YOUKAI SLAYER~ゲンソウキョウ炎上~   作:さわやか

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ここは一般の世界から隔離されたマッポー*の世、「ゲンソウキョウ」。
幻想となった者が集い、生活していく場所。
その中では「妖怪」「人間」「その他」の3つの種族が対立し合いながらも共存の道を歩んでいた。


妖怪殺す者
ヨウカイスレイヤー


「こうして家族で森に行くのも久々だな!」

 

「そうね。楽しい?カズヤ。」

 

「楽しい!ヤッター!」

 

微笑ましそうに手を繋いで歩く3人の家族。

彼らはゲンソウキョウの人里に住む一般人間であった。

週に一度の休日にこうして森へ出かけるのである。なんとも奥ゆかしい光景だ。

そしてそれを見守る1つの影。

 

「・・・おいしそうな、人間」

 

 

 

 

「ここでお昼にしましょうか?」

 

「そうだな、俺もう空腹でナムアミダブツ*しちゃいそうだ」

 

「あはは!ナムアミダブツだって!」

 

「こら、変な言葉言わないの!」

 

「いいんだよチエ、子供はこれくらいの元気が丁度いいんだ」

 

「そうかしらね・・・アバーッ!?!?!?!?」

 

 

なんと突然!母親の腕が千切れた!呆然とする父親、状況が理解できない子供。

そしてそれは確実に、ヨウカイの仕業であった。

 

「あーサイコウ!やっぱり新鮮な人間は違うわね!」

 

家族の前に金髪、赤眼、そしてリボンをつけた狂気じみたヨウカイが現れる!

彼女の名はルーミア。人里に最も近く、最も恐れられているヨウカイ。

その右手には母親の腕だった物!それを頬張るルーミア!コワイ!

父親はしめやかに失禁!YRS*を起こす。

 

「アイエエエエエエエ!?ヨウカイ!?ヨウカイナンデ!?」

 

「うふふ、いただきまーす」

 

絶叫する父を横目に、ようやく今起きた事実を受け止める少年。

 

「え・・・?お母さん?お母さんどうしたの!?」

 

「・・・げて・・・にげて・・・」

 

決死の覚悟で叫ぶ母親、だがその声はあまりに小さく脆かった。

父親が居た場所にはネギトロ*めいた死体が横たわる。ナムアミダブツ!

 

「お・・・お父さん・・・アイエエ・・・」

 

「あら、美味しそうな子供。食べがいがありそうね・・・」

 

掴みかかるヨウカイ。懇願する少年。

 

「やめて・・・タスケテ・・・カンヌシサマ・・・」

 

「キミはすぐには殺さない。ゆっくり皮を剥いで、少しずつ少しずつ、食べるのよ。」

 

「嫌だ・・・そんなの・・・」

 

少年の声は虚しく第一の悲鳴が上げられる!カンヌシよ、いつまで寝ているのです!

 

「まず最初!」

 

「アアアアアアアアア""""!!!!イタイ!!!!イタイ!!!!」

 

「イイ!その顔サイコウよ!もっと・・・」

 

「止めてえええええええええええ!!!!!」

 

「あああああ!ゾクゾクしちゃうわ!」

 

狂ったように少年を傷つけるルーミア。

その行為の根本には彼女が常軌を逸したサディストな事情があった。

 

(嫌だ!こんなの!助けて・・・誰でもいいから助けて!!!)

 

そう少年が願った時、心の中に何かが、ソウルが語りかける。

 

 

(憎いか・・・?ヨウカイが・・・殺したいほど。)

 

 

(・・・憎い・・・!殺したい!だから力を貸して・・・)

 

 

(いいだろう。我が名はカゲロウ。君に力を貸す者だ)

 

 

その瞬間!少年に「気」が宿り、凄まじい威圧を放つ!

思わず金髪ヨウカイは後ろへ飛び下がる。

 

(何、この気は!?この少年が出しているの!?狂おしいほどの殺意・・・吐きそうなほどに・・・)

(それに、感じる・・・これに宿る力!ニンジャ!?何者だこいつ!?)

 

そして突如現れた炎に少年は姿を消す!ルーミアは棒立ち!

しかしその心にはその威圧から解放された、安心感があった。

 

 

 

 

 

里へ帰った少年。しかし周りの反応は180度回転する。ムラハチ*だ。

元々少年の親は村からいい目で見られてなく、その子供が親を亡くし、キズだらけで帰ったゆえの行為。

子供が見れば親無しと言われ、大人には見ても貰えない。石を投げられる事などチャメシ・インシデント*である。

誰でも歓迎の寺子屋でさえ、何故か彼を受け入れることは無かった。もはや少年に生きる術は無いと思えた。

 

そんな少年を拾ったのは人里にある唯一の小さなドージョーの師範だった。

 

「お主・・・ニンジャを宿しているな!?」

 

「師範さん?ニンジャって?」

 

「・・・我がドージョーへ来い。私はヤマト、お前の人生は私が鍛えてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから十数年後。

あの日から少年は毎日絶対に欠かさず、ヤマト師範と修行を重ねた。

雨の日も風の日も嵐の日も、村がエジャナイザエジャナイザ*と祭り騒いでいる時も。

人里の村には出れなかったし、その修行は実際*ハードだった。

地道な訓練の果て、少年は人間とは思えない力を手に入れた。ニンジャパワーである。

それはヤマト師範に、ニンジャソウルの存在を確信させたのだ。

そしてついにその日がやって来る。

 

 

「これでもう教える事は無い。お前の力はとうに私を超えた。」

 

「・・・今までありがとうございました、センセイ。」

 

カズヤが感謝の意を述べる。その姿はどこか哀愁が漂っていた。

 

「忘れるでないぞ、その力は正義の為。決して悪の道に手を染めてはならぬ」

 

「センセイ。・・・最後に教えて下さい。ニンジャとは一体何ですか?」

 

「いいだろう・・・」

 

 

ニンジャとは数百年前に絶大な力を持ってゲンソウキョウを支配した一人の人間だった。名をカゲロウと言う。

その者はその戦闘スキルと何十年もの修行を経て、もはや人とは思えない力を手にした。

ヨウカイは勿論、最強と言われたオニまでもが彼に歯向かう事は無かった。

いつしかその者はカゲロウ・ニンジャと呼ばれていた。

 

しかしある日、カゲロウは憎まれていたヨウカイからのカゲウチを受け死亡。

それをきっかけに人間はヨウカイから一方的な侵略を受けるようになった。

 

 

「・・・そしてお主、カズヤが宿すソウルこそ、そのカゲロウ・ニンジャという事だ。」

 

「成程、薄々気づいてはいましたが・・・やはりそうなのですね」

 

「だからこそ悪しき行為は絶対にならぬ。かつてのカゲロウのように、身を滅ぼすぞ」

 

「勿論です。センセイ。お世話になりました。オタッシャデー!」

 

「・・・行ってしまったか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさに人外と言えるべき速さで、夜の中を飛ぶカズヤ。その行き先はかつての森だった。

その森できらりと光る髪を発見する。

全く変わっていない子供の容姿が、その者がヨウカイという事をはっきりと認知させる。

 

「見つけたぞ、ルーミア=サン・・・」

 

カズヤの体からオーラが湧き上がり、黒いキモノとなってカズヤの体に纏わる。

それは正にカゲロウ・ニンジャが使っていた戦闘服である。そして最後に顔に赤いメンポ*が装着される。

そのメンポには、二文字のカンジが書かれていた。「妖殺」と。

今の彼はカズヤでは無い。ヨウカイ殺す者、ヨウカイスレイヤーなのだ!

 

ルーミアを視界に捕らえたヨウカイスレイヤーは、なんと上空に舞い上がり、急降下!ワザマエ*!

ヨウカイスレイヤーは足に炎を纏いカカト・ドロップキックを繰り出す!アンブッシュ*である!

 

「イヤーッ!」

 

ルーミアこれをギリギリで回避!戸惑いを隠せない!

 

そしてその前に立つは黒い装束に赤いメンポ!ヨウカイスレイヤー!殺戮者のエントリーだ!

 

「ドーモ、ルーミア=サン。ヨウカイスレイヤーです。」

 

「なっ!そのアイサツは!」

 

聞いたことがある。遥か昔、伝説のニンジャがヨウカイとの決闘の合図とした独特のアイサツ。

これを受けたヨウカイは、アイサツを返す。これが決闘の始まりとなる。

返しは必ずである。もしアイサツを返さなければスゴイ・シツレイに値するのだ。

これは古くからヨウカイに受け継がれる伝統であった。

 

(それにしてもヨウカイスレイヤー・・・妖怪殺す者?ふざけた名前だ。)

 

「ドーモ、ヨウカイスレイヤー=サン。ルーミアです。 カゲロウ・ニンジャの真似事かしら?人間。」

 

「まずは親父と御袋の仇だ・・・ヨウカイ殺すべし」

 

そう言ってヨウカイスレイヤーは複数のスリケンを投げつける!

が、ルーミアはこれを謎の黒い光弾で打ち落とす!

 

(これがヨウカイの力、ダンマク・ジツか・・・初めて見たな)

 

繰り返しスリケンを投げつけるヨウカイスレイヤー!

だが無残にも全てのスリケンは打ち落とされてしまう!

 

「それだけかしら?ヨウカイ・スレイヤー。ならこっちから行かせて貰うわよ!」

 

突如現れた膨大な数の黒い弾がニンジャスレイヤーを襲う。

咄嗟にスリケン・ジツで受けるが、その数により徐々に差が迫っていく。

 

(受けきれないか!ここはかわすしか無い!)

 

「予想通り、あなたの負け!」

「闇符『ダークサイドオブザムーン』」

 

その瞬間、ルーミアの周囲に無数のダンマク・ジツが張り巡らされる!

これがヨウカイのヒサツ・ワザ*である、スペルカード・ジツ!

 

必死にスペルカード・ジツをかわし続けるヨウカイスレイヤー!グレイズ!グレイズ!グレイズ!

だがしかしついに直撃してしまう!

 

「グワーッ!」倒れこむヨウカイスレイヤー!

 

「ふふふ、勝負、あったようじゃないかしら?」

 

ルーミアがヨウカイスレイヤーに近寄り、そのメンポを覗き込む。

だがそこにあったのは木で彫られたカンヌシ像であった!ミガワリ・ジツだ!

 

「イヤーッ!」

背後からのヨウカイスレイヤーの奇襲をダイレクトに受けるルーミア!

 

「グワーッ!」

 

ヨウカイスレイヤーが炎を拳に纏う!バーニング・チョップだ!ルーミアは避けられない!

 

「イヤーッ!」

 

「グワーッ!」

 

連続攻撃!

 

「イヤーッ!」

 

「グワーッ!」

 

「イヤーッ!」

 

「グワーッ!」

 

 

ルーミアは立ち上がれない!

 

「今も昔も、カラテ*を極めた者が上を行くのだ。ハイク*を詠め、カイシャクしてやる。ルーミア=サン」

 

「ちくしょおおおおおおおおおお!ヨウカイの私がああああ!こんな人間風情に!!!」

 

「とどめだ、ルーミア=サン!」

 

勢いをつけたチョップがルーミアを襲う!ルーミア動けず!

 

「イイイイイヤーーーーッ!!!!」

 

 

ニンジャスレイヤーのチョップは心臓を貫通!

 

「・・・ふふ、私を殺したらどうなると思う?ヨウカイヤが黙っちゃいないわよ。」

 

「それでもヨウカイを殺し続けるだけだ。慈悲はない」

 

 

 

「サヨナラ!」ルーミアは爆発四散*!

 

「・・・親父、御袋、仇は取った」

 

そう呟いたヨウカイスレイヤーは、森を背に向ける。

仇取りは終わったが、ヨウカイへの復讐はまだ始まったばかりだ!走れ!ヨウカイスレイヤー!走れ!




ナムアミダブツ・・・主に南無という感じの表現。
YRS・・・ヨウカイリアリティショック。人間がヨウカイを見たときの本能的なショックである。
ネギトロ・・・グロい、ネギトロに似た何か。具体的な表現は避けます
ムラハチ・・・村八分の意。社会的な制裁を意味する。
チャメシ・インシデント・・・日常茶飯事。
エジャナイザ・・・ええじゃないか。祭りの時の掛け声。energizerをかけているかも。
実際・・・とても。かなり。
メンポ・・・素顔を隠すために身につけるマスク状防具。
ワザマエ・・・ニンジャやヨウカイの腕前を賞賛する言葉。
アンブッシュ・・・アイサツをする前に奇襲を行う行為。腕試し的な意味で、1度だけ認められる。
ヒサツ・ワザ・・・必殺技。
カラテ・・・近接戦闘の事。ヨウカイスレイヤーが最も得意とする手段である。
ハイク・・・ヨウカイは自らの死を悟るとハイクを詠むという作法がある。
爆発四散・・・ヨウカイが死亡した時に起こる現象。本当に爆発が起きる。

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