YOUKAI SLAYER~ゲンソウキョウ炎上~ 作:さわやか
「ここがニトリ・インダストリ・・・」
生い茂る木々、花々、流れる水の音・・・
それらは一切ここには届かない。
この場所にはただ金属が擦れる音と立ち上る排煙、そして・・・そびえ立つ巨大なビルディングス!
「とにかく中に入るのだ。マップも情報も無い以上、現場で状況を確認するしかあるまい」
「・・・待ってください、ヨウカイスレイヤー=サン。これは・・・」
ヨウムはじっくりと虚空を見つめ、顔を前後に動かす。
そしてゆっくりと・・・スローモーションめいた動きで手を動かす。
ピクリと、腕が止まる。ヨウムが見つめていたのは虚空では無く・・・ナルコ・トラップ!
「成程、準備は万全という訳だな。抜けれるか?」
「勿論です。」
二人の侵入者は身を捻りながらナルコと繋がる糸を潜り抜けていく。
ニトリ・インダストリ。少なくとも表向きは大企業。多くのヨウカイが潜んでいるに違いない。
そんな中ナルコを鳴らすというのは自殺行為に等しいのだ。
「・・・無事抜けましたね」
「・・・何か、おかしいと思わないか?」
「?」
「先程からヨウカイの気配が一切しない。・・・アンブッシュを狙っているのか?」
これだけの大きな建物だ、ヨウカイの100や200はいてもおかしくはない。
しかし10どころか1つのヨウカイの気配もしないのである。不自然極まりない。
(ニトリの技術・・・?いや、それにしても・・・!!)
「危ない、ヨウム!」
「え?」
その瞬間、正面から強風が吹きつける!
あまりの強さに吹き飛ばされた2人は後ろへ飛ばされる!
「!!!!」
そう、ナルコトラップは罠である。しかし二重に仕掛けられた内の罠!
本命はトラップ網を抜けた後の強風スイッチ。
飛ばされた2人はトラップ網へ打ち付けられる!そして鳴り響くビープ音!ナムサン!
「クソッ!こうなれば正面突破だ!行くぞ!」
「ハイ!」
長い通路を走り抜ける。しかしやはり前には敵勢!
その敵とは・・・ニトリ印、ハイパワー・ツヨイ・メカガッパ軍!おおよそ100体!
通路はもはやメカガッパ達に塞がれていた!
「・・・侵入者、サーチ。完了。オート・ダンマク・ジツを展開。」
「来る!」
100のメカガッパから100のダンマク・ジツが放たれる!
当然通常の100倍の弾数!100倍の密度!
そして・・・2人が避けたダンマク・ジツも100倍!
「喰らえっ!」
先に出たのはヨウム!ダンマクを回避しつつ、的確に一体一体を仕留めていく!
徐々に数は減っていく・・・と思われた。しかし現実は甘くない!
「なっ!奥から!」
なんという事だ!奥から現れたのは増援のメカガッパ達!
倒されれば2体、倒されれば2体・・・つまり倒した分だけ増えるメカガッパ!質量防衛!人海戦術!
「下がっていろ!」
ヨウカイスレイヤーが前へ飛び出る!その手に持っているのはボム!
「ボムを感知。対象へダンマクを集中」
当然メカガッパはそれを阻止せんとダンマクを集中させる!
しかし壁と天井と床を使った縦横無尽な接近にはそのダンマクも意味を成さない。
「貰った!」
ついに敵勢の中心へ飛び込むヨウカイスレイヤー!そして手に持ったボムを・・・なんと口の中へと放り込む!
「妖殺『爆炎帰葬』!!!」
ヨウカイスレイヤーの周囲に巨大な爆発が巻き起こる!その大きさは通常のボムの2,3倍!
体内でニンジャエナジーと融合したボムは自らのホノオ・ジツでさらに大きな爆発と化す!
太陽めいて焼却を続ける!メカガッパは爆発四散!
それが終わりを迎えた時、通路だった物にはヨウカイスレイヤーの他には何も残らなかった。
そう。ヨウカイスレイヤーの他には。
「・・・ヨウム!?」
「いたた・・・」
通路で爆発に巻き込まれたヨウム。
必死にその爆発から逃れんと刀で壁を抜け、突き進んだ先は、何やらハイテクめいた機械の並ぶ部屋。
そして目の前には・・・高い椅子に座る・・・ニトリ!
「・・・ドーモ、ヨウム=サン。ニトリです。」
「ドーモ、ニトリ=サン。ヨウムです。」
「・・・驚いた。まさか壁から入ってくるとは・・・非常識だとは思わないのかい?」
「私も驚きましたよ。まさかこんなにすぐ会えるとはね・・・」
「そうだね・・・ヨウカイスレイヤーを殺す前に・・・まずはお前からバラしてやろう!」
「バラされるのは、貴女の方ですけどね?」
カチャリ、と刀を2本構えるヨウム。
そう、彼女は、ヨウムは二刀流のサムライ・・・最初から全力で行くつもりだ。
それを見て不敵な笑みを浮かべるニトリ。
「ああ、そのカタナだ!全く・・・コンパク家は、いつまでボクを楽しませてくれるんだ!」
「・・・黙れ!」
ヨウムはニトリの方へと飛び掛る!一気に畳み掛けるつもりだ!
だが突如現れた回転する鉄板!ニトリの防衛カラクリだ!
しかしそれを見て、笑いを浮かべるヨウム。
「・・・ヨウカイが鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど、あんまり無い」
鉄板は真っ二つに斬られる!ゴウランガ!
「成程ね。流石はコンパクの血・・・カタナのワザマエは変わらないか」
「妖忌様の仇だ!死ね!」
再びニトリへと飛び掛る!
「貰ったぁ!」
刃先がニトリの喉元へと迫る。あと3寸。2寸。1寸・・・
その瞬間、ヨウムはピタリと止まり、地面へと倒れこんだ。
「・・・!?」
「無駄に長いカタナだな・・・少し焦ったじゃないか・・・」
ニトリが手にしているのはプラズマ式の銃!ヨウムは衝撃で体が動かない!ナムサン!
「君たちも君たちだよ。仮にもゲンソウキョウ一を誇る機械企業にわざわざ乗り込んでくるなんて・・・頭が悪いとしか思えない」
「ッ!?」
何処からか、ダンマクが直撃する!
よく辺りを見回すと・・・そこには壁にびっしりと、全てヨウムの方を向く、対物ライフルめいた銃!
「ボクは天才だから。君たちバカの考えは分からないけど。」
「クソッ・・・・・・妖忌様・・・・・・ヨウカイスレイヤー=サン・・・」
「・・・サヨナラ、コンパク!」
一方ヨウカイスレイヤー。
正攻法で、次々とメカガッパをなぎ倒していく。
疾風めいて駆け抜けるその姿はあからさまにニンジャなのだ!
「クソッ・・・一体どこまであるんだ、このビルは・・・」
入る前、ざっと見渡したときのビルの数はざっと7つほど。
そしてここまでに攻略したビルは3つ。まだ4つほどの攻略が残っている。
「さっさとヨウムを見つけ出さなければ・・・」
そう考えているうちに、ただ広いだけの部屋に出る。
部屋以外には全く何も無い、奇妙な部屋だ。
足早に抜けようとすると・・・鋭い痛みがヨウカイスレイヤーを襲った。
「!?」
「あら・・・
その姿を見て、驚きを隠せないヨウカイスレイヤー。
それを見てフフフ、と笑う瀟洒な女。
「まさか・・・何故お前がここに・・・!?」
「まあ驚くでしょうね。何しろ一度、殺した相手ですもの・・・」
「ドーモ、ヨウカイスレイヤー=サン。サクヤです。」