機装少女戦・フェアリーメイデン!~模型の国のプラスチック・プリンセス~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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分話版 第四話 4-4

 

 

     * * *

 

 

###4

 

 

 

気を取り直して、ラウンド2。

 

 

舞台はまた先ほどの市街地であるが、その中のフェリはまだまだ経験が足りない。

 

 

「ふぇ…」

 

 

未だ交戦が始まっていない今、背景として流れているアーマードコア3サイレントラインのBGMを除いては、街のディオラマはあらゆる音を飲み込んで、静寂のみを放っている。

それはフェリにとっての心細さでもあって、

 

 

「あっ」

 

 

しかし、こういうときは勉強してきた通りにする。

チャンネルがつながっていることを確認した上で、コウスケに尋ねる。

 

 

「ますたー、どうしたらいいのねん?」

 

 

〈まずは、こちらから先制を仕掛けたいが、……どこにいるか。索敵だな〉

 

 

「やってみるのねん!」

 

 

フェリは身に纏ったアーマーのバックパック部、その天面部にケモテック神姫のプチマスィーンよろしくそのまま装着されたシャルドール改の頭に、“おねがい”をしてみた。

 

すると、

 

「! レーダーがでたのねんっ」

 

フェリの目前に、空中投影のレーダー盤が表示されたスクリーンディスプレイが表示された。

それをコウスケも、自身のスマートグラスにオーバーライドさせて、

 

〈よし、それによると……正面、ビルが遮蔽物になっているが、三叉路の先に、か。移動中。1/10換算で百メートル先ね〉

 

 

「かくにんしたのねんっ。どんなぶきをつかえばいいのねん?」

 

 

「確認した。んー……ミサイルは使用していないから、中六発小三十六発のマイクロミサイルが全弾使えるが……」

 

 

「そうするのねん?」

 

 

「ん゛~っ、んんん、ゾイドならまずハズレ無しの固定武装があるから迷わなくていいんだけどなぁ…どーすっか、ライフルは?」

 

「放熱率100%、いつでもつかえるのねんっ」

 

「よし、このまま前進、遭遇したらライフルを一斉射して……、!」

 

 

「ますたー!」

 

 

――フェリの側が動くより早く、相手の〈黒いレベッカ〉の初手が先だった。

 

 

「正面、出てくるぞっ」

 

「ま、まってほしいのねんっ……にゃぁっ!?」

 

 

バババババ! 、

っと…――ライフル射撃の一斉射がコウスケのフェリへと見舞われたのがたった今の瞬間だ。

 その銃弾は実体としてはホログラムによる映像効果と無線LAN電波の断続的点照射の組み合わせであり、この攻撃はレベッカ型の主兵装の一つであるM8・0.556ミリライフル銃による射撃攻撃…――というシミュレーションが、この神姫バトル筐体の中で演算され、ホログラム投影の形でフェリのボディへと銃火が命中していく、その瞬間であったからだ。

 

 

「フェリ、無事か!?」

 

「あぅぅ……ぁぅーっ…ぁ…あれ?」 

 

 

昨日と同じ装備無しのエリス型ならば、また黒こげにされていただろう。

が、しかし…――、

 

 

「なんともないよ? やったやったよーっ!!」

 

 

弾着の弾痕(というホログラムによる投影エフェクト)が残るアーマー部はさておいて、中身のフェリは、

――無傷だ!

 

 

「やったやったよ、やったやったよーっ!!」

 

「よっしゃぁ゛ーっ苦労の甲斐があったーっ゛゛゛! …、て、喜ぶよりも反撃のチャンスだっ、今なら当たるぜフェリ!」

 

「! わかったんだよんっ! たーげっとろっくお……「ニイチャン、気を付けろ!」え゛っ」

 

「なに…何゛?!」

 

 

反撃に、フェリは手持ちの主兵装である、仮名・ガンダムライフル……

AGE-1のドッズライフルに弾倉パーツを追加したうえで、

中身のICタグとビジュアライザーをストックしておいたバルク品のビーターゲーム用実弾小銃内装ICチップの物に交換して、設定も、実体弾銃…威力も相応に抑えめに、そのかわり、リロードなどの取り回しの良さを持たせた…――という改造をしたものだ……

……を用い、弾火が飛来した向こうへと反撃の応答射撃を浴びせんとした今だが、続けざまに相手の“砲火”が飛来した!

 

 

 

QUUUUUUUOMMMMM…

 

 

――DOGWARMMMMM!

 

 

「きゃああっ!!!!!」「ぬぅぐっ、…!」

 

 

爆風と火焔の二重奏が一瞬でコウスケのホロレンズの視界を灼き、ジオラマ上では、この繁華街の街路のただ中で火球のホログラムが轟いた……

 

…――この、目くらましのライフル射撃と、続いてのレベッカ型が標準で持つ火器の中でも一際ヘヴィーな威力を持つ…10.5ミリ分解組み立て式迫撃砲の『水平射撃による“置き石攻撃”戦法』が、この筐体でバトルした多くのプレイヤーを葬り屠ってきた、いわゆる“初見殺し”の戦法であった。

 

 

「にいちゃん、かかっちまったなー……オレとグレッグはコレをとっぱできなかったから勝てなかったんだよ。何度やってもこれがどうにもできなくて、こっから先コテンパンにやられるのがいつもでさ……」

 

「なるほどなぁ、……フェリ、無事か?」

 

「へ??」

 

 

自身と今は亡き自分の持つコンバット・ジョンのグレッグ型との、今となっては思い出話になってしまった過去をユウキは振り返った…

のだが、コウスケがあまりにも平静とした態度をしているのを見て、不審に思ったユウキである。

 

コウスケは把握している。ホロレンズに映る爆風は灰燼のただめく事件後の状態であろうが、相手であるレベッカの完全なる捕捉は、後次の一瞬でできそうであるのだ。

 

そしてユウキは神姫バトル筐体の上方に投影された各ビジョンの、双方の状態を示すコンディションパネルの、エリス型・フェリの状態を見て、驚愕した。

 

 

エリス型本体素体・ヒットポイントゲージ、100%。

…――損傷度、ゼロ。

 

 

「ぇえーいっ!」

 

「!」

 

 

そうして漂う灰燼を突き破って…――エリス型・フェリの放ったガンダム・ライフルの一撃が、迫撃砲の一撃を放った後撤収していく最中の〈黒いレベッカ〉の背後をかすめたのが今のこの瞬間だ!

 

 

「やったやったよ、やったやったよー!! ますたーの作ってくれたぶそうすごいよーっ!!」

 

 

「よぅし、」「えっ、えーっ!?」

 

 

“ほほう、なかなかやりますね…なら、”

 

 

「え?」

 

 

このコウスケ謹製のアーマード外装は、ここまでの攻撃をすべて耐えきった。

プラモの部品を使った外装パーツにHPを与える場合、そのパーツの裏面だったり内部に、専門のALEXショップが売っているICタグを張り込めば、それだけで改造は完了する。

少し背伸びして構造的な開閉などのギミックの場合は、v-sidoを応用して、キャップモーターを仕込んだ箇所で、閉じた状態と中間の状態、そして開いた状態を手動で設定していけばいい。

 

これだけの改造箇所があったとしても、そうそう壊れた威力設定にはならない、というのが今のALEX改造界隈である。

威力の上限はメーカー品で既に出きってしまっているし、自作で使える素材などは、性能が押さえられている、威力的には中庸なものしかないからだ。

 

そうして今、アーマードパーツ部位自体のHPは、三分の一…瀕死…の状態である。

 

ならばそれを、と黒いレベッカは判断したのだ。

 

 

「…――」

 

 

ねらいは、装甲の隙間だ。

 

 

「…――ッ」

 

 

跳躍で空中を駆け抜けていたのを、ビル壁を蹴って方向を反転。

進路はエリス型・〈フェリ〉をとらえる形で、

 

 

バヨネット付きM8から銃剣(バヨネット)を外し、…――、手で構え…――――、、、

 

 

「フェリ、白兵戦だ。ビームサーベルの用意を、」

 

「わ、わかったんだよんっ」

 

「命令を追加、その前にマイクロミサイル!」

 

「わかったのねん!」

 

 

腰装甲のビームサーベル・ラックから、サーベルをフェリは取り出した。

次にフェリが、身体の各所にガンプラのパーツを切った張ったして作った増加装甲越しに取り付けられた、VF-1バルキリーのスーパーパーツ……、そのミサイルポッド・システムに、お願いをした。

 

 

そうするとこう返された、“火器管制を求める”。

 

 

「背中のシャルドールさんにやってもらうんだッ」

 

「!」

 

 全身から噴出したミサイルの朦々とした噴炎によってフェリの身体がかき消されたのは、背中のシャルドール改のヘッド・パーツが火器管制設定を行った、この直後のことである。

 

 

「ふぇぇっ」

 

 

――合計十二発のマイクロミサイル弾が、フェリの全身の装甲パーツから射出されて吐き出され、次の瞬間にはハイマニューバー弾であるそれが、こちらにつっこんでくる〈黒いレベッカ〉の身体に殺到した! …――というホログラム投影が〈黒いレベッカ〉に対して行われたのがこの瞬間だ。

 

 それをレベッカは、

 

 

“っ”

 

 

――その手で握るナイフで、クリティカル判定になりそうなもののみを的確にしとめ、ほかのミサイルは、自機の自分の装備する面積の狭い装甲パーツで防御しながら…――全弾を切り抜けた。

 

 

“…――はぁあっ!”

 

「う、うにゃーっ!?」

 

 

次の瞬間。

ナイフを切っ先に向け、弾丸のように突っ込んできた〈黒いレベッカ〉に、フェリは迎撃のビームサーベルを閃かせた!

 

 

SHUBEM!

 

 

「“!”」

 

 

ビームサーベル(とはいっても実際としてはペーパー・プラスチック製の巻紙を巻き延ばしできるギミックが入っているだけの、ただの玩具である)とナイフが刃を交わした瞬間…――ビームサーベルは帯びている磁界を衝突させスパークを弾き併せて錐揉みあい、双方が鍔迫り合うのがまさにこのときであった。

 

 

「うぅう、ひぅうっ」

 

 

――ミサイルに対する対応でレベッカのフェリに対する到達のタイミングが四分半秒遅れて、フェリの側が焦らずにサーベルを展開できる、その隙が生まれたことで今の防御が可能になったのだ。

 

ミノフスキー粒子をおびただしい磁場と電流によって集約させることによって形成された、ビームサーベルの“刃”――という設定の、伸ばした状態の巻紙による刀身に、超小型ビジュアライザーによるビーム刃の映像効果を付けているだけの物だ――とレベッカのバヨネットの切っ先が交差して、特にビームサーベルはHGUC・ネロから流用した高出力設定の物だ。このナイフぐらいならば……

 

 

「…! えぇーいっ!!」

 

“!”

 

 

決まったのはこの瞬間だ。

勢いと威力で勝るフェリの側が、とうとうレベッカの身体を弾き飛ばしてしまったのである。

 

装備品の威力に差がある。つまり此方に不利。

咄嗟にレベッカは距離をとろうとして……――

 

 

 

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