機装少女戦・フェアリーメイデン!~模型の国のプラスチック・プリンセス~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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第五話 青く輝く炎の向こうに(完成版)

第五話 青く輝く炎の向こうに(完成版)

 

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対戦が終わったあと…

時刻はちょうど、正午ほど。

フェアリーメイデンのお弁当といえば、ヂェリカンなのである。

 

 

「ますたぁー/////」

 

「ほれーよしよし! 今日はいちごミルクのヂェリカンだぞー!」

 

「わーぃ!////」

 

 

 手元に抱き寄せたフェリと、初のバトル勝利を喜び合い……

 そしてお昼のおやつタイム、というわけであった。

 

 そして、

 

 

「いるか? 昼にしようぜっ」

 

 

“「おきゃくさまからの収賄は、規則により…」”

 

 

「じゃん、」

 

 

“「 ! あっ…」”

 

 

「レモングラスティーのヂェリカン、

 アソート袋に入っちゃってて、でもフェリはお子さま舌でさぁ、だから、ね?」

 

 

 

レベッカ型の基本の好物は、この“レモングラス・ティー”味と“泥のように不味いコーヒー”味である。

 

 

「……オーナーが、許していただける、なら、…「ばっちゃん! レベっちが、ヂェリカンのみたいって!!」あ、……////」

 

 

「にっ」

 

 

 こうして昼餉の時間は始まった。

 

 

 ***

 

 

「そっか、お前って、ここのおばあちゃんの持ち妖精なんだ。」

 

 

 

「 …ー」

 

 

 ……レベッカは逡巡した後に、ちいさく、こくり、…と頷いた。

 

「オレっちが生まれる前から、それとも同い年くらいだっけ?」

 

「たしか、……。ですね。「おおー」…ふふっ。

 思えば、…ここの地にて、わたしがこうして、役目を与えられてから……

 永い間だったのかもしれません、

 そして、その折に現れてくれたのが……

 ユウキさまと、その持ちアレックスの…」

 

「オレのグレッグなんだ!」

 

 なるほど……

 

 

「おもえば、レベちゃんは、手ごわかったなぁー……」

 

 

 「グレッグどのがわるいのです。

 出会ってすぐ、一戦したかしないかの時に、“すばらしい、君を尊敬(リスペクト)することにした”だとか、って……

 口説きの文句、というやつでしょうか?? まったく、本当に、変な方で……。……

 “君の手加減無しの、ホンキを教えてほしい。尊敬する君に、君のいる高みを、俺におしえてほしい”…って…。

 おかしい方でした。いまでもそうおもいます。

 そんなこと…いままで…いわれたことも、考えたことも無くて……わたし…」

 

 黒いレベッカは、己のグレッグとの…大切なエピソードたち……

 それを、ぽつりぽつり、と、述べるように語っていく。

 そして……

 

「 グレッグさまの、…

 健在であられたときは、わたしは、嬉しかったのです。

 たのしい、の、さらに前に来る、なんというか…含意(ニュアンス)が難しいのですが…」

 

「 グレッグ、れべちゃんと、仲良かったもんな…」

 

「はい。……かけがえのない戦友、好敵手(ライバル)、友達…親愛なる関係…親愛なる友達……親愛なる相手……無二の友人……

 

 今思えば、夢のような、たのしくて美しい、素晴らしい日々でした。

 ユウキさまがグレッグ様をつれて、このととに、このわたしのもとに、遊びに来てくれる、

 その日々が……本当に、大切だった……

 こうなるって分かってたら、もっと、大事に、大切に、メモリーのデータにもっと刻みつけるようにしながら、過ごしたかった…………

 

 だからこそ…

 許せません。

 

……ゆるせません。……グレッグさまをああした、下手人のことを。……

 

 

 わたくしに、涙を流すことが、そうすることというのがあるのなら……

 

 

 悼みの涙を、向けて、流す事を、できたのでしょう、けども、」

 

 

「わかるぜ、レベちゃん、……そういえば、さ。

 おれのこのタッパに、この、カーネーションのおはなちゃん、

 れべちゃんのオーナーのととばーちゃんに買ってもらって、

 それで、タッパにいっしょに入れてくれたの、れべちゃんだった、もんな、……

 

 すきでいてくれた、もんな、……

 だいすきだった、だいすきどうし、だった、もんな……

 

 だから、だからよぉ、だからよぉおお……

 

 

 ううっ、ううううぇええええええええ………」

 

「……泣かないで……」

 

 

「……レベっち……」

 

 泣きじゃくるユウキに、

 黒いレベッカは、そっ、…と、利き腕の手を、筐体の縁に突っ伏せられていたユウキのそのおでこに、触れさせた。

 

「あなたの涙というのが、グレッグ様が、いちばんに助けたかったもの……救いたかったもの。

 ……

 カーネーションの花言葉は、愛や、敬意。

 わたしは、グレッグどの、あなたのそれを、記念する…

 ……

 

 グレッグ様がこのようにされたときのあと、わたしは…目の前のすべてがまっくらになったようになりました。

 

 希望も、よろこびも、楽しみの感情も、うれしさの思いも、…もっと大事なのかもしれない、わたしが貴方だけにはじめて感じていた、不思議な気持ちも、その心地も………なにもかもが、わたしの心のその回路が、電源遮断されてブラックアウトしてしまったように。

 有機生命体なら、生きながら死んでいる、という言葉の意味とは、このような心地だったのでしょうか。

 

 でも……

…紛れもない言葉通りの現実逃避のようかもしれなかったですが、それでも無我夢中で、ネットの海をクローリングしたとき、

 そのときに今のシステムとなってのグーグルのサジェストの見出しを、あのとき偶然みただけですが、そうかいてあったのです。

 だから、…はじめて、わがままなおねがいをオーナー様に言ってしまいました。

 この商店街の花屋さんに。わたしのオーナー様…このととのオーナーである村木さま……

 から頂いて、いままで溜めてたお給金の貯金があったので、

 それをつかって……

 

 

 最初で最後の、たいせつなプレゼントを渡すそのことが、こんなことになるだなんて、

 わたしは…… 、…もっと早くに、もっと先に、こうなることがあるって、知ることができていたなら……わたしは………、……

 

 それでも、グレッグどのは、コウスケさまの手で、よみがえることができる。

 そうと聞いて、聞くことができて、わたしは、この機械の肉体が今滅びたとしても、構わないくらいのうれしさを、回路の中でときめくように感じているのです……

 

 待っててくださいね。グレッグ。

 貴方が健在だったころの間、言えなかった言葉があります。

 伝えきれなかったおもいがあります……たくさんあるのです……

 いままでも、いまでも、これからも、そして……

 いま、言っても、もう、おそすぎるでしょうか……けど……

 

 だから、修理されて、帰ってきてくださいね。

 その時に、…わたしは……

 

 

 あいしてます。…グレッグ……」

 

 

 

「……そうか……」コウスケも、あまり器用に言葉を使える人間では、なかったのだ。

 

 

 

  すると、

 

 

 

がちゃん、がらがら、……

 

 

「ぅーいー、、…ひっく! おふぅ、」

 

 

 すると、その時。

 

 

「あー、おいしい居酒屋がこんあ朝方から開いてて、

 しかも! ゲームセンターまで!…この商店街、さいこー!いえー!

 って……あああああああああああ?!

 えっ…神姫筐体じゃん!すげー!!!!

 ねえねええねえねえねえセレナったら、あれみて!」

 

「おお、あれは、」

 

「そうそう、あれは! すっごい!すげーや、すげーの! わっはは!

 …ん?」

 

 

 現れたのは、この真っ昼間だというのに泥酔しきった、若い……妙齢の、女性。

 どうも、アレックスを連れているらしいようだ。

 

 …すると…

 こちらに、近寄ってきた。

 そして、

 

「 ぶへー、……

 

 

 なあに、? お花と…

 

 あ、サージェントグレッグ系。

 

 ……

 

 …なるほど……なら……

 

 ……悼んで、あげるね…ふへ…」

 

 

「おきゃくさま、」「ふぁい???」

 

「 よっぱらいのアルコール臭い呼気なんかの状態のやつなんかの、

 そんな悼みなんてのは、それこそ寝ションベンにして、この、とと、の外のその辺で、垂れ流せておいてください。厳粛に、です。

 

 貴方の悼みなんてのは、 

 グレッグさまへの、侮辱です…!」

 

 

 

 ぱちゅり、と。。

 

 

 女の行動は、待ってくれなかった。

 腰のベルトバッグから何かを取り出したか、と思うと、

 次の瞬間には、

 グレッグ型が手向けられた朱いカーネーションを横に眠りにつく、

 タッパ―ケースの中へと、“振りかけたのだ”。……

 

 黒いレベッカがお断りの文言を言い立てるよりも早く、

 ユウキは理解できず、

 コウスケも、面食らった。

 

 

 

###2

 

 

 

 

「え、」「 」「…?!」

 

 

 

「……ちょっとねぇ、アンタ、なにやったんだ???」

 

「 あれえ、アレックスの破損の時にできる、簡易的な応急処置の方法だよぉ?

 見た所だと、体内のホビーリアクターも損傷してて、主・電装系への給電のいっさいが切れてから、けっこー時間たってるみたいじゃん。

 そうなると、アレックスロイドの構造として、外部から電力が入ればメモリと演算系統の復活の補助になるわけで、

 その子……このグレッグ型は、身体の構造としてはHi-ABSの古典的男玩アクションフィギュアのドンガラだけど、内部系統の電装系なら、その部品は日本式アレックスロイドやフェアリーメイデンの規格と変わらない。

 そしてその内部中枢部品類は、オリゼリマ製のポリ集積マイクロマシンデバイスってことだからー、

 そこに、直接、栄養オリゼリマを塗布接触させれば!

 内部へ、マイクロマシン単位での乳酸菌濃度差発電の効果があらわれーって、

 ならば? ってことよー!

 メモリチェック、データチェックしないと、だれになにをやられたのか、被害届とか、弁護士とか、法務とか、そういうのに、検証材料としてだせないじゃん?

 それ、ちゃんとやってるかなー?って、

 ああ、ご安心を!

 いやいや、汚損させるとかじゃなくぅ!

 いやがらせの油とか液体とか溶剤とか塗料とかじゃなくて、ほら。

 

 

……食用・総オリゼリマ製の代替甘酒ヂェリーチューブ(ノンアルコール)……

 もともとアレックスロイド用の上にノンアルコールだから、部材のどこにも、成分はアタックしないよ!ぜったいに!」

 

 

 放出された、その疑似甘酒の臭いが、この場のすべての者たちの鼻孔に、やけに嫌な物なのだ、というようにして……掠めるように香った。

 

 

「ふ、ふえええええええええええええええ」

 

 

 唐突な惨劇に、

 ユウキは、泣き出してしまった。

 

 

「え、なんで?」「なんでって、……アンタなぁっ」

 

 

 戸惑っているのだ、とする酔った女性に、

 コウスケは、即場的な怒りと、怪訝の思いと、それから……脳内検索の思い当たりの結果を重ね合わせた、

 結果は……グレー。

 こいつは友軍なのか、どうなのか?

 という嫌疑を、顔の表情とその眼光にして、目の前のその人物へと向けるしかない。 

 

 …そして、

 

  

「……

 

  グレッグの肉体に、あなたのような存在が、

 わたしが、かれにっ、どれだけの感謝と思いを、持ち続けてきて、いるかっ!

 

 ……!っ~~~~~!!

 

 わたしだって、く、……接吻、したこともなかったのに!

 なのに、なのに、なんで……!?」

 

「 れ、れべっち??? ぐす、ぐしゅ、えふっ」

 

 

「……

 わたしのからだが、今日、破滅し、滅んでしまったとしても、それは、わたしの信条と……わたしの純潔を彼へと捧げるための、対価です。機械の神と電脳の海の悪魔相手だろうと、喜んで、支払います……

 

 

 たたかわせてください。

 

 

 決闘してください、!」

 

 

 レベッカは、涙を流していた

 己の思いを穢されたという怒りの決意により、この、目の前の不俱戴天を、撃破せん、と……

 

 

*****

 

 

「 そーなんだ、ごめんね、…ひっく、っ。

 んーーー…

 この損傷の度合いなら、って、思ったんだけどなー…

 ぼちぼち、なんか、もうそろそろ…応急処置をやってからの時間経過的に…

 んでもなーぁ、」

 

 

「あのー、気持ちよく酔っぱらってる、そこのおねえさん?」

 

 「ほえっ?」

 

 

 妙齢の女性(仮)は、コウスケの全身とその細部を、頭の顔から足の先までをじろじろと視姦した後…

 

 

「ふーん、…君、かわいい!

 

 

 もっとそんな、マニッシュ?ボーイッシュ?みたいなカッコするんじゃなくて、ゴスロリとか甘ロリとか。いろいろ!ねぇ!あはぁははは!」

 

 

 …浩介の顔から、余裕がきえた。

 

 

「 オレは、おとこですよ。白いションベン出せますよ」

 

 

「 ええーっ!?

なんで??? 変な虫よらせないため?だって、私の第六感めいた直感が…」

 

「 …」

 

 

「うん、…

 

 …

 女の子みたいだね?」

 

「…褒められたつもりにはなりません」

 

 

「 え?ぇっ…ううーむ、醉い過ぎてるのかなわたし…

 

 ま、まあ、けども。ま…いっかあ!」

 

 

 

「 おい、オバン。」

 

 

「 …はぁ!?

 

 コッコッコ…コケコッコ!

 これでも、ぴちぴちの26歳なんですけどーぉお!????」

 

 

「 俺より、十も年上じゃん。」

 

 

 コウスケもコウスケで、違和感の正体がわからないことと、レベッカの義憤に首肯した己の心とで、笑い顔の表情になんてのにはなってない、そのはず……

 が、そこはコウスケの相変わらずの人相の悪さ。

 その表情をこわばりに突っ張らせた状態の顔面は、一種、にやり、とも見えたようで、

 

 謎の酔っ払い女子(アラサー)は、がーん! となるとともに、激情を興したのである。

 

 

 

 ***

 

 

「だ、だだだあっだ……?!

 だーれが、年増ですってぇ!?  

 こっちはまだ26だ!!!!!???チクショー!!!!!

 えーい、前途と未来と希望のあるジャリ連中め、まとめてわからせてやるんだからっ!(´;ω;`)

 

 

 神姫バトル、よ! 受けて立ちなさい!!

 

 この、褒田 晴歌 ほめた はるか が、受けて立ってやる!」

 

 

 前後で理屈が破綻してるぞ、と悪態を付けかけて……

 そのハルカの手元に現れたアレックスロイドとそのハルカの様相を見て、

 つい先日の、あの時のそれを、脳裏にひらめく如く、コウスケは思い出した。

 

 

「…あっ、思い出した! 先日の聖川の河川敷での、あんときのマリーセレス使いの!」

 

 

「うぃ?ひぃーっく、…なになに、わたしにファンの追っかけなんていたわけ?!」

 

 

「 槍持ったデッドボーダー相手に上手いことやりあえてたヤツラだ!

 相当な手練だな…!?」 

 

 

「ほほーん、やる気になったようね。」

 

 

 すちゃり、。…と、ハルカは己の身体に、そのウェアラブルを装着した。

 

 

「携帯型・ライドオンデバイス!? 

 くそ、ダイレクト制御ってことか…

 まずくなってきたぞ、相手は熟練の古参の、だいぶ年季の入った武装淑女だ!?」

 

 

「また年増っていったあ?!

 も、もー、いいもんね。やってやる、やーっつちゃる!!!

 

 

 わたしの超絶操縦で、キミをコテンパンにしてやるんだから!!」

 

 

「なにをー!?」

 

 

 コウスケと女はこんな感じでバチバチやり合いつつ、

 

 

「 ユウキ、わたしの管制役の代理になってください。」

 

 

「 オレにれべっちの指示だしとか操縦とか、むりだって!?」

 

 

「あとの思考と処理は、ノード端末たるわたしが、ぜんぶやります。

 二対一でもいいのです、。あのやつを、いい目にあわせてやる!!!」

  

 

「お、おお…(れべっちがキレてる……)」

 

 

 

 斯くして、本日二度目のアレックスバトルは、開始されようとしていた……

 

 

###3

 ****

 

 

 筐体内に下降した状態の、フェリと黒いレベッカのコンビである。

 

 …フェリのその着ぶくれめいた重装ぶりに、

 スマートで必要最小限の機装を纏う事に少なからず誇りめいた自負を感じて持っている黒いレベッカは、怪訝とした。

 

 

「……なんですかそれは、パジャマですか?それともお城ですか?」

 

 

「むー! マスターが作ってくれた、ぼっくんのための、機装(アーマードバトルドレス)の、もうひとつめ、なんだよん!

 ぱじゃまじゃないもん!」

 

「…そうですか」

 

 

 黒いレベッカは、怪訝とするのを、隠せようがない。

 

 

 それほどまでに、現在、フェリが装着しているのは、凄まじいボリュームの機装であったのだから。

 

 

 gフレーム、ユニユニ、hguc、mg、

 その他諸々……

 

 ジムカスタムとガンダムNT1をシャシーの骨に、

 外装に、ガンダムnt1の部品……チョバムアーマーや各機体部位をベースとすることで脱着を可能としつつ、適宜、ジムキャノン2の部材との組み合わせ。そこに、パワードジム、パワードジムカーディガン、それらの部品も使用。

 つまり、この機装の下にも、……ということだ。

 

 さらに、SD-EXモデルのアルビオンの部品も、たっくさん。

 

 

「 gコマンダーならぬ、gストライカー。

 とりあえずの仮の便宜名だ。」

 

 

「あなたたちは、戦車にデパートを作るつもりなのですか?」

 

 

「そーでもやらんと、またこないだみたいなことがあったら!

 戦隊ロボ玩具のアレックスみたいなスパルタンでブルータルなヤロー相手には、こうでもしなきゃ、フェリを守れんっ!

 こないだの時は、修復ゲル使うような切り傷擦れ傷はなかったけど、

 おもらししたフェリをダヴ湯でお風呂に入れるのに丁寧にやってなあ……」

「ま、ますたぁ、///////」

 

「ごめんなさいです…」

 

 コウスケの懸念はそこである。次に戦隊ロボ級のスーパーヘビーウェイトの相手と対戦となった時、万全の対処を取れるようにしたいのだ。

 フェリのほうは己のおもらしエピソードが開陳されたことにはぅぅ////となってしまったし、

 下手人のユウキは、平謝りするしかない……

 

 

 バトルの開始が宣告されたのはその時だ。

 

 

「フェリ! 特訓したようにやるぞ!今度こそ! おまえはひとりじゃなーい!!!」

 

 

「ジムのおじちゃんたち! おねがい!」

 

 

 ジーストライカーの後部格納ペイロードが開き、そこから、発進した機影が…よっつ。

 sdフルカラー・アレックスロイドのジムカスタムとジムキャノン2をプチマスィーンとして、バトルフィールドに展開。

 

 つまり、サポートメカが、まずは四体。

 

「へい! 随分ぶりに選んでくれたと思ったら、

 いつの間にか、俺たちカプセルロイドはそのエリス型の部下ってことにされてるじゃねえか? 」

 

「バッグの中で聞いてたぜ!

 あの酔っ払いのスブタ(・・・)をこっぴどく、やっつければいいんだな?

 嬢ちゃんがまたションベンながすまでも「べ、ベイトさん~~!」ハハハ…

 まってろ、直ぐに、鴨料理にしてやるさ!」

 

「 減らず口たたくな、モンシア、ベイト、…

 すまんな、コウスケ。

 貴方(オーナー)の好みや出すシチュエーションもあるだろうが、しばらくゾイド(メカきょうりゅう)の連中ばかりに良い思いさせてこられたから、

 俺たち・モビルスーツカプセルロイドも、腕がなまってるかもしれんからなぁ。」

 

「 バニング隊長は、それで今日ずっと、仮想空間で我々をしごきながら、

 最適マニューバの研究をやり続けていて「アデル、言うな…俺が恥ずかしくなるだろ…」

 フフ、まあ、戦果報告を期待ください。オーナー殿?」

 

 

 

 不死身の第四小隊、発進!

 

 

 バニング・ベイト・モンシア・アデル。

 三機のジムカスタム型と一機のジムキャノン2、

 SDガンダム・フルカラーの、カプセルロイドアレックスだ。

 

 

「 さあ、プチマスィーンも加えたら、機動戦力はこちらは六体!さらにさらに…

 これだけやっちまって……わるいな、オバサン!」 

 

 

 「ま、ま、ま……またオバサンだなんて!!!!??泣」

 

 

 ん?とコウスケは、その兆候を感じた。

 

 

「まだ26…行き遅れじゃない…嫁ぎ遅れじゃな……うえーん!!!

 …ま、いいもんねー。ぐすっ、。あなたたちのその布陣なんて……」

 

 

 そして、それは直後の事。

合計四体のガチャポンカプセル・ミニマムアレックスロイド・ジムカスタムとジムキャノン2が……

 

 

 

「ふ、不死身の第四小隊が!? バニングさん以外、秒殺された?!」

 

 

 

 たった二分未満で、撃墜判定。

 

 

 

 

「わたしはとってもつよいですぅよぉ…?」

 

 

 ……深淵の淵から聞こえてきた、その声……

 

 コウスケとユウキは青ざめ、

 フェリは恐怖し、

 黒いレベッカは、目の前のそれを、絶望を形にしたものだ……と畏怖した。

 

 

 

 相手は、たった一体。されど……

 武装神姫・マリーセレス型。

 それも、上から数えた方が早いクラスの手練れプレイヤーの……その持ち神姫であったのだ。

 

 

 

***

#4

 

 

 

「骨がたつやつですぅ!!!」

 

「ぐ、ぉ、ぉお、……!」

 

 

 ジムカスタム型のその左腕携行シールドが、派手に砕け散って、割れた…… 

 すでにほかの不死身の第四小隊の小隊員が全滅した後、

 SDフルカラー・ジムカスタム〈バニング〉は、諦めることなく、

 ジムカスタム型の機体特徴でもある、機体運動性の高さ……機体の最大推力を全開にして、

 相手……マリーセレスに機動戦闘を挑んでいた。

 

「これで、……どうだ!!!」

 

 バニングは奮闘していた……こちらがガシャポンSDであること、つまりアレックスロイドとしての彼我のサイズ差をを生かして翻弄させようにも、相手のマリーセレス型は、冷静かつ、狡猾であった。

 さいしょにフォームアタックのマニューバでカタにはめようとしたとき、

 そのまま逆襲を喰らい……今に至る。

 だが、それでも、バニングはエースの手練れの内の、その一体であった。

 そして繰り出したマニューバが完成した。

 敵の背後に回り込む様に推進し、そして、実際のその背面に、僅かに届くかのような、そのタイミングで!

 …勝機を掴んだ…その確信が確かにつかめた。その一瞬、

 バニングは、手に装備したジムライフルを、フルバーストで斉射した!

 

 ……だが…

 

「ですぅ♡」「!? なっ…あっ……!」

 

 

 相手のマリーセレス型は、たった数個の手数の組み合わせでしかない…はず…のその機動ムーブで、

 SDロイドが己の搭載推力、推進剤(水)を空同然になるまでにしてまでの、渾身の必殺マニューバというのを、回避してのけた……

 

 

「ならぁ、っこれでぇ!」

 

 諦めるのは、まだだ!

 あの新入りの新米ひよっこのフェリ嬢に、何とか勝利の導線をつなげてやりたい……唐突な自分たち小隊の配置換え、…ではあったが、でも、それはそれとして、別嬪の後輩が出来たことはうれしかったし、なにより、こうしてひさしぶりのバトルで、心が震えていたのもある。

 バニングは、すかさずビームサーベルを抜刀、展開、

 ここまで高まっていた推進力のエネルギーパワーを、さらに引き出す……

 ダイブ!

 素早い速度でめがけて突入していくジムカスタム型のバニングの、そのビームサーベルの剣の切っ先が、マリーセレスへと吸い込まれていく。

 

 だが、それを、

 

「はいなぁ♡」「なに?!!」

 

 切っ先が達しかけた瞬間の刹那……

 マリーセレス型の装甲スカート部位が、可動。

 そのまま……白羽どりされてしまった!?

 

 そのまま、返す剣…装甲触手であるが……で、バニングの機体に、一撃が見舞われた!

 

 

「ぐあっ! …これで、俺はおわりか……」

 

 

 HP、残量ゼロ。……

 ジムカスタム(バニング)は、こうして撃破判定となって、ゲームから脱落したのであった。

 

 だが、これで、

 

「……マスター・コウスケ、これで、あの神姫のスペックとポテンシャルは、割りだせそうか?!」

「さもなきゃ俺らがやられた意味がねーすよ!たのむぜ、フェリ嬢!コウ!」

「逆に鴨料理にされちまったぜ…くそぉっ」

「強かったですね…あれほどまでに強いとは……」

 

「ああ、嗚呼、おまえたち、よく頑張った! モーモーちゃんのステーキ味データの疑似フード増加食、食わせたるからな!」

 

「「「「おおぉぉー!!!!」」」」

 

ウェアラブルの電脳メガネで、視線と思考操作により、マクロとファンクションを作動。

 

 ワンボタンで、SDロイド「不死身の第四小隊」たちへの、増加食「パイロット用特別ビーフ・ステーキ」のデータの送信は完了した。

  

「くっそー! …フェリ、格納コンテナ部位パージ、分離戦闘モードに移行してくれ!」

 

 

「 わ、わ、わわっわわ……」

 

 

「フェリちゃーん!?」

 

 

「や、やさしかった、じ、ジムのおじちゃんたちが、みんな、みんな、みんなみんな、やられちゃったよぉ~~……!?

 お、(冷却液)おしっこもらしちゃったのねん…///…ひぐ、ぐすっ、ふぇっ…」

 

「泣くな!お嬢ちゃん」「覚悟してかかるんだぞ、奴は強い!」

「十分に気をつけろ!!」「マスターの用意してくれた武装を、生かし切るんですよ!」

と、フェリに激励をかけるカプセルロイドたち。

 

「あとできれいきれーい、してあげるから!ダヴでキレイキレイするから!

 今は、戦闘に、専念して!?」

 

「ふぁ、ふぁいいいいいい……!////」

 

 

そうして、Gストライカの母船部位から、

 フェリとその身にまとう機装の、本体部位が、切り離されて排出がなされた。

 

 

「ほぅ、……」

 

 

 背後に掛かっているテレビモニタのひとつに、

 アマゾン・ファイアスティックを経由して、ティックトックにころがっている

 機動戦士ガンダム0083の第一話冒頭…

 トリントン基地近郊での、カークス、ウラキ、キースのザクF2三機とアレンのパワードジムが、演習を繰り広げる、という一連のシーン……

 それを確認した。

 

 

 ザクになら、おにあい、と。 

 なるほど、ただ上から押し着せたわけでは、ない、と…

 

 

 

「なるほど……フェリ殿。

 わたしも、あなたのその重武装を頼りにしています。

 互いの足りない部分は補い合えばいい。了解は?」

 

 

「 ! は、はひ!」

 

 

 “うらやましいな”…と多少知覚回路の領域の脳裏で感じつつも、同時に、“わたしのしゅみではないな、”…とも。

 冷静をとりなしつつ、

 フェリのエスコートを覚悟した、黒いレベッカである。

 

 

「フェリお嬢さん、わたしらもついてますからな?」

 

「! シナプスさん、それから、クルーのみんな!」

 

これがとっておきだ。 

分離した機装のステーション部位が、可変……SDフルカラー準拠の、ペガサス級・強襲揚陸艦アルビオンの形態となり、独立してうごくのだ!

 

「シナプス艦長、おねがいします!」

「任されたぞ!」

 

 

 どぅ、とエンジンをふかし、アルビオンは浮上した……機体すべてにフィールドアクチュエータの原理が使えるようになっているのだ……

 

 

 かくして分離したフェリであったが、しかし、こちらはこちらで、コウスケ自信作の機装を、任されているのである。

 

「よわきになったら、吞まれちゃうのねんっ、…よっし!」

 

「フェリどの、…フェリ、いきますよ?」

 

「うん! がんばろうなのねっ、レベッカちゃん!」

 

 そうして……ぱしゅううぅう! と、フェリの機装が、搭載スラスターの推力をふかした。

 

 軽くふかした……のみ、それだけ。

 鈍重な外装装甲も、諸々込みだ。

 

 だが、その筐体が、軽々と……“大ジャンプ”……推進跳躍、それをしてみせたのである。

 

「♪////さすがマスターの作ってくれた機装なのねんっ////」

 

 これというのは、コウスケの渾身の作……脱着可能式、FAWS(フルアーマー・ウェポン・システム)、である。

 特に推力だけで空中に浮いてられるほど、スラスターの数は足してある……

 

 

 水分子噴射式・ジェットランドセル。

 パワードジムカーディガンの物に、

 さらにガンダムnT1やジムカスタムのバックパックを中央で左右に分割した物を、ヘイズル予備機やガンダムGP01フルバーニアンのユニバーサル・スラスターポッドのようにとして、接続・懸架させた物……

 

 フェリ本体にはアダプターを経由して懸架されたランドセル左右には、

 アウターガンダムやサンボルの連邦軍・空間戦MSのように、

 アームの先に懸架された、ジムカスタム、ガンダムNT1,などのシールドアーマーが、装着されていて、

 さらに種に使ったパワードジムカーディガンの武装部位は複数個を使ったことによって、

 アームの数はさらにあり……

 

 ジムライフルと、ガンダムNT1のビームライフル、

 それからパワードジムカーディガンのビームカービン、ジムマシンガン、

 そして、ハイパーバズーカ。

 

……てんこ盛りである。

 

 ただ、その分。

 機装部位の体積と重量がけっこう嵩張っている。

 

 とにかく、

 推力お化けな上に、武装のボリュームも、お化け並、という事だ。

 

 

 これだけの機体を動かす為に、

 チョバムアーマーの内部に、推進剤の増槽を組み込んでいた……

 

 

「では、こて調べに、こうしてみるですぅ!」

 

 

 ハフ・グーファ、それの二発の、同時発射。

 マリーセレス型・セレナは、

 まるでスカーレット隊を手玉に取ったミーシャのケンプファーのように、

 まずそうしてみた。

 

 

「ますたぁ、なにかとんでくるのねんっ!?」

 

「ハフ・グーファ、ようするにパンツァーファストだ、落ち着いて掛かれば、回避はたやすいっ!」

 

「やってみるのねんっ!」

 

 フェリはコウスケに指示を仰ぎつつ、

 

「ジムカスタムさん、おねがいっ!」

 

…… ーーーーー ……

 

 先の機装に引き続き、この機装でも踏襲されている、

 襟首後部に懸架装着された、火器管制の為の、ジムカスタムの頭部ユニット……

 

 演算をしつつ、フェリに、最適な機動を案内(ガイダンス)する……

 

 

「ところがぎっちょん、それが甘いのですぅ!!」

 

 

 そこをめがけて、マリーセレス型・セレナは、手持ちライフル・イングベイカーを用い、未来予測射撃による、ハメ撃ち、…それをしかけてきた!

 

 

 すると、

 

 

「わ、わ、わわわ!」「カバーをします!」「わぁっう?!」

 

すかさず、レベッカは1.25mmライフルで、相手のマリーセレス方へ、狙撃を敢行。

 …その射撃の火線を、止めさせることに成功した。 

 

「わ、わ、わわ、わああっ」

 

 こらえろ、こらえろ、……超重量となったフェリの機装であるが、

 MGキットのフレームと外装などを惜しむことなく使った結果、

 体の全身に、強化外骨格状に、倍力骨格のフレームとなって転用が為されている。

 つまるところ、運動性も機動性も、損なわれていない。

 だが、緊張によって、フェリは息も絶え絶えの様子で、なんとか危なっかしく、使うしかない。

 ……低高度の空中から着地(ランディング)するだけで、数秒ほど、費やした。

 

「よたついちゃったよ~~!!?」…ジムカスタム型のヘッドは、無念、と念じを返した……

 

「ううぅむ……」コウスケは、唸るしかない。

 

「あたるものじゃあないですよ、しっかりしてくださいっ。

 この距離に対して、むこうのライフルは比較的、短銃身…正確に狙い打とうとすると、射程が足りてないはずですっ」

 

「あらま、バレてましたか」「ほえー…」

 

「…あなたたちねぇ…。」

 

 レベッカの分析はその通りだったようだ。

 だが、続く相手・セレナと僚機・フェリの反応と応答に、おもわずこめかみを抑える動作をするしかない。

 

 

「ま、こっちの場合は、そうじゃないんだがな?」

 

「なんですと?」

 

「!? …それは……」

 

 だが、コウスケ、フェリのバディ・コンビは、今回強力なエモノを用意してきていた。  

 

 

###5

 

 

 

 それの正体は……

 マスターグレード・ジム改宇宙戦仕様付属の。組み替え可能ライフル

 それを、アレックスロイドの武器として、使えるようにしたものだ。

 

 

「んまーなんと卑怯な!?

  まずぃですぅ?!」

 

 マリーセレス型・セレナは、直感で感じた。

 “これはやばいぞ”と。…

 

「いけー!フェリ! 照準・弾道管制は、アルビオンの補助も借りるんだ!」

 

「いっくのねんっ! ふぁふぁふぁ、…ふぁいあ!!!」

 

 

 ロングライフル形態の銃口から、強装弾、というデータ設定の……データの弾丸が、放たれる。

 

 

「あっ、ぐっ、ぐあっ!!」「せレナ!?」

 

 

一撃で10%くらいは、もっていけた!

 それが、三発命中……

 途中で装甲スカートの触手を盾として防御に回り、その効果で、クリティカルになることは、セレナとハルカのバディコンビは、防いだようだ。

 

 

「えーい、ちょこざいな! ひきょうだー?!

 なら、やるっきゃないね。

 セレナ、近接するよ!」

 

「はぁいなのですぅ!」

 

そうすると、

 

「乙女の行状としては、ちょっと気恥ずかしいのですが、

 おぉねえ様(オーナー+お姉さま、の組み合わせ語……セレナとハルカとのあいだで通じる)に、勝利をもたらす!

 それが武装神姫なのですぅよぉ! 

 とおいうわけでぇ、…大じゃーんぷっ!!」

 

 直後のセレナの動作の動きとその効果に、コウスケは驚愕とした。

 

「すげえ、触手アーマーをばね足にして、ジャンプで飛べる距離をさらに稼いだなんて!?」

 

 …ということである。

 

 

「…まずいですね、わたしの対物ライフルでは、これ以上のインファイトは、対応しづらい……」

 

 

「ちゃあんと、そのへん折込ずみだよ。フェリっ?」「はいなのねんっ!//」

 

「え、」

 

 じゃこん、とフェリは、手持ちのそのライフルの、換装作業を行い、たったの数秒で完了させた。

 

 「これは、」

 「言わなかったっけ? MGジム改・宇宙戦仕様に付属するライフルは、三形態に組み換えが可能なんだよ」

 

 ロングライフル

ジムライフル

 ジムマシンガン

遠中近、3つ揃っている。

 組み替えすることで、各レンジに対応。

 

 その上、一番ヘビーに効いてくれるのはロングライフルの形態での威力だろうが、

 その他の形態も、

 18cmクラスのマスターグレードキットの付属武器なので、15cmクラスの美プラにとっては、かなりのエモノだ。

 威力について、申し分ない。

 

 中間形態のジムライフルだけでも、

 作中でF2ザクどころか

ドムトローペンやゲルググMすらもスパスパすっぱぬけていただけあって、なかなかによろしいものだ。

 それが、MGクラスの、……

 

 

 

 

「 なら。これでもくらえですう!」

 

「!? 武器を合体させたのねんっ!?」

 

「落ち着こう!あれは、ハフ・グーファと、イング・ベイカーを合体させた形態の、大斧・エルヴァル・アクス! それなら、こっちまでに近づく間に…」

 

「そぉい、なのですぅ!」

 

「んなっ!」「ふぇっ?!!」「っ」

 

 合体させてくみ上げた斧を……セレナは、

 

「とまほぉぉおおおく、ぶうううううめらあああんん! なのですぅ!!!」

 

「どっひゃあっ!?!」「ふええええっ?!!」「まずいっ!?」

 

 

 投げ込んできて……

 がっしゃあぁん! と、こちらに落着。

  

 

「ふえぇえっ!? あうっ」

 

 

 機敏に動こうとしたとき、フェリはとたとたと、よたついた

 

ーーしまった、嵩張る上に、重すぎるのか!? 

 コウスケは、こんどは己の盛りまくり癖が、フェリにとっては逆手になりうる、というのを、改めて思い知らされた……

 

「 ジムのライフルちゃん、

 おおきすぎるよぉ〜!!? 」

 

 

 そんなさなかに、ハフ・グーファのもう一発が、

 フェリの近くに、ぽがぁ!と至近で炸裂する。

 

「ふ、ふぇえええええん!!?」「フェリッ」

 

 咄嗟に、アーム懸架されたシールドで……機装管制のジムカスタムヘッドがやってくれたみたいだ…… 

 己をかばい、

 フェリは、……そのまま、その場に、膝から崩れ落ち、身を丸めた。

 

 

「ふ、ふぁあ~あっ…「フェリ、やみくも撃ちでも構わん、全火器、掃射しろ!」…!! う、うんっ!!!」

 

 

 フェリの機装から、フェリの手持ち火器のライフルから……おびただしい数の火線が、撃ちあがる。

 

「各砲門、ひらけ! お嬢さんを援護する!」

 

 シナプスさんのアルビオンが、援護にも入ってくれた!

 

 されど、それらというのを、セレナはひょい、ひょい、とかわしていくと……

 

 

「今このときこそ、古式ゆかしきこのミームを叫ばなければなりませんねぇ…

ずばり、当たらなければどうということはないですぅ!!」

 

「そんな…」「うぅむ、」「なんと…」

 

 セレナのムーヴメントに、

 呻くこちらのアレックス達。

 

 

「こ、こんなのって、ありかよー!?」

 

 ユウキはもう、叫ぶしかない。

 

 

「 さぁて、エルヴァル・アクスも、これで回収できました、し。ん?」

 

「ち、ちかよらないで~~!!?」

 

「あらあ、まぁ。」

 

 フェリは、距離を離すことを、まず己の第一義としたようだ。

 

「そういわれると、乙女の心は傷つきますのですよ~~~」

 「だって、こわいもん~~~!!!?」

「あららぁ、」

 

 飛んで離れていくフェリを、様子が面白い、とマリーセレス型・セレナは少々サディスティックに感じつつ……

 

「あの天使ちゃん、すーごくぴょんぴょん飛び回りますわねえ」

 

ーー「正面をみていなかったのは、迂闊ですよ!」

 

「あら?」

 

 

 マリーセレス型・セレナのその鷹揚な瞬間を、

 鋭く突かんとしたのが、黒いレベッカである。

 

 …が、

 

 

「サーペンタイン・二振り。この鋭撃を、しのげられますのですぅ??」

 

「やって、やるのが、レベッカ型の座右の銘ですっ」

 

振り解かれた近接刀・サーペンタイン二振りの解き放ちを、

 黒いレベッカは、なんとバヨネット一本を受け身に使う事で、しのぎ切って見せた。

 

 「ほぉ。……けども、こうともできるのですぅ!!」

 

 「ぐっ、」

 

 その黒いレベッカの顎を、触手アーマーのハードポイント部位を競り上げ、さながら懐の中から、臨機応変に取り出した……イングベイカーの、まだ斧形態としていない、もう一艇、それの銃身の先で、はじく様に当てて見せた。

  

「レベっち!?」「…応えますね……!」

 

「神姫バトル筐体で一番相性はいいのは、

やっぱりわたしみたいな武装神姫なのですぅ!」

 

 

 このマリーセレス型も、そのマスターも、

 レベッカからすると、まさに、深淵の者……と見ることができる。

 

 

「レベッカちゃん!?」

 

「あなたもモチノロンなのですぅ♡」

 

「ふぇえ、?! …きゃあ!?」

 

 激闘は、混乱と共に、なお激しく続く……

 

 

 *****

###6

 

 

 

「いけーぇ! 嬢ちゃん!」「やれやれ!そこだー!」「その場の、そこではそうするんだ!…そうそう!いいぞ!」「そこです、そこ!」

 

 筐体内から上がってきて、野次というか観戦モードになっている、SDフルカラー・不死身の第四小隊たち。

 

 

「いけー! セレナ―!はっはっはっ、そうそう、いいレスポンス、反応速度! やっぱりセレナは、わたしのお姫様(まい・ふぇあ・れでぃー)!」

 

 

 対するハルカの方は……、……。

 

 

「ふはははは、わたしの最強操縦、恐ろしかろう?!」

 

 

「ひっ」

 

 

 もうユウキは、この目の前のおねえさん♡が、なにか山姥かの類に見えてしょうがなかった……

 

 

「真っ昼間から酒の匂い漂わせて言う事じゃねーっすよ、それ。」

 

 

 コウスケは、ようやく先ほどの違和感の解消に成功していた。

 そして内心、目の前のこの酔っ払いに、敬意を持ち始めている己の感覚を、心と思考の中で、見つめ始めていた……

 

 

 ****

 

 

マリーセレス型・セレナは、マスター・ハルカに問うた。

 

 

「オー姉ぇちゃん、まだ、いらいらたまってるですかぁ?」

 

「 あったりマエダよぉ!

 企画部から転属されかかってるの、さっきも愚痴ったじゃーん!

 わたしの、!生きがいが! 奪われかかってる!

 ぴえーん!!!!!!!!

 

 

ぴえーん!!!!!!!!うえーーーーんん!!!!!!ううーーー!!!」

 

 

泣きべそを搔きながら、器用にもライドオン制御をこなしている、この、こいつ……

 

“ライドオンデバイス!? 

くそ、ダイレクト制御ってことか…

 

 

まずい、相手は熟練の古参の、だいぶ年季の入った武装淑女だ!?”

 

「だーれが、年増ですってぇ!?  

 えーい、ジャリめ、まとめてわからせてやるんだからっ!(´;ω;`)

 ひいっく、!! おふぅ、…」

 

 

「姉さま、地雷踏まれちゃったから頭に血が昇ってるですう… …って、ん?

 

(目の前で白兵戦で己と交戦している黒いレベッカの様子を分析して…)

 

あのー、オー姉さま?

重大なインシデント発見ですぅ。

バトルの、直ちの中断を申告するですう!?」

 

「いけー!わたしの最強操縦!

うなれ!わたしのセレナちゃん!」

 

「か、からだが、…ライドオンシステムで物理的に操縦されていて、

しかも、操縦してるおぉ姉さま本人は、

だいぶ酔いがまわっていて、

こちらからの警告と中断中止を求める緊急の精神感応が、作用が鈍っちまってやがるですう?!」

 

 

そして……

 

「なんだ、この動きは!?」「ひいいいいいい!???」

 怯えるコウスケとユウキ。

 

 

「勝ったな! ガハハ!」

 

 

「たった3回の機動ムーブで、相手の背後とそのてっぺんを得れるなんて、さすがわたしのオー姉さま!

正真正銘の、地の利を得たぞ!なのですう…

って、このままだとシャレにならいことに、

あの、レベッカ型さまが…!?」

 

 

「セレナちゃん、やーってやりなさい!」

 

 

 

(…はぁ。しょうがない、ここは、そちらの損害被害ダメージを減らすべく、わざとまけてやるですぅ…)

 

オー姉さまには、わるいですが。ね。

 みんなでしあわせになろうよ、なのですぅ。

 

 

「なんだぁ、!!? 動きが唐突に…鈍ったぞ。

 ……なら、今がチャンスだ! フェリ、外装パージだ!」

 

 

「らじゃあ、なのねんっ!!!」

 

 

「おーるらいと、ますたーぁ!!!」

 

 

 斬られまくり、撃たれまくり、でヒットポイントがエンプティとなっていたチョバムアーマー外装を、フェリはこの瞬間、パージした。

 

 すると、そして…

 

 

「おおっ!? 中から、ジムカスタムのMS少女が!?」

 

「まだ策はあるって事なんだわ…たのむ、フェリ!」

 

 

 ジムカスタム型のMS少女、それめいたボディアーマーとルックの、フェリの素体本体が、チョバムアーマー外装の中から解き放たれ、現れた。

 

 そして、……

 フェリの背中に、羽が生える。

 

 

「フェリ、オーバーロードには気を付けるんだ!」

 

「わかってるのねんっ!」

 

 エリス型としての特徴、

 メカ少女的機械の記号要素と鳥類の…天使の生の羽のような、優雅さのある意匠。

 

 

 エンジェル…ブライト・ウィング…天使の羽…

 

 

「 おおおおーーー、では、わたしのおなかに。」「ほえ?!?」

 

 

 そして放たれた、掃射と斉射……

 

 

 ゼロ距離でジムライフルの斉射を喰らった。

 

HP残量、ゼロ。

 

「 え、えええええええええええええええええええええ」

 

 

 衝撃的な結果だった。……ハルカは絶望した。

 

 

「 そんなー?! セレナちゃん、なにがどうしたー!?」

「緊急だったから、なのですぅ。おぉねえさまが、はやく気付いてくれてたらなー」

「なになに?…え…これって、……」

 

 ハルカは……がっくし、とその場でうなだれた。

 

「ワタシ、アレックス愛好家、失格だな……「こんどはどーした???」あのね、……」……えっ……。。。。」

 

 ハルカの転回ぶりに、恐る恐る尋ねたユウキは、……

 

 

 

「二勝利目だ!」「「「イエエエエエエエい!!!」」」「やりましたな、お嬢さん…」「ああ、よくやった!」

 

「 や、やった? よー? やったやったよー?」

 

 

 手ごたえの無さ?に、戸惑うフェリである、。

 

 そうしてそうして、

 

 

「 ふぇり、…ちっさくなってる!?」

 

「 ほ、ほぇえええ~~~!!!?」

 

 言わば、可塑剤が抜けたり、ミネラルオイルが抜けたシリコンやエラストマー、というべきだろうか。

 機装や素体内部の、マイクロ・セルマシン単位で構成された、インテグラル・タンク、

 その中のオリゼリマ含有消費冷却材の水溶液…が、

 フェリのブライト・ウィングの展開時に、消費しすぎたのだ……

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 アレックスロイドは、

 体内でも自己生成が可能であるが、量の増加生成速度の勢いに限りがあるので、

 体内で、アレックスロイド用擬似経口食などで

 摂取したオリゼリマーを

 体内でまとめてオリゼリマー・ナノマシン化する機能がある

 

 

 

 

「あああ、あんまりなことで、

よ、酔いが覚めました…」

 

「まだアルコールくせーけどな、」

 

「う゛っ、…」

 

 

 讃田 はるか ほめだ はるか

 

 オリゼリマー利用アレックスロイドサプライ製品(修復ゼリーパウチなど)などの、アレックスロイド・フェアリーメイデン関連品製造会社・安田商会(有限会社)勤務のOL(アラサー)

 重度のアル中で、

 特に日本酒と芋焼酎のドランカー。

 吉野杉樽醤油とほんてりで甘辛く煮込んだこんにゃく土手煮とところてんを大好きで、酒のあてにしている

 

 根っからの武装淑女・メガミデバイス、ブキヤユーザー

 アレックスロイド関連の買い物で浪費癖がひどく、

 カネがないので、本来ならアレックスロイドが使用するための会社の試供品のアレックスロイド用オリゼリマパウチの試供品などや、味塩を酒の宛にしていることもある

 

 

 毎日オリゼリマージェル飲んでるから、健康そのもの!

 

 

「おめーさんのプロフィール紹介はイーンダヨ、」「ぐぬ~~!?」

 

 

 まあそんな一幕を挟みつつ、

 

 

「へ、弊社の、試供品です…ご査収ください…」

 

「へえ、安田糧食商会、ねえ。」

 

「弊社のは、ニンゲンがのんでも、下痢にすらなりません!」

 

「オリゼリマーは完全衛生工程環境が保証されたオリゼリマ―産業振興協会認証認定資格を通ったプラントベース製法で最低でも食品グレードの原材料を使うのが法令とJIS/ jas/pseのすべてで規格として定まってるんだ! 人間が喰って問題あったら、それはメイドインジャパンのオリゼリマーじゃない証拠だぞ。

 

それとも、なんか他の別のなにがしか、ってのが、あるのかよ?って…」

 

 

「フェリ、!?」「フェリ様!?」「ふぇりっち?!」

 

「お、い、しー、! 」

 

 フェリは、そのオリゼリマ・ジュレのパッケージを、おいしそ~に、飲み始めていた。

 

「 !ありがとう…!

わ、わたしが味の決定を担当しました!

 

わたし、関西の出身なんです!

子供の頃からの好物なので、

フルーツミックスジュース味を、と!」

 

 

「 …へえ…」

 

 

「なあなあ、おばさn「おねー、さん、」…ねーさん、」

 

 

「ミルクシェイク味って、つくれるのか?」

 

「まっかせなさーい☆ 開発部の人に酷いことしてる自覚はあるけど、

わたしの味の監修は、いままで、ばっちりの成果をのこしてるんだから!」

 

「なら、試飲が、必要だな?」

 

「??? え。ええ? ええ…」

 

 

「ミルクシェーキ。おごってやるよ!」

 

 

 

*****

###7

 

 

 

……近所のサ店「女騎士館」……

 

 

「 未就学児童に、サテンのそう安くないのみもん、おごられるって、どうなのよ?」

 

「そ、そうですよ! 代金は、ちゃ~んと、わたしたち、払えるんですから!

 

……電子決済できますよね?」

 

……現金オンリー……

 

「い、一杯、六百円……やっちゃった!? さっきの居酒屋さんで、散在しすぎた~~!?」

 

「アンタ、よくそんなんで社会人やれてるな?」

 

「あんた、じゃなくて、はーるーかー!!! フシャー!!!!」

 

 

「というわけで、俺は支払える……って、あっ!!!!?」

 

 

 そういえば、もう手元の現金は……

 

 

「ダイジョーブ、だって! オレっちのことを、只のミシュウガクジドー? とはおもわないで!」

 

「け、けどよぉ……」「うぅぅうーーーー!!!!」

 

「……それとも、オレっちは、恩をくれた恩人に、何のお礼もできない、ただのジャリンチョだ、ってことなのか?」

 

「「えっ…、、」」

 

 

うる、っ。

 

 

「 ~~っ、…もってっときなっ。」

 

「! えっ!?

 

 だ、だめだ、それじゃあ、オレっち、なにも、なにもできなかったのに……」

 

 

「 いいんだ。

 このミルクシェイク、おいしいな?

 それを知れたから、そのことが、俺へのごほうびさ。」

 

 

「!…////あ、ぅ、…///」

 

 

 ユウキは、コウスケに淡い心の感触を抱いた、その瞬間である。

 

 

 そうしながら……喫茶・女騎士館にて、

 

 「もう一戦やろ!

 こんどは、ヒロちゃんのパーティたちと、わたしのセレナとで!」

 

「 その名前で、よぶなし!?

 まったく、酔っ払いがヨー…!」

 

 

 

 かくして二人たちは、

 ユウキにミルクシェイクをごちそうされたのであった。

 

 

 

 

***

 

  

 

「 神姫のおへそは、よいものでしょう? 」

 

「ほえぇ…//////」

 

 神姫、マシニーカ、その腹部の立体造形は、まさに、触れる芸術である。

 とても触り心地の良い造形な上、アレックス神姫の恩恵によりぷにぷにとした感触まで備え、そのうえ、ちょっぴり、人肌温度。

 

 もう、もうこれに抗える存在が居たとしたなら、そいつは人間では、すくなくともないであろう。

 

 そんなマリーセレス型・セレナのおなか部位を、恍惚としながらフェリはぷにぷにとさわって、触れていた。

 

 

「そーれにしても、起動から、まだ五日もたってないってのに、すごいですねぇ。フェリちゃんは?」

 

「コウスケが、マスターがすごいから、だよんっ!////

 ぼっくんは、まいにち楽しくしてるだけなんだよんっ////

 ねっ? マスターぁっ!////」

 

「ぅおおお……まぶしっ!? 尊い関係が間近で見られるというのは、神姫のアレックス冥利に、つきますけども……

初々しくて、これはもう、見る毒のレベルに御座いますわね…?

それにしても、おかわいいこと、ですぅ」

 

 マリーセレス型・セレナは、フェリとお近づきになることが成功していた。

 ……話はそこから広がり、

 

「機装が同梱されて無い、パッケージリングで届いた……」

 

「業務用途のやつ、かもしれませんですぅ?」

 

「或いは、バルク品のやつとか?ですかねえ、」

 

 なるほど……

 あの簡易パッケージで届いたエリス型のなぞは、さらにもう一段、深まった。

 

 

「ふぇ、////えふぇ、/////」「減るもんじゃないので、どうぞお触り続けてくださぃなのですよー」

 

 フェリは、セレナのお腹を、ぷにぷにとなでまくり、触りまくり。

 触ってるだけで時間が溶けていく……

 

「んで、こんどは、ハルカさん、あんたの詳細を……

 ほめだ はるか 検索……っと。……

 兵庫県大会準優勝!?

 

 

「ふふーん、!」

 

 

 屈指の強さとその腕前である。

 ハルカはまさに、スペシャリスト級であったのだ。

 

「おぉねえさま、って、なぁに?」

 

「オーナー プラス お姉ちゃん、それで、、おぉねえさま、なのです」

 

「ほえー!?」「なるほど……」

 

 

「……」黒いレベッカは、ひとり、ぽつんとなるしかなかった。

 

 

「 おい、黒いレベッカのお嬢さん、みんなの盛り上がりには、入らないのか?」…カプセルロイドの、第四小隊のメンツが、その黒いレベッカを励ましに来た。

 

「わたし、は……」

 

「わだかまりってのは、すぐに出来るが、直ぐには消えないし解けない、……そんなもんですな、バニング隊長」

 

「モンシアの口からそんな言い回しが出るとは。…それもそうだな……ううむ「隊長、」「バニング隊長、女性と来たからには、いつもの手癖はよろしくないですぜ~?」アデル、ベイト、お、おまえらなぁ……「「「はっははは!!!」」」む、むぅ……ハハ、面目ないな…」

 

「……」

 

「「「「…………。。。。」」」」「ほぇ?」「む」「ん?」「ぉ?」

 

 黒いレベッカは、体育座りをした……

 

「こほ、っん」……ハルカは息を取り直しつつ、

 

「でね、いまから出すこれってのがー、君の今の症状状態に、適してるかも、ねっ!」

 

「…?」

 

 黒いレベッカは、その“ぜいたく品”を見たとたん、顔の表情が、恐れ多さで、怯んだ。

 

「 オリゼリマ配合アレックスフード、そんな高価なものは、いただけ……」

 

「 君が発売されたときよりもねー、いま、アレックスフードの値段って、とっても安くなってるんだ―

 

 だから、ぜひ、使ってみて。!」

 

 

「……わかり、ました、……」

 

 

 黒いレベッカは、躊躇いがちながらも、オリゼリマ修復ジェルを、

 己の身体に塗布しつつ、飲用もした。

 

 

「……! ……。。。。。、、」「どうどう?効いてきた?」「…むずかしい、感覚です…」

 

 

 黒いレベッカは、己の身体の修復がこうも楽になるのを、演算海路の内心では驚きながら……

 しかし、表情や感情として表に出すのを、ここまででも、躊躇った。

 

 

……。。。。

 

 

「 ……

 

 

 

 原理は、わかりました。

 

 

 なら、……」

 

 

「……/////」

 

 

 棺(タッパ)の中のグレッグに、顔を、寄せて……

 

 はっ、となった、レベッカ。

 

「 ……これではわたしは、最低なレベッカに、なってしまいます……」

 

 

「おっ、すり込んでくれるんだね!

 ならば、このジェルをわたそうー」

 

 

 「えっ?! え、えええ……////」

 

 

「 破損個所に、塗りこんで!

……

そうそう、そう、うん。グレート!

……うんうん!

 露出しているICMや内部臓器部位に、オリゼリマを直接……ね……」

 

 

「……グレッグ…////…わたし……/////」

 

 はっ、と黒いレベッカはその時になり、

 

「これでは、いまのわたし、昏睡姦みたいな、ものじゃないですか…?!」

 

「え???」「うん?」「んあ????」

 ハルカ・コウスケ・ユウキ、のそれぞれ。

 

「いーいもの見れてるな、俺たち。」「ああ、…この感情は、美しい。」

「野暮な俺でも、弱緑色の顔が赤くなっちまうゼ」「愛とは、すばらしいですね…」

 あまり冷やかしにはならないように、小声でつぶやきあう不死身の第四小隊ズ。

 

「……////…グレッグ……わたし……あなたのボディを、こんなに近くに、触れたことも、見たことも、こんなに、じっくりとは……////…

……ごめんなさい……ごめんなさい…/////…

“ ーー ”…え。」

 

 

「 えっ、!? ……

 

「どうした? レベっち???」

 

……

 なにも、ありませんにょ?」

 

 

 にょ、って

 

 

 「……/////」

 

 

 届いた物があったのだろう。

 ……レベッカは、想いを巡らせた。

 

 

「承服しました…グレッグ……あなたを、信じてますよ……」

 

 

 

 

*****

 

 

……話は、そこから、グレッグを襲った下手人の話になる。 

 

「ふぅん、……」「オイオイオイ、なんだ、なんだ、なんなんだ、そりゃああ…」

 

 話を聞いて、ハルカは神妙となり、コウスケは、あまりにもの非現実な事件が起きていたことを、まだ飲み込み切れていない。

 

「なるほど……あー、なんかへんな、鉄製?の、送電塔見たいな奴?  

 

diy用のホームセンターで買いそろえられそうなやつで作られた、

 スクラップ廃材の骨組みみたいなやつでしょ?

 あれねーアレックスですらない、ただのドローンロボット、だったんだよね?」

 

 オイオイ、なんなんだよ、なんで、なんでやけにそんな、知ってるような話をするんだ? とコウスケがなりかけた時……

 

「こないだわたしと このセレナで、ぼっこぼこにやっつけてやったよ!」

 

「えっ!?」「は!?」

……ユウキとコウスケは、大いに驚いた。

 

 

「あ、もちろんわたしひとりじゃない、

大会のね、

大会のほかのアレックスのみんなはもちろん、

わたしの知り合いの頼れる武装紳士淑女、神姫ユーザーたち、フレガ・メガミオーナー/マスター、30MSのブレインさんたちの仲間たちも、

その場にいたアレックスユーザのぜんいんでかかったからね!

ほら、これ!」

 

「ネットニュースの、記事……

 なんだこれ????

 

 起きた事件の内容の割に、まるで報道管制敷いてるみたいに、まるで情報のディテールが、ないじゃないか!?

 

「 でしょ! それで、わたしたちも、怖くなってるんだよね~……」

 

 

「 ようつべに録画を上げたんだけど、なぜか? 不適切なコンテンツ、ってたっくさん通報されて、けされちゃったんだよねー……

 

ニコニコですまないけど、いちおうこんなかんじー」

 

 

 繰り広げられているのは、

 青海のビッグサイトのイベント開催時にでその時その日繰り広げられた、

 不穏襲撃者達相手への

 洒落ではない突発的リアルレイドの、、その模様である。

 

 

「これだ!!!……」

 

 

ユウキも、叫んだ。

 

 

「これもう、テロ事件じゃん!!」

 

「でもねー、なんとも、ファッキン・シット・クソッタレたことに、なんか、犯人連中は不起訴になったとかでねー

 この記事も、もうそろそろで消されるみたいなの……」

 

 

「 はあ?!!」

 

 

「アレックス持ちはみんな、用心しないとねー…」

 

 

 

「でもするとあんたは、ユウキの敵は、討ってくれてたんだな、」

 

 

「うん! もうあんな出鱈目なのとは、バトルセッションは御免被るけどねー!

 ねえ、あとでもう一戦やろ!

 こんどは、ヒロちゃんのパーティたちと、わたしのセレナとで!

 手加減、するからさー!」

 

「 その名前で、よぶなし!?

 まったく、酔っ払いがヨー…!」

 

 

…てーへんだー!!!!!

 

 

「「「!?」」」

 

 

 マッタリとした穏やかな皆の状況が打ち破られたのは、この時のことである。

 

 

 

 一行は、急いでゲームセンター・ととに戻る。

 

 

「 なんだあれ?????」

 

 

 

「正体がわからん迷惑ストリーマーの連中だ、あいつら、しばらく前から、この町を……ととのことをねらってるんだ!」

 

 

「そんな……」

 

 

このご時世、

……反社会性勢力とつながりのあるストリーマーなんてのもいる。

 

 

 

「オーナー様!!! 」

 

 

 血相を変えたレベッカは駆け出し、いそいでととの店内へと突入した。

 

 

 

###8

****

 

  

「オーナー様!!!!!」

 

 

 

「おおっ! きーたーじゃーん、黒色の珍しい、プレミアのついてるレベッカー」

 

「俺たちが“お願いして”こいつを“譲ってもらって”、そんでネットで売りさばけば、ちょびっとばかりの金になりそうなんだよなー!」

 

 

「だれが、あなたたちのような、ポケットモンスターのロケット団めいた、盗賊めいた博徒に、この身の生殺与奪の権を、渡すものですかっ」

 

 

ばきん、

 

 

 

 

 

「レベッカ!」

 

 

 

 

「おおっといけない、つい、ウッカリぃ?」

 

 

レベッカは、ストリーマーふたりぐみに抵抗するべく、ゲーム筐体の上に飛び乗っていたのだ。

それを……

痩男の放った裏拳によって、レベッカが殴られた。

 

 

 

「おい、大丈夫か、しっかりしてくれ…ッ!」

 

 

 

“「…慣れて、はいませんが、…」”

 

 

「 ! 腕が…」

 

 

 ハルカが応急処置をしてくれたから致命傷にはならなかったが、

 さっきからずっとの異変の正体が、この黒いレベッカの不調の原因であった。

 

 

…ー右腕の関節ジョイントが破損しかけていたのだ。

 

 

「ついでによぉーーーー、このとと、っての?俺たちのベースにしてえんだよー」

「中にあるアーケードゲーム機は、どれも売りさばけそうだしー

 七未崎なんてクソったれた由来のある土地でも、

 死に物狂いで復興してくれたおかげで、

 このところ再開発やマンション建築が本格的になり始めてるから、

 建物も土地も、いまじゃ価値がある、ってわけ!! ぎゃっははっはあは!」

 

 

地上げ屋の不穏勢力のつかいっぱしり、

 

という変換がコウスケの脳内でなされたのが今ようやくである。

……そのコウスケが、その気配を感じたのは、この時だ。

 

「……っ。。。」「ユウキ?どうした?」「ユウキちゃん?」

 

 

「あいつらに、グレッグをこわされた」

 

 

 コウスケの全身すべてに、みなぎるもの、…義憤…の感情が、湧き上がってきた。

 

 ALEX殺し、

 

 その事実の意味の認識に、浩介の顔は怒りに歪んだ。

 

 

###9

 

 

「 ……警察よんだぞ、テメーら!!!!!」

 

 

 激発していたのは、この町の、この商店街のみな全員がそうであった。

 あつまった、おっさんおっちゃん兄ちゃんたちが、この迷惑ストリーマ二人組に、阻止を図ろうとする……が、

 

 

 「あんたら、この過疎った商店街で客商売やってる身でしょー?ケッケケ、不都合あるようにしてできるんだぜ、おれらはよー」

 

 なんだと、

 

 「あまり抵抗されると、俺たち“レイン・ストリーム”のやってる、パンチ!(…その手の札付きたちが寄り集まっている、世界最大規模の暴力的不穏ストリームサイト…)のチャンネルで、

 “ありのまま・おきた・こと”…すべてを、流しちゃいますよ?ケケケッ」

 

「てめえらのやってることは、サイテーだ!」「恣意的な編集と切り抜きで騙されるやつら、ばかりじゃねえ!!!」

 

 

「それは、どうでしょー??」「俺ら以外の、パンチ!のほかのヤツラも、ぼちぼちきてもらえそうなんだよなー……おれらの“宣伝”のおかげで!」

「それもこれも、アナタ方の反応と、イキが、毎度毎度、とってもいいから!きゃっははは」

「俺らだけの、終わりなきアタック、チャーンス! へへへへへえ……」

 

 

「「「「レベッカ!」」」」「お嬢さんっ!」

 

 行動に移ったのは、まずはアルビオンと、その不死身の第四小隊たちもであった。

 

 

「てめえら……人間じゃねえ!!!!」「許せんっ」

「ざけたヤツラだぜっ」「控えめにしても、不快です、アナタたちは!」

 

 四機のSDガンダムフルカラー・カプセルロイドの、

 不死身の第四小隊たち……

 全高数センチの小ささを生かして、

 素早く黒いレベッカの援護にへと、駆け付けたのだ!

 

 

「なんだ、ガシャポンのゴム人形じゃねえか」「もろとも燃やしてやろうかー??ダイオキシンのいい匂いがすると思うぜ。げええへへへへへ」

 

……侮るのはストリーマ二人である。

 SDカプセルロイドたちは、もはや怒りが限界だった。

 

「コウスケ! リアルボディへのドッキングをっ」

 

呼びかけた直後……

ガンダムユニバース・アレックスロイド・ジムカスタム、ジムキャノン2。

コウスケの元から飛翔してやってきたそれらが、胸部アーマーがいったん解放され、その内部に、SDのジムたちは、それぞれ各々のボディへと、ドッキング……を果たした。

 

 

「やっぱりリアルボディもいいもんだなっ」「まあこれで……」

「侮ってもらえるようには、俺たちは短気なんでねぇ?」

「吐いた唾は、床にベロ付けさせてでも、飲ませてやる!」

 

 

 完全武装の不死身の第四小隊…バニング・ベイト・モンシア・アデル……ジムカスタムが3、ジムキャノン2が1、……

 が、今この時、1/100スケールリアル等身ボディの肉体を着装し、

 ストリーマ二人の目の前に、立ちはだかった!

 ……傷つけられた黒いレベッカを、護るべくして。

 

 

「ぎゃああっはははははっはっはっはっは」

 

ストリーマは、怪声を上げて

 

「うぜえんだよ!!!!!!」

 

 

 威圧を取ってきた。

 

 

「こぉおんなオモチャに、ねぇ、バカでしょ? あたま、おかしいでしょ? ねぇ? だからさぁ…」

 

 

 

「みんなに聞かせたい事、ありますー。

 ほらさぁ、山山会、ってあるでしょ? ついこないだも、代官山の信託会社の役員が死んだ、殺された、って報道。あれはさぁ、実は…ー」

 

 

 

 

「なんだ、ハリコノトラ、か」

 

 

 

「あ?」

 

 

 

「それとも、トラノイヲカルキツネ、だったっけ、」

 

 

 

「なんだ、このガキ、」

 

 

 

 

 

 

 

「あのヤマはてめぇどものシマツじゃねぇー、ってことだよ。あれは、ハンパカイのデンデングミがなかよくしてたイケブクロのふぃりぴんまふぃあのフクトードリがサカウラミで…」

 

 

 

「きみ、」

 

 

 

え? とユウキが顔を上げた時、目前のチンピラの表情は、この目前の少女が知っていてはいけない事実を口走ったことへの、対処と処理の対応の実行をしなければならないという思考の表明が貼り付けられていた。

 

 

 

「お嬢ちゃん、そのちっちゃなおくち、おしゃぶりが必要なのかな?」

 

 

 

「…ーえ、」

 

 

 

男は自分と、もう一人のゴロツキの“股間”に指を指して、

 

 

 

「大きめなのがここにあるんだけどなぁー、ほら、ふたつも、

 おおきなおおきなバナナがふたつ。なにもしゃべられなくなるよねぇ、ねえ、そうだよねぇ?」

 

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、君…南の国でおしゃぶりをしゃぶるのがいい? それとも、西の国のどこかでおしゃぶりするのがいーい?」

 

 

 

 

 

 

「ひ」

 

 

 

 

 

意味がわからなかったが、こわい、ことだけはユウキは理解できた。なにか、おそろしいもの、こと、を、この二人は自分に迫らせさせようとしている。

 

 

 

 

「君って、よくみたら、美人だからねーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、きっと、おじさんたち、いっぱいお金がつくれるとおもうんだ。ちょっぴり、手伝ってくれないかな?」

 

 

 

「…ぃ、いやだ」

 

 

 

「だいじょうぶ! えいがにでてもらうだけだから、きみだけがしゅやくの、とってもスペシャルなえいが! いろんな国のいろんなすごいひとたちが、こっそり特別に秘密にナイショにみて、そしてきみのファンになるんだ。すごいだろぉ? その後もしゃしんのモデルだとかえいがのつづきだとかをいっーーーーーぱい、つくって、そしておわりのさいごにそのおじさんたちのところにほんとうにいくかもしれないけど、でも、しあわせになれるよ? なにもかんがえられなくなっちゃうから、しあわせのおかしのやみつきに! だから、ねェ…ーーーー」

 

 

 

「おーい、」

 

 

 

「あ?」

 

 

 

 

コウスケが、ユウキと痩男の間に入って、割り込んでいた。

 

 

 

 

「わかった、わかった、から、さ」

 

 

 

「あれ? もしかして君って、この娘のおねーさんか、おにーさん? 似てねぇなあオイ…あのねぇちょっとねえ、今この娘が、焼肉たべたい、って、焼肉食べさせて! っておじさんに言ったもんだから、ちょっと一緒にいこうか、ってお話をしてたところなんだけど、わかってもらえる? わかるよね? オレらがどーいうモンなのか、が、ね?」

 

 

 

「分かった、分かった、……」

 

 

 

「なにが分かったのかな、この娘を焼肉に連れて行く事? それとも、出来上がったちょっとはげしめでスゴめのそれがほしいの? ほら、そういうの好きだったりするんでしょ? キミタチ キモータ とかって。いいよいいよ、きみにならあげる。タダで。だから連絡先おしえてね。大丈夫だいじょうぶ、なにかそっちにいったりしないから。そのかわりゼッタイにナイショね。おじさんとのお約束だから…ー」

 

 

 

「てめえらが俺にとってのホスタイル、だってのがよぉっく分かった。そして、そんなやつらにゃどうケジメを付けさせるか、もな。」

 

 

 コウスケは、まず、問うた。

 

 

「…ーALEXを、出せ。」

 

 

 

「ざーーんねーーんでしたーべろべろばー」

 

「おまえら玩具がないとイキれもしないキモータとちがって、俺たちにはな…」

 

「暴力の行使ができる。フゥン!」

 

 

 

 フンっ、!……大男の方が、近くにあった適当なアーケードゲームの筐体を殴りつけ、

 筐体のパネルを、割った。

 

 

「とーーーーいーーーうーーーわけでーーー、君たちは、俺たち“レイン・ストリーム”の獲物になったかぎり、もう、オチ!」 

 

「そういうこと。わかったら、とっととうせ……」

 

 

 

「通報があってきました、桜咲署の所属警邏ヴァンガードですー」

 

 そこに現れたのが、

 

 リアルタイムで中継されていましたので、

 採証は既に成功しています。」

 

 

 警察や自治体、政府機関組織も、このご時世、アレックス知性やアレックスロイドを雇用したり、採用して装備の一つとしていたりする。

 名付けて、ヴァンガード。

 

 

「ボーナスステージだ!!!!」

 

 

 ストリーマー二人組は、このシチュエーションに、狂喜した。

 

 

「え、うん…?!」「ソラァ!」

 

 

バキィン! と大男のナックルが繰り出され、ヴァンガードロイドは殴られ、そのまま弾き飛ばされた。

 

 

……正気か、おまえら?!……

 

 

「取れ高が稼げれば稼げる分、おれたちストリーマーには、インセンティブと投げ銭の収入が、入る仕組みになってんだよ!」

 

 

「このヴァンガード?だか、通信教育で身につけた、俺の屈強無二なる殺人拳のエモノにしちゃうもんねーーーーーー」

 

 

 そのままヴァンガードロイドに馬乗りになると、そのオリゼリママイクロマシン製で、子供がふれたらおもわず喜び出す、

 柔らかい手触り、ほのかにぬくもりのある質感……

 その良い点はあっても、悪い点は無いのであろうな、その外装部位というのを、

 ボコボコに、殴り出したのである。

 

 

「な、何事です???? ぅっ、」

 

「官憲とその手先の連チューは、! 先手後手問わず、俺たちに反撃されることを、考えてもいねえ! きゃーぎゃあはははっは」

 

「いいねえー着実に取れ高があつまってる、

 生配信も絶好調だー!

 ! いまお捻りが来た! いええい! 百ドルがいまきたぞ!」

 

「やったぜ、今晩はナマの女をハメ潰すぞ! ぎゃあはははっはあは!」

 

 

「ヴァンガードさん、これで、アレックスの防犯機能のセーフティ解除、その要件は満たせましたよね?」

 

「ええ、ええ。もう、それはばっちりと。」

 

「ならよかった! そして…ユウキ、9110はもうやったから、こんどは110番で頼む。」

 

 

「あ?」「ん?」

 

 

しゅん、……っ!

 

 

「あきゃ、」「なんだぁ…?!」

 

 

 馬乗りになって殴り倒していた大男の方に、

 その眉間に、鋭い蹴りがいれられた。

 

 コウスケが、その一撃を見舞ったのだ。

 

 

###10

 

 

 

「な、なんだああと、てめめえええええええええええ」

 

体勢を立て直した痩男は、眩む頭をこらえつつ…

今度は、大男の方。しゅ、と放たれたキレのあるパンチ、それを、コウスケはたった一歩の踏み込みですり抜けて近寄ると、

 

 

 

…ーがっ!

 

 

 

「! な、なぁっ」

 

 

「あのね、“僕”もこういうの、すっごいにがてなんだよ。けどさぁ…」

 

 

 

…ー次の瞬間には、男の首元を握り込んでいた。

 

 

 

「あ、ぁ、あぁっ!?」

 

 

一瞬、捕まれる瞬間には、なにもなかったのに首から上に火花が散ったような感覚があって、仰け反った。それで捕まれることを許してしまった。

しかし、それを大男は深くは考えなかった。こんなモヤシな子供に自分をどうにかできるはずがない。

だから、最初は、バカな子供の粋がりだ、と見なしていたが…ー

おかしなことに、力任せにどうあがいても脱出ができない事に男は動転してさらに暴れるが、もがけばもがくほど、首が、絞まる。息ができなくなる。

 

それが、徐々に持ち上がっていく。

 

 

ゴロツキの履く黒の高級革靴の天然ゴムのかかとが最初に浮き上がって、ゆっくりとだが、しかし一瞬の後には、そのつま先が完全に宙に浮いていた。

 

 

「あ、あぁ、ぁ、あっ…」

 

 

オタクのモヤシが、そいつの何倍もの図体の大男を、軽々と首づりにしてしまっていた…まるで機械のデリック・クレーンかのように。

 

相方をこうまでいてこます“少年”のそれ、しかも、ただのオタクのガキだった一瞬前とは雰囲気も気配もまったく違うそれへの“変身”を、もう一人の痩男…チンピラはおびえて見ているしかない。

 

 

 

「おまえら、なぁ。男は二言はない、ってことわざ、しらねーの? なあ?」

 

 

「ひっ…」

 

 

 

硬直して萎縮したままのチンピラに、浩介は、足の裏筋を蹴り飛ばして、吹き飛ばすように叩き出した…ー一見ではわからないようにやったため、ユウキやほかの大人達からは、あの鼻つまみたちが情けなく逃げようとして、うっかり足をけつまづいた…ー様に見えたことだろう。

 

 

「な、んあななななななななな」

 

 痩男の方は、もう目の前のすべてが、信じられなかった。

 

「こ、こ、このああああああああああああ」

 

 コウスケの背後から、不意打ちをしかけてきた!

 …だが……

 

 

「ごしゅじんー、おれらにもてつだわせてー」「ごしゅじん-」

 

「おお! わが愛おしのゾイドちゃんたち! そうだねー……そうしたら…」

 

 コウスケは、今回、リュックサックにおもいっきりアレックスたちを詰めてきてる。

 まだまだいるのである。

 

「 なら…

 ゴジュラスちゃんたち、それからみんなたち、やって。」

 

「らーじゃ」

 

 

 この時、痩男大男は、二人がかりでこのコウスケに、必殺を加えようとしていた。

 刹那、その時。

 

 

「!?」「あ、……あぎゃっ!?!」

 

 

 リュックサックから垂直に飛び出した数体のリアライズモデルゾイド・MSSゾイド・アレックスロイドたちが、

 ごろつきたちの顔面に、……己たちの尾、つまるところのスマッシュテイルを直撃させた。

 

 リアライズ・ゴドス、ドスゴドス、アロザウラー、ガンスナイパー、スナイプマスター、ゴッドカイザー、

 MSS・ゴジュラス、ゴジュラスギガ、ガイリュウキ…ゴジュラスMK3…

 

 まるで、ケンシロウの北斗神拳のように、連続した連打が、ごろつきたちの顔や急所、顔面に、見舞われていく!

 

 

「ああああああ 」「はなが、はなが、俺の鼻が、おれちまっ…」

 

 

「 んなわけねーだがよ。

 まあ、かなり強めに超音波フェーズドアレイを展開帯磁起動させた状態でやらせたから、

 ま、多少はおまけがあるかもねえ?」

 

 

 アオタンができる程度で、すみますよ。……とコウスケは嘯いた。

 

「な、なんでだああああああ、アレックスのがらくた共は、ニンゲン相手には、暴力はできないはずううううううう」「そうだそづあ!?」

 

「バカだねあんたたち。

 アレックスには防犯機能能力がある。

  そしてあんたたちがヴァンガードさんをいたぶった結果、

  その機能作用の使用作動要件が満たされて、セーフティは解除された!

  んで、だーからみんなたちも、お前らに、

  正 当 防 衛 

  これをやってる、ってわけよーーーーー」

 

「な、な、な、なんじゃそりゃああああああああああああああ」

「ひいいいいいいいいいいいいいい」

 

 

……そうだ、おれたちもアレックスロイドがいるんだった!…

 

……防犯機能を作動させて、うん、状況認知されて、セーフティは解除されてる!……

 

……みんなっ、やるぞっ!……

 

「 あとはそうなれば……」 

 

 コウスケは己のリュックサックから、

 

「 さあて、 んじゃあ、この子にも、出番を頼もうか……」

 

「OK、ボス。」

 

ごとり、とコウスケが取り出したのは、……

 

 MSSアレックスロイド・キングゴジュラス。

 

 

「 アレックスちゃんたち、やっちゃってー!」

 

〈おう!!!!!!!!!!!!〉

 

 

 そして、アレックスロイド全員から、その必殺技が繰り出された。

 

 対不審者用・超音波テーザー。

 

 

 「うっ、ウヴヴヴッ、お、お、お、ぉ、ごげええええええ……」

 

 一体や数体のアレックスロイドから繰り出されるのも相当な威力があるのに、二桁台のアレックスロイドから、一斉に威力が繰り出されたのである。

 あまりにも壮絶かつ苛烈なその威力作用によって、

 ゲロを吐いた。

 

 

「キングゴジュラスの、スーパーサウンドブラスターの威力も込みだ。

 二、三日どころか、数週間、数ヶ月は、吐き気と眩暈で、まともな固形物は食えなくしてやるよ。」

 

 

 ぴ、ぴぃ!

 ……ストリーマー二人は、とことんやられきった。

 

 

 そうしてそうして、

 

 

「 お、おまえは!!!????」

 

 

「 おー? わたしは認識ないけど、あなたたちはわたしに、認識がある?と」

 

 

「わすれもしねえ! 俺たちの別動隊が、例の機材の実地試験・実戦テストも兼ねて、特別強行偵察作戦を実施した時に阻止してきやがった、あのオナホ人形どもの持ち主連中の、その一人だ!」

 

「ふぅん、……」

 

 

「おまえみてーな、小娘ならぁ!」

「 おれらの肉便器に、してやるっつんだよおおおおお」

 

 ゲロまみれになりながら、ナメクジのように床を這いながら、ストリーマー二人はハルカに接近を図る。

 

 この時……

 そういえば、

 ハルカの腰には、いままで収納していたのであろうか? そしていまは、マリーセレスのように吊り下げされたプレートが付いている。

 

 コスプレ?

 いや、あれは……

 

「 セレナ、やっちゃおう。」

 

「 オーライ、オーねえしゃま!」

 

 セレナの管制により……

 

 〈機装〉〈展開〉。

 

 そのまま……切り刻む様に、百裂拳を見舞うように、 

 ボコボコにする。

 

「 」「んあな、ななななななんあなななななな」

 

「個人護身具の、ヴァルキリースカート。これはマリーセレス型タイアップモデルだけどね?」

 

 

 この時代、機装技術や倍力服技術、自助具技術の発展により、

 そこにアレックスがスピンオフされたりすることにより、

 このような個人護身具というのも、かつてない発展を遂げていた。

 

 

「 おふたりさんよーー、

 自分のハラワタ、ぶちまけられたい?」

 

  

  ひ、ひいいいいいいいいいいい

  

 

「 く、っくるってやがる!!」

 

「きききっ、キモータは話がつうじませーん!!!!!現実とフィクションの区別がつかない狂人どもでーす!!!!」

 

 

……サイレンの音が、到着する……

 

 

「 警察。!」「お、おまわりさーん! おれたち、カメラ廻してただけなのに、暴力、ふるわれてるんですぅう!!!証拠は、今晩中に、編集したのをだしますんでええええええ」

 

 

 そんなウソが通じるか? 

 

 この場にいる、そして外にも居る、

 

 この場の……この町の、全ての存在が、おまえらの行状を、すべて、採証しているんだからな。

 

 

「「な、」」

 

 

 器物損壊、恐喝、威力業務妨害の現行犯で、逮捕する。

  神妙に縄につけえい!

 

 

「 ふ、ふ、ふ、ふざけんな!!!!」「きええええええええ」

 

 

「あの、」

 

 黒いレベッカは、挙手して、

 

「わたしも、被害届を出します。

 わたしの、その時の視覚野録画情報、それから、其れに更に加えて…これも。それらを提供します。」

 

 

 

「 了解です! 」

 

 

 

「……なるほど、……」

 

 

 

 

 

「ご協力、ありがとうございましたー!」

 

 

 

 「おい、おい、なにすんだよっ……俺のジンバルカメラに、さわんじゃねええええ」

 「ザッケンナ、ざっけんな、ざっけんあ! ぐひぐぎゃあああ!!!」

 

 

 ストリーマー二人組は、お巡りさんたちと一緒に到着した警備用ヴァンガード数体により簀巻きにされて、パトカーに収容されていく……

 

 

  

 

「だいじょーぶ、だよ。うちのものたちからはしっかりオトシマエをつけさせるつもりだから。」

 

 

「は?」

 

 

にひひぃ、と無邪気に笑うだけでユウキは何も教えてくれなかったが、まあそうなのならばいいだろう。年少のジョウダンには付き合うのが年長のお仕事だから。だろ?

 

 

派出所のおまわりさんと商店街のおじさんたちの到着による加勢で、メイワクストリーマー達は今日は帰るしか無かった。

 

 

 

 

 あの時、カラーマーキングピンガー弾をぶち込んだときには覆面を被っていたが、……

 

  

 

「 この、とと、にも、前にも来たのか!?あいつら!???」

 

 

……、黒いレベッカは、首肯することすら、怯えていた。

 

 

「 わ、たし、

…本当は、怖かったり悔しかったりすると、

 …隠してきたけど、ずっと、泣き虫なんです…

 だから、水分を補給してしまうと、

 すぐ、涙に、なってしまって、……」

 

 黒いレベッカのまなじりの涙の粒を、ユウキは…コウスケの差し出したハンカチで、拭った。

 

……やや、湿り気の感触がある。

 

 

「あっ…/////」「れ、レベっち!?」「あらま」

 

「 わたしは、首から下のスーツを、脱いだことが無いのもあるし。

 オソマ……といえばいいのでしょうか? それを漏らしたときに、替えが無いから。

 ……ごめんなさい……//////」

 

 

 黒いレベッカは、涙と恥ずかしさの余り、泣き顔を赤らめる事しかできなかった……

 

 

「アイル・ビー・バック!

 次こそおめえらを、ぶちのめすぜ。」「それまで、しーゆーねくすとたーいむっ」

 

 ストリーマー二人は、砂掛けの如く、減らず口の捨て台詞を投げ捨てつつ……

 

「 弁護士に連絡して、俺らが保釈で出たら、

 速くフサコに相談するぞ。」「ああ、むしろこれは、計画を早めるチャンスに出来そうだ。」

 

 

「!?」「…いまのはっ」

 

 

 この町の人間たちと……

 ユウキと、黒いレベッカは、その発言の内容に、慄然とした。

 

 

「この罪の街には、天罰が必要だな!!!

 にても焼いても喰えねーなら、まるごと、生ごみポスト行きだ!

 

 

 

「?!」

 

 

……そうして、騒動は片づけられた。

 表面上、は。

 

 

 

「……フサコ、って?」

 

「 オレの、おばさんだ。

 毎日毎夜、ロッポンギランドであそんでる……」

 

 

 

  

 

 

 

 そうして、不審者二人組は、連行されていった。

 

 

 

 *****

 

###11

 

 

 

「そこそこみんなが見てくれてる、中小泡沫配信者、 @home.(あっと・ほめ) とはこの私のことよ!」

 

 

 と、ハルカはそう宣言した。

 

 

 

「 なーるほどねえ、道理で機材が揃っとるわけだ。」

 

「むふーん! そしてだけど、あなたのゾイドたち、すごいわね!」

 

「俺たちモビルスーツロイドは、鳴き声を出す、という発想が、そもそもないからなあ……」「持ってる獲物も、ただのおもちゃの電波銃ですしね」「でも、いちおうやってやったぜ? 俺らの関節駆動音、それをサンプリングしたのを、最大出力でやつらに浴びせてやった!」「まあ、これで片が付いたわけでは、なさそうですね……」

 

 コウスケとハルカ、そして、不死身の第四小隊たち……

 

 

「ごしゅじん! おれたち、がんばった!」「わたしたちもー」

 

「ようしようし! あとで、塩コーヒー味のヂェリカン、配ってやるからな!」 

 

「「おお、やったぜ!!!」」「やったー」

 

 

 

 そうして……

 今日から自衛のため、

 ゲームセンター・ととは、

 ようつべとニコ動とアフリカテレビなどにて、

 24時間ライブ配信を始める。

 

 

 警察からメガロマリア・アナザー型ヴァンガードをいくつか貸与してもらい、

 この店の防護は強化を施した。

 

 

 そして……

 

 

 

 

 

 

「お嬢ーーーー!!!!!」

 

 

「おっ」「今度は何だ?!」

 

 

 現れた、大勢の……

 

 

「お嬢!無事でしたかい!?

家の中探し回っても居なくて、

こっそりつけておいてるエアタグ確認したら

帽子のやつがわけわかんない隣町にあって!

お嬢のいつもの格好のはと分裂したみたいになってて、

あちきら、頭が混乱しちまって!みんな、バラバラ殺人鬼でもあらわれたのか、って!

 

真っ先にととのばばあと女騎士館のオヤジから連絡きたからいたことはわかっていたけど

あちきらはいつもの場所のだから 別働の回収確保の隊としてこっちに来て、

とりあえずわかんない住所の方には、 若衆集めて、さっき、カチコミいかせて」

 

 

「あほー!?」

 

 

「ぎゃん!」

 

 

「ばか、ばか!雅美姉ぇのばか!

いますぐ、カチコミ組を取り消させて引き返せさせろ!

うちらテキヤがそんなことやってどーすんだ!

どーしよーもねーヤクザやチンピラやごろつきとか、半グレ?とかトクリュウ?のやることだぞそんなこと!

オレラテキヤは、違う!」

 

「そのとおりだ!

すまねえ、お嬢〜!」

 

「おまえたち〜!」

 

 

 

 なんなんだろう。

 

 

 

「ああ、いいわすれてた!」

 

 

「俺たち明音の家門は、テキヤやってるんだ!

 峰八組、たあ、おれらのことよ!」

 

 

 ユウキは、晴れ晴れしく、そう宣言したのである。

 

 

 

****

 

 

 

「……」

 

 なにか、いろんなことが起きすぎて、もう頭が飽和している……

 そんなほうほうの体で、なんとか家まで帰ってきた、コウスケ。

 

 

「……は?」

 

 

 帰ってみたら、ユウリはじめ夢が丘の町のみんなが、テキヤの若いのを全滅させていた……

 

 

「コウスケちゃん、おかえり!」

 

「なんなんだー、…これはよぉ……」

 

 

 ユウリとご両親、町内会のみなさまが、

 その峰八組の若い衆というのを、壊滅させてしまっていたのであった。

 

 

「やっつけた!」

 

「 」

 

 

峰八組の総戦力の五分の三が、壊滅してしまっていた。

 このことが、後にバタフライエフェクトとなってしまうのである。…

 

 

 

 

 

###@@@@@

 

 

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