RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜 作:MrR
Side 長谷川 千歳
皆お手々を繋いで皆仲良くしましょう。
皆平等です。
皆助け合って生きて行きましょう。
学校の大人達と言うのはそう言う、今時小学生でも知っているようなお綺麗事を気色悪い宗教みたいに延々と唱え続ける場所だと知ったのは小学生の時だった。
長谷川 千歳は昔から化け物の様な目で見られていた。
両親は最初、千歳を利用しようとしたが段々と手に負えなくなり、怖くなったのか蒸発した。
ケンカが特別強かったと言う訳じゃない。
ただひたすらに金を稼ぐ能力が高かった。
学校とかで、お金が世の中の全てではない、お金で解決できない問題もあると教えられるが、それは貧乏人どもの負け犬の遠吠えであり実際問題お金が全てでは無いが大抵の問題はお金で解決出来るのだ。
後は地位、武力、権力もあれば尚の事いい。あと容姿とかも整ってれば最高だろう。
それが学校で学んだ事になり、いじめっ子達相手の学校を巻き込んだ凄惨な経済戦争を引き起こして何もかも破壊し尽くした後に長谷川 千歳は不登校になった。
その後はずっと裏の世界で金を稼いで稼いで好き放題した。
性〇隷とか女性格闘技団体設立して性〇隷候補を集めたりとかもした。
最近は後悔しているが。
刺されたり、住んでた住居に焼き討ち食らったりしたからだ。
そう言う事があって現在は以前に比べて別人のように過ごしている。
☆
Side 長谷川 千歳
=昼・都内のカフェ某所=
日本橋から離れた都内のカフェ。
クラシックで落ち着いた雰囲気の洒落た場所。
長谷川 千歳の息が掛かったカフェだ。
現在は貸しきり状態。
念のため盗聴だのその手の対策はしている。
そこに長谷川 千歳は居た。
緑髪にアホ毛にお下げヘアー。
横長の四角い眼鏡にスーツ姿。線の細い華奢で除草とか似合いそうだが可愛げのない雰囲気で無理に背伸びしている感がある少年。
綺麗なスーツ姿にシャツ、ネクタイ、あんまり使ってない高いだけのアナログ腕時計、高級なブーツ。子供が大人の社会でやっていくのは大変なのだ。
相席しているのは谷村 亮太郎。
黒髪のボブカットで不思議な雰囲気の少年。
大阪日本橋に出入りしていて日本橋の裏どころか裏の裏に精通しているらしい。
あのメイド喫茶ストレンジや闇乃 影司とかと同じく絶対に逆らってはいけない、お金で解決出来ないレベルと関りがある。
もはやこれだけで一般人とは言い難い。
今は年相応の普通の背格好で上品に抹茶ラテを口に含んでいた。
「派手に暴れたようだな」
「何処まで詳細をお知りで?」
「高い金を払ってでも情報を拾い集めさせてもらったよ。須藤 勇也とかその父親とかさ、正直ビジネスとか政治的な都合上で何度か顔を合わせた事あるが……」
ハァと千歳はため息をついた。
「一歩間違えてれば俺もあんな感じに行く所まで行って破滅してたのかなと思ったよ」
「運が良かったね」
「悪運だけどな」
と、千歳もコーヒーを軽く口を含んだ。
「それにしてもちょっと見ない間に変わったな……」
「そうか?」
「亮太郎が飛んでも存在だったのは前々からだったけど、以前なら知ってても二人で殴り込みとかやらなかっただろう」
サカキ高校を陥落。
フューチャーテックを崩壊。
須藤 正嗣は失脚し須藤 勇也は逮捕された。
大阪府内の警察は機能喪失状態。
現政権は風前の灯火。
千歳にとってはこれでこれで大きなビジネスチャンスで今も色々と稼がせて貰っている状況だ。
「いや~何の話かさっぱりですな」
国家転覆を成し遂げた張本人の一人はと言うとワザとらしく誤魔化す。
千歳は「そうだな」と返しておいた。
「その調子だと悩み事は解決したみたいだな」
「うん。そうだね。解決したよ」
谷村 亮太郎はつい先日の八月中、表面的には明るく振る舞っていたが時折追い詰められたような表情をしていた。
表面上明るく飄々している。
だがそれでも怯えや不安の様な表情をしていて、八月の終わりの頃には何かを悟ったと言うか、まるで戦場にでも行く覚悟で決めたかのようだったそうだ。
闇乃 影司とかメイド喫茶とかに足を運んで悩みを漏らしたり。
異世界どうこうとか言っていたり、自分のせいで大勢の人間が死ぬ、自分が何かしなければもっと大勢の人間が死ぬと言っていた。
元特殊部隊とか傭兵が揃っている日本橋のサバゲーチーム大阪日本橋バスターズの人々もただ事ではない気配を察知していた。
(この世の中には能力者がなる存在が居て、谷村 亮太郎は何か未来予知系の能力を持っていて、それで人が大勢死ぬとんでもない未来を予知しているのではないかと仮説したりもしたが―—)
今は落ち着きを取り戻していた。
問題が解決したようなスッキリとした表情をしていた。
だがそれでも疑問を尋ねたくなってしまう物で―—
「本当に何があったんだか? 最後にあった頃はそんな戦う事を前提としたような首とか腕じゃ無かっただろ? ヤバイ薬でも決めたか?」
「あ~ヤバイ薬よりも後遺症とか常習性とかゼロの別の意味でヤバイ薬は沢山飲んだよ」
「そんなもんがあったら世の中の麻薬ビジネスは崩壊するわ。今度は世界の裏社会を転覆させるつもりか?」
などと悪ノリして話に乗っかる千歳。
長谷川 千歳は腐っても格闘技団体を経営したりしている少年だ。
人体の構造とか限界とかそう言う知識もあるにはある。
ホビー漫画の修行パートみたいに短期間で谷村 亮太郎みたいな体に誰でもなれるんなら肥満とか食生活で苦しむ人間などいないだろう。
「まあいい。そういやまだ学生女子プロレスの試合に足を運んでるのか?」
「最近は忙しくて中々ね」
谷村 亮太郎は学生女子プロレスの試合に出入りしている。
学生女子プロレスというのは字面通り学生だけの女子プロレスだ。
演出とか予算とかもプロの女子プロレスよりも派手かもしれない。
その競技の人気スター選手の試合とかに良く足を運んでいるそうだ。
中学時代は現役人気アイドルとそれなりの仲だったらしいと言うのに何だかんだで罪作りな奴だと思った。
それを言うなら〇奴〇契約とかやらかしている千歳の方がエグイのであえて口には出さないが。
「その選手の一人とそれなりの仲だって聞いてるが本当か?」
「流石に恋愛感情は抱かない様に徹底しているよ」
「恋愛が絡むと突然奥手であろうと我慢するよな亮太郎って」
「い、いや、そりゃね? 僕も男の子ですよ? Hな妄想したりしちゃいますよ? でもね、気色悪いオタクの妄想は妄想のまま終わらせないといけないでしょ、アウトでしょ?」
それに亮太郎は特殊な転生者だ。
転生を重ねたせいか女性の趣味はどうしても精神年齢相応な歳相応になる。
だからってババ専とかではないが。
でも十代の女の子に手を出すのは流石にロリコン呼ばわりされそうで抵抗感があった。
などと心の中で亮太郎は理由をつけちゃいるが、女子高生限定の女子プロレスの試合とかに足を運んでいる時点であまり説得力が無い。
何なら薄い本とかギャルゲーとかエ〇同人とかにも手を出したりもしてたし。
頼れる年長者ムーブ決めてはいるが亮太郎も根っからのディープな日本のオタクなのだ。
「それにあの当時は色々と追い詰められてどうかしてたしね」
「まあその悩みも解決したんだろ? 告白すれば?」
会話のペースを掴んで上機嫌なのかニヤニヤしながら言う千歳。
「告白して出禁されたらヤだな~とか思ったり」
「そんなんだと絶食したまま三十代、四十代を迎える事になるぞ。知ってるか? 今の日本人って恋愛経験ないまま三十代を迎えるのは二人に一人の割合なんだって」
「聞いたことあるなそれ」
「学園ラブコメの漫画とかラノベに憧れ過ぎんのも問題だが、余程の事が無い限り学生時代に相手を見つけないと一生結婚所とか恋愛もしないままの人生を送るんじゃないのか?」
「あ~強ち間違いでも無さそうだなと思ってしまうのが何とも。でも今の時代、十代のウチに結婚とか子供作るって余程の考え無しか、度胸が居る行為だよ?」
「らしいな。まあ外国人雇用の流れはどう足掻いても変わらんだろうな」
などと政治の話に発展する。
外国人雇用の話は全部が全部少子化が問題ではない。
そもそもにして殆どの企業が求めている人材が高学歴で新卒で文句を言わず、低賃金で働く奴隷の様な存在を求めているだけで、冷遇した就職氷河期世代をガン無視し勝手に人手不足だと嘆いている側面もある。
ブラック企業と呼ばれる連中達が人材を使い潰してでも利益を上げる壮絶な経済活動をし、実質日本と言う世の中はブラック企業が支えているような構造になってしまって日本人はそんな環境に外国人ですら放り込みたがっている。
また日本は輸入大国であり、一億人以上の日本国民を飢えさせないためにどうしても世界中の国々と壮絶な駆け引きをせざるおえず、その過程で移民を受け入れざるおえない。
日本に外国人が増え続けているのはそう言う背景もあるのだ。
「AIが普及すればと考えるけど、日本って保守的な所があるからね~」
「基本外国人の圧力が無いと変わらない国だからな。この国は。人が死んでも法律は変わらないし、そんな事よりも人を襲う熊とかの命が大切な国だからな」
亮太郎の返しに千歳はうんざりしたように返す。
亮太郎は何度も転生とかを重ねたり並行世界を覗き見たりしたせいで。
千歳は頭が良過ぎて思考も視野に広がり過ぎたがゆえにだ。
「いや~正直同世代で政治の話とか出来ないし、色々と普段から気を遣ってんだけどね」
場の空気を変えるように亮太郎は話題を変える。
「学校で政治とか経済の話とか盛り上がれるのは本当に人生設計とか将来とか真剣に考えているエリート学校の生徒とかじゃないか? 俺達みたいなのが異常なのであって」
ある種の自虐ネタを披露する千歳に亮太郎は「だよなぁ」と返した。
日本の高校生と言うのは色々と言われるが、政治の話と化している奴は基本変な奴扱いである。
適当に頑張ってれば就職できてそこそこ良い人生を歩める。
勉強が全てじゃない。
そう考えてる奴が大半を占めるのが学生社会だ。
その考え方に合わせなければ大概の場合、変人扱いされてしまいである。
「でもなぁ。俺が言うのは間違いなんだろうけど、愛を叫んでるだけじゃダメなんだよね」
愛人を複数人作った千歳は突然愛について語り始める。
「恋愛ってさ。愛があって、最低限路頭に迷わせず子供を養って育てるとかさ、考えて働かないとダメなのよ」
「世の中が金が全てじゃないけど、生きて行く以上はどうしても金と向き合わないといけないんだよね」
と語り終える千歳。
複数人性〇隷作ってその宿命を受け入れた男である。
言葉の重みが感じられる。
まともな日本人の基準で考えればやはり最低な男の台詞であるが。
☆
=夜・車内=
海外の高級車もいいが日本の道路を走るなら質のいい日本製の車もいい。
民間の日本車は軍事転用も可能と言うか、日本とは比べ物にならない過酷な地域では日本車意外ほぼほぼ機能しない場所もある。
今回はビジネスのために彼方此方移動しているワケではなく、私用で友人に会いに来たに過ぎないので標準な乗り心地も良く操作性に優れた車だ。
運転席では赤毛で後頭部を巻き髪、シニヨンとかお団子頭のちょっとガタイが良い感じの美女が上下スーツ姿で車を運転している。
男性だけでなく女性にもモテそうな感じの容姿と雰囲気だ。
宝塚で男優とかに抜擢されそうでもある。
秘書兼ボディガード兼兼家政婦兼運転手で愛人の佐伯 美津子。
元自衛官でもある。
「亮太郎君変わったわよね。雰囲気とかもそうだけど、気迫と言うか何と言うか……想像もつかないような数の人間の死に関わっているわよ」
佐伯 美津子も谷村 亮太郎とは面識がある。
見掛けは少年だが、その少年からただならぬ気配を感じ取っていた。
例えば自衛隊の中でもこれは確実に人を殺しているの名と言うのは雰囲気で何となく分かる場合とかあるらしいが、美津子も感じたのはそう言う類よりもより鮮明で比べ物にならない物だった。
特に今日はまるで別人のように変貌していた。
レンジャーや空挺どころじゃない。
仮に特殊作戦群とかに身を置き続けて修練を重ねたとしても一矢報いれるかどうかとかそう言う次元の存在に変貌していた。
だから美津子は恐怖を感じていた。
「美津子がそう言うんならそうなんだろうな。まあでも、元気になって良かったよ。元気があり余り過ぎて須藤親子は悲惨な末路を辿ったみたいだがな」
本音を言えば目の上のたんこぶ、厄介な連中が消えて千歳は清々した気分だった。
「フューチャーテックって自衛隊とかも一枚噛んでたの?」
「アレだけの施設だ。間違いなく嚙んでるだろう。大阪府内の自衛隊駐屯地の一つに怪しい場所がある。噂じゃそこでも人に言えないような事してるらしい」
「はぁ……自衛隊辞めて正解だったかしら」
佐伯 美津子は元自衛官である。
正直色々と思う所はあった。
セクハラする自衛官とかをぶん殴ったりもしたが、苦楽を友にした仲間達と言うのは得難く大切な物だ。特に人との関わりが減ってしまう大人と言う生き物にとっては。
「必死こいて人生捧げて訓練してたら、何時の間にかとんでもない悪事の片棒を担がされてましたってのも笑い話じゃなくなって来てるしな。二年前に自衛隊は日本で民間人の虐殺をしたらしいし」
美津子も何度か聞いた事がある話だ。
核爆発事件の起きた後に少し経過した後に起きた三日間に渡る関東、東北地方で起きた天変地異クラスの異常気象。
そのちょっと前に起きたとされる大事件だ。
「今じゃ十分信じられると言うか現実味を帯びてるわね」
殆ど都市伝説の様な形で語られている自衛隊の不祥事として民間人を大量虐殺したと言うのがある。
日本橋の裏の裏の世界の人間達にとっては一般常識であり、その生き証人が闇乃 影司と言う少年なのである。
フューチャーテックと言う日本の闇が暴かれた今では美津子にとって笑い話にも感じられない。
「本当にゾッとする話だわ。私はまだ運が良かったのかしらね」
もしも自分が自衛隊と言う職を続けていて、国家のためとか必要悪とかでそう言う悪事に加担したらどうしただろうか。あまり考えたくなかった。
「亮太郎が通ってる琴乃学園の近隣に怪しそうな自衛隊の駐屯地があるしな。限りなく黒に近いグレーだ」
殆ど確信を持って何かあると断言している様子だった。
「ウチの同期達大丈夫かしら」
「時間があれば確認しようか?」
「そうね。調べられる範囲で調べてくれた方が気も休まるかしら」
佐伯 美津子は自衛隊に対して色々と幻滅しているところはあるが、それでも同期の仲間を心配したりとか、まだある種の帰属意識のような物を持っている。
人が良いのだろうと千歳は何故だか複雑な気持ちになった。そう言う人間を愛人に仕立て挙げたからだろう。
ふと千歳はカフェでの亮太郎の話を思い出す。
「藤崎 シノブがどう言う子かって?」
「最初は特別な力を持っただけでの何処にでもいる平凡な男の子だった」
「だけど、色々と合ったけど真っ直ぐさとか誠実さとか、そう言うのを失わずに今もだのが嬉しかったかな」
などと亮太郎は恋人でも紹介するかのように、照れ臭そうに語っていた。
ただ物では無い事は分かっているが、人格面も問題ないのだろう。
ちょっと千歳は亮太郎を羨ましく思った。
自分が本当に欲しかったのは愛人とか金とか高級外車とかでもなく、きっとそう言う有り触れた友情とか愛情とかそう言う物だから。
連続更新。
またしても谷村 亮太郎回。
何か最近は谷村 亮太郎絡みで色々と思いつくんですよね。