機装少女戦・フェアリーメイデン!~模型の国のプラスチック・プリンセス~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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第一話 分話版
第一話 分話版 1-1


 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

Ⓒたたぽぽ氏

 

 

 

 

~fairy maiden~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あっ、はっ、」

 

 

 

 

…薄明かりの闇の中、少女の喘ぎが響いている。

 

 

 

 

「あっ、ぁっ、あっ…はっ、うぅん」

 

 

 

 

琥珀色の蜜のような、甘い声…ー

毎日、いっしょに深夜アニメを見てからのこの時間が、彼女にとっての〈 楽しみ 〉だった。

 

 

 

 

「はぁっ…ーあっ、はぁっ、あぁはぁっあ…っ、」

 

 

 

 

喘ぎに、水気が混じり始めた。

熱と上気によって少女の顔は桜色に息づき、夢中の身じろぎによって服の布が擦れる音が、掻き解かした髪の流れるしゅるり、という音が、求めるように唇をなぞる指先のしなりが、それからピンセットの先で掴んだ水転写デカールを、水鉢に張ったマークセッターの水溶液にぴしゃぴしゃと入没させる音が、それからそれから部屋の中の空気に揮発した溶剤分を排出する為の、窓の一部に取り付けた簡易換気扇が作動する音だけが、この部屋の中のすべてであった。

 

 

 

 

「はぁっ…ーあぁっ!!」

 

 

 

 

少女の快楽が、絶頂に達した!

 

…ーそれは、今この目の前の、とある年上の……便宜的に少年と呼ぶ……が手の中で作り上げた1/20傭兵軍SAFSスーツへの所属デカール貼りがなされた瞬間が、たった今だからに他ならなかった。

 

 

 

「うぅ~ん! やっぱり! コウスケさん! は! すごいです!」

 

 

 

ふがふがと鼻息を荒げながら、不健康な興奮で汗ばんだ己の顔を、ぐい、っとこちらに近づけてくる少女…だから、近いって、

 

 

かといって、不快ではない。

垢抜けている、というよりかはむしろ美少女なその色白の端正な顔立ち。金色の髪に、同じく金の瞳。邦内一般での知名度は低いが、とある洋物の高級シャンプーの匂い…こんななりだが、一応日本の国籍も持っている。

 

 

中学生というよりは小学生の外見だが、これでも中学一年生だ。

 

 

それでも、夜中の三時を下回っている今、どのみちこんな年齢の少女が異性の家に遊びに来ているなど、青少年健全育成条例違反には違いない。

 

それを、今、部屋の扉の横で控えている少女のメイドのカレンさん(27)が保護者代理として付き添うことで、(少女としては)アウアウ! おさわりまんこっちです! にはしていないつもりらしい。

 

 

まぁ、とにかく、

 

 

 

「これで、本番はいけるか?」

 

「バッチリですぅ! 生本番! イっちゃいます!」

 

 

 

なにか妙なイントネーションの置き方だった気もしなくはない。

まるでキュアサンシャイン…というか太陽のような、この上ない程の満面の笑みを浮かべた少女…アーノルド・栗田 有栖に、スタンドライトの光を反射させて遮られている眼鏡レンズの下の瞳を呆れたように細めさせたこの少年…鶴来、浩昴。

 

 

 

高等部と中等部…自分とこの少女とは学校の先輩と後輩の関係だが、それ以外にも色々と浅くない縁があるので、こうやって有栖のわがままを聞いてあれこれ手伝っているのが、この少年の毎日であった。

 

 

 

まぁ、お互い不登校同然なので学校はあまり関係ないだろうけども、と浩介は思う。

 

 

 

振り回されているというかジェット推進させられている、という気分だったが、それでも、楽しくないか、と聞かれれば、YES、である。

 

 

 

だから断れないのだ。…ーと少年は嘆息した。

 

 

 

「かしてくださいっ」

 

 

 

まるで意中の相手への思いあまっての告白かのようにそれだけを発すると、彼女はコウスケの手から“サイコーにかっこいい洋式便器”ことSAFSをひったくり、コウスケ的には“ウォッシング”…ー汚し塗装…ーを加えていないので完成度80パーセント未満であるそれを、まるで無二の宝物であるかのように、有栖は丹念に視姦しはじめた。

 

 

 

「ほぉーぉおほっ」

 

 

 

まだ定着しきってないデカール貼付部には、少女は細心の注意を払っている…白魚の腹の身より細くてしなやかで、白い指にで…毎度、浩介の関心することの一つだった。

塗装、形状、各部の改修箇所…ーそれらをまじまじと観察/分析されると、なんだかこっちまで気恥ずかしくなってくる。顔の鼻の毛穴の数を数えられている気分、というか、

 

そして有栖はちらり、とそこの箇所に目が止まったようで、

 

 

 

「やっぱり、胸部側面のインディケーションランプのポッチを、クリアーの延ばしランナーにしたのがキいてますなぁ」

 

 

「だろ? ピンバイスで穴開けて、刺してカットしてからもっかい軽く炙って、そんで上からアクリジョンのクリアーオレンジよ…でもよ、俺みてーな未成年が百均で使い捨てライター買おうとすると店員がジロ、ってみてくるの。だから、昔懐かしの棒線香でやったワケ。綺麗に炙れてるだろ?」

 

 

「そのプラモスピリット、10000を越えてます!」

 

 

 

いまなら天地大河にもなれます! と有栖はぴょんぴょん飛び跳ねながらほめてくれたのだが、どうせならサッキー竹田とかチョーダイおじさんとか村尾ゴジラさんらとかカスタム堀井やオギータ研究所の人だとかの方にコウスケはなりたかった。…のは蛇足。

 

 

 

ちなみに今回の依頼ブツであるSAFSを片づけたならば、次はホンバン…ライドアーマー・モスピーダ、その次がMADOXー01だ。それぞれ1/10(そう! 完成した暁には、中に(それ)が乗りこんで、(そうできる)ようにしてみるのだ)の、三つのそれを一月かけて制作する。今のご時世キットがあるとはいえ、ほとんど全身に手を入れる…お手入れする…つもりなのだから、結構こっちだって必死だった。

 

 

 

 

「ぐへひひぃ、ほ、ほほ本番の時は、もっとすごくなっちゃうんだな?(ホムンクルスのグラトニー…ハガレン)」

 

 

「そらそうよ(猛虎弁)、なんつったって獲物が美プラのとおなじスケールだぜ? つまり!ってことさ。

やれることも、やりたいことも、たくさんある」

 

 

「やれちゃいますです?(妖精さん)」

 

 

「できらぁ!(ビッグ錠)」

 

 

 

 

「「………、」」

 

 

 

知的好奇心のシンクロナイズド・スイミング。

そして、「「 あーっはっはっ! 」」 と声高く神姫絶唱シンフォギアした二人であったが、

 

 

 

 

ー…うるさぃ!…ー

 

 

 

「………」「………」

 

 

がら、と窓を開けてからの、今日もきょうとて、隣家の二階のあいつからの罵声がその返事である。

 

犬のきゃんきゃん鳴く声がオクターブとなって残響する中、少年と少女は微妙な気持ちとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……… 機装少女戦・フェアリーメイデン ………

  ~模型の国のプラスチック・プリンセス~

 

 

 

 

 

 

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