ、二本の角を持ったネオバトルナイザーだ。彼のそれは、銀色のボディに紫の差し色が入っていた。

 

「ダルヤ!」

 

 歓喜の声を出す姉二人を見て、彼は何を思ってか目を閉じた。

 程なくしてそれを見開く。天を指差し、アリゲラに呼びかける。

 

「飛べ! アリゲラ!」

 

「――キュァアアッ!!」

 

 アリゲラのジェット器官が光を放ち、垂直に飛び立つ。

 それを追ってザイゴーグとヴァラロンが攻撃を飛ばす。針が放たれ、電撃が乱れ飛び、光線が虚空を裂く。だがアリゲラは、それを振り切る速度で空を行く。

 

 日が沈みかけていた。西は夕日の色を残し、そこから澄んだ瑠璃色へと移り変わっている。炎を千切ったような赤々とした雲が浮かび、空はまさに宵の景色だった。――昼と夜が、交差する時間。

 

 アリゲラが高く飛ぶ。身に纏うオーラが、風と共に形を変えていく。

 突如、宵の空に閃光が爆ぜる。まるで新たな星が生まれたかのように、光が撒き散らされる。

 

 それが薄れたとき、空に浮かんでいたのは――

 全く違う姿をした、新しいアリゲラだった。

 

EXアリゲラ 
体長:50メートル 体重:10,000トン 

 

 その体は、変化前より小さくなっている。ステルス戦闘機のようなフォルムとなり、飛行に特化した流線形の体型となっている。

 全身の甲殻は紫色に染まっている。まるで、変化前の赤と青を混ぜ合わせたかのようだ。

 

「アリゲラの進化形態……! 覚醒したのね、ダルヤ!」

 

 感極まるように、両手を握り合わせるザミン。だが、隣でアスマは「まだよ」と鋭い声を出した。

 

「レイオニクスとしての覚醒は、教育係を倒して初めて成立するわ。――ダルヤ! 私たちを倒してみなさい!」

 

「ええ」とザミンも頷く。「私たちを倒して、力を奪ってみなさい!」

 

「ギギャァァァオォォォグッグググググ……ッ!!」

「グォォオオオンゴァゴァゴァ……!!」

 

 ヴァラロンとザイゴーグが攻撃を再開する。上空へ浮かぶEXアリゲラに向けて、攻撃の雨を降らせる。

 

「――アリゲラ!」

 

「キュゥゥゥァァアアアッ!!」

 

 EXアリゲラが天空に声を轟かせる。背部のジェット器官が光を纏い、エネルギーを放出する。舞い上がったその体躯は地上に向けてターンし、降り注いでくる攻撃に立ち向かう。

 

 茨のように張り巡らされる紅色の電撃を掻い潜る。

 身を躍らせ、二体の口から放たれる光線を回避する。

 縦横無尽に空を駆け巡り、逆に敵を翻弄する。目にも止まらぬその機動を、ヴァラロンとザイゴーグは捉えられない。

 

「行け! アリゲラぁぁあああッ!!」

 

 二体の攻撃が空に向かった瞬間を見計らい、EXアリゲラが地上に向けて急降下する。

 凄まじい速度で風を切る。鋭く広げられた両翼が虚空を裂いていく。このままでは地面に激突する、そう思わせる速度だが、EXアリゲラは背部のジェット器官の傾きを変えていた。それにより、その軌道は弧を描く。激突寸前で地面と水平のベクトルに変わり、彼は二体の敵怪獣に突っ込む。

 

「キュゥゥゥゥァァアアアッッ!!!」

 

 高く勇ましい声が戦場に響き渡る。

 ジェット器官からエネルギーが迸り、烈風が吹きすさぶ。

 次の瞬間、EXアリゲラが敵二体と交錯した。

 

 横に並ぶ二体の胴を、彼の両翼がそれぞれ一閃する。進化前から鋭さを増した翼が刃と化し、体表を貫き、肉を抉る。

 飛行速度を衰えさせることなく、紫の体躯は流星の如く彼方の空へ飛んでいく。

 

 残されたヴァラロンとザイゴーグは、麻痺したように動けなくなっていた。その脇腹にざっくりと裂け目が入り、そこから噴水のように鮮血を噴き出していたのだ。

 

「イズマエル!! ゾルギガロガイザ!!」

 

「ギャァァァアアアアアオオオッ!!!」

「ギギャァァルルルルッグォォオオオン!!!」

 

 立ち上がった二体が最後の力を振り絞る。

 イズマエルの口から金色の光線が、ゾルギガロガイザの両ブラスターから赤色レーザーが放たれる。それぞれ、ザイゴーグとヴァラロンの体を撃ち抜く。ザイゴーグの胸にぽっかりと穴が開き、ヴァラロンの角や棘が弾け飛ぶ。

 

 その体の内部からスパークが迸る。ぐらりと傾き、地面に倒れた瞬間――

 体内に蓄えられていたエネルギーを全て放出するかのように大爆発が起こった。

 天を舐めるように爆炎が立ち昇り、二体分の肉片が周囲に撒き散らされる。壮絶な衝撃波が吹き荒れ、海辺から沖にまでその余波を及ぼした。

 

 煙が薄れていく。その場に残されたのは炎だけであり、ザイゴーグとヴァラロンの姿はなかった。

 決着がついたのだ。姉と弟の、試練の戦いに。

 

「――姉貴!」

 

 ダルヤが駆け出す。爆炎を飛び越え、最短距離で向こう側へ進む。

 そこには、二人の姉が並んで地面に倒れていた。

 

「アスマ! ザミン! しっかりしろ!」

 

 二人のまぶたがゆっくりと持ち上がる。視界に最愛の弟を認め――その口元には微笑みが浮かんだ。

 アスマが静かな声を出す。

 

「もう……しっかりするのは、あなたよ……ダルヤ」

「アスマ……」

「これであなたは、誰にも負けない力を手に入れた……だから、最後まで……生き残りなさい……」

 

 ダルヤ、とザミンも弱々しい声で呼びかける。

 

「大丈夫、よ……。これで、あの子を救ってあげられる……」

「……ザミン」

「あなたは、やさしい子……そのやさしさで、この宇宙を……みんなを、守って……」

 

 二人の手が差し出される。ダルヤはそれを握り、うつむく。

 

「オレは……強くもないし、優しくもないんだよ」

 

 二人の姉は穏やかな顔をしたまま、弟の吐露を聞く。

 

「ずっと、何をすればいいのか分からなくて……込み上げてくる戦いの衝動を正当化するために、誰かを守るなんて綺麗事を吐いて……」

 

 故郷にいた頃のダルヤに迷いはなかった。

 漁師になり、愛する姉二人と暮らす。それだけで良かった。

 だが、その人生目標は突如として奪われてしまう。彼がレイオニクスであるということが判明し、姉も巻き込んだ戦いの宿命に囚われていることを知った。

 

 レイブラッドの継承戦に興味はない。姉を手にかけることもしたくない。だから彼は星を捨てて流浪の旅に出た。しかし、彼の行く手には戦いが付き纏った。そして彼もまた、戦いのさなかで昂揚を感じてもいた。

 その宿命ゆえに、辿り着いた安息の地も捨てざるを得なかった。――ダルヤは、自分がどこに行けばいいのか、自分が何をすべきなのか、何も分からなかった。

 

 レイオニクスの力で弱き人を守る。そんな漠然とした目標が彼のすべてとなった。

 場当たり的な目標ゆえに、それに対する努力はなかった。守るための力を我武者羅に追い求めるようなことも、これまではなかったのだ。こうして追い詰められるまでは。

 

「オレは馬鹿だよ。姉貴たちを殺して、この先どうすればいいんだ……」

 

 アスマとザミンの体が光の粒子に分解される。

 それがボロボロと崩れゆき、天に昇ろうとする。

 

 二人の姉は、弟に言った。

 

「大丈夫よ。ダルヤなら」

「あなたは掴み取ったんだもの。自分の意思で」

「だから……」

 

 ダルヤの手から感覚が消える。二人の体は輪郭をなくし、夜の闇に消えていく。

 粒子の欠片が消滅する寸前、彼女たちの声が頭の中に響いた。

 

「あなたは、ひとりでも大丈夫――」

 

 ――辺りに闇の帳が下りる。日も沈みきり、空は濃い夜色に染め上げられていた。

 冷たい風が濡れた頬を撫でる。ひとり取り残されたダルヤは拳を握りしめ――慟哭をあげた。

 

 

   ★

 

 

 隠れ家の前で待っていたフィオネとディオーネは、星に混じって飛んでくる飛行船を認めて歓喜した。ゾルガウスは隠れ家の近くで着陸し、中からダルヤが降りてくる。彼に駆け寄った二人は――違和感を覚えて息を呑んだ。彼が、これまでの彼と違うような気がしたのだ。

 

「リリアは?」

 

 開口一番、彼は問う。「え、ええ……」と戸惑いながら、フィオネが答える。

 

「容体は変わらずですわ。でも……」

 

 ダルヤが帰ってきたということは、それをどうにかできる方法を見つけてきたということだ。それなのに、彼の固い表情を見ると素直に喜べなかった。

 躊躇いがちにディオーネが訊ねる。「ダルヤ様――」

 

「……成し遂げられましたの?」

 

 ダルヤは彼女の顔を見詰めて、「ああ」と答えた。その声も、どこか違う気がした。

 ともあれ、三人はリリアの部屋に急いだ。彼の帰還にミクリアも喜んだが、その雰囲気を察して不安げなようだった。

 

「しばらく、リリアと二人にしてくれるか」

「え、ええ。分かりましたわ」

「お願いいたします。ダルヤ様……」

 

 三人は邪魔をしないよう、地下二階の書庫へ移動した。

 残されたダルヤはジャケットを脱いでソファの背にかけ、ベッドの端に腰を掛けた。

 

「……リリア」

 

 氷像のように動かない彼女の顔に、そっと手のひらを当てる。

 彼女の生命のひとかけらが宿ったネックレスを握らせてから、彼は互いの着衣をすべて取り払った。

 

「大丈夫だ。オレが絶対、治してやるから」

 

 そうして彼は、彼女の体に覆いかぶさった――

 

 

   ★

 

 

 ――翌朝。

 朝食も忘れてリリアの様子を見守っていた姉妹たちは、彼女の表情にさざ波が立つのを目撃した。

 

 眉間に小さく皺が寄り、優美な唇が動く。

 まぶたがゆっくりと持ち上げられ、瑠璃色の瞳が天井を見詰める。そして妹たちの声に反応し、ベッド脇へと視線を動かした。

 

「リリア……!」

「リリア姉さん!」

「お姉様ぁ……!」

 

「みんな……」リリアが上体を起こす。不思議とだるさはなく、体は快調だった。

「大丈夫なの?」と訊くミクリアに、頷いて答える。そして、室内を見渡して言った。

 

「――ダルヤは?」

 

 

 

 皆で隠れ家の中を探し回ったが、ダルヤの姿はどこにもなかった。昨晩、リリアの部屋から出てきた彼は疲れた様子で書庫に籠ってしまった。それから姿を見ていなかったのだが――

 

「みんな!」

 

 ディオーネが便箋を持って部屋に入ってくる。リビングのテーブルに置いてあったのを見つけたのだ。

 中身はダルヤからの手紙だった。書庫に置いてあったものを使ったのだろう。そこに書かれた文章を、ディオーネは読み上げた。

 

 

   ☆☆☆

 

 

 リリア、ミクリア、フィオネ、ディオーネへ

 

 

 これまでありがとう。みんなのおかげでオレは戦い抜くことができた。

 みんなとの日々は楽しく、かけがえのないものだった。オレの人生にとっての宝物になったし、みんなに対してもそう思っている。四人はオレの大切な人だと。

 

 だからこそ、いったん別れないといけない。

 オレはレイオニクスだ。これから先、色んな奴と戦うことになる。その中には強大な敵もいるだろうし、卑怯な手を使う奴もいるだろう。

 みんなをその戦いに巻き込むわけにはいかない。だから、レイオニクスバトルを終わらせるまでオレはみんなのもとを離れる。

 

 もちろん、オレのことを忘れてくれても構わない。

 みんなは強くなった。四人で力を合わせれば、この宇宙でも生きていける。

 王女としての使命や責務のことは忘れて、好きなように生きるべきだ。

 

 みんな、ありがとう。さようなら。

 

 

 ダルヤ

 

 

   ☆☆☆

 

 

「……」

 

 ディオーネが読み終えると、部屋は静まり返った。

 しかし、それも長くは続かなかった。ディオーネが紙をくしゃくしゃに丸め、部屋の隅のゴミ箱に投げ捨てたのだ。

 

「ディ、ディオーネ?」

「――リリアお姉様!」

 

 彼女は振り向いてリリアに呼びかける。長女も同じ気持ちのようで、悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

 

「ええ。追いかけましょう」

「そうこなくては、ですわ!」

 

 二人の意図を理解して、ミクリアとフィオネも笑みを浮かべる。

 

「そうよ。姉妹全員を愛しておきながら、ここに来て捨てるだなんて酷い男だわ」

「宇宙の果てまで追いかけてやりますわ! ――そうと決まれば!」

 

「ええ」とリリアが頷く。「出発よ!」

 

 四人は早速ゾルガウスに搭乗する。ミクリアがブリッジの操縦席に座り、残り三人も席についてシートベルトを締める。

 

「待ってなさい、ダルヤ! ――ゾルガウス、発進!」

「おーっ!」

 

 宙に浮かび上がったゾルガウスがエンジンを唸らせ、空に向かって走り出す。

 薄青の空を突き抜け、漆黒に染まる宇宙へ飛び出す。

 

「……」

 

 リリアはモニターに映る星々を眺めながら、愛おしそうに下腹部を撫でた。

 そして、静かに瞑目して想う。大切な彼の顔をまぶたの裏に浮かべながら。

 

(ダルヤ。貴方はひとつ勘違いをしているわ)

(貴方は戦いに巻き込まないために私たちのもとを離れると言ったけれど……闘いのさなかにあるのは、私たちだって同じことなのよ)

(何故なら――)

 

 リリアはまぶたを持ち上げ、その瞳に星の光を宿した。

 

(生きるということは、闘いなのだから)

 

 ゾルガウスはぐんぐんと速度を上げる。暗黒の海を突っ切り、小惑星帯を抜け、恒星を越え――

 やがてその影は広大な宇宙の彼方へと消え、あまねく煌めく星々のひとつとなった。

 

 

『ウルトラギャラクシー 四人の姫と怪獣使い』 完

 


 

≪登場怪獣≫

 

■閻魔獣 ザイゴーグ

体長:66メートル

体重:70,000トン

 

『劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』に登場。

 

この世を地獄に変えると言われる大怪獣。

棍棒状をした右腕の殴打は強力無比。さらに口から吐く光線や、胸の発光体から放つ光線といった多彩な技を持ちあわせる。

背中に生えた針山は一本一本から「閻魔分身獣」を生み出すことができ、一度復活すれば文字通り世界は怪獣地獄と化す。

 

 

■宇宙爆弾怪獣 ヴァラロン

体長:55メートル/60メートル(第2形態)

体重:66,000トン/69,000トン(第2形態)

 

『ウルトラマンブレーザー』第24話「第3波接近襲来」に登場。

 

絶大な威力を誇る爆弾を生成できる宇宙怪獣。

全身に生えた赤い棘からは強力な電撃攻撃を放つことができる。

 

さらに、他の生命体からエネルギーを吸収することで形態を変化させられる。

第2形態時には口からの光線が使用可能となり、電撃や爆弾の威力も強化される。

 

 

■EXアリゲラ

体長:50メートル

体重:10,000トン

 

本作のオリジナル怪獣。

 

覚醒したダルヤと感応して生まれたアリゲラの強化形態。

全身が紫色に染まっており、飛行時に両翼を広げた姿はステルス戦闘機のようなフォルムとなっている。

アリゲラの高速飛行能力が強化されており、その突進による翼の斬撃はどんな敵でも切断する。

 


 

宇宙 夢とロマン

 

 

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