YOUKAI SLAYER~ゲンソウキョウ炎上~   作:さわやか

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陽炎

魔法使いの人間。羽の生えた少女。

どちらも一人づつ戦えば、すぐに爆発四散させられる程の実力だった。

だが今は・・・

 

「イヤーッ!」

 

コアの突進カラテ。流せないこの攻撃は避けるしか傷をつけない方法はない。

だがヨウカイスレイヤーの空中回避の先には剣めいて尖った氷柱!

軌道修正!また氷柱!軌道修正!またまた氷柱!

そして最後、地面に着地せんとしていた瞬間・・・

 

「そこよ!火符『アグニシャイン』!」

 

パチュリーのスペルカード・ジツ!ヨウカイスレイヤーは避けられない!

魔方陣から火炎放射器めいて発射される炎がヨウカイスレイヤーを炙る!ナムサン!

 

「グワーッ!!!」

 

思わずのた打ち回るヨウカイスレイヤー。

自らのホノオ・ジツで負担を軽減するが体は火傷だらけ!

どうすればいい、そう己に問いかける。

そして一つのアイデアがヨウカイスレイヤーに浮かぶ!

 

「ウオーッ!!!」

 

最大限の速さでパチュリーに飛び掛る。その時速は200キロを超えていた!

パチュリーは避けきれない!

素早いコアはパチュリーを援護せんと同じように横から飛び掛る!

ヨウカイスレイヤーのバーニング・チョップに回し蹴りを合わせようとした瞬間・・・

 

「グワーーーーーーーッ!!!」

 

吹き飛ばされたのはコアと木製カンヌシ像!

そう、最初から標的はコアだったのだ。飛び掛りの隙をついたミガワリ・ジツ!

動揺するパチュリー。手は慌てて攻撃の構えを取る。

 

「クソッ!終わりよ!月符『サイレントセレナ』!!」

 

地面に現れた魔法陣から無数の光のレーザーが上へと向かう。

だが既にそこにヨウカイスレイヤーの姿はない。

ヨウカイスレイヤーは・・・なんと真後ろ!

 

「グガァッ・・・」

 

スリケンによりパチュリーの喉はかき切られる。

気配さえ感じさせないアンサツ・ジツ!ワザマエ!

パチュリーはハイクを詠む暇さえなく爆発四散!

 

「き、貴様ぁ!よくもパチュリー様を・・・」

 

そうコアが叫んだが、ヒライシンがコアの頭に突き付けられる。

 

「ハイクを詠め。カイシャクしてやる、コア=サン」

 

無慈悲な言動に思わずポロポロと涙をこぼすコア。

そして震えた声でこう言った。

 

「お願いします・・・助けてください・・・ヨウカイスレイヤー様・・・私はまだ死にたくない・・・」

 

「貴様らはそう言って命乞いをした人間を一体何人殺したんだろうな!?」

 

「ア、アイエエエエエエエエ!!!!!!」

 

そしてコアがとった行動・・・それは最上級のシャザイ・ジツ、ドゲザ!

服従を誓い下僕の立場を甘んじて認めるという究極のポーズ。

それ程に、ヨウカイスレイヤーが恐怖に感じたのだろう。だが答えはこうだった。

 

「貴様は見ているだけで腹が煮える・・・ジゴクで後悔するんだな!」

 

そういって首をハネる。黒い装束に赤い斑点模様が飛び散った。

無残にもドゲザのまま爆発四散するコア。

 

「・・・ヨウカイもどきが・・・そこまで堕ちれる物なのだな」

 

ヨウカイスレイヤーはまた歩き出す。

 

 

 

 

 

数分後。周りにヨウカイの気配は殆ど無かった。

・・・目の前の強大な気を除いては。

 

「思ったより早かったわね?」

 

「ドーモ、レミリア=サン。・・・随分と数が少ないな。これで全部か?」

 

「ドーモ、ヨウカイスレイヤー=サン。少数精鋭が売りなの。・・・最も、今じゃそれも機能しないようだけど。」

 

「貴様を倒せばコーマカンは終わりだ・・・覚悟しろ」

 

そう言うと、大きな笑い声をあげるレミリア。

その笑いは蔑みではなく、単なる面白さに笑っているようだった。

 

「何がおかしい!」

 

「・・・私の力を知っているかしら?運命を操る能力・・・見えるのよ。貴方、ヨウカイスレイヤー・・・キサラギカズヤが床に倒れこむ姿がね」

 

「ハッタリが!イヤーッ!」

 

ヒライシンを構え閃光めいて飛び掛る!

しかし何とレミリアは腕の振り一つでヒライシンを弾いてしまう!

 

「なっ!?」

 

「・・・自分の力に自惚れると、痛い目を見るのよ・・・」

 

顔を上げる隙も無く蹴りを決められるヨウカイスレイヤー。

その蹴りは小さい女子にもかかわらず今までのどんな攻撃より、速く、鋭く、美しく、そして力強かった。

 

「ガハッ・・・」

 

あばら骨を何本も持っていかれる。立とうにも体がいう事を聞かない。

そして追撃のカカト・ドロップが決まってしまう。

 

「まさかこんな奴にやられてるとはね・・・本当、弱いんだから」

 

その赤い目は、悲しみと同時に、深い怒りを垣間見せていた。

それは愛する部下を殺された怒り。その力は何よりも強力だった。

動かないヨウカイスレイヤー。勝負あったかと思われた。

 

(・・・醜い。醜いぞ、その姿。我の前でなんて物を見せるつもりだ。)

 

(煩い!俺は全力を出した!)

 

(全力がその程度か・・・もういい。強制的に我を憑依させてもらう。)

 

(な、何をする!やめろ!)

 

その瞬間、十数年前に起きたあの気の嵐が、再び巻きおこる。

身構えるレミリア。吹き飛ぶ窓ガラス。

ヨウカイスレイヤーの右目には・・・紅い炎が宿っていた。

 

「・・・あまり力が出なかったな・・・まあいい・・・」

 

レミリアは立ち尽くしていた。

瀕死にさせたはずのヨウカイスレイヤー。目の前に突如現れる強大な気。

それは間違いなく・・・カゲロウ・ニンジャ!

 

「お、お前は!?」

 

「レミリアか・・・久しいな・・・500年振りか?」

 

勿論、レミリアは500年前には小さすぎる赤ん坊だった。

だが彼女は覚えていた。とてつもない恐怖の気が、彼女の前に現れた事を。

それは一種のトラウマに近かった。

 

「あ・・・あ・・・」

 

しめやかに失禁するレミリア。

仁王立ちでじっと見つめているヨウカイスレイヤー。

 

「どうした、かかってこないのか・・・?」

 

「くそおおおおおおおおおお!!!!」

 

巨大な槍のようなエネルギーがヨウカイスレイヤーに矛先を向ける!

最初から全力のレミリア!

 

「スピア・ザ・グングニル!!!!!」

 

全てのエネルギーを集結させる。ヨウカイスレイヤーは避けない!直撃!

しかしそこに現れたのは・・・

 

「全く雑なジツだ。本当に戦う気があるのか・・・?」

 

傷一つつけていないヨウカイスレイヤーの姿。

 

レミリアは必死で思考を張り巡らす。

勝つ術ではなく、逃げる術。この状況から背を向ける術。

しかしその能力・・・運命を変える能力を持ってしても・・・それは不可能だった

ゆっくりと歩み寄るヨウカイスレイヤー、もといカゲロウ。

レミリアにはいつしか懺悔の念がこみ上げ、涙を流していた。

 

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

 

顔を伏せ、ぶつぶつと謝罪を繰り返すレミリア。

そしてその頭部には、拳が構えられる。

 

「ヨウカイ殺すべし」

 

無慈悲にも頭部を吹き飛ばす!腕、体、脚と次々と吹き飛ばす!

そこに残っていたのはもはや原型を留めていないネギトロめいたレミリアだった物。

ヨウカイスレイヤーはフッ、と笑い、部屋の奥に目をやる。

壁をぶち抜くと、そこには同じく紅い目をしたレミリアより少し若い少女が怯えた目でこちらを見ていた!

 

「お姉さま・・・お姉さまは・・・?」

 

「レミリアは殺した。お前も殺す。・・・インガオホー」

 

「・・・うわああああああああ!!!!」

 

狂ったように連撃を仕掛ける少女。

その一発一発はヨウカイスレイヤーに防御の構えを取らせる程の力であった!

 

「姉よりは腕があるようだな、フランドール?まだまだ物足りんがな。」

 

フランドールは一歩飛びのき、ヨウカイスレイヤーに手の照準をかざす!

相手の最も脆い場所『目』を壊し、一撃で勝利を収める、ハカイ・ジツ。

しかし最終兵器といえるその攻撃も、ヨウカイスレイヤーには及ばなかった。

『目』を手のひらに移動させた時、フランドールの頭はすでに無くなっていた!ナムサン!

 

「吸血鬼、まだまだ甘い種族だったな」

 

最後に一撃を食らわす。再生機能のある吸血鬼に対して、手加減や油断は許されないのだ。

 

「こんなひ弱な体を乗っ取っても仕方ない・・・カズヤ・・・まだまだ期待しているぞ」

 

そう呟いた瞬間、ヨウカイスレイヤーの蒼い目は消え、その場に倒れこむ。

それは装束もメンポも無い、キサラギ・カズヤそのものだった。

 

 

そしてこの日、コーマカンは一人の男の手によって、崩壊した。

 

コーマカン強襲編

END

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