RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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藤崎 シノブの日常

 Side  藤崎 シノブ

 

 =朝・通学路にて=

 

 人通りがある交差点。

 そこで不良達が待ち受けていた。

 どうやらシノブを倒せばテッペンを取れる、名を挙げる事が出来ると言う噂が流れているらしい。

 

「ぐわぁ!?」

 

「うぉ!?」

 

 しかしシノブは軽く投げ飛ばして無力化する。

 本当は顎先を殴るなり、魔法で無力化するのもいいのだが、シノブは現在独学で日本武術を勉強中であり、それを相手に試している最中だ。

 

(やはり上手くいかないな?)

 

 と言うのも宇宙人の再襲来が確定し、さらに宇宙刑事リリナに師事するに辺り、何時までも異世界帰還の喜びに浸っているわけにはいかない。

 谷村 亮太郎も裏で色々と動いているらしく、足踏みしているワケにはいかなかった。

 やらしい考えだが今にして思うとリリナの師事を引き受けたのはラッキーだったかもしれない。

 とにかく今は強くなると同時に強い人間が一人でも多く欲しい。

 出来れば即戦力が望ましかった。

 

☆ 

 

 Side 藤崎 シノブ

 

 =朝・生徒相談室=

 

 シノブは生徒相談室を借りて担任の愛坂 メグミ先生と一緒にいた。

 ピンクの長い髪の毛に青い瞳に温和で優しそうなキレイな顔。

 背もあり、胸が大きく、四肢がホッソリとしていて背もある。

 蝶ネクタイがついた白シャツや紺色のタイトスカートがとても似合っており、爆乳の域にあるバストと総じて大人の魅力をこれでもかと周囲へ振りまいている。教師でなくてもモデルとしてやってけいけそうだ。

 そんな彼女が担当する部活はプロレス部。

 実は女子プロレスラーとして教師と二足の草鞋を履いているのだ。

 あまり深く関わると別の物語が始まりそうである。

 

 担任の女教師はシノブと接する機会がここ最近増えていた。

 キッカケはフューチャーテック事件の一件だ。

 その事件で藤崎 シノブの名は日本全国の不良社会に名を轟かせてしまったらしい。

 そこから不良の襲撃が増え、返り討ちにする度に、形式的ではあるがこうして面談を行っている。

 

「本当に藤崎君には驚かされるわ。まさかこんなに強くなっていたなんて……」

 

「いえいえ。偶然ですよ」

 

「偶然が何度も重ねれば必然よ。普通の人間は襲い掛かられたらからと言って何度も路上で相手を全く傷つけずに無力化なんて出来ないの。警察の人はべた褒めしてたわよ? 若いもんに稽古つけさせてあげたいとか言ってたわ」

 

「うん。渡りに船だけど……」

 

「渡りに船って……何を考えているの?」

 

「ここらで日本の武術を真剣に学んでおこうと思いまして。独学だとやはり限界が……」

 

「それはなんのために学ぶの?」

 

 痛い所を突かれる。

 シノブは正直に話す。

 

「本当は退学はイヤだけど、退学してでも守らないと一生後悔することになるから」

 

「そう」

 

 勉強も重要だとはシノブも思っているが、勉強だけでは宇宙人の襲来は防げない。

 もしも広範囲に展開され、地球から遠く離れた場所から砲撃を受けたりとか、隕石を落下されでもしたら手も足も出ずに終わるかもしれない。

 だからこそ出来る事は何でもやらなくてはいけない。

 アメコミヒーロー、特撮ヒーロー、退魔師、魔法使い、勇者とかだけでなく、何とか財閥の御曹司などスポンサー枠も大歓迎だ。

 

 とにかく、次の戦いに何が何でも備えなければならない。

 

「でも罰則は罰則だから。運動部、特にお望み通り武術系の子達の組み手をお願いするわ」

 

「おや? それ罰則になってるんですか?」

 

 普通の人間ならともかく、不良を無傷で無力化する人間にとってはそんなに苦はならなかった。

 

「今武術系の子達、肩身狭いらしいのよ。今はテレビよりもSNSの時代で、あの動画見て藤崎君とよく比較されるのよ」

 

「ああ……」

 

 谷村 亮太郎曰く、一般人は容赦なく素人の漫画と世界的大ヒットを飛ばした少年誌の漫画を比較するらしい。

 小説家を目指していると言ったらラノベではなく、真っ先にお堅い小説大賞を思い浮かべるのだとか。

 琴乃学園でも起きていたらしい。

 愛坂先生に言われてシノブはどうするべきかと思った。

 

「あまり本気を出してモチベーションを折りたくはないな。だけど武術は言ってしまえば戦いだし、中途半端な心構えや中途半端な技術を身に着けさせるのもかえって危険だし……」

 

「藤崎君? 本当にちょっと見ない間に何があったの? 体育時間の着替えの時、谷村君も体が別人のように変貌してたって話題になってるけど。まるで本物の格闘家よ」

 

「ちょっと異世界で数年戦ってました」

 

「いや、それ前も聞いた……けど、宇宙人とか怪獣とか巨大ロボットとか現れた世の中だし……日本政府が本気で研究してたって言うけど、まさか本当に?」

 

「もしかして昭和の悪の組織に人体実験されたとかそう言う方が信じられます?」

 

「藤崎君の動画みたけど、仮に人体改造されたとしても技術が向上するワケじゃないでしょ? もしかして何かの映画みたいに技術をダウンロードするみたいなヤバイ技術があったりするかもしれないけど、あの動画を見た時そう言う硬さのような物が見えなかった」

 

 続けて愛坂先生はこう言った。

 

「異世界と言うのは信じられないけど数年間戦ったと言うのは—―SFでよくあるウラシマ効果とかを考えれば説明は出来るわ」

 

 ウラシマ効果についてはシノブも聞いた事がある。

 ようするにとんでもなく高速で移動し続けると時間の流れが遅くなると言う現象で地球の早い乗り物に乗る際でも起きている身近な現象だ。

 だが広大な宇宙空間を世界一速いエンジンで加速し続けるなどして旅をする場合、僅か数時間宇宙旅行している間に地球では数年経過していると言う現象が起きるらしい。

 宇宙刑事リリナや宇宙犯罪組織ジャマルはそう言うウラシマ効果の問題を克服しているのだろう。

 

「先生、本当に凄いですね……いや、本当はここは誤魔化すべきなんですけど正解に限りなく近い正解と言うか」

 

 実際には女神の力と神器と呼ばれる神話級のアイテムの力による物だ。

 だが先生の推理はヒントが少ない中で限りなく正解間近に辿り着いている。

 愛坂先生はどう言う教師かは分からないが、このまま事情を知らずにこの先色々と巻き込む事を考えると危険が大きい。

 だからある程度事情を明かして協力してもらった方がいいとも考えた。

 

「さっき言ってた異世界の云々の事だけど、最近漫画とかで良くはやっている奴よね?」

 

「あ、はい。みたいですね」

 

 異世界物は色々と言われているが、何だかんだでもはや日本の創作界ではメジャーなジャンルだ。

 そして愛坂 メグミ先生は教師である。

 ただ教科書の内容を暗記して黒板どうこうじゃ教師は名乗れないのだろう。

 学校の社会のテストで時事問題が出るように世の中の事、生徒達の間で何が流行っているのかを把握していても不思議ではない。

 

「そこで神様から凄い力を?」

 

「いえ、僕の場合は滅亡間近の王国に召喚されたパターンで召喚直後から戦闘に巻き込まれて必死でした。後は必死に鍛えて強くなりました」

 

「そう……もしかして話題のライドセイバーも藤崎君なの?」

 

「いや~それは……」

 

「ごめん。それと異世界の事は聞かなかった事にしてあげる」

 

「は、はあ」

 

 それはそれでありがたいが、もうバレてしまっている感があった。

 

「長々と話したけど、罰則は予定通り行うから。教室に帰って良し。補修とかの段取りとかも組んであげる」

 

「はい」

 

 一礼してシノブは教室へと帰っていった。   

 

 

 =放課後・琴乃学園、武道場=

 

 琴乃学園には武道場が存在し、武術系、武道系の部活が盛んらしい。

 剣道、空手、柔道、ボクシング、プロレス、総合格闘技など様々だ。

 やはりと言うか、野球やサッカーやバスケなどが人気だそうだ。

 

 ちなみにサッカー部は以前学内で起きた、汚職教師が車でガソリンスタンドに突っ込んで死にかけると言う大惨事まで起きた白王寺事件でちょっと士気が低下している。

 と言うのも亮太郎を不良使ってでも破滅させようとした白王寺の所業がばれて彼が所属していたサッカー部にも悪評が飛び火してしまったのだ。

 現在は弱体化しているらしい。

 

(熱気が凄いな)

 

 武道場からは想定以上に熱気や気迫が感じられる。

何時もこんな感じだろうか?

 

「来たわね」

 

ジャージ姿の愛坂 メグミ先生が武道場の玄関で待ち構えていた。

 教諭の爆乳の自己主張が激しいが、シノブはメグミの担任でもあるし、クラスメイトの同じく爆乳の黒川 さとみ、それと渡り合える程のバストサイズのリリアや、魅力的過ぎる異世界女子達との交流を得たシノブはどうにか視線を担任の顔に固定して見ないように心掛ける。

 

「で、組手は誰と相手すれば? 正直ルールは来る前にある程度は覚えたけど—―やはり不安が」

 

 そこまで説明して先生は「それなんだけど」と前置きしてこう続けた。

 

「出来れば何時もと同じ要領で無力化して欲しいの」

 

「なるべく実戦に近い稽古ですか? 畳の上ならまあ出来ない事も……」

 

「ええ。その方が刺激になると思うしね」

 

 女担任はニッコリと笑みを返した。

 

 

 =武道場・畳部屋=

 

 畳部屋は異様な熱気に包まれた。

 と言うか噂を聞きつけたのか、観戦者が多い。

 

 待ち構えていたのは屈強な空手部、柔道部、剣道部の人間もいる。

 観戦者の女性率も多く、武術系部活の男子達のテンションが高くなっていた。

 ちゃっかりクラスメイトもこの場に駆けつけていた。長い黒髪の爆乳の美少女、黒川 さとみもいる。

 

「盛り上がっているね」

 

「谷村さんも呼ばれてたんですか?」

 

 黒髪のボブカットの少年、谷村 亮太郎。

 シノブが真剣に殺し合えば間違いなくタダでは済まない、確実にどちらかが死ぬレベルの強者である。

 どうやら亮太郎も話を聞きつけてこの場に来たようだ。 

 彼も参加するつもりなのかジャージにヘッドギア姿である。

 

「まあ、学園に色々と迷惑かけたしこういう形でもいいから恩返ししようと思ってね」

 

「そうですか」

 

「さて、シノブ―—分かってるとは思うがルールを確認しながら軽くアップするぞ。僕も付き合う」

 

「はい――と言うか周囲の視線が一斉に此方へ向いてますね」

 

「想定外に有名人だったようだね」

 

 亮太郎に言われて「その場からなるべく動かずにやろうか」と言われた。

 ちょっとした変則トレーニング。

 その場に留まり、両者の腕が空中でぶつかり合う。

 最初は軽く、そして段々と速く。

 

 それを僅か数分行った。

 だが皆黙り込んでいた。

 

 

 Side 愛坂 メグミ

 

 谷村 亮太郎も強いとは聞いていた。

 だが彼も想像を超えるレベルだった。

 素人同士のじゃれ合いとは違う。

 その場から動かず、ただ早く手を動かすだけでもない、フェイント、織り交ぜた打撃と組み合いの攻防。 

 それをハイレベルで行っていた。

 

 素人目から見ても凄い攻防に見えるだろう。

 動画で見た時も衝撃だったが、こうして直で見ると衝撃度が違う。

 

(もしかして早まったかな?)

 

 などと思いながらも今更引き返せず、藤崎 シノブの稽古が始まる。

 武術部、特に男性陣は最初女子のギャラリーが多いのもあって気合を入れていたが、シノブと亮太郎の組み手を見て萎縮してしまっていた。

 

 途中からはワザと相手の投げや打撃を受け、容易に対応し、ややぎこちなく投げ飛ばす。

 本人が言っていたように日本武術には詳しくない、独学で日本武術の勉強を始めていたとも聞いている。

 柔道部を相手にする時は相手に受けた技の受け身をとって同じ技を返すと言う工程を行っている。 

 日本武術を独学で学んでいる人間だ。その技を物にするために行っているのだろう。

 これには各部活顧問も舌を巻く。

 文句の付けようがない完成された武道。

 凄すぎてどれぐらいのレベルか想像も出来なかった。

 

 

 Side 藤崎 シノブ

 

 =翌日、朝・琴乃学園、武道場=

 

 翌日、琴乃学園の武道場。

 藤崎 シノブは道着姿で稽古に取り組む。

 空手部や柔道部相手に技を受けたり、教わったりしていた。

 そこに道着姿の谷村 亮太郎の姿もある。

 まだ部員達はシノブや亮太郎との距離感をはかりかねていたが、向上心がある部員には歓迎される形となった。

(リリナが来る前に教えられること増やしておかないと)

 

 と、朝練に励むシノブだった。

 

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