RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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尋問

 Side 藤崎 シノブ

 

 =朝・大阪日本橋から少しだけ離れた廃工場にて=

 

 スキンヘッドに黒いスーツ姿、サングラスの大柄の男。

 宇藤 タツヤ。

 アサシンズギルドの殺し屋らしい。

 琴乃学園の正門前でシノブを命を狙った張本人でもあるらしい。

 谷村 亮太郎と藤崎 シノブ両名の鑑定魔法の結果、判明したことだ。

 

 鑑定魔法の制度は圧倒的に谷村 亮太郎の方が上だ。

 

「で? この殺し屋どうするんですか?」

  

 件の殺し屋は埃っぽい廃工場の中で椅子にロープで縛りつけていた。

 この場には藤崎 シノブと谷村 亮太郎と殺し屋しかいない。

 黒川 さとみはメイド喫茶で預かってもらっている。

 

「助け出すか、口封じのために他の殺し屋に来られても厄介だ。サクッと口を割らせよう」

 

 そう言って亮太郎は魔法を使って殺し屋の意識を覚醒させる。

 片手にスマホを持って撮影状態にして尋問を開始した。

 

「ここは?」

 

「こっちも時間が推してるんでね。依頼主の情報を知ってるだけ全部吐いてもらうよ」

 

 亮太郎は魔法を唱える。

 催眠系の魔法だ。

 粗方全部口を割らせるつもりらしい。

 

「さて質問だ? 依頼主は須藤 勇也で間違いないね」

 

「そうだ」

 

 催眠下にある殺し屋は正直に答えた。

 

「次の質問だ。依頼主の須藤 勇也の秘密を聞きたい」

 

「勇也の秘密と言われても色々あり過ぎてどれかは話せばいいのか分からない」

 

「知ってるんだ?」

 

「アサシンズギルドにとって須藤親子は顧客の一人だが、信用するに値はしていない。様々な手段で弱味のネタは積極的に探っている。情報屋連中も弱味のネタを探っている」

 

 との事だった。

 殺し屋は話を続ける。

 

「有名なのは須藤 勇也が仕切っているドラッグの場所だ。サカキ高校で栽培したり保管したりしている。他にも裏社会の関係者相手のレンタル保管庫としても機能しているらしい」

 

 亮太郎は感心したように「よくそんな情報知っているね」と語りかけた。

 

「サカキ高校の人間はどんなに粋がっていても所詮は調子に乗ったガキの集合体だ。それに須藤 勇也は恨みを多く買っているし、後釜を狙っている人間も多くいる。敵だらけと言っていい。そいつらの処理を須藤 勇也に任された事もある」

 

「殺しもやったの?」

 

「ああ。金払いはいいし、楽な仕事だったし、殺しても心が痛まんような連中だったしな。それに楽に殺してやった方が救いだとも思った」

 

 殺し屋の言葉をシノブは否定できなかった。

 どちらかと言えば共感する部分の方が大きいかもしれない。

 

「話を戻すけど他にも弱味となる情報はないの?」

 

「須藤親子の場合はキリがないな。爆弾や地雷だらけだ。俺も須藤に万が一裏切られた時のために弱味の一つや二つ握っている」

 

「へえ~依頼主の弱味を握ってるんだね?」

 

 感心しながら尋ねる亮太郎。

 

「信用できんからな」

 

 殺し屋の用心深さにシノブも感心した。

 

「その弱味の在処は?」

 

 亮太郎は続きを促す。

 

「自宅の金庫に保管してある。画像生成や動画生成技術の発達で言い逃れされるかも知れないから念入りにな」

 

「自宅の場所は? あと金庫のパスワードとかは?」

 

「自宅は――だ。金庫の暗証番号は――だ」

 

「分かった。眠ってて」

 

 聞きたい事を粗方聞き終えた谷村 亮太郎はスマホの動画撮影を止めて殺し屋を眠らせる。

 金庫のパスワードは鑑定魔法を使えば分かるが、つい癖か何かで念のために聞いたのだろう。

 

「この殺し屋どうする?」

 

「うーん? このまま放置しても口割ったから同業者に殺されるルートになると思うしね」

 

 なんならこのまま遺体の痕跡も残らず殺してやった方が人情と言うものかもしれない。

 それ以外に何かいい手はないかと考える。

 メイド喫茶ストレンジに預けてもらう事も考えたが大騒ぎがあった後だ。

 それに毒島 リンカには黒川 さとみを守ってもらう必要がある。負担は増やしたくない。

 ならどうするかと知恵を捻る。

 

「大阪日本橋に1人腕利きの何でも屋がいるけど、今依頼しても大丈夫かな?」

 

「何でも屋? どんな人なんです?」

 

「今年十六歳で政府の極秘人体実験により、外宇宙由来の鉱物を体内に埋め込まれた、童話に出て来るお姫様のような容姿をした美少女のような男の娘さ」

 

「ごめんなさい。ちょっと情報量が多いです」

 

「ちなみに背格好こんな感じです」

 

 そう言ってスマホを開いて容姿を見せる。

 白髪のポニーテールにして丁度いい感じの白い肌、赤い瞳、儚げ感じの落ち着いた雰囲気のある絶世の美少女、可愛らしさの一つの到達点が男物の恰好をしていた。

  

「ちょっと前までは大宮 優って人と二人で何でも屋やってたんだけど今は一人でやって、難事件とかオカルト的な事件に遭遇しているみたい」

 

「やっぱこの世界にも魔法とかあるんですね」

 

「うん。ある。何なら羽の生えた黒猫の姿をした邪神とかもいるし、実は恐怖の大王アンゴルモアとかもいる」

 

「恐怖の大王?」

 

 羽の生えた黒猫の邪神も気になったが恐怖の大王の方に惹かれた。

 

「あ、知らないか? 1999年の世紀末に襲来して人類を滅ぼすとされた恐怖の大王の名前。あの年代を生きた人間なら一度は耳にした事がある名前だよ。一種の終末論の一つだね」

 

「そんなのがあったんですね」

 

 谷村 亮太郎は異世界勇者であると同時に憑依転生者でもある。

 その年代の事を生きた人間なのだろう。

 異世界の旅の時でもその年代の事をよく話してくれた。

 

「まあ人類は滅びずにこうして存続しているワケだが、この世界においては少なくともアンゴルモアは倒されずに封印されたらしいがね――オカルト話はここまでにして、この殺し屋を何でも屋の元まで案内しよう」

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