RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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谷村 亮太郎の厄日・その3(完)

Side 桃山 ラブ

 

=近所の廃工場=

 

近くの廃工場に案内する。

桃山 ラブと阿久田 ワルヤの二人きりだ。

 

「ママとどう言う関係なの?」

 

「女の一人だよ」

 

「女の一人って……浮気してたの?」

 

「お前も金欲しさに男に股開きまくってんだろ。人様に説教垂れるような人生行きちゃいないだろ」

 

「それは——」

 

その点を突かれて言い淀むラブ。

 教師や警察に注意されても、自己責任、自分の勝手と言い続けて、とうとうここまで来てしまった。

 実際その時が来てみるとこんなにも辛いとは思わなかった。

 

「お前も松村も疫病神だよ。普通、半グレからぬすんだ金で散財するか? 取り引きのデータまで持ち出しやがって」

 

そう言って銃を向けた。

 

「そ、それ本物?」

 

「最近よく出回ってんだよ。粗悪なコピー品じゃなく、海外の正規品の輸入モデルだ」

 

「松村で試し撃ちを済ませてある」

 

「アンタ、まさか」

 

「そうだよ。お前の元カレを殺したのは俺だ」

 

「ッ!?」

 

今の自分の彼氏。

今の母親の相手。

何度も体を重ねた相手。

その事実に脳がバグりそうになる。

「まあ俺が直接手を下さなくてもどの道そうなってただろうがな。あの野郎、恩を仇で返しやがって。あの時は目の前が真っ暗になったぜ」

 

「ど、どういう事よ?」

 

「それ俺から語ろう」

 

 そう言って今度現れたのは青い装束の集団。

 悪魔のエンブレムをつけていた。

 

「テメェらは——ブルーデビルの!?」

 

「見張ってたんだよ。お前は金払いがいいが、胡散臭いからな。張ってて正解だった」 

 

 所属している半グレ組織、ブルーデビルの連中らしかった。

 

「お前が直接、松村の口を封じたのは何のためだ?」

 

「それは——」

 

「自作自演なんだろ?」

 

「自作自演って―—」

 

 新たな真実にラブは困惑する。

 

「俺達の金を騙し取り、その金でハンドレッドか、それとももっと上の組織に売るつもりだったのか―—」

 

「それは——」

 

「ちょいとお前の女、何人かに尋ねたんだよ? 行きつけの店とかにもな。松村の家はちょいと不幸な目に遭ってもらったが」

 

 ラブはそれを聞いて松村 サトシの家へ押し入ったのはブルーデビルだと分かった。

 

「アンタらがサトシのパパとママを襲ったの!?」

 

「ああ。そこそこ良い家に暮らしてて驚いたけどな。まっ、俺達もお前も裏切ったコウモリ野郎の家にしちゃ悪かないけどな」

 

「裏切った? アンタらも、ワルヤも?」

 

 次の事実に驚くラブ。

 阿久田は苦虫を嚙み潰したような顔をして背ける。

 

「そうだ。アイツは俺達も、阿久田も裏切ったんだ。俺達の金だけじゃなく、取引のデーターまでも全部抜き取ってな」

 

 

 事件の概要はこうだ。

 阿久田 ワルヤはブルーデビルの弱味となるデーターや大金を手に入れるために、松村 サトシを利用した。

 

 しかし松村 サトシは裏切って逃亡。

 その金を桃山 ラブに預ける。

 

 阿久田 ワルヤは松田 サトシからブルーデビルの連中に口を滑らせる前に、何としてでも殺さなければならなかった。

 そして射殺に成功する。

 

 そして運がいいのか、体の付き合いをしている桃山 ラブ、そしてその家族が松村 サトシからの金を譲り受けていた。

 

 阿久田 ワルヤにとって桃山 ラブは体の関係でしかなく、彼女はあまりにも場当たり的に行動し、予測不可能、頭も悪い女だ。

 そもそも、松田から何処まで話を聞いてるか分からない。

 だから彼女の口も封じる事にしたのだ。 

 

 その一方でブルーデビルは独自に調査をしていた。

 その過程で松村 サトシの自宅を襲撃。

 そうして情報を拾い集めた末に廃工場で阿久田 ワルヤと桃山 ラブを追い詰めたのだ。

 

☆ 

 

「もしかして私——アンタらからも命狙われてるの?」

 

 桃山 ラブはその事に気が付いた。

 阿久田 ワルヤだけでなく、ブルーデビルからも命を狙われている。

 

「そりゃそうだ。普通あれだけの大金手にして大っぴらに使うか? パパ活のやり過ぎで金銭感覚狂ってるのかもしれねえけどよ」

 

 半グレから説教染みた事を言われるラブ。

 

「それは知らなかっただけだし!! それに私金なら幾らでもあるし、何ならパパ活で稼いで——」

 

 ブルーデビルからも拳銃を突きつけられた。

 ラブは「ヒッ」と顔を強張らせた。

 

「お前みたいなビッチ信用できるか。テメェみたいな公衆便所、抱きたいとも思わねえ。この場でそこのヒモ男同様にぶっ殺した方が世の中のためだぜ」

 

「ッ!!」  

   

 そして何発も銃声が響いた。

 

 

 桃山 ラブは空っぽになっていた。

 気が付いたらブルーデビルのメンバーは警察に逮捕。

 阿久田 ワルヤは殺人の罪で逮捕された。

 ブルーデビルが行った取引データーも渡され、桃山 ラブは厳重注意の上での保護観察処分となった。

 この国はパパ活の女性側には甘い国だからこの程度で済んだのだろう。

 だからと言って警察で働いている警察官達は真面目だった。

 何度何度も怒られた。

 

 それよりも谷村 亮太郎にビンタされたのが辛い。

 何かしらの方法で助けてくれたのは分かる。

 

 だが、

 

「自分もあまり、人様に説教できる人間じゃないけどね。君は幾ら何でも度が過ぎている。何時か大勢を巻き込んで地獄に堕ちる。それが嫌なら生き方を今すぐ変えろ」

 

 自分を殺そうとしたギャングと似たような事を言われた。

 二発ビンタされた。

 親にもぶたれた事ないのに。

 

 その後も病院で性病だか、妊娠してないかの検査を受け、警察に厳しく取り調べられた。何度も警察に説教された。

 

☆ 

 

 Side 谷村 亮太郎

 

 =谷村 亮太郎の事務所=

 

 結局最後は異世界の力、催眠魔法を使ってのパワープレイで解決した。

 廃工場で桃山 ラブ、阿久田 ワルヤやブルーデビルのやり取りも記録。

 ブルーデビルの取引の記録は事前にコピーして抜き出して、警察に提出。

 今回の情報量代わりに宇藤 タツヤにも渡した。

 

 それにしても彼女との一時は厄日その物だった。

 彼女が全ての原因ではない。

 何割かは松村 サトシのバカがやらかしたのが原因だ。

 だがそれでも桃山 ラブに振り回されたかのような事件だった。

 

 でも一つだけいい事はあった。

 久しぶりに自分の素の感情を曝け出せたような。

 そんな感じの子だった。

 だからと言って付き合う気は起きないし、今後関わりたいとも思わない。 

 

 前嶋刑事によれば、保護観察処分になり、今いる学校からの訳ありの人達が通う学校へ放り込まれる形になりそうだが、彼女は致命的に頭が悪い。

 数学の九九の計算すら怪しいレベルなのだとか。

 それで長い事パパ活生活していたせいか、金銭感覚も麻痺しているらしい。

 これから彼女の保護観察をする人にはご愁傷様ですとしか言いようがなかった。

 

「で? また何で君はここに来るのかな?」

 

「いや~実はまたトラブルが起きてさ~」

 

 そしてまた桃山 ラブが来訪した。

 ホラーよりもホラーな状況だ。

 アレか。

 異世界で犯した罪が具現化した存在か何かなのか?

 こう言う時に限って天川 マリネや綾瀬 リリがいない。

 

「はぁ……」

 

「もう、そんな顔すると幸せ逃げちゃうよ?」

 

(オメーが原因だよ!!)

 

 と、亮太郎は心の中で返した。 

  

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