機装少女戦・フェアリーメイデン!~模型の国のプラスチック・プリンセス~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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分話版 第三話 3-3

第三話 分話版 3-3

 

 

 

 

 

 

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「クレイドルを買おう」「はひ?」

 

 

 

 

 

 

 

果たして、その翌日。休日の朝、

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁーい…?」

 

 

 

 

 

「おぉお、姫よ、めざめるのぢゃ…俺もねみいけど。ふぁ、」

 

 

 

 

 

「うーぅ…んにゃ、」

 

 

 

 

 

 

 

そうしてフェリは、精密電化製品の範疇であるフェアリーメイデンの、スリープモードからの高速な復帰を可能にするためのサーモ・スタンディングの機能を持つ妖精用・敷き布団とその疑似フェイク羽毛布団のセットの中へと再び身をうずめさせた。見た目が(日本人の想像の)ヨーロッパ的天使の正しくそれなエリス型が純ジャパニーズなフトンのセットを手放さない事に、萌え、と浩介が思ったのは別として…

 

 

 

 

 

 

 

「まぁなぁフェリ、まずはこれをみてみてくれ、」

 

 

 

「ふにゃぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

そう言いながら浩介はベッド脇に放り投げていた自分のスマホを手に取り、素早くパスワードを打ち込むと、そのネットブラウザの機能で先日ブックマークしておいたとあるウェブ・ページを読み込ませる。そして、その画面を布団バーガーになっている寝ぼけ眼のフェリへと見せた。

 

 

 

 

 

 

 

するとページが表示された瞬間…ー

 

 

 

 

 

 

 

「どう思う?」

 

 

 

 

 

「 ! わぁ…っ!」

 

 

 

 

 

 

 

フェリは発見への喜びで目を見開き、布団を被る手は離さないまま、わくわく、という感情の面もちで、浩介が操作するスマホの画面のスクロールを食い入る顔で見入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

そのページの正体とは?

 

 

 

 

 

 

 

「すごく! おっきぃです!」

 

 

 

「だろぉ? この、お姫様ベッド。」

 

 

 

 

 

 

 

どどーん! 阿部さんでは当然なかったよ。

 

 

 

 

 

画面に表示されていたのは、天蓋付きだったり、フリルだったり、カーテンがついていたり、ゴシックだったりヨーロピアンだったりバンブーだったりハラジュクであったり…そのようなとてもたくさんの多くの“ベッド”が、その持ち主のフェアリーメイデンとともに写されている写真の数々であった。

 

 

 

 

 

このウェブサイトの正体は、“あなたのベッドを体験し隊!”というそのスジでは著名なSNSであり、今時のネットの潮流よろしく、ALEX知性が開設してALEX知性が参加しALEX知性が楽しむ為の、フェアリーメイデンとそのマスター、あるいは妖精愛好家の為のサイト…妖精の花園…なのである。余談だが、ここにはR-18のジャンルコーナーがあり、大変に、その、…gfff…

 

 

 

 

 

とにかく、そう、これこそが、“クレイドル”…ーALEX用の充電器スタンドであり、特に少女や女性の外見をしているフェアリーメイデン用のは、このように華やかな装飾がされている物も多数リリースがされていて、ただの充電器とは一線を画する独自の商業展開がなされているのである。

 

 

 

 

 

 

 

「すっごーーい!」

 

 

 

「ほら、ここを読めばフェリの先輩たちの体験レポートも載ってある。例えばこれなんかは、“デザインは良し。しかしクッションが堅く、G-セルフ(隠喩)やマスターとの秘め事をするのには少し手狭でギシギシ音が…”……次、行こうか、」「?」

 

 

 

 

 

わからないフェリを愛おしくおもいながらも、いつかは自分も手を出してしまう時がくるのであろうか…と浩介はちょっぴりダウナーになった。

 

 

 

 

 

…しかし、何もいまこの現状でフェアリーメイデンの充電器を持っていない訳ではない。

 

 

 

 

 

浩介が現在保有するALEXシステム・オートマトンの充電装置であれば予備も含めて多数現有し、

 

フェリの温もっている布団の下に端子を潜り込ませてもあるように、今の世の中の標準であるHi-USB規格の端子ならば、端子部分先端に非接触充電の機能が最初から組み込まれているのでアレックスシステムの充電“だけ”ならばできる。

 

 

 

 

 

 

 

だけれど、やっぱり、せっかく女の子の娘を授かったからには、その親の気持ちを最大限に満喫したいのが人の心のなせる技であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

されど、フェリ嬢は「?」の顔を考え浮かべると、浩介の手をちょいちょい、と触れてから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ますたー、お金、はだいじょうぶ、なのですか?」

 

 

 

 

 

「心配しなくとも、」

 

 

 

 

 

 

 

疑問の回答を持つ浩介でもあり、

 

 

 

 

 

 

 

「ここに俺へ悠里が置いていった四千円がある。あと二日分の、生活費の!」

 

 

 

 

 

「おおー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぱちぱちぱち、と拍手をするフェリはおいとかなくとも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、駄目男、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スケコマシやヒモ男のそれであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして数時間後、コウスケとフェリは無事に目当てのフェアリーメイデン用寝具一式をチェシャ猫の木で入手し、今は道草に近くの河川敷を歩く最中であった。

 

 

 

「ますたあますたぁ、「川」ってとっってもおおきいんですねぇっ」

 

 

 

「そうだぞー、フェーリっ」

 

 

 

この聖蹟聖ヶ丘の河川敷には運動公園やドッグランなどがある。

 

それからALEX用の遊戯設備などもあるのだが、今日のところは物見遊山で、今日の目的はその運動公園であった。

 

それというのも、実際の人間やALEXが運動したりスポーツをする様を観察するのは、フェリやフェアリーメイデンのような人間型ALEXにとっては最高の経験値になるというのはALEX持ちにとっては鉄則の常識だからだ。

 

クリケット、フットサル、ゲートボール、テニス、ソフトボール、etcetc…

 

 

 

『わぁぁ…!』

 

 

 

コウスケにとっては興味なしであったが、それでもフェリは顔を輝かせてみていたので大収穫だ。

 

 

 

それから、ALEX同士のバトルというのも見応えがあった。

 

武装神姫のマリーセレスとゾイドALEXのデッドボーダーとの異種間マッチ!

 

“槍を持ったデッドボーダー”に対し、マリーセレスの側は五分以上に良い戦いを演じ……

 

こちらは手に汗握る迫真の展開で、使用されているビジュアライザーによる特殊効果もあいまって最高の戦いを観ることができた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅっ」

 

 

 

堤防上の道から、この聖ひじり川の景色を観る。

 

バッグの中忍ばせていたブラックサンダーの一個を包装を開けかじりながら、流れゆく初春の雲と青空のコントラストの、その下の川の眺望。

 

まだ肌寒い空の下、コウスケはそれを充実の思いで観ていた。

 

 

 

流れゆく雲の下……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咀嚼。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咀嚼、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咀嚼。

 

 

 

 

 

「~♪」

 

 

 

 

 

さて、目的は果たした。

 

じっくり三分ばかりたっただろうか…ブラックサンダーを食い終わった頃、そうして家への帰路へと足を向かわそうとして、まだ一つ最大の障壁がある。

 

 

 

なので己に向かう二十六の眼光の主たちに対して、コウスケは言ってやった。

 

 

 

 

 

「━━さあて、なんなんだろうな、おまえたちは、」「?」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ヒャッハーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

それに対する返答はモヒカンのものであったが…

 

なんだ、この、ガキんちょどもは?

 

 

 

コウスケは殺気でその気配を察していたが、コウスケの振り返りざまで向かい合うことになった“寝袋”の中のフェリも、あまりのことにきょろきょろとしている。

 

 

 

 

 

 

 

この河原の堤防上の盛り上げ道の上で、前後から挟む形でコウスケを取り囲んでいる、現状況。

 

 

 

それとは、ハンドルの脇の警鈴ベルをバイクのマフラーを吹かすかの如くリンリンリンリンリンリンリン! とけたたましく一斉に威嚇を鳴らしながら、ビックリマンだったりバトシーラーだったりガムラツイストだったり、はたまたコロコロコミックや、こないだ復刊したばかりのコミックボンボンなどの綴じ込みでもよくあるキラ・シールだとかが近所のホーム・センターや大型家電量販店のコーナーでお父さんお母さんに買ってもらったのだろうそれのシャシーや各部にまんべんなく貼られていて、その上、ダブルフロントのライトやフラッシャー(死語)などによって族車的カスタムチューンがなされた、子供用自転車、その群…ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

即ち、おこちゃま珍走団のトライブ(族)に他ならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブン!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

口でブンブン言ってるくらいだ。

 

 

 

ツッパリやらスケバンやらカラーギャングやら…ーなどの格好をしているのでは当然だが無く、ごく一般的な、平凡でふつうの子供らしい格好をした、ふつうの子供達である。

 

 

 

 

 

ただ、一つ興味深い点がある。その彼ら彼女は、とにかく、年齢がバラバラなのだ。

 

中学校初学期くらいのちょっと抜けてそうな男の子が学校の学ランで台湾メーカーのロードバイクもどきに乗っかっていれば、対極的に、幼稚園年少くらいのおしゃま気な女の子がキャラクターダイスの三輪車に乗ってアンパンマンの電子チャイムをぴぽぴぽ鳴らしてもいる。そしてその両極までの年齢層の、性別もバラバラな彼ら彼女らこそが、そのトライブを構成する13人の子供たちである。

 

 

 

 

 

「ブラックサンダーいっこ食うのに三分もかかりやがるやつなんて、はじめてみた…、オイ!」

 

 

 

 

 

子供だ。

 

コウスケを囲む十三人の中から、啖呵を切ったのはそいつだった。

 

おそらくはおばあちゃんに着せてもらったのだろうちょっとセンスが流行のじゃなくて目立たなめのコーディネートの衣装で、シックでコケティッシュなハンチング帽の帽子を被っている。

 

小学校に入学する直前くらいの年頃だろうその幼児が、まるで、自分こそがこの“族”のリーダーです、と言わんばかりの気風と威圧…ーといっても子供相応のそれだが、肩で風を切って…一歩、二歩、とこちらへ進み出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

「そこの、セイネン」

 

 

 

 

 

 

 

ジャギ、ならぬこのグループのリーダーらしき帽子の少年…か? なんか気配というか雰囲気が違うような、まあいいや。とにかく少年(仮)が、前方のこちらへと一歩、踏み出てきた。

 

 

 

 

 

「ふん?」

 

 

 

 

 

帽子の下には、不敵な輝きを宿した大きくくりくりとしたドラ猫のような目。

 

なんだか活発とかヤンチャというよりは問題児、な雰囲気であるが、なかなか親からは可愛がられている様子だった。

 

 

 

なにせ身につけている服装が、ぱっと見は高級品に見えないように“仕立てられている”が、全部とある有名な子供服ブランドのテイラーメイドであったのだから…(ちなみに何故喪男のコウスケがこれを知っているか、と聞かれると、事あるごとに悠里が子供服やらベビー服やら結婚情報誌やらのカタログ類を持ってきては見せてくるからに他ならない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなそいつが、すっ、と息を吸い、そしてなにをいうのかとおもければ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケットー、を、いどむ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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