RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜 作:MrR
新シリーズの完成目途がついたので投下します。
Side 藤崎 シノブ
藤崎 シノブには妹がいる。
完全に垢抜けた感じのまだ中学生のちびギャル。
髪の毛が金のツーサイドアップの髪の毛。
それでいてスタイルもよく胸も程良くある。
中学生顔負けのプロポーションで読モとかやれそうだ。
顔も小悪魔的で人を常に小馬鹿にしているような態度をとる少女。
親や教師相手、大人の前では人当たりの良い女の子を演じているらしい。
それが藤崎 ハルナ、藤崎 シノブと言う女の子だ。
=夜・藤崎 シノブの部屋=
自分を平凡だと言っておきながらそこそこ顔立ちやルックスが整っている、平均的なラノベ主人公な感じの藤崎 シノブ。
部屋はネクプラとかが飾っていて、本棚も漫画が並べている上にテレビにはゲーム機が接続されている典型的なオタク部屋であるが、掃除も自分で定期的に行っていて清潔感がある。
異世界勇者やる前は自称凡人と言う名の腑抜けた生活を送り、現在はジオラマ内でトレーニングや勉強する時間を稼ぎながらアレコレと忙しい生活を送っている。
異世界で生活して分かった事だが、普通に生きるのにも相応の努力は必要であり、学力だけでその後の人生は決まらないが学力も大事なのである。
「本当に、絵に描いたように真面目になったわね~」
などと妹が部屋着を身に纏いベッドで寛ぎながら机に向かう兄に呼び掛ける。
最近は布団とか枕も朝早起きして干したりしているので寝心地は抜群だろう。
そのせいでハルナは親に兄を見習いなさいと言われてブー垂れていたが。
「正直言うと今迄だらけ切っていただけだと思うけどな」
異世界に行って気づけたところだが、逆を言えば異世界に行かなければ気づかなかった可能性も高い。
そうでもしないと気づけなかった自分は愚か者だろうなとシノブは自嘲する。
「でも、限度があるわよ。それも異世界パワーって奴?」
「逆を言えば異世界に行かなければ変われなかったって言うのも問題だと思うぞ」
「ハルナ的には変わり過ぎだと思うの」
ハルナには一応異世界帰りの事は伝えてある。
親にも言ってある。
召喚した相手に一つや二つ、文句を言いたいと聞いた時は嬉しかった。
勇者召喚を行ったのはダムへイル王国だが実際のところは賢者ヘリオスと魔王サウラスが仕組んだ事であり、この手でケリをつけた事を伝えると両親は何とも言えない顔をしていた。
言い方を変えれば二人の盛大で傍迷惑な自殺に巻き込まれたものだからだ。
だがそれに巻き込まなければ自分は変われず、様々な出会いや経験も無かったわけで。地球はどうなっていたかも分からない。
複雑な気持ちである。
「大体の事情は分かったわ。でも家族への迷惑は少しも考えて欲しいと思うの。と言うか、お兄は最悪親から家を追い出される覚悟とかもしてるわけ?」
「まあな。正直言って迷惑掛け過ぎたし、そうなっても当然かなと」
「それはそれでムカつくんだけど。何だかんだで今の状況を受け入れた親の気持ちも考えてあげなさいよ」
「そう言われるとなぁ……谷村さんの方もそんな感じだし。親って偉大だな」
親の気持ちは妹の方が理解しているようだ。
異世界に行っても自分はまだまだ分からない事は多いんだなとシノブは反省した。
「そりゃ今の世の中、親も人間で育児放棄やら暴力で親子での殺し合いとか珍しくもない話になってるけどさ、ちょいと周りの事とか親とかの事とか信じてあげようって話なの、ハルナ的に」
とギャル風な見掛けによらず立派な事を言うハルナ。
「本当に今日はどうしたんだ? そりゃ最近は部屋に入り込むようになったけどさ……」
「うっさい。妹にも色々とあんのよ」
「色々ねぇ」
学校で苦労してるんだろうか。
最悪何でも屋の谷村 亮太郎か闇乃 影司を動かして調査する事も考えてもいいかもしれない。
ガーディアンズとかが警備したり、谷村 亮太郎がそう言う結界とか防護アイテムを仕込んでいたりするかも知れないが世の中は万が一と言う奴がある。
「そもそもライドセイバーとか何なのよ。たまたま世間受けしたけど、ハルナ的にはどうかと思うの」
ハルナの言い分はとても分かる。
自分の兄がコスプレして暴れてましたと聞けば恥ずかしい気持ちにもなるだろう。
「あ~元々は谷村さんの変装アイテムなんだけど、自分でも意外とアリだなと思いまして……パワードスーツ設定とか改造人間設定とかって色々と便利なのよね」
「まだそっちの方が現実的なのかなぁ?」
藤崎 シノブは世間的にはライドセイバーとして知られているがその御陰で、改造人間説、パワードスーツ説など噂されている。
中にはアメコミ的な超パワーを含んだ鉱物や放射線を浴びたとか言う説まであった。
異世界でメチャクチャ鍛えて地球に帰還した異世界帰り説もあるにはある。
ネットでは未だに論争中である。
「仮に異世界ユグドの存在がバレても、あの世界は魔境だからなぁ……アメコミヒーローの上澄みレベルがゴロゴロいるような世界だし。仮に現代戦に持ち込んだとしても、現代戦その物が成り立たず一方的にユグド人に殺戮される可能性があるからな」
「お兄クラスの人がゴロゴロいる世界だしそうなるわよね」
藤崎 シノブが地球へ帰還した直後のユグド人の戦闘能力は常軌を逸している。
文明的に劣る部分が多くあるが、住民が並のバトル漫画ならメイン張れそうなレベルで強い。
たった二人——シノブと亮太郎だけでも、味方の犠牲とか民間施設の被害を考えなければ宇宙犯罪組織と十分やり合えるレベルなのだ。
核兵器とかBC兵器を使えば話は変わるだろうが、並の地球の国家なら数日以内に中枢が陥落して残党処理戦に突入して敗北の流れになるだろう。
「北川さんのスター・アライアンス計画、ヒーローによる地球防衛計画も、問題はあるが馬鹿には出来ない理由がこれだ。ライドセイバーとか俺達の知名度を活かした広報戦略も一定の結果は出してるしな」
「どゆこと? ハルナの頭でも分かり易く説明してちょーだい?」
「どんな大国でも士気がなければ勝ち戦でも負けてしまうって言う話だ。逆を言えば士気さえあって保つ事が出来れば大国相手でも戦える。今日本に足りないのは様々だけど、日本政府も自衛隊も士気と言う概念に無理解なところがあるからな」
今の日本政府は現場に根性論を押し付けて、上は責任の擦り付け合いをしていてもはや機能しているとは言えない状態だ。
だからこそシノブや亮太郎も好き放題出来ると言う複雑な心境なのだが。
そんな状態では現場で働く人々の士気が上がる訳がない。
「最悪、どんな侵略者が現れてもどっかの正義の味方に丸投げすればいいと言う状態に陥っている可能性すらある」
「でも気持ちは分からなくない? 言ってしまえば、米軍相手に竹やりで戦えと言っているようなもんじゃん」
ハルナの例えはとても分かり易い。
実際そう言う意見は多かった。
「まあな……でも、現実は特撮番組みたいに行かねーんだわ。そう言うのが常態化すると自衛隊も警察もダメになる。そうなったら日本はダメになるんだ」
それを分かっていたから谷村 亮太郎は勇者の旅路を、伝統的なRPGから大勢の人々を巻き込んだ戦略シュミュレーションに変えたのだ。
犠牲が少ないに越したことはないが、犠牲を恐れてヘタを打つと逆に大勢の犠牲が出てしまうのだ。
「難しい事を色々と考えるようになったのね」
「何も考えずに暴れられたら良かったんだけどね。世界の平和とかどうでもいい。ただ自分の身の回りの事だけ考えて、魔法とかチートとか自分のためだけに使って……でもそんなの出来ない。異世界での旅路を否定する事になるから」
「そう聞くと私も異世界での冒険とか憧れちゃうかも?」
「場合によりけりだな。正直言うと異世界ユグドの旅路はイージーモードだった可能性すらある。谷村さんもいたしな」
異世界と言っても言っても様々だ。
衛生観念とかが死んでるダークファンタジー系の世界とか、人間の民度が終わっている世界とかもあり得る。
既に異世界はユグドだけでなく、リブラリアなどもあり、並行世界とかも関わっている世の中、他にもそう言う世界が無いとも言い切れない。
「チートで無双とか早々無いのか~」
「あったとしてもロクな結末にならんぞ」
チートで楽に全ての敵を苦労もなく薙ぎ倒し、女の子達と大して苦労もせずに仲良くなって快適かつ楽に終わる旅。
正直異世界ユグドの旅路を経験した後だと憧れはするがあまり考えたくはない。
「まあ確かに年頃の男の子だから、そう言うハーレム的なのには憧れた事もあったけど、男同士で馬鹿やったり色々したりも良いもんだった。ナムさんの修行も大変だったけど良い思い出だよ」
「少年誌のバトル漫画寄りの旅をして来た訳ね」
「それでも女っ気はあったのは否定しないけどな。俺の旅路は本当に恵まれてたんだと思う」
魔王を倒した勇者脅威論的なのにも経験したことはあったが、それをひっくるめていい思い出だ。
「お兄は異世界に帰るつもりなの?」
「帰る時にタイムワープしてるからな。複雑な手続きを踏まないと帰れないけど、まあ時間を掛ければ出来るだろう」
シノブも亮太郎も馬鹿ではない。
元の世界の位置データ、座標とかは既に手に入れている。
それを元にしてゲートを開けばいい。
幸か不幸か、日本はその手の分野が進んでいる。
日本VS全世界と言う第三次世界大戦にならないのはその技術の世界中への拡散を 恐れているからなのかもしれない。
「だけど、今帰ったら間違いなく地球の厄介事に異世界を巻き込んでしまいそうでな……何だかんだ言って皆いい人ばっかりだったんだよ、ウチのパーティー」
ノリノリで介入してくる様子が嫌でも目に浮かぶ。
「カッコいい男の人とかいた?」
「どう言うのを想定しているのか知らないけど、基本はハーレム有りの文化圏だからその辺り覚悟しといた方がいいぞ」
「あ~文化の違いか~」
「それに異世界人と付き合うとなると寿命とかの問題もあるし。基本ユグド人は不老長寿だから。冒険者になる覚悟もしとかないと」
そう言う世界の法則なのか、モンスターを倒し続けているとそうなってしまうらしい。
そう言う世界の人間と付き合うのならどうしても地球側が合わせないとどの道破局するだろう。
「もしそうなったらお兄に手伝って貰うから」
「まあ多少はな? ガチで冒険者目指すつもりだったら厳しくやるけど」
「あ~そこまではしなくてもいいかな?」
目がマジだった。
流石は異世界で死線を潜り抜けた兄である。
☆
=夜・藤崎 ハルナの自室=
色々と話し込んだ、藤崎 ハルナは自室に戻った。
ハルナの部屋は今風のギャルかと思いきや、どう見てもシノブの部屋よりもかなりディープなオタク部屋だ。
本当に女の子の部屋かなと疑ってしまうレベルでドン引きされる部屋だ。
ネクプラの横に美少女フィギュア、ギャルゲーの箱、アニメのポスター。
最近は初代ライドセイバーのグッズにも手を出しているらしい。君実は兄貴の事好きだろう。
(異世界か~)
異世界云々に憧れていないと言えば嘘になる。
無理を言えばきっと連れて行ってくれるだろう。
(でも大変な目に遭うんだろうな~)
だが藤崎 シノブは世界を救った英雄。
その妹。
異世界でも色々と色眼鏡に見られる事は間違いないだろう。
(今の地球暮らしでさえ色々とと大変だし、新任の教師や転校生とかもそれっぽい筋の人間だろうし、学校の警備も眼に見えて厳重になってるし)
クラスメイトにも教師にもその手の人間と思われる人が増えていた。
学校周辺でも自宅周辺でも外国人が犬を散歩に引き連れながらランニングしながら巡回しているのもよく目につく。何なら外国人が乗る日本車の姿もよく見かけた。
気が付けばハルナの周囲は日本の警察よりも何十倍のおっかない連中だらけになっていた。
その御陰で不良とか動画配信者とか不審者とかも相次いでお縄になっているので良しとするが。
(まあお兄の御陰で私は大スターになってるし、それを上手く利用して立ち回ればいいか)
などと妹は中々に強かな事を考える。
どの道、世界を救った兄の妹である以上、何かしらのトラブルには巻き込まれるだろう。
だからこそ兄を最大限利用する事を考える。
(責任とってよね? お兄ちゃん?)
藤崎 ハルナ、異世界に付いていこうと決意した瞬間であった。
日常回は自然と筆が進むと言う謎現象。
それと、また雑誌投稿小説について書こうかどうか悩んでいます。
次のシリーズを終えたら今度こそ異世界編を書くんだ(白目