YOUKAI SLAYER~ゲンソウキョウ炎上~ 作:さわやか
前進
「ドーモ。ご無沙汰しておりました、センセイ。」
「おお、良く帰ってきた、カズヤ・・・いや、ヨウカイスレイヤー。」
昨日の、あの出来事。
屈辱な敗北の末、カゲロウに意識を乗っ取られたヨウカイスレイヤー。
起き上がった時、彼は恐怖した。コーマカンの血塗られた光景と、自身の未熟さに。
その時からヨウカイスレイヤーは、いかに自らを昇華させるかを考えていた。そして今、
ヨウカイスレイヤーは故郷である、人里のドージョーへ出向いていた!
「センセイ。実は私は・・・」
「分かっておる。お前の言いたい事は。・・・このマキモノを持っていくがよい」
ヤマトはカズヤに、1つの薄く古びたマキモノを渡す。
カズヤがそれを開くと、マキモノには複雑めいたマップが奥ゆかしく描かれている。
「このマップは・・・」
「昔の事だ。ある旅人がここへ来てな、強くなりたければと、このマキモノを私に渡したのだ。」
「それで、センセイは・・・?」
「・・・辿りつけもしなかった。だがヨウカイスレイヤー。お前の力を持ってすれば・・・」
「分かりました。・・・お世話になります。オタッシャデー!」
カズヤの心は強くなりたい、それだけであった。
センセイでさえたどり着けなかった未知の場所。
そこに行けば、新たな自分に、新たな強さに出会える・・・
何も知らないのに、何故かそう確信していた。
「・・・馬鹿な・・・」
マップには確かに、ここの洞窟が描かれている。
だがなんと言う事か!その穴を塞ぐのは巨大な岩!
これには流石のヨウカイスレイヤーも驚愕する他無かった。
「一体どうやってこんな岩を・・・だが、やる事は一つだ」
そう呟き、ヨウカイスレイヤーは岩の前でカラテの構えを取る。
右腕にニンジャエナジーを集中させ、静かに姿勢を崩さず岩を見つめる。
その腕は筋肉がフジヤマめいて隆起していた!ゴウランガ!
「ウオオオオオオオオオ!!!!!!」
超人的な速さで岩へセイケンを叩き込む!ワザマエ!
岩はひび割れ、今にも崩れださんとしている!そして・・・
「イヤーッ!!」
追撃のセイケン!巨岩はそのバランス崩し雪崩めいて崩壊を始める!タツジン!
そして砕いた岩のその先に見えたのは階段!
そう、この岩は入り口を隠すためのトラップだったのだ。ヤマトが入れなかったのも無理ない。
静かにその歩みを進めると、階段を上った先、地上に出た。
そして目の前には超自然的な建物が構えている!
「ここがマキモノに書いてあった・・・」
その瞬間、刃型の衝撃波がブーメランめいてヨウカイスレイヤーに飛び掛る!
咄嗟にそれを回避、しかし動揺を隠せない!
「何奴!?」
「ドーモ、ヨウカイスレイヤー=サン。ヨウムです。」
ヨウムと名乗り白く透き通るような髪をした少女は、同じような色のカタナの刃をこちらに向けている。
今にも殺さんばかりの殺意アトモスフィア*な目!バストは平坦であった。
「・・・ドーモ、ヨウム=サン。ヨウカイスレイヤーです。」
「噂は聞いていますが・・・無理やり入ってくる無礼者など斬っても構わないですよね?」
「お主はヨウカイの気は感じられないが・・・面白い!ここに来た甲斐があったという物だ!」
ヨウカイスレイヤーはヒライシンを構える。
カタナにはカタナで応じるべし、古事記にもそう書いてある。
「なっ!そのカタナは・・・」
ギリリと歯を鳴らした後、ヨウムは横に一閃!
その瞬間、カタナから先程の衝撃波が飛び出す!
身を交わし続けるがその振りには隙は無く、一向に近づけないばかりだ!
しかしここでヨウカイスレイヤーはある行動に出る!
「イヤーッ!」
おお、なんと言う事だ!斬撃の中央部を強引に切り抜け、突きの構えのまま突進するヨウカイスレイヤー!
しかしヨウムは待っていたとばかりに受けの姿勢を取る。カウンターを決める気だ。
対するヨウカイスレイヤーは・・・縦回転切り!突きの姿勢からの無理やりな攻撃!これぞニンジャだからこそ成せるワザだ。
「くっ・・・」
想定外の攻撃に後ろへ下がるヨウム。
正確に、鋭く、力強く、その長いカタナを振り払う!
強大なリーチにより刃先が肩にグレイズ、出血!
「チッ・・・妖刀か!イヤーッ!」
ヨウカイスレイヤーはイノシシめいて突進、当然ヨウムは受けの構え!
カタナのリーチぎりぎりでバックステップ、スリケン・ジツを展開!
スリケン・ジツを見事なワザマエで裁ききるヨウム。
しかしバランスを崩された彼女は一瞬、宙に体が浮く。
そのコンマ1秒の隙を見逃さなかった!懐へ潜り込み、回し蹴りで地面へと叩きつける!
「ガハッ・・・」
次の瞬間には、地面に倒れこむヨウム。
そしてそれを押さえつけ、首にヒライシンを突けるヨウカイスレイヤー!勝負あり!ゴウランガ!
「カタナの腕は一級のワザマエだが・・・カラテの間合いでは意味が無い。良い戦いだった、ユウジョウ!」
「・・・負けました、ヨウカイスレイヤー=サン。ユウジョウ。」
カタナを地面に置くヨウム。
いくらアンブッシュされたといえ、ヨウカイでない者を殺すなんてヤクザ・ヨウカイめいた真似はしない。
チェックメイトはすなわち勝利であり、降参は敗北を意味する。
そして決闘は終結を迎える。これぞ奥ゆかしいニンジャの決闘だ。
「それで・・・なんのご用件で?」
「このマキモノを見て、ここに来た。期待通りの場所だったようだな。」
「これは・・・」
ヨウムはじっくりとマキモノを見つめた後、ちらりとヒライシンに目をやる。
「あなたは、もしやヨウキ師匠のお知り合いですか・・・?」
「ヨウキ・・・?聞いた事無いな。」
「・・・そうですか。とにかく、中へお入り下さい。」
建物の中に入るよう進められる。
その看板には、タツジン重点なカンジで『白玉楼』と書いてあった。
「なるほど、そんな事がねえ・・・」
目の前で話を聞いているのは、この広いハクギョクロウの主、ユユコ。
何でも彼女はヨウカイでも人間でもオニでもなく、幽霊という不思議生命体らしい。バストは実際豊満であった。
「ユユコ。この場所には2人以外見ないが、もしや・・・」
「そうね。マキモノを書いたサムライ、ヨウキ=サンは残念だけど、もうここには居ないの。期待はずれだったかしら?」
「とんでもない。先程は実際良いカタナの腕を見せてもらった・・・」
ヨウムは顔を赤らめ、照れるように否定する。
「そうだ、一つ提案があるんだけど・・・ヨウカイスレイヤー=サン、ハクギョクロウに住むのはどうかしら?」
「・・・どういう意図だ、ユユコ=サン。俺はヨウカイ殺す者。それを安易に受け入れては、被害を蒙る事になるぞ。」
ユユコは少しのシンキングタイムの後、こう述べた。
「私、いや私達は、ヨウカイには少なからず因縁があるの・・・貴方が居てくれれば、こちらも戦力になる。貴方はヨウカイを殺せる。どう?乗る気は無い?」
願っても無い事であった。
安定した住居、それだけでも実際いい物だ。さらにヨウムのカタナのワザマエ。あれを盗めば、さらなる高みへと上る事が出来る・・・
「勿論だ。喜んで受けよう。」
「本当!・・・感謝するわ、ヨウカイスレイヤー=サン。」
こうしてヨウカイスレイヤーは、さらなる強みを目指すための第一歩を踏み出した。
そしてそれは同時に、ヨウカイのマッポー社会への第一歩でもある・・・全てはそのようなことなのだ。
ここはとあるゲンソウキョウの一角・・・
そびえたつビルディング、もうもうと立ち上る排気煙。
そして特に大きなビルディングの中で、その出来事は起きた。
「凄くて強い!だから凄い。だから売れる。だからお値段以上。だからニトリは大きく、凄くなる!」
「「「「「ハイ!」」」」」
「北東部に妖刀を3本のレーダーを確認した。ボクは今日はそれの視察に行って来るが・・・くれぐれもサボったりしないよう!」
「「「「「ハイ!」」」」」
「それでは君達の、歯車めいた活躍を期待している!社歌斉唱!」
カッパの限り
どこまでもツヨシ
我ら等しく
このゲンソウキョウを機械
歯車 歯車 尽くそう
歯車 歯車 働こう
幸せな一日を始めよう
ああ パーツ一体感
迷いが実際無い
カナリのニトリ
ワレラのニトリ
スゴサのニトリ
サスガのニトリ・・・
アトモスフィア・・・雰囲気。強い者はヨウカイでも人間でも、見るだけでそのオーラを感じる事が出来るのだ。YRSもその所為。実際コワイ。