RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜 作:MrR
Side 夏目 リセ
夏目 リセ。
琴乃学園の一年A組。
日本で今一番話題のある学園とクラスであり、世界でも有名なクラスの一員だ。
彼女は特別大した人間ではない。
普通の女の子だ。
髪の毛の色は茶。地味な後頭部両サイドお下げヘアー
眼鏡を掛けた人当たりが良さそうな温和で優しいそうな顔立ち。
胸はとんでもなく大きい。
間違いなく三桁台。110cm以上。
黒川 さとみ並の大きさだ。
昔はこの胸の大きさで色々と難儀していたが、琴乃学園は爆乳率が凄いのであまり気にはならない。
ステレオ的な学園ラブコメで言うなら大人しそうで影が薄い図書委員、委員長キャラだろうか。
そんな彼女には秘密があった。
=夜・夏目リセの自室=
机に座り、夏目 リセは狂ったように本を読む。
この世の中で面白い作品は何なのかと言う問いに答えられる程、読書家はやってないがそれでも藤崎 シノブの異世界ユグドの冒険譚をここ数日熱中して読んでいた。
彼女は魔法使いである。
持ってる魔法はただ一つ、一定範囲内の人間の本を産み出し、物語として体感する。
それが夏目 リセの魔法使いとしての能力だ。
本人としては地味そうで役に立たない能力。
あまり使ったことはなかった。
WEB小説の登場人物みたいに何か頑張って役立ててみようと思ったがどうすればいいのか分からない。
そんな日々を続けていたからだろうか。
魔が差して彼女は藤崎 シノブの本を作り上げたのだ。
相当に分厚く、巻数で分けられている。
とても十六歳が歩んで来た人生とは思えない分厚さだ。
何を隠そう相手はリアルライドセイバー。
友人の黒川 さとみの恩人でもある。
最初は産まれてから平凡な日常のアレコレが続く。
中学時代はネクプラバトルに憧れていて、恋人も出来たがタダの踏み台にされて捨てられたらしい。
それを見て夏目 リセは申し訳ない気持ちになった。
高校入学時はダラダラと過ごす日々。
失恋のショックで平凡な生き方を模索していたと言うが、特にやりたい事も分からず、何をすべきか分からず、無気力にダラダラと過ごしていた。
とてもだがライドセイバーになって世界を救う人間になるとは思えなかった。
そんな日々は夏休みの終わり、九月の頭に突然終わりを迎えた。
☆
異世界ユグドへの召喚。
凶悪なモンスターの軍勢、滅びゆくダムへイル王国の危機。
そこに立ち上がったのは二人の勇者、藤崎 シノブと谷村 亮太郎だった。
藤崎 シノブは戦いの高揚感や使命感に燃えつつ、(まるで初期のなろう系みたいだな)とか思いながらも勇者の役割を引き受ける。
「いいかい藤崎君——何れ君はその立場を選択した時を死ぬ程後悔する事になる。今は分からなくてもいい。最悪生き延びる事だけを考えるんだ」
と、訳知り顔で谷村 亮太郎が語り掛ける。
叱るわけでもなく、異世界召喚で浮ついた気持ちを諫めるわけでもない。
まるで大勢の人の命を看取って来たかのような、悲しい心や苦しい心などが入り交じった感情がリセに雪崩れ込んでくる。
これが魔本のメリットであり、デメリットだ。
物語登場人物が何を考えていたのとかだけでなく、感覚や感情までもが流れ込んでくる。
まるで自分は幽霊のようになって感情までもを体感しながら物語を見守るのだ。
☆
異世界召喚でシノブは最初、自分何かでも漫画やラノベのようなヒーローになれると思ったらしい。
だがそんな願望に冷水をかけるように、王都の惨状や傷つき倒れ伏した人々を見せつけられる。
そうした中で始まる異世界ユグドでの生活。
想像以上に魔法技術などが発展し、ある程度不自由のない暮らしは出来るらしい。
当然だがスマホなどない。圏外だ。
テレビもラジオもない。
アニメや漫画もない。
そんな生活。
料理は想像していたよりも美味しいが何故だか故郷の味を懐かしむ。
召喚当初の危機的な状況を乗り越え、シノブは国を見て回る事に
☆
城から城下町を降り、そこから町へ、続いてスズランの村へと歩を進める。
まるで遠足のような温かな状況。
とても魔王軍に襲われている最中の王国とは思えない。
山賊退治をし、獣人族とも仲良くなり、この時ばかりは順調だった。
どうしてこうなったのだろう。
戸惑い、憎しみや悲しみ。
母親を恋しく思いながらの断末魔。
人がばったばったと死んでいく。
それらの感情が雪崩れ込んでくる。
相手は獣人族だった。
仲良くなった獣人族の裏切り。
滞在した村とその村人の全滅。
黒幕は何て事もない。
ただの王国の悪徳貴族だった。
彼達に嵌められただけだったのだ。
☆
異世界での洗礼を浴びたシノブに新たな敵が襲い掛かる。
黒竜公。
魔王サウラスに味方する魔竜。
その圧倒的な強さに歯が立たないシノブ。
救援に駆け付けて来た聖女リアラやベルバランドのプリンセス、セーヌ。
彼女達は世界を救うために、シノブを救うつもりだった。
黒竜公の猛攻を見て亮太郎はある賭けに出る。
それはシノブの力を完全に開放する事だ。
その最中もあの二人のケンカが起きた。
それでも黒竜公の脅威や抗う異世界の人々を見て二人は手を取り合う。
黒龍公の暴威に倒れ行く仲間達。
死者も大勢出ていた。
谷村 亮太郎は騎士団長や女戦士の死に嘆きながらも解放作業を続ける。
そして―—二人の勇者の力が完全に解放される。
黒竜公への反撃が始まった。
それでも黒龍公は残された魔力を解放して全てを道連れにしようとする。
せめて勇者二人だけでもと。
それの防ぎに入ったのは聖女とベルバラドのプリンセス。
シノブと亮太郎は完全開放の過程で見た未来を思い出す。
彼女達の死は避けられないのかと思いもした。
だが二人は奇跡を起こした。
二人だけでダメなら四人で防ごうと。
そして奇跡は起きた。
戦いの舞台となった街は救われ?聖女と王女は生還。
戦いは続くが今ぐらいは奇跡の余韻に浸らせたかった。
☆
=翌日、昼・琴乃学園の図書室=
黒川 さとみ。
長い髪の毛の垢抜けた感じな爆乳美女。
藤崎 シノブと恋仲である。
現在彼女は親友の夏目 リセの告白——藤崎 シノブの過去を勝手に本してしまったのを暴露した。
さとみは戸惑ったが、本を読んで、その効能を感じていた。
まだ序盤の序盤だが人の生き死にの感覚が流れ込んで泣いてしまった。
少し時間を置いて目を赤く充血させたさとみはある決断をする。
「とにかく本人に謝まろうか?」
「うん?」
当然の流れだ。
これに関してリセも文句は言えなかった。
「でももうちょっと、もう少しぐらい―—ちょっとだけなら」
「えっ? その?」
さとみが凶行に及ぼうとした所で物陰で隠れていたシノブと亮太郎ががストップが入った。隠蔽スキルで様子を見ていたらしい。
「あの、その、これは―—」
「俺達が言いたいのは怒りたいわけじゃなくて―—その、何て言うか……あんま見て
面白いもんじゃ無かっただろ?」
などどシノブも的外れな事を言っていた。
「い、いえ。黒竜公のところは二人とも凄くカッコ良かったです!」
リセはリセで顔を真っ赤にし、また涙目になりながら訴えかけた。
「二人とも何でも出来る完璧超人みたいな所があったけど、思い悩む人間だったわけで、楽しい旅路では無かったけど、それでも前に進む姿は輝いて見えました」
とだけ言って泣き始めた。
「本当にどんな旅路だったのかしらね……読んでもいい?」
リセの様子を見てなおさとみは読みたいと訴えかける。
「いいけど―—そんな楽しい旅じゃないから」
とシノブは忠告するが聞く耳を持たなかった。
今後の色々な事もあるしここは見せた方がいいかなと根負けしてシノブは許可をした。
☆
後日。
二人はシノブと亮太郎の過去を見終えて精神の色々な部分が決壊する事になる。
後に女教師で女子プロレスラー兼任の担任、愛坂 メグミとか色々な人をも巻き込む事となった。
てなわけで過去編導入部でした。
あんま長くやらずに語れたらと思います。