機装少女戦・フェアリーメイデン!~模型の国のプラスチック・プリンセス~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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分話版 第三話 3-4

 

 

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は、………

 

 

 

はい?

 

 

 

けっとー? ゲットー? 雛見沢ゲットー、 けっとけっとコミケット、ケトル魔人、ぷにけっと大好き!…ーはともかく、

 

決闘、だという意味の言葉なのだとはすぐに理解できた。だがしかし、決闘罪でしょっぴかれるぞ…ーと茶化すまでもない。

 

 

 

 

「ほーーーーう? 年上のおにーさんに喧嘩を売るなんて、イイ根性してんじゃねぇか。泣かすぞ」「べーっ」

 

 

「やれるもんならやってみろよぉ、このヒョロもやし!」「「「「「やーいやーい」」」」」

 

 

「んなっ」「 ! むーっ!」

 

 

 

ムカァ! かいじゅうムカムカ! …っとコウスケは怒髪天にトサカがキた。

ちょっとからかってやるつもりだったとは、口が裂けてもいうにいえない。あっかんベ、してたフェリもおこってくれてることだし、

 

 

 

「は、ハッ! …付き合ってられん。帰るぞフェリ。カエルが鳴いたらかーえろっと、」「そうなのです!」

 

 

「あっ!」

 

 

 

なもんで、コウスケは冷静に、冷たい大人の対応という奴であしらった、…ーのだが、

 

 

 

「アカリ、やれ!」「はーいっ」

 

 

「あん?」「ほえ?」

 

 

 

ばっ、と何かがたいあたりしてくる感触、そして…

 

 

 

 

「あっ、俺の、フェリのクレイドル!」「あーっ!」

 

 

「「いぇー」」

 

 

 

 

いつの間にかこちらの背後に移動していた少年(仮)の手下(少女)に、クレイドルの入った手提げをひったくられてしまったのだ!

 

んでもってヤッコサンとくれば、実行者のさらに年下らしい幼稚園児相当の幼女と、その命令者である少年(仮)とがハイタッチを交わす瞬間でもあった。

 

 

 

「おまえー!」「ぼくのべっどー!」

 

 

 

「賭けをしようぜ、」

 

 

 

誠に遺憾なる抗議の表明をする浩介に、青空の下の背後の鉄橋に鉄道が通過する瞬間…-少年(仮)は不敵に笑み、

 

 

 

 

「ビーター・ゲーム。」

 

 

 

 

それだけを発した。

 

だが、それだけで十分であった。

 

なにを意味しているのか、よーく、理解できた。

 

 

 

「…っ」

 

 

 

「ルールは簡単、オレが勝ったら、このクレイドルはオレのもの、それからオレのききたいことにこたえること。おまえが勝ったら…ー」

 

 

 

「ALEXシステム同士のバトルゲームでALEXのパーツを賭けるのは低学年層の子供同士の中でのローカル・ルールじゃねーか。それも、おこづかいが足りないから、弱い奴から巻き上げよう、っていう魂胆の! 元いじめられっこで現ぼっちの俺にぃ! それをぉ! 強制するというのかァ! うぅ…っ」

 

 

 

「そ、その、…ーちゅー、してやる!」

 

 

 

「ヤロウからなんぞのはいらんは!?」

 

 

 

自分がALEXのバトルに強くなった直接の原因でもある思わぬトラウマの発掘とショタ属性の欠如によって思わず声を荒げたコウスケであったが、対する少年(仮)の方はというと、ヤロウ、という言葉の意味がわからないようで、目をぱちくりさせていた。…育ちがよろしいのか?

 

 

 

「バンチョウ! ムズカシーことばを使ってくるオトナのいいだしっぱなしなんて、ほっときましょうよ!」

 

 

「 ! そ、そうだ! ムズカシーことばをつかって、オレをからかうなぁ!」

 

 

 

ぷんぷん! というような体で、少年(仮)がもうれつにじたばたした。ちょっと萌え…と浩介が思ったのは置いといて、

 

 

 

…ーALEXシステム搭載玩具機器同士のユーザーによる対戦遊び。

 

 

そのビーター・ゲームの基本というのが、要するにロボコンで、古典で言うところのバトリングだったり、プラレスだったり、ロボトルだったり、エンジェリックレイヤーや神姫バトルであったり、或いはガンプラ・バトルの翻案であることには違いはない。

 

 

だがなによりもふさわしい例えをするならば、ポケモン・バトル、…ーのそれであった。

 

 

 

ALEXシステムがあれば、現代人はだれでも手軽にストリート・ファイターになれるのだ。

 

 

 

 

…ー或いは、デュエリストへも。

 

 

 

「さぁ、オレのALEXを見せてやる!」

 

 

そう言って少年(仮)は自分の乗ってきた自転車の荷台に括り付けられたケースからそれを取り出し……

 

 

 

その姿が見えたとき、

 

 

 

 

(あれは…ー)

 

 

「戦隊ロボ、だ!」

 

 

 

 

テレビ朝日日曜朝7時半からの、“特機戦隊ファイヴレンジャー”の基本主役ロボ、ファイヴグレーター・ロボ、そのDXトイに違いがなかった。

 

 

 

「バカなっ、今時のおもちゃの業界標準に乗っかってアレックスシステム実装とはいえ、安全基準や低年齢児配慮という名の巧妙な販促戦術によって、超合金版ではない通常のDXだと、メーカーが同じパンダイ社商品とのガンプラバトルごっこ程度の機能の対戦モードしかなくて本格派のビーターゲームはできないのに、…ー、まさか!」

 

 

「そう、そのまさか、サ。」

 

 

 

 

不正規改造、という言葉がある。

 

 

 

 

「キサマ、だれにやってもらった」

 

 

「アネキ、だ!」

 

 

 

 

だろうともなぁ、とコウスケは頭を抱えた。こんな幼児が、通称マジコンと呼ばれる特殊基盤の増設やら内部配線の組み替えなども必要な…この手の玩具の非正規改造なんざ出来る訳がないのだ…ー一瞬期待をしてしまった己もアレだが、ほら、アニメの主人公っぽいじゃん? 

 

 

というか、アネキって、姉貴? ソレッテ、ナニ?

 

 

 

 

そうしてそうして、

 

 

 

 

「ビーターゲーム、ですねぇ?」

 

 

 

ぬっ、と現れたのは、プロレスやK-1のレフィリーの姿をした妙齢の女性である。

 

 

 

「あっ、失礼致しました。私は日本ビーターゲーム審判協会西東京地区聖蹟聖ヶ丘町委員会公認のゲーム・レフィリー…粳 環、Msうるちで御座います。たまきちゃん、たま姉ぇでもいいよ?

 

片方の男性のかた? こうしたストリートファイト形式ではおひさしぶりのビーターゲームのようですねぇ…以下、お見知り置きを、」

 

 なぜそれが分かるんだろう…という感想で、やはりこのビーターゲームからは逃れられない定めであろうか、とも思ってしまった

 

 

「ゲームの試合内容と結果如何での無用な争いをなくすためというのも、私の今、ここにいる理由なのです…特に、そちらのかわいい子ちゃんは、フダツキ、といいますか、なかなかの問題っ子でしてねぇ?」

 

 

「よわい奴がわるいんだ!」

 

 

そんなわけで、コウスケはこのうるちという奴に目で見計らった。

そうすると、今度はうるちは先刻スリを働いていったアカリという少女に目配せした。

アカリ曰く、“わかってますよ”と、やれやれのジェスチャーをしつつの暗語であった。

 

 

 

“つまり?”

 

 

“ご安心を”

 

 

 

 

…はぁ、

いいだろう、駄々っ子の相手をしてやろう。

 

 

「フェリ、無念だ」

 

「だいじょうぶだよん。マスターはぼくがまもるもんっ」

 

 

そうじゃないんだけどねぇ……とコウスケは続けつつ、左胸のポーチから取り出したフェリを、慎重に丁寧につちくれの地面へと降ろした。

 

 

 

「オイ、騎士道精神ってのはあるんだよなぁ!」

 

「ブシドーのココロエなら、ある!」

 

 

相手も慎重にファイヴグレーターを地面に降ろしていた訳だが……

いよいよ不安になってきたわけだが、いざとなったらトンズラを決め込んでやるさ。

 

 

 

 

「それではみなさぁん……?」

 

 

 

 

かぁん、とゴングが鳴り、

 

 

 

「ビーターゲーム、ファイ!」

 

 

 

 

 

 

同時に…

電脳眼鏡の投影画面で、フェリの蓄電残量を確認する。

 

 

現在、75パーセント。発電率比率25%…推測して三分間、全力戦闘をしたら、リアクターからの発電が追いつかずに蓄電が尽きて、

 あとはからだ全身のオリゼリママイクロマシンが保持する乳酸菌と塩分濃度差の微弱発電による

 必要最低限の活動しかできないセーブモードとなってしまう。

 

 

それに、物の扱い方を知らない子供の事だ。とどめだとか、必殺だとか、デストロイだとか、そういう言葉が大好きな年頃の…つまり、こちらのフェリに加減をしてはくれないだろう…ー

 

 

 

「非公式改造で満足するのはPSPくらいにしておけよ…ッ! フェリ!」

 

 

「は、はぃ!」

 

 

「俺もおまえとは初めてだ。だから、おどろくなよ」

 

 

「はひ?」

 

 

言い切るや否や、手に握ったスマートフォンのマスター端末を操作し、装着中の“電脳メガネ”…ー東芝製LM-80スマートグラスにALEXのアプリを呼び出して、浩介はフェリとのダイブ・モードに突入した。

 

 

 

ぎゅん、という感覚と共に、自分の目前にフェリが見ている物の光景が、“出現”する。

 

 

 

「! マスター! ぼくっ!」

 

 

「ああ。今俺の電脳グラスの視界に、お前の視覚センサーの映像が投影されている。それから、ディフォルメされた俺の思考がアプリケーション経由でおまえに伝わっている筈だ。だから、その、…あ、安心しろっ。知恵と勇気、フォワードとバックアップは一心同体、お前はひとりじゃな…ー」

 

 

「ますたぁとっ、ひとつに、なってますっ!」

 

 

「は、」

 

 

そのフェリからの言葉に浩介は困惑して、次に怪訝になった。

 

なんというか、戦いを始める前の状態ではなくなっていた。

自分の身体を抱きしめるように両手で己の両肩を羽交い締めにして、すっかりエリス型フェリは蕩けた顔になっていて、

 

 

 

「やみつき、です!」

 

 

 

絶後の喜びと絶頂の快感に小さく可憐なその身体を打ち振るわせて…ーまぁ、なんだか、よいこのみんなにはとてもじゃないが、みせられないよ! だった。

 

 

 

「あっ、あー! え、えええっちなんだ、えっちぃんだーっ!」

 

 

「みるなやマセガキぃ!?」

 

 

 

ナニを想像したのか顔を赤らめて大声で宣伝しはじめた少年(仮)に、コウスケは怒鳴り返しておく事を忘れていない。

 

 

 

只、それよりもコウスケが考えたことは、この河原の植生の茂みが、十五センチにも満たない全高のフェリの視点からだと、まるでジャングルの中に居る気分になる事だった。

 

 

 

(どうする…ー)

 

 

 

現在、コウスケの“メガネ”は内蔵液晶が作動して片方のレンズ部分が不透明になり、それ側のスクリーン化したレンズにマイクロ・プロジェクターで投影されたアレックスシステムの視界映像がWifi経由で投影されている状態だ。

そして、プロジェクターのモードをビーターゲーム時のものに設定……現在のフェリの仮想HP(ヒットポイント)ゲージが表示される画面となった。

 

 

 

(バーストリンカー、というつもりはないが、)

 

 

 

質や機能を問わなければ五千円台から購入が可能なスマートグラスにおいて、一応ニュー・カタログの最新版とはなっているが同世代の物に比べれば圧倒的に割高な、三万八千円もしたこの東芝製LMー80を選んだかといえば…-

なんというか、意地、のようなものであった。

 

そのLM-80によって、

五感が、加速した様に冴え渡る感覚がする。…ー実際、このモードではこちらの人間側の脳がコンピューター知性であるALEXと直結をした事によって脳内思考の“肩代わり”…ークラウド・シューティングが発生している状態であるため、

電脳メガネをはじめとするこの手のハイパースマートウェアラブルデバイス、というのは、

 現実においても発達障害や精神傷病、成長不調の障害を抱える患者や老齢による呆けや痴呆などへの補助アシストやリハビリ器具としての使用というのが国民健康保険の対象内治療の手段でもあるし、学校教育における教育学習の手段としても本格的な研究が文科省部内では進められていて、たとえば試験会場でのカンニングや運動・卓上問わずの競技選手のドーピングなんかにも、出始めの頃には用いられたと聞く。

 

 

体感的には、十五秒が九秒に圧縮されているような感覚だ。

その冴え渡る思考で、熟考する…ー

 

 

 

(なにができる)

 

 

 そしてどうやって攻め方を考えるか…ーーーALEX使いとしてのこれまでの経歴で、戦隊ロボ相手の攻略法は熟知している通りだ。

 但しそれでも、コウスケがビーターゲームに巻き込まれた現状の上では心許ないものである。

 何せ、手持ちの“妖精”とコウスケとのマッチングはまだ確実なものではなかったし、如何せん……ん?

 

 

 

 

…ー武器がない!?

 

 

 

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