RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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 手癖で書いた日常回。
 何か最近戦闘だかシリアスな物語をやろうとすると執筆が難航しちゃうん出うよね。


谷村 亮太郎の一日

 

 Side 谷村 亮太郎

 

 =昼・大阪日本橋、メイド喫茶ストレンジ店内にて=

 

 大阪日本橋。

 メイド喫茶ストレンジの店内。

 黒髪のボブカットの人を食ったような不思議な雰囲気の少年、谷村 亮太郎がいた。

 あまり高校生がメイド喫茶に通うのは良くないかもしれないが、このメイド喫茶との付き合いは重要だ。

 一人に居たい時もあるが、色々と抱え込んでメイド喫茶に入り浸りたい時もある。

 

 ある程度の認識阻害を働かせているため、無関係な人間には谷村 亮太郎が居る事は気づかれてない。

 もし分かったら営業どころではなくなるだろう。

 

「いや~世の中悪い事ばかりじゃないわね。何者かが匿名の多額の寄付を支援団体とかにして回ったんですって」

 

 ツインテールの髭を蓄えたマッスルメイド。

濃ゆい顔立ちの巨漢。

 相変わらず二の腕とか腹筋とか太ももとか丸出しの露出度高めの衣装だ。

 名前はワンさん。

 マジカルコマンドーと言う、二千年の歴史があるらしい謎の武術を使う拳法家で、単純な実力では異世界帰りの勇者に匹敵する逸材だ。

 メイド喫茶ストレンジの店員であり、情報通でもあるのか谷村 亮太郎がやった事を耳にしたようだ。

 

「こんな世の中ですからね。そう言う人もいるんだと思います」

 

「ふふふ、そう言う事にしておくわ亮太郎ちゃん。周囲からは人類に滅亡して隕石を落としそうとか言われてたのに、何か変わったわね」

 

 ワンさんに言われると嬉しくもある。

 案の定バレてるが口外するつもりは無いらしい。

 

 亮太郎が出した金は悪党から捲き上げた隠し財産とかだ。

 その半分以上をガーディアンズや財団などを通して信頼できる施設、団体に寄付したのだ。

 今テレビやSNSはその話題一色だ。

 暗い話題多かったので皆そう言うのに飢えていたのかもしれない。

 

「色々とお付き合いが増えたからね―—まあそれで色々と考えたの。結婚とか産まれて来る子供の事とかさ」

 

「あらやだ。恋してるの?」

 

「恋してると言うかそう言う流れになったと言うか……こうなったら腹を括って向き合わざるおえないでしょ」

 

 相手は自分の過去、異世界でのあれこれを知り尽くした上での決断だ。

 それをちゃんと理解しておかないといけない。

 

「でもさ、ジェイミーもマリネも人気商売でそれぞれ夢があるワケじゃない。それを邪魔しちゃいけないとかも考えてさ」

 

「フフフ、アナタでも分からない事はあるのね。それか自分自身に嘘をついて目を背けてるかね?」

 

 そう言って「ほらサービスよ」とドリンクを出してくれた。

 

「貴方達なら何でも出来るわ。世界だって救ったじゃない。多少強欲になっても罰は当たんないわよ」

 

「そう言われると……」

 

 ウインクする王さんにそう言われるとそんな気もしてくる。

 

「何ならそう言う国を立ち上げたらいいんじゃないかしら?」

 

「国かぁ……」

 

 確かに国を立ち上げるとかそう言う発想は無かった。

 今は何でもAIの時代だし、多少ディストピアになるかもしれないがマジックアイテムのミニチュア、ジオラマ世界とかの管理運営はゴーレム任せだ。

 その気になりさえすれば小国規模のジオラマだって作れる。

 自分の事務所も持っていて親に色々と言われたが、既に亮太郎は一国一城の主とも言えるかもしれない。

 

「彼女あれだけいるのにメイド喫茶に通っているのか君は」

 

「あ、エイコさん」

 

 やや野性味溢れるウルフカット気味のショートヘアーの爆乳美女。

顔もキリッと女戦士のように整っている。

 背もあり、四肢も鍛えられている。

 特徴的なのはその大きな胸。とにかく大きい。バレーボールでも仕込んでるかと疑られそうだが形状からして天然である。三桁の110cm以上はあるだろう。

 今は黒いミニスカメイド服姿でビシッと着こなしている。

 彼女は火野 エイコ。

 つい最近まで自衛官だったが宇宙人、光の巨人のアルティアスレオナと同化。

 既にガーディアンズとかにバレてるらしい。

 一般人に身バレしたワケではないからまだセーフだろう

 

「ふふふ、じゃあここは任せるわね」

 

 と、ワンさんが他の客への接客に向かう。

 意外な話だがワンさんは人気メイドだ。

 彼目当ての客も多かったりする。 

 

「君と藤崎君の事は良く理解したつもり。でも本音としてはあんまりトラブルに首を突っ込んで欲しくないってのが本音かな」

 

「すいません。どれだけ頑張ってもたぶん無理かと」

 

「分かってるけど言わせてちょうだい。周りの子も心配するわよ」

 

「それでもたぶん同じ選択をすると思う」

 

「そうだったね……」

 

 火野 エイコは先日、谷村 亮太郎の旅路を見た人間だ。

 チートを得て殴り倒すだけの旅路じゃ無かった。

 人の生き死にとか、世界の命運とか十代の少年が背負う様な物ではない。

 それをこの世界でも背負わせてしまった。

 火野 エイコ自身にその罪はないがどうしてもその罪を感じてしまう。

 

「エイコさんは優しいと思う。だから優しいままで居て欲しい」

 

「そう言う言葉は他の女の子に掛けてあげなさい」

 

「そうするよ。でもこれだけは言わせてくれ。この街があったから、この街に皆がいたから。僕はヒーローでいられたんだと思う」

 

「でもそれって悲しい事だよね」   

 

「誰かがやらなきゃいけない、貧乏くじさ。僕はそれを引いちゃった。ただそれだけの事さ。君も似たようなもんだろう」

 

「うん」

 

 あの日、初めて宇宙犯罪組織ジャマルが世間に現れ、場当たり的な指示でジャマルの基地を攻撃し、その反撃で火野 エイコは死に瀕していた。

 アルティアスレオナとの適合率が高くなければ、融合しなければ死んでいただろう。

 それを貧乏くじかどうかと言われたら、正直なところエイコには分からなかった。

 特に二人の旅路を見た後では特にだ。

 

「私強くなるよ。私の中にいるレオナもそう言ってる。ただ立ち止まってるだけじゃどうにもならないから」

 

 

 =昼・大阪日本橋=

 

 メイド喫茶で入り浸るのも何なので街をフラリと彷徨う。

 通天閣方面に警察署があるし、万引きなどの軽犯罪がよく起きる上にここ最近は大事件続きなので警察も巡回している。

 顔見知りの警察官もいた。

 ライドセイバーとして稽古をつけた人達だ。

 大事件に遭遇しすぎたせいか、警察官としての魂に火がついちゃって自主稽古する警察官もいるのだとか。

 

 そんな時にふと遭遇したのが―—

 

「おや?」

 

 桃山 ラブだった。

 まだ肌は焼けているが長い金髪——どうやら染めているのではなく、地毛だったらしい。

 化粧とか香水の匂いとかも大分抑えられた感じになっている。

 ファッションも控えめ。

 まだこの街をうろついていたらしい。  

 

「あ~亮太郎!! 私に何をしたの!?」

 

「何をしたのってそんな大声で……」

 

 桃山 ラブ。

 ハンドレッド事件が始まる前、ブルーデビルと言う半グレだかカラーギャングだか分からない組織の騒動で死にかけた。

 控えめに言ってビッ〇呼ばわりされても仕方のない事をやらかしている女である。

 認識疎外の設定範囲から除外しようとも考えたが、色々と悩んだ末にしないでおいた。

 

「真面目に学校通って、真面目に授業受けるようになって、パパ活とかも出来なくなって、化粧とか香水とかもダサいと言うか金に気を遣わなくちゃいけなくなって……」

 

「良かったじゃない」

 

「良くない!!」

 

 どうやら反省はしていないようだ。

 亮太郎はハァとため息をつく。

 

「正直ブルーデビルの一件は君の立場もかなり危なかったんだよ。その程度で済んだ事を感謝したほうがいい。仮にこの件で逮捕されなくても脱税で逮捕とかもあり得たしね」

 

「そんな恩着せがましく言わないで!! て言うかだつぜいって何よ!? 意味分かんないし!!」

 

「ああうん。君を助けた事をたった今後悔して来たところだ」

 

「でもでも、あの後色んな人にメチャクチャ怒られたし、先公からも殴れたら殴ってるとか、義務教育の敗北だとか散々言われたし」

 

「先生の気持ちを考えてやれ。僕が君の担任だったらクビを覚悟で一発思いっきりぶん殴ってるぞ。それとも君の担任はガンジーか何かか?」

 

 桃山 ラブのあれこれよりも、桃山 ラブと五十歩百歩の子達相手に教鞭を執る教師達に同情する亮太郎であった。

 

「ガンジーって誰よ!?」

 

 低学歴、低偏差値の人達にとってガンジーはそんなに有名人ではないらしい。

 まだ織田信長を知らないと言うだけマシだろうかとも亮太郎は頭を抱える。

 

「イギリス統治下時代のインドで非暴力、非服従を貫いた人」

 

「ふうーんそうなの……ってそうじゃない。私に不思議な力を掛けてHな事ととか」

 

「やんねーよ」

 

「うわっ、ガチ目なトーンで返された?」

 

「付き合う彼氏の側で考えてみろ。男を短期間でとっかえひっかえして、大金を湯水のように消費して、彼氏が居るにも関わらずパパ活をやりまくって、そんな女とやりたいとマトモな男は思うか?」

 

 と、真実を突きつけると流石にマズいと思ったのか少し大人しくなった。

 

「え~でも、それでもパパ活は上手く行ってたし」

 

「それはたまたま上手く行ってただけだ。ある日、税務署の人間が押しかけて来るか、預金口座を差し押さえられ、脱税として逮捕される」

 

「また難しい言葉っ言ってイジメて来る!! 言葉の暴力反対!!」

 

 などと人目があろうと堂々と文句を言う。

 騒ぎを聞きつけたのか警察官がやって来た。

 

「どうしましたか……って君か……」

 

 桃山 ラブに目を移した瞬間、ゲンナリとした態度をとる。

 

「何か警官に顔を把握されてる!?」

 

「失礼ですがお知り合い?」

 

 警官に疑問を投げかける亮太郎。

 

「お知り合いも何も、悪い意味で有名な人です。プライバシーとかもありますからこれ以上は言えませんね」

 

 日常を守るのも大変だなと亮太郎は思った。

 

「警察まで味方して何なのよ~私悪い事した?」

 

「ダメだこいつ、全然懲りてねぇ」

 

 逆に暗示を掛けて真面目に生きるようにして良かったなとさえ思えてきた。

 

「と言うか君、本来なら少年院送りだってありえたのに、結果的に事件解決の手助けになったからその程度で済んだんだから。命の恩人にあれこれ文句言わない」

 

 などと説教されていた。

 警察の間でも問題児扱いされているらしい。

 

「でもでも~」

 

「そんなに金が欲しかったらアルバイトでもしろ」

 

「え~やだ~めんどい~養ってよ~」

 

 暗示を強化しようか?

 谷村 亮太郎は本気で悩む。

 

 

 結局、桃山 ラブへの暗示の強化は止めておいた。

 認識疎外もそのままだ。

 見捨てるのもアレだが、暗示を強化するのも間違いだと思ったからだ。

 

 最後に巡り合ったのは自衛隊の隊員の桜木 コウジさんと出会った。

 まだ若い自衛官で日本橋の自衛隊の事務所に配属されている。

 生成AIやサブカル文化、よりリアルになりつつあるゲーム分野を軍事分野に役立てる研究をしている部署だ。

 もっともらしく語ったが、実際は窓際部署扱いである。

 

 最近は日本橋の騒動にもちょくちょくと顔を出していた。

 事件内容が内容なので重い処罰は下されていないらしい。

 

屋外に座席がある飲食店の場所で座り合って話をする。

 大阪だからと言ってたこ焼き屋ばかりではない。

 日本橋の場合は唐揚げ屋にケバブ、ラーメンにナポリタンなど様々だ。

 今は唐揚げ屋にいる。

 

「自分も何度か守衛学園には顔を出したよ」

 

 話の内容は守衛学園。

 自衛隊の工科学校に近い学園らしいが、全てが全て同じではないらしい。

 

「どんなところなんですか?」 

 

話の続きを促す亮太郎。

 

「工科学校と共通のところはあるけど違いは様々だ。世間一般に分かり易く言えばミリタリー要素がある学園物を再現したような感じだ」

 

「普通の教育を受けて、クラブ活動もできる。工科学校みたいに給料も入る。だけど訓練とかもやるし、自衛隊の生活や訓練内容についても教え込まれる」

 

「まあそれでも工科学校の子達から下に見られたり、本職の自衛官にごっこ遊びとか言われたりするけどね。それを意識してか訓練は実戦を想定したものばかりだよ」

 

と、語り終えるコウジさん。

「教えてくれてありがとう」

 

 礼を言う亮太郎。

 念のため独自で調べてはいるが直で見てきた関係者の意見と言うのは強い。

 学園長も女性でやり手揃いだとも聞いている。

 テロ対策は万全にしてくれるだろう。

 

(……少し自分も動くか)

 

 その日、守衛学園を取り囲んでいた市民団体が暴動を引き起こして警察に排除される。

 みな本音を曝け出して殴り合いのケンカに発展したのだ。

 ケンカを止めようとした警察相手にも暴言を連発し、政治家の名前や政党の名前、後ろ盾になっている大きな団体とか国の名前を出して脅迫したりした。

 金払いがいいから参加していたとか、自衛隊批判とかどうでもいいからパチンコや酒が飲める金をくれるから参加していただのと言いたい放題だ。

 中には生活が苦しくてやむなく参加していた人間もいたが。

 そうした中で賄賂や献金、裏社会の繋がりなどの情報とかも喋り出して警察としても無視できない情報を喋り、SNSを騒がせることとなった。

 




 小説家になろうの方でも語りましたが、ガンジーのくだりのやり取りは職場での実体験です。
 それでも頼れる同僚で実質纏め役な感じの人ですね。

 カクヨムの方でも言いましたがもう二、三回日常回やって素直に守衛学園でのお話やった方がいいかもしれませんね。

 ご意見、ご感想お待ちしております。
    
 
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