機装少女戦・フェアリーメイデン!~模型の国のプラスチック・プリンセス~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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分話版 第四話 4-3

 

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「さて、フェリ。…やっぱり不安だよなぁ……」

 

「だ、だいじょうぶなのねんっ? こ、こわくなんてないのねんっ」

 

 

 

あからさまに無理をしている様子のフェリに、後ろのユウキがぎくっと都合悪そうにしているのをコウスケは認識しつつ、

 

 

「昨日の晩、勉強したもんな?」

 

「そうなのねんっ、ぼくもますたーもいっぱいがんばったもん! なのねんなのねんなのねん♪ だ、だけど……」

 

「大丈夫、」

 

「ま、ますたぁ…ふにゃぁっ」

 

よし、っと。

指でその頭を撫で宛てつつ……――もう昨日みたいにブザマなまねはしない。不利になったらサレンダーボタンを迷わずプッシュ、だ。

そもそも、ビーターゲーム以前に、まず全うな神姫ゲームから、このALEXのバトルの魅力をこの娘に伝えていかなくてはならないはずである。

そのための安心安全の保障を、まずコウスケは己の頭に強く焼き付かせた。

 

 

 

“「それでは、お客様。対戦に出される神姫をセットしてください」”

 

「うちのはフェアリーメイデン(妖精)だがね。さぁ、フェリ。いこうか」

 

「うん!」

 

 

そうしてコウスケが神姫バトル筐体の昇降口にセットしたのは、昨日の無装備の状態とは違い、各種のアーマーを装備したその状態であった。しかし……

 

 

 

 

「あれっ?」

 

 

 

 

観戦のつもりで筐体の脇にいるユウキがそれに気づいて、

 

 

 

「ニイチャン、なんで純正のアーマーじゃないの?」

 

「どうにも、家に届いたのは素体の組立キットだけだったんだよなぁ……はぁ」

 

「かっこいいっちゃかっこいいけど……」

 

「あぁ、こればっかりは俺の趣味でな。一般人からはダサく思えるだろうが…――」

 

「ふるすくらっち、ってやつか!?」

 

「ミキシングビルドって奴だよ、」

 

 

フェリに装着された武装(アーマー)は、家にあったジャンクをコウスケなりに適切に組み合わせて組み上げた、仮合わせの物だ。

悠里が破壊した箱を検分したところ、その箱の中に神姫やFA:Gでいうところの拡張ジョイントやアダプタ類等は入っていた。

なので、そこにさらにALEX対応型b3パラベラム等も組み合わせる形で、それを有効活用した形になった。

 

「さながら、重装甲スペシャル、ってな」

 

…具体的には、基本はAGE系キットやマクロスプラモの部品や装甲パーツをパッチワークの如く組み合わせたものだ。

半ばMS娘化している外観ではあるのだが、

フェアリーメイデンの素体本来の可動範囲を最大に取る為に、装甲のパッチワーク間は関節技などの間接などでは繋げず、ナイロン糸とハンドビーズ、フックとカニカンの組み合わせという手芸の技術でつなげて自由遊動のフェンダー化、フローティングアーマーにさせる、というテクニックもやっている。が、いかんせんゾイドとは勝手が違う……結構苦労した。

 

「純正の方がデザインいーような?」

 

「仮合わせだからといいわけします…本当は打倒!戦隊ロボを目的に、ミキシングでGコマンダーっぽく要塞じみた物にしようとしてたなんていえねーけどさぁ?」

 

「?」

 

「…」

 

コンドウを知らないものは多い……

 

 

 

さて、それに対し、露骨に不満げな表情になったユウキである。結局あのボールペンキャリバーも燃費が悪いということでコウスケは持ってきていない。されど、コウスケは続けざまに…――

 

 

「…だけどな、なにも準備していない訳ではないんだぜっ」

 

「!」

 

 

コウスケは今日、自分の腰にウェストバッグを装着してきていた。その事にユウキとレベッカは気づいた。

 

 

 

「フェリ!」「わかったよん!」

 

 

 

腰手前側に装着していたポシェットを開いてから、浩介は中身のそれを放り…ーゲーム盤の盤上から跳躍して宙に舞ったフェリが、フェアリーメイデンの背中に装着される規格型・ウェポン拡張ステーションに既に懸架された状態のそれと、そしてもう一つの己の“得物”を、次の瞬間には“着装”(ロール・アウト)して合体した状態となって再びの着地をしていた。

 

 

 

「コンビネーション・オン! チェェンジ、ゴゥ!」

 

 

「…おおーーーーーー!」

 

 

 

キマったろ? と、ズバリド直球に好みのそれを目撃した感動の快哉を上げたユウキに振り向いて選手アピールをした浩介は、その背後に、ただのオタクではない貫禄をオーラとしてよぎらせるには十分であった。

 

 

 

「…ーシステムチェック、コネクター正常、導電接続、良好。外部コンポーネントの起動開始…ーなのねんっ」

 

 

 

その妖精の背中に装備された純白の翼が、ふわり、と風を抱いたかのように柔らかにしなって、そしてゆっくりと輝きを帯び始める…

 

それは、システムインジェクションで一体成形された、高輝度導電発光体含有配合・軟質プラスチックの…ー聖なる光の加護が宿っているから、電源投入によるシステム起動がされて通電が開始したからである。

 

 

 

人類種の死に絶えた遠未来を舞台に永遠の戦いを繰り広げる人工の戦闘天使達…ーという世界観イメージ設定の“エンジェル・トルーパー”シリーズ第一号、AT-01エリス型・フェリの背部には、まるで烈天使かのような純白の大きな“羽根”と、その右手にはコーン形状の複合槍が握られて、それぞれ装備している。

 

これこそが、浩介の“準備”…ー昨日の様な不意の事態への対処の為、ダン戦改造パーツのホーリーウイング(無改造)とホーリーランス(改造して射撃装備との複合兵装(コンバインド・ウェポン)化改修済み)をフェリの武装として用意をしていたのだ。

 

 

そして、こうして見た目にも、それから実際の“性能”においても、このホーリー・ウイングは高い完成度を誇っているのだ。

 

 

 

“……、承諾。お客様の神姫のセットアップを確認。エレベーター下降開始、バトルロンド開始まで、15、14、13、12、…――”

 

 

がたん、

ごうんごぅんごうん…

 

 

「フェリ、怖くなったらいつでも言うんだぞ。サレンダーは怖くない。な?」

 

「わかってるよん! だけどやっぱり怖いけど……」

 

「うん」

 

「……うまくたたかえたら、あのレベッカちゃんとお友達になれるかなぁ?」

 

「!」

 

 

 コウスケははっ、となった。

 

 

 ハートが持って行かれる瞬間であった。

 己が持ち妖精の、この健気さとひたむきさに……

 

 

 

 

 

“レディ?”

 

 

 

――ファイ!

 

 

「…はっ! いかんいかん」

 

 

次にコウスケが我に返った時。

それはこのバトルロンドが始まった、その瞬間だ。

 

 

(制限時間は七分、コインを追加投入すれば、それの二セットになる)

 

 

それが、このアーケードゲームとしての武装神姫・バトルロンド筐体のまず最初のルールであった。

 

 

(まずはマップの具合は?……市街地!)

 

 

スマートグラスのホロ・レンズ部には、コウスケにはフェリが見ている――フェリの視点からの――バトルロンド筐体内部の画像が映っている。

 

 

場所は、新宿あたりの繁華街、それをイメージした舞台だ。

 このバトルロンド筐体内部の情景……ジオラマは、昇降展開式の五センチ四方のIC内蔵ウレタンブロックの配置と、それに対するビジュアライザーによるホログラムのプロジェクションマッピングによって、立体的で豪華な作りの物を(シミュレーション式に)手早く簡単に再現する、という構造と理屈である。

(但しそうしたジオラマの元となる試作やジオラマのCGデータ自体は、WEBには生成ジェネレータなどもあるが、基本は人間の手による手作りだ。なのでそうしたデータの需要は高く、そうしたCGデータを専門に作るユニットの存在も、規模の大きい同人サークルやPCソフトハウスの形で数多く存在するのが現代だった)

 

翻ってフェリの視点なのであるが、その視界には……鏡?

 

 

「どうなのねんっ、すごいのねんっ!」

 

 

はたしてはたして、

一方のフェリ嬢の方はというと、ジオラマの中にあったブティックのショーウィンドーの鏡で――ウレタンブロックの中にカメラが仕込まれているのだ――、自分の身に纏う“武装”…アーマー…に、うっとりとしているのが只今であった。

 

 

「なのねん、なのねん♪」

 

 

身をよじったり、振り付けをしてみたり、…

そうすると通常のALEXオートマトン用武装とはスタイルの違う、古来の甲冑や鎧のように身体に追従してひもで結びつけられた各パーツが遊動するという構造のコウスケ謹製のフェリの武装アーマーが、まるで表情を変えるかのように形を変えるのが確認できた。

 

 

「ますたーの愛なのねんっ!」

 

 

するっ、とずっこけたコウスケに、ユウキは家にある工具と材料の数を勘案する顔になっていた。

 

 

「?」

 

 

そうするとフェリは何かに気付き、

 

 

 

 

「ふわぁぁあっ…!」

 

 

たった今、鏡に映るフェリの姿と、ショーケースの中の白のワンピースドレス…ー婦人服雑誌の丁寧な切り抜きをコピー機でスキャンして、それを張り込んだだけの簡単なCGオブジェクトであるようだ。そういった細かな調整は、このバトルロンド筐体では各設置店の自由裁量でできるのだ…ーとが重なり、まるでフェリがその服を着たような具合に、鏡に映る情景ではそうなった。

 

翼を纏った天使(フェリ)が、白のドレスを身にした姿。

それが完成していた。

 

 

「おとなのひとのふくもいいのねんっ」

 

 

フェリはそう思って、

 

 

「ますたぁますたあ!」

 

〈はい、なんでしょ?〉

 

「後でまたチェシャ猫の木にいきたいのねんっ、一緒にいっぱいみてまわりたいんだよん♪」

 

〈りょっかいフェーリっ♪……それはさておいてな?〉

 

「ふぇ?」

 

 

そ~っと、いつの間にかフェリの隣に、あの黒いレベッカの姿もあった。

 

 

“「いいですねえ…」”

 

 

この黒いレベッカは、鏡に映る白いドレスワンピースのフェリと、マスターお手製の武装パーツを身に纏った実際のフェリの姿を数度ほど見返してから、

 

 

“「いいですねぇ、わたしもあこがれます」”

 

「なのねんなのねんなのねんっ♪ ぼくだけのぶそうなんだよん♪ れべっかちゃんもほしいのねん?」

 

“「わたしはそれよりもひびのれんしゅうが……とそうはげとか、りぺいんとしてもらったりして、かわいがってもらっています。なので、それにこたえられれば、と」”

 

「そうなのねん、ぼくもれべっかちゃんもますたーがだいすきなのねんっ♪」

 

“「そうなのですっ」”

 

 

 

 

「うそだろ……」

 

「ん、?」

 

「おれとグレッグのコンビがいちばんレベっちと仲良かったはずなのに! それよりもうちとけてるしーっ!?」

 

「あはは…そうかい?」

 

まったくバトルロンドどころではない状態となってしまっていたが、それもなにも行き当たり通りぃ?というやつであって、

 

 

 

 

     * * *

 

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