嵐を呼ぶ! オラのヒーローアカデミア!! 作:ふふふ
これはかつての記憶。
彼が心からヒーローを目指した
「アクション仮面!オラはヒーローになれますか?」
5歳の少年は憧れのヒーローに聞いた。
アクション仮面と呼ばれた青を基調としたコスチュームを着たヒーローは、5歳児のこの言葉を真摯に受け止め、膝をついて目線を合わせた。
「しんのすけくん。今回の事件で、君の勇気と決断が多くの人を救った。」
この日、少年、野原しんのすけは
それは、豪華客船ツアーに来た人たちを誘拐し奴隷として働かせるというものだった。パラダイスキングは猿回しの"個性"を使い、数多のサルを操り、プロヒーローであるアクション仮面すら倒してしまった。
そして、なんと、アクション仮面を救ったのがこの5歳の少年、しんのすけなのである。
その勇気、決断、それは間違いなくヒーローだった。だから、アクション仮面は心から、敬意を込めて言葉を繋ぐ。
「だから、心から伝えよう。君はヒーローになれる。きっと、私よりも立派な、最高のヒーローになれる。」
元々、子どもながらに憧れはあった。カッコいいと応援していた。しかし、憧れが目標へと変わった。彼の
◆
埼玉県春日部の野原家は1人の少女の悲鳴から、その日は始まった。
「みんな!起きて!完全に寝坊だよ!!!」
そう叫びながら、階段を駆け降り、家中のカーテンを開けはじめた。彼女の名前は野原ひまわり、10歳の少女である。
「まずい!まずい! ほら、パパもママも起きて!このままだとお兄ちゃんが遅刻しちゃう!」
その言葉を聴くと、バサっと大きな音を立てて彼女の両親が文字通りに飛び起きた。
「完全に寝坊した! すまん、ひまわり、助かった!」
その言葉にひまわりは照れたのか横を向いて口角を上げた。その様子の彼女を気にする余裕はなく、父、野原ひろしは家族に指示を飛ばした。
「みさえ!朝食の準備、力の出るもんを作ってくれ!」
「了解」
母、みさえはパジャマ姿のままエプロンを身につけた。
「ひまは、しんのすけを起こしてくれ!」
「ラジャー」
ひまわりは敬礼をした。
「俺はアイツの荷物を確認する!」
父の野原ひろしは目覚まし時計を見た後に言った。続いて声高く叫んだ。
「アイツを受験に間に合わせるぞ! 野原一家!ファイアー」
「「ファイアー!!!」」
隠して野原一家の戦いが始まった。
みさえはパジャマのままエプロンすらつけずに台所にたった、元々は豪華な朝食にしたかったが今や時間が無い。味噌汁と、焼いたししゃも
、納豆となる。
ひろしはしんのすけの鞄を開けて、今日の持ち物を確認する。筆記用具と受験票、そして実技に必要な運動着を確認する。
(こんなもんかな?ってアレは……)
ひろしが荷物の準備をしていると、トングで靴下を掴んだひまわりが廊下を走って行くのが見えた。その様子にひろしはしんのすけに同情しながら、そして、自分の扱いに悲しくなった。
そんなひろしをチラリと見た後、ひまわりは階段を登りしんのすけの部屋に向かう。彼の部屋はひまわりの部屋の隣である。彼女は覚えていないが、しんのすけが小学校に入るまでは物置部屋だった場所だ。
また、ひまわりの部屋は前まではひろしの書斎だった場所である。
「お兄ぃーちゃーん! 朝ですよー!」
だんだんと強めに扉を叩く。しかし返事はない。ひまわりは深いため息をついた後、扉を開けた。
「ホントに遅刻………」
文句を言いかけて、ひまわりは言葉を止めた。そこには全裸のしんのすけがいたのだ。たまたま、尻を向けているため、
「いや〜ん。」
しんのすけは、わざとらしく胸と股を手で隠して体を捻った。その様子にひまわりは不思議と恥ずかしさでは無くて、怒りが湧いてきた。
「起きてんなら!返事しろ!!」
そして、ひろしの靴下をしんのすけの顔面に投げつけたのだった。
「あ、がァアアアあ!!!」
その日、野原家には大きな悲鳴が響き渡ったのだった。
◆
「…………まだ、鼻がおかしいゾ……」
朝の支度も終わり、学ラン姿のしんのすけは靴を履きながら言った。その言葉に家族一同は微妙な表情を浮かべたが、そのことには特に何も言わずに、激励の言葉をかけた。
「しんのすけ!合否なんて関係ない。全力を出してこい!父ちゃんとの、いや……。」
その言葉と共にひろし としんのすけは独特なポーズをとった。
「「男同士のお約束!」」
そんな2人のやり取りにため息を漏らしながらみさえは続ける。
「何やってんの………。しんちゃん、怪我だけはしないでね」
「うん、母ちゃんも、便秘だけはしないでね。」
「うるさいわ!」
そんなやり取りを見ていたひまわりいい笑顔で言った。
「…………お兄ちゃん、マサオはそもそもひよって受験すら出来てないから!受けた分、落ちてもお兄ちゃんの方が凄い!」
「……………なんで、落ちる前提?……時間がない。それじゃあ、行ってらっしゃい!」
「行ってきますでしょ!」
しんのすけはいつも通りのテンションで玄関から出ていった。外では「ワンワン」と飼い犬のシロの鳴き声と、しんのすけの声が聞こえ、すぐに聞こえなくなった。
これもいつも通りだ。
「なんだか、私たちだけ張り切って、しんちゃんはいつも通りだったわね。」
「はは、確かに。けど、それがしんのすけの強さなんじゃないか?」
「そうね。……………よし、今日はきっと疲れて帰ってくるだろうから、力の出るもの作るわよ!」
「あれ?お父さん時間平気?」
「わ、やべ!こんな時間だ!」
野原家もなんだかんだで日常に戻っていった。
◆
電車とバスを乗り継ぎ、しんのすけは雄英高校へと着いた。ふと、スマホを確認するとグループチャットに何通かメッセージが来ている事に気がついた。
『無理しないでね、しんちゃん。』
『ガンバレ』
『頑張りなさいよ』
物心ついた頃から一緒にいるメンバーのうち
『ミッドナイトがいたゾ!』
その返事通り、プロヒーローにして雄英の教師であるミッドナイトが受験生の誘導をしていた。雄英高校はかなり広いため、受験生が迷いやすいであろう場所にあらかじめ職員が配置されているようである。
「み、ミッドナイトさん。僕、野原しんのすけ!道に迷ってしまったので、道案内お願いできませんか!」
無駄に背筋を立たせてしんのすけは言う。その様子にミッドナイトは受験で緊張しているのかな?と、思いながら対応をする。
「講堂なら、この道をまっすぐ行けばありますよ。トイレなら、この道を右に曲がって……。」
「いえ!出来れば講堂まで案内してください。迷子にならないように手を繋いで……」
「……え?」
その発言でミッドナイトは目の前の受験生がエロガキである事を看破した。しかし、彼女はベテランヒーローその手の事には慣れている。
「あー。わたしはここから離れることが出来ないから……。代わりの人を呼びますね。」
「え?」
そういうと、トランシーバーでどこかに会話すると代わりに小汚いおっさんかやって来た。真っ黒い服を着て首に細い紐のような布をぐるぐる巻きにした彼は、心底嫌そうにため息をついている。
「こっちだ……。」
「………はい。」
笑顔で手を振るミッドナイトを後にしてしんのすけは説明場である講堂に案内された。しんのすけは大人しく席につき、机に置いてあった冊子をペラペラと眺めた後に横に座っていた少年に話しかけた。
「オラ、野原しんのすけ。ふたば中学3年。よろしく」
「ぼ、俺は聡明中学の飯田天哉だ。お互いに全力を尽くそう。」
「……聡明? あ、友達が受けてた。」
しんのすけのその言葉に飯田な応える。
「……申し訳ない。ぼ、俺も君と受験生同士親交を深めたいが、今は試験に集中させてほしい。」
「ほうほう」
真面目にそういう飯田にしんのすけは適当に頷いて机の上の冊子に目を通し始め、気がついたら居眠りを始めてしまった。
「君!ふざけているのか?起きたまえ!」
Mt.レディの谷間を滑り台みたいにして遊ぶ夢を見ていると、肩をやらさらて起こされた。横を見ると鬼のような形相の飯田いた。
「おはよう。今何時?」
「真面目にやらないのなら出て行ってくれないか? もう、説明会は始まっている。」
飯田からそう伝えられたしんのすけは前を見ると、プロヒーロー、プレゼントマイクがいた。彼は試験の説明を妙なテンションで語っている。
内容なフィールド内にいるロボットを
(……飯田くん、真面目そうだなぁ)
飯田が別の受験生に向けて注意をしている光景を見つつしんのすけはそんな事を考えた。一発勝負の試験だ、しんのすけだって緊張するし、絶対に受かりたい。その気持ちには嘘はない。
しかし、だからといって楽しくないことはしたくない。どうしても彼のように真面目になる事はしんのすけには出来ないのである。
「
プレゼントマイクのその言葉で説明会は幕を下ろさらた。そして、試験会場へと移動する事になった。
◆
試験会場はかなり広かった。会場というよりも街である。背の高いビルや民家などが再現されており、周りの受験生たちは言葉を失っていた。
そんな中、着慣れた公立中学のジャージに着替えたしんのすけは、軽い準備運動をしていた。周りの受験生の目を気にせず尻の筋肉をほぐし、腰を伸ばして、尻を重点的に入念にほぐしていく。
そして、それらを終わらせて周囲を見渡すと既に誰もいなかった。
「…………。あらら、みんなフライングしちゃって、ちゃんとルールを守らないとだめだゾ」
そう呟いたあと、クラウチングスタートのようなポーズを取った。
「アクショーーーン!!」
そう叫ぶと、しんのすけの両足が黄色く輝いた。その光はどんどんと輝きを増す。
「ダッシュ!!!!」
瞬間、しんのすけは消えた。正確には本来あり得ない速度で加速し、一気に試験場内を駆けて行ったのだ。
まるで風のように走るしんのすけは、すぐに他の受験生に合流した。
「あれは?」
3体のロボットが1人の少年を襲っていた。少年は目の下にある隈が特徴的だが、ロボ相手に何も出来ないでいた。それを見たしんのすけは右足で地面を蹴り一気に加速した。
「アクショーーン!!」
少年を飛び越え、空中で左足を振りかぶる。左足はさらに黄色く光、エネルギーが集中していく。
「キック!!」
そして、そのまま跳び蹴りを放ちロボットのうち一体を蹴り飛ばし、破壊した。その場で着地すると、残りの2体がしんのすけへと標的を変更し、襲いかかってこようとしている。
それを見たしんのすけは両の拳を握る。すると拳は黄色く開く。
「アクショーン!!パンチー!!」
連続で2回パンチを放ってロボットを倒した。そして残された男の子と目う。大きな怪我は無さそうである。
「じゃ、そういうことでーー」
"個性"を使い高速ダッシュでしんのすけは移動する。
彼の"個性"はエネルギー、不思議なエネルギーを体内に蓄積し、それを操る事が出来る。エネルギーは実態を持たせて武器にしたり、拳に集めて威力を上げたり、電気のような性質にしたり、実に変幻自在である。その"個性"を使いしんのすけは次々と敵を倒していく……。
そして、終盤、大地が揺れた。
ビルを崩し、巨大なロボットが現れた。
「0点の
しんのすけはロボを見上げて呟いた。その巨大な身体はそれだけで脅威であり、倒せるとは思えない。
小さい頃、五歳児だった彼なら何も考えずに挑んだり、適当に行動していただろう。だが、今や中学3年生。これまでの10年間に知恵や打算を身につけてしまった。
だから、倒しても意味のない
その時、少女の悲鳴が聞こえた。
「嘘!こんな時に!!」
足を止めて振り返る。
そこには0点
通常の仮想
「オラは……」
ドシン、ドシンと0点
心臓が激しく鳴る。
少女は迫る0点
その姿が過去の記憶を思い起こした。
———-かつて
———助けたかった人がいた。
何も映さないスクリーン
——-助けられなかった人がいた。
銃で撃たれる侍
———助けなきゃいけない人がいた。
しんのすけ、腕相撲をしよう
————そして、走り去る小さな背中
……しんのすけ、ごめん!
「オラは……。救いのヒーローになるんだ!それで!大きくなったひまに美人のお姉さんを紹介してもらうんだ!ここで逃げたら、お姉さん達に顔向けできない!」
しんのすけは0点
拳を握るとエネルギーは刀のような形になり、両手で握る。そして、地面を蹴り少女を狙う仮想
「ドレミのドォオオオオ!!」
一閃。
そこから連続で剣を放ち次々と倒していく。その様子にロボ達はしんのすけに標的を変える。その隙に少女がイヤホンプラグのような耳をロボに突き刺し最後の一体を倒した。
「……あ、ありがとう。」
少女はしんのすけに向き合い頭を下げた。そして、逃げようお走る態勢に入ったが動こうとしないしんのすけに足を止めた。
「え? 早く行こう!」
「……君だけ逃げて。オラはアレを倒す。」
姿勢を低く構え、足にエネルギーを溜めていく。
その様子はまるでバネを縮めているかのようだ。
そして、足の裏がエネルギーを放出し、その反動で一気に跳んだ。一度のジャンプではそんなに高く跳べない。しかし、幸いにも周りにはビルが沢山ある。壁ジャンプの要領で連続で跳んで、0点仮想
「アクショーーーーン」
しんのすけの全身を流れるエネルギーを両の拳に集中させる。
エネルギーをどう動かしたいか、どう使いたいか、それらは彼のイメージを基にしている。そして、この技は彼にとって最も馴染み深いものだ。
「ビーーーーム!」
拳を握り、顔の前に両腕を立てた状態で突き出す。瞬間、拳に貯めたエネルギーがビームとなって放出された。
稲妻状で放たれたビームは0点仮想敵に直撃した。純粋なエネルギーとして放たれたそのビームは、まるで感電したかのように0点仮想敵の身体全体を駆け巡り、電子部品をショートさせた。いや、させたつもりだった。
『モクヒョウ・ホソク』
アクションビーム。しんのすけの必殺技を受けてもなお0点
「うそぉー。母ちゃんの脂肪よりしつこいゾ」
しんのすけは驚きの声を上げつつ空中で体を捻り着地する。まだ、少女は逃げておらず心配そうに見ていた。しんのすけは0点と少女を見た後、はっきりと言った。
「…………かっこつけたけど、オラじゃ無理みたい。逃げよう!」
「……えっ、ちょっ!」
少女をお姫様抱っこしてしんのすけは全力で逃げだした。その瞬間、試験終了のアナウンスが流れた。
野原ひろし
係長から部長代理にまで出世した。ほぼほぼ次期部長になる事は確定している様子である。この10年で髪の毛は白くなり薄くなっている。
"個性"は髭。ダイアモンドより硬い髭が生えている。
※足の臭いはただの体質である。
野原みさえ
ひまわりやしんのすけが大きくなったのでパートを始めた。白髪染めをしている。
"個性"は尻。尻がめちゃくちゃ頑丈である。
野原ひまわり
10歳である。何気に家事一式を身につけており、かなりしっかりしている。ホークス推し。
"個性"火球 熱を持ったエネルギーの塊を射出する事ができる。射出されたエネルギーはある程度のタイミングで大爆発を起こす。親からの遺伝を無視したミューティレーションである。
野原しんのすけ
主人公。立派?に成長した。
"個性"はエネルギー、
謎のエネルギーを体内に蓄積されており、それを操る事が出来る。エネルギーは実態を持たせて武器にしたり、拳に集めて威力を上げたり、電気のような性質にしたり、実に変幻自在のおバカなエネルギーである。一度エネルギーが空になると貯まるまで"個性"をつかえなくなる。祖父(野原銀の介)からの隔世遺伝である。
とある世界線ではおバカパワー(Oh Bikkuri Aggressive Kanarisugoi Amazing)と呼ばれている。