RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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宇宙刑事編
始まりの銀色の巨人


 

 ヒーローのジャンルに宇宙刑事と言うのがある。

 メタルヒーローとも呼ばれる。

 昭和から平成、仮面の特撮バイクヒーローの中継ぎを行い、レスキューヒーローと呼ばれるジャンルをも産み出した。

 今は製作会社が特撮ヒーローと仮面の特撮バイクヒーローを優先していてメタルヒーローはスーパー戦隊とコラボしたりして美味しい立ち位置を演じたり映画展開したりしているが、テレビシリーズを新たに作られる気配はない。

 

 今回のお話はそんな宇宙刑事の物語。

 

 

 =夜・大阪府内の自衛隊駐屯地某所=

 

 自衛隊駐屯地。

 敷地面積は駐屯地によって様々。

 最大で東京ドーム(約4万6755平方メートル)五十個分。(*チャットGPT参照)

 一番小さいのは和歌山駐屯地で東西約200m、南北約80m(1万6000平方メートル)。(*Xの防衛省・自衛隊のアカウントのツイート参照)

 と、上と下とで差が大きい。

 

 この自衛隊駐屯地はおおよそ約20万平方メートル。

 東京ドーム5つ分の広さを持つ駐屯地。

 府内の自衛隊隊員が日夜訓練に励んでいる。

 装備は市街地戦や災害時を想定しているのか、重火器搭載防弾車両、装甲車、他各種車両、戦闘ヘリなどが配備。

 また急ピッチでドローンの配備も進められていた。

 

 そんな自衛隊の駐屯地に、真っ暗な夜の空から現れたのは50mの銀色のロボット。空中から地面に落下。大きな地揺れを引き起こしながら着地した。

 ビジュアル重視の昨今の創作ロボットとは違う、ずんぐりとした昭和の巨大ロボット。

 横長の黒いアイカメラ。

 関節部もなく、図太い両腕に両足。

 機体重量もサイズ相応なのか駐屯地の地面が陥没してクレーターが広がっている。

 

「何だアレは!?」

 

「巨大ロボット!?」

 

「一体何処から現れた!?」

 

 突如として現れた巨大ロボットに自衛隊は目を白黒させた。

 巨大地震が起きたのならまだ分かる。

 だが巨大ロボットの出現は流石に想定の範囲外だった。

 突然自衛隊の基地に現れて、建物の窓ガラスはあまりの衝撃で全部割れて訓練中の軍用車両は横転。

 銃を構える様子もなく、本当に何をどうしていいのか分からない様子だった。

 

「攻撃してきた!?」

 

「どうする!? 反撃は!?」

 

「誰か指示を!?」

 

 銀色の巨大ロボットの体の各部から攻撃が開始。

 光線、光弾が放たれ、地面や建造物に着弾するたびに大爆発が起きる。

 突然の襲撃に自衛隊は大パニックになった。

 誰も反撃できない。命令違反上等の不良自衛官がいるのならともかく。

 仮に反撃できたとしても自衛隊の装備で50mの巨体を持ち、高高度からの落下でも問題なく稼働し、光学兵器を満載したオーバーテクノロジーの塊の巨大ロボットに傷をつけられるかどうか怪しい。

 

 銀色の巨大ロボットは目につく建造物、目につく兵器に光線を打ち込んで破壊していく。

 空の彼方から戦闘機が飛来しても寸分違わず機械的に撃ち落とす。

 煙が立ち込め、自衛隊の駐屯地内の建造物や兵器を人間もろともあらかた破壊し終えるとロボットは空高く飛び去って行った。

 

 巨大ロボットの陸上自衛隊駐屯地の襲撃事件は日本だけでなく、世界中に震撼を与える大騒ぎになった。

 SNSもそうだ。

 裏の世界、さらに裏の裏の世界の住民である退魔師達もどうしようもなかった。

  

 ただ分かる事は陸上自衛隊の駐屯地が謎の銀色の巨大ロボットに壊滅させられたと言う事だけだ。

 

 

 Side 谷村 亮太郎

 

 =夜・谷村 亮太郎の自宅=

 

 誰がどう弁護してもオタク部屋。

 アニメグッズやポスターが所狭しと並べられている部屋。

 おかっぱ頭で黙っていれば知的キャラで通りそうな整った顔立ちの不思議な雰囲気を持つ少年、谷村 亮太郎。

 普通の部屋着を身に纏って机に座り、スマホ片手にとある人物に連絡していた。

 テレビのモニターには府内の自衛隊駐屯地で起きた大惨事が映し出されている。

 SNSも嘘か本当かの情報が飛び交い、大パニック。

 陸上自衛隊の駐屯地が巨大ロボットに壊滅させられると言う未曾有の事態だ。

日本国内で核爆発規模の大爆発が起きた事件があったが、それに匹敵する程の衝撃であるらしく、戦争でも始まったかのような惨状だ。

 

「これが君達が予言していた時なのかな?」

 

亮太郎は冷戦な態度でスマホに話かける。

 スマホの先に居るのは長い黒髪の知的で大人びた十代半ばの女性。

 老成しているとも言っていい。

 少女ではなく女性と言う表現をしたのは逆に失礼に感じるぐらいにスマホの先の彼女――北川 舞と言う少女は大人びていて、今のこの状況でも冷静だった。

 

『ああ。まさかこう言う形になるとは想定外にも程がある』

 

 北川 舞。

 国連直属のガーディアンズと呼ばれる組織のエージェント。

 どう言う組織化と言えばアメコミに出て来るヒーローの支援組織みたいなもんだと思えばいい。

 

 谷村 亮太郎は異世界帰還して直後に巻き込まれた須藤親子との抗争、フュチャーテック事件で大阪日本橋の何でも屋、闇乃 影司を経由して知り合った。

 

 ガーディアンズは退魔師だけでなく宇宙人の存在も認知しており、考えうる最悪の事態の一つである宇宙人との全面戦争に備えていた。

 もちろん戦争は起きないに越したことはない。

 だがどんなに平和を願って人々に訴えても起きる時は起きるのだ。

 

 そして今さっき、とんでもなく分かり易い形で宣戦布告された。

 

「どっかの地球の勢力の可能性は?」

 

『我々も無能ではない。完全ステルスの50m級の巨大ロボを、まだ夢物語の光学兵器満載にして自衛隊の駐屯地に単機突撃など、普通なら何処かの段階で世界中の諜報機関が徴候を掴んでいる』

 

「つまり、宇宙人の仕業だと?」

 

まだ断定したワケではないが、亮太郎はその可能性は極めて高いように推測していた。

 

『念のためオカルト世界にも探りを入れている。どっかの映画みたいにドローンを利用したトリックも考えたが、それはそれで無理があるだろう』

 

舞も亮太郎と同じく宇宙人の線を予期しているようであった。

 

「ロボットはどこに消えたのかな?」

 

『さあな。完全ステルスならまだいいが、これでワープとか亜空間に出入りして現実から消えてるとかだったら探知は無理だな』

 

想像力豊かな推理を働かせる舞。

実際、宇宙の彼方から地球に気付かれずに巨大ロボット単機で極東の軍事基地を攻撃するような連中だ。

科学力もそれ相応だと考えるべきだ。

 

『今回の事件はまともな国家でも対処は不可能だ。日本政府に期待するだけ酷だな』

 

「北川さんは愛国心はある方で?」

 

『愛国心をどう定義づけるかによるな。日本と言う国は好きだが、日本政府は信用するに値しないとだけ言っておこう』

 

 辛辣な評価を告げる舞。

亮太郎も似たような評価だった。

 

『もっともガーディアンズも国連所属の一機関でしかない。大国の暴走も止められないし、日本政府の悪魔の実験も止められなかったけど』

 

「おや、愚痴かい?」

 

組織に属する人間の悲哀とも取れる。

幾ら正義の組織だとしても、国連に所属する一機関でしかない。

大国の戦争も止められず、須藤 正嗣や日本政府の暴挙も止められなかった事を悔やんでいるようだ。

 

『私も人間だ。弱音ぐらいは吐かせろ。これから忙しくなる。冗談抜きで世界大戦の危機だ。宇宙人が攻めて来る前に地球人類同士の争いで世界は滅びるぞ』

 

「色々と先が見え過ぎると言うのも考え物だね」

 

『長話はここまでにしよう。我々に協力するかどうか決めてほしい』

 

「フューチャーテック事件の後始末を丸投げした負い目があるからね。引き受けるよ」

 

「それにこの事件はこの程度で終わるとは思えない」

 

亮太郎は引き受けるつもりだった。

今でもとんでもない規模の事件だが、放置すればより、眼を覆いたくなるような惨状になると予感したからだ。

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