RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜 作:MrR
Side 藤崎 シノブ
=放課後・教室にて=
遅れた授業の出席単位を取るため、先生達に時間を作ってもらって授業をしてもらう。
担任の愛坂 メグミは「仕方ないわよね。大勢の人の命掛かったてたもんね」と苦笑しつつ「いい? 貴方達はスーパーヒーローかもしれないけど、私の生徒でもあるんだからね? あんまりこう言う無茶は、まあ言ってもするんだろうけど、あんまり周囲を心配させちゃダメよ?」と注意された。
谷村 亮太郎はこの結果に「まあ突貫の緊急救助作戦にしては大成功じゃないかな? でも犠牲者は少なからず出てるみたいだし、あんまり大手を振って喜べないよね」と述べていた。
パーフェクトピースによって殺された人間は大勢いる。
不幸中の幸いだったのは生徒や教職員の犠牲者はゼロだった事だ。
だがテロリストに襲われた恐怖は簡単に消える事はないだろう。
その辺を考えるとやりきれない気持ちになる。
(皆で掻き集めた証拠品の数々も全部提出したし、テロリストの身柄も全部ガーディアンズに差し出したし……でもまだやるべき事はある)
例えば最後にしゃしゃり出て来た、日本の裏に巣食う連中との対峙。
例えば犠牲者、遺族や犠牲者への支援制度。
配信者にでもなって企業化して、支援に回そうかとも考えていた。
「さてと、帰るか」
色々考えてはいるが、守衛学園とのコラボも迫っている。
その準備もしなければならない。
「このまま真っ直ぐ帰りかい?」
近くに居て、一緒に補習授業に参加していた亮太郎がシノブに話しかけて来る。
シノブは「ええまあ」と返す。
「そろそろ守衛学園での配信ですし、それにもうそろそろ殴り込みも近いんで……」
「そうだね。それでも今抱えている因縁の半分に届くかどうかぐらいしか片付かないのも悩みどころだね」
フュチャーテック、宇宙犯罪組織ジャマルなどから続いて来た様々な因縁。
それを解決するためにも、異世界リブラリアに乗り込むのは必要不可欠だ。
「幸いにして日本政府も暗部との直接対決の思考にシフトしているからね。フロンティア計画も頓挫していく流れになるんだけど」
亮太郎の口から語られた日本政府の考えを聞いて、「このまま手を下さず、勝手に破滅してくれればいいんですけどね」とシノブは直接自分達で手を下さなければ終わらないと語っていた。
「まあそう言う話は今は置いといて、待たせている人達の元に向かったら?」
「ええ。そうします」
雰囲気を切り替えてシノブは教室から立ち去る。
亮太郎は亮太郎で「さて、自分も見習わないとな」と待たせている人達へと歩みを寄せていく。
☆
Side ネクストソルジャー
=昼・日本、ガーディアンズ、スター・アライアンスの控室=
日本のとある場所に立てられた近未来的な建造物。
そこに日本におけるスター・アライアンスのホームがあった。
ネクストソルジャーは一人厳しいトレーニングに励んでいる。
スーツを脱いでマッシブな金髪の白人としての姿を晒していた。
控えめに言って落ち込んでいた。
自分はまだまだ未熟なんだなと思いしらされた。
死力を尽くして頑張った。
だが日本橋やI市、そしてライドセイバーとその仲間達に救われた形になった。
運が悪かったと言われればそれまでだし、スター・アライアンス計画は本来そう言う計画だと言われればそれまでだが。
「まあ元気だしなって。逆に言えば日本のヒーロー達は立派にこの国を守っていける、世界で通用するような素晴らしいヒーロー達が揃っているって」
と、真っ赤なアーマーを脱いだウイニングマン。
三十台ぐらいの髭を蓄えたナイスミドルな白人の男性が言う。
「それはそうだがな」
「いっそ彼達に弟子入りでもして見るか?」
それを聞いてネクストソルジャーはピクッとなった。
「弟子入りか……」
「おい? 本気で考えてるのか?」
「ヒーローは強さが全てではないが、一定の強さは必要なのが身に染みたからな」
「まじか……」
ウイニングマン。
自分の迂闊な発言を呪って両目を抑える。
☆
Side 北川 舞
=昼・琴乃市、北川 舞のオフィス=
藤崎 シノブと谷村 亮太郎が通う琴乃学園がある琴乃市に位置する北川 舞のオフィス。
庭付きの大きな一軒家。
デスクトップPCが置かれたテーブルや高級椅子での作業を止めて、テレビを注視していた。
テレビのモニターでは現与党の若手の部類に入る総理大臣が熱弁していた。
記者会見を開き、多くのマスコミ達の前で自分の意見を口にしている。
『まず日本国民の皆様にはこれまでの日本政府の失態について深く謝罪する一方で、ある重大な決断をする事を発表いたします』
『我々日本政府は、日本の裏の勢力、暗部勢力とも言いましょうか、それ達の全面対決をここに宣言します』
『彼達は国家権力を私物化し、様々な悪事を重ね、日本を売り渡すだけでなく世界の売国までしでかし、自分達が危機的状況に陥ったと判断した場合、日本を捨てて異世界に逃げ出す始末です』
『この様な勢力をのさばらせて来た我々国家権力にも責任があります。ですが昨日の事件で私は誰に何と言われようとも、与党の重鎮達にどう言われようとも戦う事を決意致しました』
『この戦いの決着をつけ次第、私は辞任致します』
と言って会見を締め括った。
「まったく。腹を括るのが遅い……」
ハァとため息をつく。
だがこれで日本政府と暗部の直接対決の構図が出来上がった。
「長く感じたが……いよいよ直接対決か」
フュチャーテックからのこの一カ月間、様々な事件が起きた。
ようやく日本政府の暗部との直接対決だ。
この流れは二年前のあの日、闇乃 影司がこの国を滅ぼそうとした一連の騒動の中で決まっていたのかもしれない。
政府の暗部を倒したと言って全ての悪が根絶されるワケではないが、もはや暗部は世界の敵でもあるのだ。
(これで本来なら決着だが、まだ何かあるな)
嫌な予感を膨らませつつ舞は調査を再開させた。
VSテロリスト編・END