ウルトラギャラクシー 四人の姫と怪獣使い   作:幽明卿

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5話 VS 戦闘円盤

 

 

 豊かな海洋と広大な大地が存在する惑星ヘイスティ。

 植物は生い茂っているが、まだこの地に知的生命体は息づいていない。これから何億年もの間、生命が誕生しては進化し、絶滅するのを繰り返し、奇跡的な確率で高度な知性が生まれるのだろう。

 

 ただ、この星がそういった自然の歴史を築くことはないだろう。何故なら生命が生きられる絶好の環境に、異星の者が目をつけたからだ。

 

 惑星タンザナ――リリアたちの故郷の星である。カイルライト王国の科学者に発見された惑星ヘイスティは、王族専用の秘密の隠れ家として白羽の矢が立てられたのだ。

 

「やっと着いたわね……」

「あれが惑星ヘイスティ……」

 

 ブリッジの窓を見詰めながら、ミクリアとフィオネが万感の思いといったふうに呟いた。

 ダイオリウスの襲撃から四日後、宇宙船は遂に目的の星に到着したのだ。

 

 しかし、ダイオリウスによって船の一部が破損している。そのままでは大気圏突入に不安を残すため、宇宙船はそれから三日間、衛星軌道上に待機し、バリアの強度を120%超まで高めた。

 

 十分突入に耐えられると判断してから船は再始動。その判断に誤りはなく、五人は無事、惑星の大地に降り立つことができた。

 

「指定された座標はここね」

「何もない荒れ地のようですけれど……?」

 

 長い宇宙船生活から解放されたという喜びも束の間、姉妹たちの間に不安が広がる。

 特に何もない荒れ地だ。周囲を見渡せば遠くに森のようなものが見えたりもするが、指定された座標にあるのは赤茶けた大地と小高い丘、ごつごつとした岩石だけだ。別荘の豪邸がでんと建っているものと思い込んでいたディオーネは「どういうことですの……?」と困惑の声を漏らした。

 

「まさか、場所だけ指定しておいて生活は宇宙船でしろということですの?」

 

 その言葉に、リリアが首を横に振る。

 

「船内の食料にも限りがあるわ。少なくとも、それを貯蔵しているような施設があると思うのだけど……」

 

 皆が周囲をきょろきょろと見回している中、ダルヤが「ん?」と何かに気付いた。

 

「どうしましたの? ダルヤ様」

「あの丘だ。周囲と比べると不自然に切り立っているように見える」

 

 歩き出した彼の後ろを姉妹たちがついていく。

 丘の横手から回り込み、崖のようになっているところに出る。すると、裏の岩壁の一部が広いガラス窓になっていた。突如現れた人工物に、一行は目を丸くする。

 

「ドアもありますわ!」

「なるほど、ここが隠れ家ってわけか。ちょいと目立ちすぎる気もするがな」

「入りましょう」

 

 外側から見ていた通り、内部は玄関ホールになっていた。奥の壁にはエレベーターと階段が備え付けられており、エレベーターにはB1からB3までのボタンがあった。どうやら隠れ家は地下に広がっているらしい。

 

 まず地下一階に降りてみる。フロアに出ると自動的に照明が灯され、内部が照らし出される。

 そこはだだっ広いリビングになっていた。床には赤いカーペットが敷かれ、壁には瀟洒な意匠が施された柱が並んでいる。天井は高く、地下室特有の閉塞感はほとんど感じない。

 

 ディオーネは子供のように目を輝かせて駆け出した。「お城のようですわ……!」と浮かれた声をあげる。リビングの奥には廊下が続いていて、まだ部屋はたくさんありそうだった。

 ただ、それを探検するより前に、リリアが「ディオーネ、待って」と彼女を止めた。そして、リビング中央の長机に置かれている機械を指さす。それは投影機だった。リリアが再生ボタンを押すと、投影レンズから光が放たれ、虚空にホログラムの像が結ばれた。

 

 映し出されたのは四十代半ばの壮年男性だった。艶のある黒髪に白銀の毛が混じっている。白髪はまばらに生えているわけではなく、メッシュのようにまとまって色が変化している場所が数ヶ所ある。恐らくは加齢による脱色ではなく、地毛からしてツートンカラーなのだろう。

 服装はネイビーブルーのジャケットで、金の飾り紐が胸や肩に大量に備わっている。一目見て一般市民ではないと分かる風貌だ。ダルヤは心の中であたりをつける。やんごとない身分で、この隠れ家に関係のある人物――。その答え合わせのように、リリアが「お父様……」と呟いた。

 

『えー、こほん。リリア、ミクリア、フィオネ、ディオーネ。長い旅路、ご苦労だった』

 

 ホログラム映像のカイルライト国王が語り出す。姉妹は固唾を飲んでそれに聞き入った。

 

『単刀直入に言う。私はお前たちに「先に逃げろ。後で追いかける」と言い、その惑星に送り出したはずだ。だが、私がその星に到着することはない。お前たちがその隠れ家を使っているということは、最悪の事態になっているということだからだ。具体的に言うと、王国の崩壊が確実になったということだ』

 

 ミクリアが「そんな……!」と声をあげる。

 ダルヤはちらりと他三人の様子も窺ったが、元から冷静なリリアはともかく、フィオネとディオーネも押し黙っているのは意外だった。もちろん、苦々しい表情を浮かべてはいるのだが……。

 

『その隠れ家の地下三階には五年分の食料が貯蔵されている。そうだな……最低でも三年、ほとぼりが冷めるまでその惑星で身を潜めておくのだ。残った二年分の食料は宇宙船に運び込み、別の惑星への亡命中に消費するといいだろう』

 

 つまるところ、こういうことだろう。

 王は国が危機に陥ったときのことを想定し、その深刻度に合わせた隠れ家をいくつか用意していた。この惑星ヘイスティは手つかずの星であり、身を隠す目的には最も適している。よって、「王国の崩壊」という最悪のシナリオが確実視された場合は、この星に娘たちを逃がすことにしたのだろう。

 

『ではな。達者に暮らせ、我が愛しき娘たちよ。

 リリア、ミクリア、フィオネ、ディオーネ。さらばだ』

 

 その言葉で映像は終わった。

 部屋がしんと静まり返る。当然だろう。自分たちの安全が担保されたとはいえ、帰るべき故郷がすでに滅んでいる。そうなれば、これから先どんな気持ちで日々を過ごしていいのか分からないだろう。

 

(故郷……か)

 

 ダルヤにも故郷がある。彼女たちのように滅んだりしたわけではないが……もう二度と帰ることができない場所だ。

 

(……とはいえ)

 

 似たような立場ではある。だが、どんな言葉を彼女らにかければいいのかは分からなかった。ダルヤもまた口を閉ざしたまま、悲痛な空気に身を浸しているしかできなかった。

 

 そんなときだった。突如、その静寂が切り裂かれた。部屋内にブザー音が鳴り渡る。音のしたほうを見ると、天井の隅にスピーカーがあった。続いて、ブザー音と共に合成音声が流れだす。

 

『セーフハウス上空に円盤が接近中。識別番号確認。カイルライト王国軍の戦闘円盤と推定されます』

 

 どうやら乗ってきた宇宙船と同様、自動索敵プログラムがあるらしい。その報告を聞いたミクリアは「お父様とお母様じゃないかしら!?」と明るい声を出した。

 

「きっと軍の人たちが逃がしてくれたんだわ。もうっ、お父様ったら脅かして……!」

 

 壁際に駆け寄り、エレベーターに乗り込む。ダルヤたちも彼女に続いた。

 玄関ホールから外に出ると、辺りに轟音が響き渡っていた。姉妹たちの宇宙船の着陸地点より向こう側、上空から巨大な円盤の影が降下してくる。ミクリアを筆頭に姉妹たちが駆け出す。ダルヤは険しい顔つきをしながら、その後を追った。

 

 銀色の円盤は直径80mほどあり、姉妹たちの宇宙船よりも大きかった。円盤は地上から10mほどを保って滞空し、底面から蒼白いリング光線を地上に降り注いだ。その光線の中に人の姿が浮かぶ。どうやら転送光線ということらしい。

 

「……?」

 

 その人影が明瞭になるにつれ、姉妹たちは足を緩める。両親、もしくは親衛隊、そうでなくても国軍の人間が現れると想像していたのに、彼らはその誰にも当てはまらなかったからだ。

 転送光線が消える。大地を踏みしめているのは八人。男かも女かも判然としない。何故なら、全員が防護服を身に纏っていたからだ。顔の前面は薄暗いバイザーで覆われており、こちらからは中身が見えない。

 

 彼らはミクリアたちの姿を認め、集団で近づいてくる。その背後で円盤が降下し、地上に着陸していた。

 

「あ、貴方たちは……? この星の空気は無害よ。防護服がなくても大丈夫だから、顔を見せてくれないかしら?」

 

 ミクリアがそう話しかけると、彼らは顔を見合わせ、くぐもった声で笑い始めた。

 

『のこのこ出てきやがって。どんだけ危機感ねえんだ? この女』

『ハハハ。王女なんてそんなもんだろ。城の中に引き籠って贅沢暮らしばっかりしてりゃあな。生まれたての赤ん坊より警戒心がねえのさ』

『言えてら。まあ、探す手間が省けてよかったじゃねえか』

 

 すると、集団の中のひとりが片手を挙げた。瞬間、笑い声がぴたりと止まる。リーダー格のようだ。厳格な響きを伴った低い声で、彼は背後の男たちに言う。

 

『お前たち、間違っても防護服は脱ぐなよ。ディオーネのフェロモンは危険だからな。奴だけは処刑を待たず、この星で殺せとの仰せだ』

『オーケー』

 

 その言葉を聞き、姉妹たちが後退(あとずさ)る。しかしそれを制するように、男たちは一斉に小銃を構えた。その銃口はひとつの例外もなく、彼女たちに向けられている。

 姉妹の動きがぴたりと止まる。ミクリアは唾を飲み込み、再度「貴方たちは……?」と誰何した。

 

『もう分かっているだろう? 革命軍だよ。私は小隊長のジェド。お前たち王女姉妹の捕獲と、ディオーネの始末を任命されてやってきた。抵抗は無駄だ。大人しくついてきてもらおう』

「ど、どうして革命軍がこの星のことを……?! それに、お父様やお母様は……?」

 

 その言葉に、小隊員たちの間でどっと笑い声が起こった。嘲笑うようにミクリアを指さす者もいる。先程は隊員たちを黙らせていたジェドも失笑が堪えきれないようだった。

 

『いや、失敬。――王と王妃、側室、宰相、大臣……全員すでに処刑済みだ。城の前庭を市民たちに開放して盛大に執り行った』

 

 フィオネが「ひっ」と短い悲鳴をあげる。ディオーネは表情を強張らせつつ、姉を抱き支えた。

 親指を立てたジェドはそれを下に向けるジェスチャーをしながら、言葉を続ける。

 

『ギロチンが落ちて王の首が転がったとき、前庭には歓声と熱狂が渦巻いていたよ。中には嬉し涙を流す奴もいた。これでやっとこの国に安寧が訪れるんだとね』

「……」

『お前たちの首が落ちるときも、それはそれは大きな歓声があがるだろうな? ――フフ、だがフィオネ、お前くらいは生かしてやってもいいかもな。国一番と謳われる美貌と、抱かれるために生まれてきたような体だ。革命を成し遂げた兵士たちの慰み物としてピッタリじゃないか。なあ?』

 

 ジェドが隊員たちに向けて声をかけると、小隊全体が「ウオオオオオーーーー!!!」と沸いた。さらには「隊長! 帰りの船内なら何してもいいらしいじゃねーっすか。リリアとミクリアも犯しましょうよ!」「俺、革命軍に入ってからずっとこのときを待ってたんすよ!」「処刑もやめて共同性奴隷にしたほうが絶対いいっすよ!」などと、好き勝手な言葉が飛び交う始末だ。

 

「おい」

 

 見かねたダルヤが姉妹たちの前に進み出た。

 

「いい加減にしろ。反吐が出るようなことばかり言いやがってよ」

『ふん? さっきから思っていたが、君は何者だね。王女たちの護衛なら親衛隊か? 渡された資料にこんな顔は見覚えがないが』

「オレはダルヤ。乗り掛かった舟で護衛になった身だ」

『なるほど、別の星の者ということだね。ならば、引っ込んでいてもらいたいものだが――』

 

 ジェドはダルヤの形相を見て、やれやれと諸手を挙げる。

 

『そういうわけにもいかないか』

「わかってんじゃねーか。怪我したくないなら大人しく帰ってもらおう」

『こちらも、そういうわけにいかんのだよ。――君は知っているのかね? カイルライト王国がどんな国だったか。何故、革命が起きたのか』

 

 ダルヤの沈黙を返答と解して、ジェドは語り出した。

 

『カイルライト王国は鉱石資源が豊かな国だった。特に、国内でしか採掘できない美しい宝石がたくさんあった。それを他国に輸出することで国は発展し、栄えていった。

 だが三十年前、ディアマド・カイルライト3世――彼の治世が始まってからは、国は転落した。誰だか分かるだろう? その娘たちの父親だ』

「……」

『彼は愚かで、強欲で、傲慢だった。王の座に相応しくない器だった。他国へ輸出すべき宝石を王家で買い漁り、贅沢に耽った。自分の趣味嗜好を満たすためだけにだ。そして金に窮すると、国税を重くした。これにより、宝石業者は潤う一方で庶民層の負担は大きくなった。いずれ国の各地で反乱が起きるようになったが、あの王は容赦なくその地を焼き払った。農民や町民の寄せ集めでは太刀打ちできるはずもなく、多くの血が流れた』

 

 彼の語り口は、話が進むにつれて熱を帯びていた。これまでの恨み辛みが乗り移ったのだろう。

 握りしめた拳を振り上げ、ジェドは人差し指をダルヤに突きつける。

 

『他の星の者には分かるまい。我々カイルライトの民が三十年間どれだけ虐げられてきたのか。我々の国がどれだけ損なわれ、落ちぶれていったのか。それを眺めることしかできず、無力に打ちひしがれて死んでいった者たちの無念は、貴様には到底分かるまい!』

 

 ジェドは息を切らした。大きく息を吐くと、やや落ち着いた口ぶりで再度語り出した。

 

『王女たちは直接関与していない……などという屁理屈は無用だ。暴虐の王に諫言できたのは誰だ? 腐敗した政治を正す機会があったのは誰だ? まず王妃と側室、次に王女たちだろう。だが、こいつらは外の世界など気にも留めず、城の中でのうのうと暮らしていた。その暮らしが民たちの血によって成り立っているとも知らずにな。故に、同罪と言わざるを得ない』

 

 ダルヤの反論がないことを確かめてから、彼は腕を挙げ、小隊に命令を下した。

 

『余所者は黙っていてもらおう。――さあ、お前たち! 王女たちを連行しろ!』

 

 小隊が一斉に動き出そうとする。だが――

 

「待ちな」

 

 ダルヤが腕を広げ、それを止めた。

 

『ここまで言っても分からんのか。我々は王女たちに罪を償わせる! まさか、こいつらに罪はないとでも言うつもりか?!』

「……」

 

 ダルヤは少し沈黙してから、「いや」と首を横に振った。

 

「確かに、オレがお前たちの立場だったら、責任を取らせたいと思ったかもしれない」

「ダルヤ様……」

 

 ディオーネが不安げに呟く。しかし彼は、「だが――」と言葉を継いだ。

 

「今のオレは護衛なんでな」

『……』

「世間知らずのお姫様たちを守ってやらなきゃならねえ。そういう約束だ」

 

 ジェドは呆れたように、大きく溜め息をついてみせた。

 

『ならば最後に聞かせてやろう。我々が何故、隠れ家の場所を知ることができたのかを』

「なに?」

『実のところ、候補は絞れていたのだ。王家がタンザナ以外の星に隠れ家を作ったという噂はあったからな。王国が把握している惑星で、現実的な距離にあり、不自由なく暮らせる星……だが、ひとつに特定することは困難だった。そこで革命軍は、処刑前に王妃に取引を持ちかけた』

「取引……?」

 

 リリアが訝しげに問う。ジェドは滔々と語り出す。そのバイザーの下で得意気な顔をしているのが、手に取るように分かる口ぶりだった。

 

『そうだ。「我々は候補を虱潰しにしてでも必ず王女たちを見つけ出し、大衆の前で処刑する。だが、お前が隠れ家の惑星を教えてくれれば、リリアとミクリア――()()()()()()は助けてやる」とな』

 

 ダルヤが苦虫を噛み潰したような顔をする。リリアとミクリアは目を見開き、そしてわなわなと身を震わせた。

 

『ダルヤ、貴様は知らんだろう。ディアマドは王妃、そして側室に二人ずつ子を産ませた。当たり前だが、側室の子を王子や王女にできる決まりなどない。だが、奴はその慣習を捻じ曲げたのだ。奴がその側室――()()にぞっこんだったからな! 王妃はそれが気に食わなかった。だから簡単によその娘を売ることができたのだ。ハハハハハ!!』

 

 ダルヤは「貴様……」と声に怒りを滲ませる。

 

「そんな話を聞かされて、オレが退()くとでも思ったのか」

『どうせ退かぬだろうとは思っていた。だが、お前が命を懸けて守ろうとしている者が、どれだけ腐った泥の中から生まれてきたのかというのを思い知らせてやりたかっただけだ』

 

 ダルヤは腰のバトルナイザーに手をかける。それを見逃さず、ジェドは「撃て!」と鋭く声を響かせた。

 小銃が火を噴くのと、バトルナイザーが光を放つのが同時だった。飛び出した金色の光は銃弾を掻き消し、小隊員たちのすぐ上空を通り過ぎる。すると地上に突風が吹き抜け、彼らは「うわあっ!!」と悲鳴をあげながらひっくり返った。

 

 金色の光がダルヤたちの背後でアリゲラの形に変わる。ジェドは、怪獣が突然出現したことに驚愕しているようだった。

 

『何だと……?!』

 

「キュァアッ!!」

 

宇宙有翼怪獣 アリゲラ 
体長:55メートル 体重:11,000トン 

 

 アリゲラのパルス孔が光弾を放つ。地上に爆発が起こり、小隊員たちは背を向け、喚きながら後退していった。

 その様を見送るダルヤの背中にディオーネが歩み寄る。目尻に雫を浮かばせながら、彼女は口を開く。どことなく呆れたような、それでも嬉しさが滲んだような声だった。

 

「内乱には介入しないのではなくて?」

「気分屋なんだよ。オレは」

 

 

 

『畜生……! 何なんだよ、あいつは!』

『どうして怪獣が突然現れたんだ?! あんなのアリかよ!』

『この装備で歯が立つのか……!? どうすんだ?!』

 

 口々に言い合う小隊員たちをジェドは『落ち着け!』と一喝した。

 

『我々には戦闘円盤がある! あれならば怪獣と戦うことが十分可能だ。何せ、政府軍が対宇宙怪獣用に異星人から買い入れた代物だからな。市民たちの血税が注ぎ込まれたことは腹立たしいが、我々の手によって有効活用させてもらおう』

『なるほど。流石っす、リーダー!』

『何としてでも王女たちは確保する! 貴様ら、逃げ帰りたいなどと思うなよ! ――円盤へ告ぐ! 我々を回収せよ。そして、戦闘形態への移行準備をしておけ!』

 

 円盤へ通信を送ると、船内に残っていた隊員から『了解!』と返事が来る。再び上空に浮上した円盤の下部から転送光線が放たれ、集まった小隊の全員を船内に戻した。

 

 

 

「あれは……?」

 

 ダルヤと共に円盤を見上げていたディオーネが声をあげる。

 平べったかった円盤だが、その下部から逆円錐状に機体が伸びた。全体的なシルエットが玩具のコマのようになった円盤は、さらに逆円錐の部分から二本のロボットアームを展開する。元の円盤の側面からは各方角にひとつずつ、合わせて四つの砲門が開かれ、中から砲口が突き出てくる。――戦闘態勢に入ったのだ。

 

戦闘円盤 ロボフォー 
全高:40メートル 重量:90,000トン 

 

「どうやら逃げ帰るつもりはねえようだな」

 

 そう呟いたダルヤは、直後、ハッと何かに気付いたようにした。

 

「アリゲラ! 宇宙船を守れ!」

「……!」

 

「キュァアッ!!」

 

 アリゲラが大地を蹴るのと、ロボフォーが赤いレーザーを発射したのが同時だった。

 レーザーが狙ったのはダルヤたちではなかった。彼らと円盤の中間地点に着陸していた宇宙船だ。それに向かってレーザーが降り注ぐ――

 

「――キュァアッ!!」

 

 アリゲラが宇宙船の前に立ち塞がる。翼を大きく広げ、宇宙船を守る盾となった。

 しかしその代償として、彼にレーザーが直撃する。降り注ぐそれらを身に受け、火花が派手に飛び散る。辺りにアリゲラの悲鳴が響き渡った。

 

「アリゲラ……! そんな!」

「みんな、宇宙船に乗り込め! この場所を離れるんだ!」

 

 フィオネがアリゲラを案じるが、ダルヤはそれどころではないと指示を出す。その判断に間違いはなかった。ロボフォーはアリゲラにレーザーを撃ちながら、円盤側面の砲身からロケット弾を乱射したのだ。

 駆けていく王女たちの周囲で爆発が巻き起こる。アリゲラの悲鳴に交じり、彼女たちの悲鳴もあがる。ダルヤは彼女たちの後を追いながらバトルナイザーを掲げた。

 

「アリゲラ! 敵の攻撃の手を止めろ!」

 

「キュァア……ッ!」

 

 レーザーを浴びながらも、アリゲラがパルス孔を輝かせる。二発の光弾を飛ばすが、ロボフォーのアームがそれらを弾き飛ばした。そしてアリゲラの反撃などなかったかのように、レーザーとロケット弾での攻撃を続ける。

 

「……っ!」

 

 ダルヤは上空の様子を確かめながら走っていたが、その中にひとつ、こちらに飛んでくる砲弾が見えた。このままでは確実に爆発が王女たちを襲う。そう確信したダルヤは、身に紫のオーラを纏い、地を蹴って大きく跳躍した。

 王女たちの頭上を飛び越え、向かってくるロケット弾を蹴り飛ばす。着弾させないことには成功した。しかし衝撃が与えられたことで砲弾が炸裂する。空中で広がった爆発にダルヤが吹き飛ばされる。

 

「ぐああ……っ!!」

「ダルヤ様?!」

「ダルヤ!」

 

 地面に転がるダルヤを王女たちは口々に案じるが、彼は「走れ!」と叫んで促した。

 彼女たちが駆け出すのを見て、ダルヤは体を持ち上げる。オーラで身を守ってはいたが、それでもダメージは大きかった。立ち上がるだけで一苦労に感じる。

 

「くっ……! アリゲラ!」

 

「キュァアッ!!」

 

 アリゲラがパルス孔に力を溜める。ただ、今度は光弾で攻撃するのではなかった。

 突如、ロボフォーの機体から火花が飛び散る。制御が利かなくなり、ふらつきはじめる。

 

 アリゲラのパルス孔は本来、超音波やマイクロ波を放つレーダー器官だ。今回は強力なマイクロ波による電磁パルスをロボフォーに向けて発信し、その電子機器を正常に機能させなくしたのだ。

 しかし、程なくしてロボフォーのコントロールが正常に戻る。機体のバランスが再び安定し、周囲への攻撃も再開される。ロボフォーは高度な科学力を持つ宇宙人が作り上げた円盤だ。恐らくはEMP攻撃への対抗策も備わっていたのだろう。

 

 とはいえ、少しは時間が稼げた。王女たちは宇宙船に辿り着き、急いで中に乗り込む。ダルヤの指示通り離陸しようとした。この場所を離れられれば、アリゲラが安心して戦うことができるはずだ。

 だが――

 

「う、動かないわ! 船体上部からレーザーに貫かれてる! 動力部が損壊!」

「そんな……!」

 

 アリゲラが立ちはだかるよりも一瞬先に、一筋のレーザーが宇宙船を貫いていたのだった。しかもそれは致命的な打撃をもたらしており、宇宙船はもう飛び立つことができない。つまり、王女たちはこの戦場から離れることができない。

 

「キィィイ……ッ、ギィイイイッ!」

 

 戦闘円盤というだけあり、ロボフォーの攻撃は苛烈だった。アリゲラは宇宙船を守るために動けない。仮に反撃に転じるタイミングがあったとしても、これまでのダメージの蓄積が大きすぎる。

 

「……」

 

 ダルヤは決意を込めた瞳で、上空のロボフォーを睨んだ。

 

「後悔すんなよ。オレにこいつを出させたことを……!」

 

 そしてバトルナイザーを掲げ――荒々しい声で、その名を叫んだ。

 

「いけッ! リザリアス!!

 

≪バトルナイザー モンスロード!≫

 

 バトルナイザーから射出された光が虚空を切り裂く。王女四姉妹も、ジェド小隊も、全員がその光に目を奪われる。

 宙に浮かんだ光は怪獣の巨躯を形作る。前方へ突き出た頭部、そして後方へ伸びる尻尾。大地を踏みしめる太い足。二足歩行の爬虫類型怪獣だ。

 

 光が晴れ、薄れていく。それにつれて、暗色のシルエットが明瞭な外見を表して皆の前に現出する。

 爛々と光る、紅い双眸。眼の後ろから尻尾の先まで、棘が一列になってびっしりと生え揃っている。肩からは猛牛のような捻じれた角が伸びている。全体的な輪郭こそすらりとしているものの、装飾のように纏われている鋭さは、この怪獣の凶悪さを物語っていた。

 

 藍鼠の表皮が太陽のもとに照らし出される。久方ぶりに吸う外の空気を満喫するかのように、怪獣は天を仰いで高らかに咆哮し、大気を震わせた。

 

「グォォォオオオオオオオン!!!」

 

レプタイルタイプビースト リザリアス  
体長:51メートル  体重:36,000トン  

 

「ダルヤの……二体目の怪獣……?!」

「アリゲラの他にもいましたの……?」

 

 宇宙船のブリッジで、モニターに映される怪獣を見て姉妹たちは驚く。

 一方、ロボフォーの内部も騒然としていた。

 

『二体目がでてきやがった……!』

『クソッ! いいところだったのに!』

『爆風に巻き込まれても生きてやがったし、何者なんだ?! 奴は!』

『落ち着け! 一体目はもう戦える状態ではない。攻撃を二体目に集中せよ!』

 

 ロボフォーが回転し、リザリアスに砲口を向ける。

 船内から伝わってくる敵意を鋭敏に感じ取り、怪獣の眼は血の色を滾らせた。

 

「やれ! リザリアス!!」

 

「グゴォォオオ、グォオオオオオン!!!」

 

 リザリアスは吠えると、大きく開いたその口から熱線を発射した。ロボフォーの表面に爆発が起き、機体が大きくぐらつく。

 

 しかし、ただでは転ばない。ロボフォーが反撃を開始する。アリゲラに撃っていたレーザー、そしてロケット弾を今度はリザリアスに向けて発射する。それらはリザリアスの体を襲い、または地上に着弾して爆発を巻き起こす。赤茶けた大地から巻き上がる粉塵が、リザリアスの姿を覆い隠す。

 

『やったか……?』

 

 だが――突如、砂煙の中から漆黒の影が飛び出してきた。

 リザリアスが大地を蹴り、大きくジャンプしていたのだ。降下する勢いを加え、その腕をロボフォーに振り下ろす。

 

『ぐぅぅぅうう……っ!!』

 

 後方に大きく撥ね飛ばされるロボフォー。一方、着地したリザリアスは再び地面を蹴り、ジャンプしていた。

 前方宙返りと共に自身の尻尾を繰り出す。ロボフォーの機体上部に叩きつけ、その装甲を凹ませる。それが電力系統にダメージをもたらしたのだろう。機体内部のコックピットでは各所から火花が飛び、阿鼻叫喚の図となっていた。

 

『ぐ……っ!! 撃て! 撃てぇっ!!』

 

 着地したリザリアスに向けてロケット弾が連射される。

 頭部、胸部、腹部、そして周囲の地面に着弾し、爆発が怪獣の体を飲み込む。

 

「ピャァァアアア……!」

 

 悲鳴をあげるリザリアス。だが――

 

「構うな、リザリアス! ぶち抜けッ!!」

 

 ダルヤにはリザリアスの体を労わる様子など微塵もなく、バトルナイザーを掲げて命令を下した。

 レイオニクスの闘志が怪獣に伝わる。粉塵の中、リザリアスの眼が真紅の光を放つ。叫び声をあげ、熱線を放つ。それは的確にロボフォーの砲門を捉え、砲身を破壊した。

 

 ただ、ロケット弾には残り三つの砲門がある。ロボフォーは90度回転して次の砲口を向ける。

 しかし、リザリアスはすかさず熱線を放った。砲門は発射することも許されず、先んじて破壊されてしまう。

 

『うわぁぁあああっっ!!』

『ダメだ、対応されてる! 砲門全部が潰されるのも時間の問題だ!』

『諦めるな! リング光線で奴の動きを止めろ!』

 

 円盤の側面には赤く明滅する部分があった。それは専用のレーザー発射口になっており、そこから緑色のレーザーが放たれる。リザリアスに命中すると、その体を縛りつけるリング状のエネルギーに形を変えた。

 

「ピギィィイイイ……!」

 

『やった!』『よしっ!』と策の成功に沸くコックピット。

 その円盤を地上から睨むダルヤの双眸は、どす黒い意志を孕んでいる。まるでリザリアスが乗り移っているかのようだ。「リザリアス!」バトルナイザーを掲げ、彼は声を張り上げる。

 

「んな拘束、ぶっちぎれッ!」

 

 拘束リングは複数が纏わりついている。リザリアスの口を抑えて閉じさせ、腕ごと胴体を締め付けている。

 命令を受けたリザリアスは顎と腕に力を込める。しかし、そうすればそうするほどリングの力が強まり、深く締めてくる。

 

 しかし、ダルヤの命令は変わらない。「力任せに引きちぎれ」――それだけだ。使役する怪獣の痛みなど気にも留めない。

 そして、リザリアスもまたそれに応える。ただひとつ、「攻撃」の意志だけを込めた双眸を光らせ、全身の力を解き放った。

 

「グォオオ……! グゴォオオオオオン!!」

 

『何だと!?』

 

 口、そして腕を拘束していたリングが弾け飛んだ。

 唸り声をあげながら、リザリアスは上空のロボフォーへ目を向ける。

 

『退避! 退避ーーっ!!』

 

「ギャオオォオオン!!」

 

「――いけぇッ!! リザリアス!!」

 

 ジェドの声に従って逃亡しようとするロボフォー。

 リザリアスの口から放たれた熱線が一直線に虚空を貫く。度重なるダメージに耐えられず、装甲が破られる。内部の精密機械をことごとく破壊しながら、熱線が機体を貫通する。

 

 そしてリザリアスは首を振り、熱線で薙ぎ払った。ロボフォーの機体が真っ二つに切り裂かれる。その軌道にはコックピットが位置しており、ジェドら小隊の人間は一人残らず熱線に焼かれることとなった。

 

 操縦者を失った円盤が傾き、地上に墜落する。

 赤茶けた大地の上、地平線の先まで届きそうな轟音を響かせながら、ロボフォーは無数の破片となって砕け散った。

 

「グォォオオオオオン!!!」

 

「……はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 勝利の雄叫びをあげるリザリアスとは対照的に、ダルヤは憔悴した様子で地面に膝をついた。

 宇宙船から出てきた姉妹たちが彼のもとに駆け寄る。彼を囲んで身を案じていると――地響きがした。リリアたちが顔を上げると、リザリアスが近づいてきていた。

 

「ギャォォオオオン!!」

 

「……な、何ですの?」

 

 フィオネがたじろぐ。この惑星までの旅路で見慣れたとはいえ、怪獣自体がもたらす威圧感はいつまでも感じるものだ。とはいえ、アリゲラに関してはダルヤの相棒ということもあってそれは薄れてきた。むしろ、安心感さえ覚えるようになってきたのだ。――それなのに。

 

 それなのに、このリザリアスという怪獣は、彼の所持怪獣でありながら安心感を抱くことはできなかった。もちろん、初めて見るということも影響してはいるだろう。だが、それだけでは済まされない強烈な圧迫感が、彼女の神経を刺激していた。

 

「……くっ」

 

 ダルヤが精一杯といった様子でバトルナイザーを持ち上げ、リザリアスに向ける。

 そのとき、怪獣の態度が一変した。まるで怒ったように咆哮し、大口を開けたのだ。その牙の間にはよだれが引くのが見えた。

 

「まさか、わたくしたちを食べようと……?!」

「みんな、危ない!」

 

 リリアが叫ぶのと、辺りに突風が吹き荒れたのが同時だった。

 

「――キュァアアッ!!」

 

 突如、アリゲラが横手から飛んできたのだ。

 ジェット器官を活かしての体当たりでリザリアスが吹っ飛ばされる。起き上がった彼は、仲間であるはずのアリゲラに対して吠える。対してアリゲラも、威嚇の声を響かせる。

 

「グォォオオオン!!」

「キィィイッ!! ギィイイイッ!!」

 

「な、何が起きているんですの……?」

 

 フィオネが狼狽の声を出す横で、ダルヤはよろよろと立ち上がっていた。

 

「も……戻れ。アリゲラ、リザリアス……」

 

 その言葉で、二体の怪獣が光に変わってバトルナイザーに戻っていった。

 ダルヤは肩で息をしながらも、「すまなかった」と謝った。

 

「リザリアスは……『スペースビ―スト』という特殊な怪獣なんだ。行動原理が『攻撃』と『捕食』だけという凶悪なやつで……まだ制御しきれてない。それどころか、リンクしたオレまで荒っぽくなっちまう」

 

 ロボフォーの墜落地からあがる火の手を眺めて、ダルヤは溜め息を吐いた。

 

「あの様子じゃ、生存者はゼロだな」

「……」

 

 ダルヤの口調は虚しそうだった。

 どことなく寂しそうな彼の顔を見上げながら、「ダルヤ」とリリアは口を開く。

 

「姉妹を代表して礼を言います。……感謝いたします。みんなを守るために戦ってくださって」

 

「いいんだよ」そう言って、彼は笑んでみせた。

 

「仲間を守りたかっただけさ」

 

 


 

≪登場怪獣≫

 

■戦闘円盤 ロボフォー

全高:40メートル

重量:90,000トン

 

『ウルトラマン80』第24話「裏切ったアンドロイドの星」に登場。

 

円盤形態から変形した銀色の戦闘円盤。

多数の砲門を備え、レーザーやロケット弾、戦闘機の動きを止めるストップ光線、敵を拘束するリング光線といった多彩な攻撃手段を持つ。

 

原典ではファンタス星人が操っていたが、本作では同型機が市場に出回っている。

惑星タンザナは宇宙怪獣への対抗策としてこれを購入しており、その後ジェドたちが搭乗することとなった。

 

 

■レプタイルタイプビースト リザリアス

体長:51メートル

体重:36,000トン

 

『ウルトラマンネクサス』第30話「監視者 -ウォッチャー-」に登場。

 

二足歩行の爬虫類型怪獣であり、スペースビ―ストの一種。

正統派な怪獣といった風貌で、熱線や尻尾での攻撃を得意とする。

 

本作ではダルヤが所持する怪獣となっている。

アリゲラと比べるとスピードは大きく劣るものの、パワフルな肉弾戦が可能で、地上戦はリザリアスのほうが得意。

また、レイオニクスの指示により、本来はしないアクロバティックな攻撃も見せる。

 


 

≪登場人物≫

 

■ディアマド・カイルライト3世

年齢:51歳(享年)

身長:177㎝

 

惑星タンザナ、カイルライト王国の国王。

黒髪と白髪が混じった髪をしている。

 

暴君として名を轟かせており、彼の放蕩が王国没落の主因となった。

反乱分子は容赦なく処刑し、実際に反乱が起きた地では徹底的な虐殺を行った。

 

娘たちへの愛情は本物であり、王国の滅亡を確信しても、自分の存在が邪魔になると考えて娘たちだけを逃亡させていた。

 

 

■ジェド

年齢:44歳

身長:182㎝

 

カイルライト王国に反旗を翻した革命軍の小隊長。

内乱終結後は王女四姉妹の捕獲任務を命じられ、戦闘円盤に乗って惑星ヘイスティへと向かうこととなった。

 

ディアマド3世の時代を始まりから体験しており、暴君に対する恨みは計り知れないものがあった模様。

 


 

≪用語≫

 

■惑星ヘイスティ

カイルライト王家の隠れ家がある惑星。

隠れ家は何ヶ所かに分けられていたが、この星は「王国の滅亡が決定的となった場合」の疎開先に定められていた。

 

 

■カイルライト王国の側室制度

カイルライト国王は側室を持つことが許されているが、王妃と比べると地位は落ち、その子供には基本的に王位継承権は与えられない(王妃との間に子供が生まれない場合や、王子・王女が死亡して継承権を持つ者がいなくなった場合などは例外となる)。

 

ディアマドはお気に入りの娼婦を側室に迎え入れたが、そんな身分の者は過去に例がなく、物議を醸すこととなった。

さらには慣例を無視して彼女との娘であるフィオネ、ディオーネに王位継承権を与えた。

王妃は当然不満を抱いており、二人の特異体質が判明してからは、特に警戒を強めていた。

 

 

■スペースビ―スト

「攻撃」と「捕食」によって知的生命体の「恐怖」という感情を引き起こすことを行動原理とする、極めて凶悪な生命体。

その特性ゆえに、知的生命体の天敵とも表現できる。

 

レイオニクスがスペースビ―ストとリンクする際、精神的影響が発生する。

ビーストの本能が乗り移ったように過剰に攻撃的になるため、制御するには高い技量と強靭な精神力が求められる。

(※本作独自の設定)

 


 

――第1章 完

 

 

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