死灰を包む空   作:ノイヴァンシュタイン

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ノイヴァンシュタインです。
モンハン、届いてくれました。
楽しいですね。生きててよかった。


Ep1.アビドス高校
痛みを伴う新感覚


破裂音がした方角へ走ると、脆そうな兜を被った連中と、少人数の軽装な少女が争っていた。

手に持っているのは...なんだあれ?クロスボウの類か?

 

兎も角、俺は身を隠す。なぜ身を隠すかって?そりゃ答えは一つ、()()()今まで争っていたのが嘘のように、徒党を組んで襲いかかってくるからだ。

げに恐ろしき、なんて哀れな種族、不死人。

 

そういう訳で、俺は暫く戦闘を遠巻きに観察することにした。この完璧なステルス、分かるはずがない。

そう内心ドヤ顔を決め込みながら、遠眼鏡で戦闘を観察する、する...?

 

 

 

「なんかめっちゃこっち見てるんですけど...」

 

 

 

そう思わず口に出るほど、綺麗に、戦場にいるほぼ全員にガン見されていた。

 

 

 

その一方、対策委員会とカタカタヘルメット団。

 

 

 

「シロコ、そのまま前線を掻き乱してくれ!」

 

「ノノミ、セリカはそのカバーに!」

 

「いや〜、中々しつこいね〜。おじさん疲れちゃうよ〜」

 

「大して年変わらないでしょ!!」

 

 

 

そう騒ぎながらも、正確にヘルメット団共は数を減らしていっている。

 

 

 

「クソッ、厄介な連中だよ、本当に!」

 

「リーダー!このままじゃ全滅っすよ!!」

 

 

 

カタカタヘルメット団、窮地!!

 

その時であった、キラリと太陽光が何かに反射し、思わず戦場のほぼ全員が反射元の存在するであろう方角を向く。

そこには、全身を前時代的なフルプレートアーマーで包んだ人間が、双眼鏡の様なものを目に当てながらこちらを伺っていた。

 

 

(なんだあれ...)

 

 

先程までバラバラだった全員の意思が、その一点に集中する。

 

 

「なんかめっちゃ見られてね?モテ期?」

 

 

そんなフルプレート男にはあり得ない淡い期待を胸にしながら、俺はその集団へ手を振りながら近付く。

 

 

「あっ、どうも〜...」

 

 

そう遠慮しながらも、目を澄ませながら敵か味方かの判別を行う。

 

 

長年の経験か勘故か、敵意のある相手とそうでない相手が見分けられる(導きのターゲットマーカー)ようになっているのだ!いや、なってしまった。と言うべきか。

 

 

 

兎も角、俺の勘と経験が導き出した結果は、全員敵。“殺せ“。

その刹那であった、俺の身体がほぼ勝手に動く。

 

 

右手には大剣を、左手には盾を。

 

 

 

(ターゲットマーカーが付く)なら容赦はしない。」

 

 

 

そう言って、徐ろに踏み込み、腰溜めに剣を力任せにぶん回す。その攻撃は、脆そうな赤い兜を付けた少女にクリーンヒットした。

 

 

「ぐえっ!!!」

 

 

と蛙の潰れたような声を上げながら、その場に倒れる。おかしいな、あのレベルの相手であれば一撃の筈...

 

リーダー!!と有象無象共が群がる。

奴らは無視でいいな。そう判断し、奥で構えていた4人の方へ向き直る。

 

一人は銀髪で、犬の様な耳を生やした少女。

一人は女性的なラインの、重厚な武器を持った少女。

一人は黒髪の、これまた犬の様な耳を生やした少女。

そして、一人は大盾を持った、小柄な少女。

 

俺は少しの間、悩む。

 

 

(誰から殺ろうか...)

 

 

4対1となれば、恐らく相当に厳しい戦いとなる。俺は戦闘は得意だが、あくまでそれはタイマン。あるいは2体か3体くらいまでだ。

4人となれば、そこらの歩兵でも死ぬリスクが付き纏う。

 

しかも彼女ら、中々の手練れ。

特にピンク髪のあの小柄な少女。あいつがヤバい。

 

幾度も視線を潜り抜けていれば、本能で分かるものだ。

それに彼女には、極僅かだがあの“名を無くした王“と似たような威圧感を感じる。

まるで、あの燦然と輝く太陽のような...

 

それに、犬耳共も怖い。犬ってだけで怖い。

更にあの金髪の少女、武器が何をしてくるか全く見当が付かない。殴る?鈍器?それにしては形状が可笑しすぎる。先程もっと俺がステルス出来ていれば...ここで悔やまれる。

 

まぁ長々と講釈垂れたが要するに、「全員怖い」ってことだ。

不死人ってのは警戒に警戒を重ねるものなのだよ。特に初見では。

 

すると、銀髪が口を開く。

 

 

「ん、そこの騎士さん。私たちは貴方と争う気は無い。」

 

 

なんと!!なんたる僥倖!!避けれる争いは俺としても避けたい!!

 

その言葉を信じ、彼女達へ声を掛けようとしたその時だった。脳裏に走馬灯のように、数々の記憶が浮かんでくる。

道中を先導してくれ、エリアボス前でお辞儀をしたら後ろからバクスタ決めやがったクソ闇霊(策士)。アイテム交換をしようとしたら、俺のアイテムだけ持ち逃げしそのままバックれた友人だと思っていた外道。そして...宝の在処を教える振りをし、巨人のいる沼へと逆戻りさせてくれたハゲ(パッチ)...!

 

信じて良いのか?この少女は...

一抹の不信感が、俺の中に生まれる。

 

その不信感は、一瞬のうちに俺を支配する。

いつもであれば、冷静に思考できただろう。

だが、見知らぬ土地に飛ばされ、見知らぬ人間と関わらせ、そして何よりも、苦労の結晶(誓約アイテム)の安否が分からない...!

数々の不安要素が、知らぬ内に俺のメンタルを破壊し...

 

俺は、その一抹の不信感を、直感を信じてしまった。

 

 

「信じられねぇなぁ!!貴公等の言い分なんてよぉ!!」

 

 

傍から見たら狂人かもしれない、傍から見たら俺も奴らと同じような外道かもしれない。

 

だが、それでも俺は、自分を信じたいんだ。

それしか信じられない世界に生きていたから。

 

 

「ん、会話は通じないみたい。先生。」

「“そっか、無関係の人間を巻き込みたくはなかったんだけど、仕方がないね...

皆、陣形を組んで!!アヤネは救援物資の手配を!“」

 

 

「無関係の人とは戦いたくないんですけどね〜、やるしかないみたいですね☆」

 

「も〜、おじさんそろそろ疲れちゃったよ〜?やんないとだめ〜?」

 

「言ってる場合じゃないわよ!ホシノ先輩!」

 

久々だな、初見の敵と戦うのは。

だが、パッと見たところあのピンク髪...ホシノと言ったか?

あれ以外は大した脅威では無さそうだ、それにあのホシノですら俺が今迄相対してきた相手に比べれば、ミジンコレベルだ。神話から消された最強の神(無名の王)謳われぬ英雄(ゲール)神をも供した法王(サリヴァーン)...思い出すだけで震えるような強敵を、俺は倒してきた。この手で!!

 

それが俺の自信となり、糧となり、力となる!!

 

 

「かかってこいよ...」

 

 

そう呟き、俺は処刑人の大剣に力を込め、渾身の力で振るう。

 

振るわれた大剣を、ホシノが前に出て受け止める。

 

 

(重い...)

 

 

その攻撃は並大抵の防御では受け切れない、それはロスリックでも証明されている。

それを受け切ったホシノを、内心称賛しつつも二度三度斬り掛かる。

 

 

「防御だけじゃ勝てねえぞ!?」

 

 

そう叫びながら、重い攻撃を繰り出す。

 

 

「勝てない?それはどうかな、私は“一人じゃない“。」

 

 

その言葉を理解する前に、俺の背中に激痛が走る。

...いやなんだコレ痛すぎる!?なんだコレ痛ってぇ!!

 

先程までの威勢は何処へやら、俺はみっともなく辺りを転がり回り、叫び散らかす。

 

銃撃を叩き込んだシロコ本人もドン引きの反応である。

 

 

 

「ん、何この人...」

 

「強いと思ってたけど、おじさんの勘違い...?」

 

「凄く痛そうですね〜☆」

 

「いや、オーバーリアクションが過ぎるでしょ...」

 

 

 

そんな冷ややかな少女たちの視線が、俺の傷口に塩を塗り込む。

 

(ロスリックより辛いかも、ここ...)

 

そう心中大号泣しながら、俺は意識を手放した。

 




マジで対策委員会達の書き分けが難しいですね...
分かりづらかったりしたら言ってください、頑張って改善します。
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