RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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ハンドレッド編序章その6・一先ずの小休止(END)

 Side 前嶋刑事

 

 =元の大阪日本橋・オタロード=

 

 その場に居合わせたハンドレッドの構成員、下っ端連中は逮捕。

 赤霧 キョウマには逃げられて悔しい思いをする。

 状況が状況だから仕方ないが、逮捕できていれば今の本拠地の情報や、背後にいると思われる支援者の事も聞き出せると思ったからだ。

 

 だが、考え方を変えると被害がこの程度で済んだと思うべきかもしれない。

 赤霧 キョウマもロクでもない超常的な力を身に着けていると考えるべきだ。

 下手に追い詰めて怪我人が増えるよりかは良かったと思いたい。

 

「前嶋さん? 怪我の方は?」

 

 衣服がボロッちくなった緒方 ミツル。

 見た目より怪我はない。

 前嶋刑事もそうだが、皆ライドセイバーやリオの不思議な力で怪我を治されたらしい。

 

「ピンピンしとるよ。治してくれたはいいが、報告書にどう書けばいいんだか……一応上の方はオカルトだのマジカルだのは否定してるし」

 

「こっちも似たような事を考えてます」

 

 退魔師や魔術師などはもう世間では公然の秘密だ。

 警察はそうなる以前から一定の割合でだが認めていたらしい。

 だが警察には未だに頭の固い人間が大部分を占めている。

 未だに政府の陰謀とか、ヤラセとか言っている人間もいるそうだ。

 それ以前にフューチャーテックや少女A事件での大スキャンダルの火消しの方が最優先事項。

 更には昨日のハンドレッドの強制捜査の失態もある。

 今回の事件の解決など望み薄だろう。

 

「ですが、いざと言う時のために我々にも出来る事はある筈です」

 

 ミツルはやる気の様だ。

 窓際族を演じていたようだが、見かけによらず熱い男らしい。  

 

「ああ。琴乃町近くの自衛隊駐屯地を探ってみるか。危険だぞ?」

 

「もうとっくの昔に危険ですよ。それに今回の事件、この程度で終わらないと思うんですよね」

 

「そうだな」

 

 ミツルの勘に同意した。

 ここから先は男の意地、刑事の意地の戦いである。

  

 

 Side 工藤 怜治

 

 =元の大阪日本橋・オタロードのたこ焼き屋=

 

 オタロードのたこ焼き屋。

 今は工藤 怜治と藤波 リカの二人で貸し切りだ。

 恋人同士的な甘ったるい感じではない。

 かなりシリアスな感じだ。

 

「たく、お互い無茶するわ……」

 

「だな。ジャマルの時も思ったが俺も驚いている」

 

 などと二人は健闘を称え合う。

 一歩間違えれば大怪我では済まず、死んでいた可能性だってある。

 藤波 リカはジャマルの事件の時も、日本橋での事件の際に戦闘員相手に戦っていた。

 不良のケンカとは違う、正真正銘の殺し合いの世界に踏み込んでいた。

 

「ネットを流し見している感じ、琴乃市の自衛隊の駐屯地が怪しい言われとるな」

 

「ネットねえ……」

 

 その情報をアテにしてもいい物かと思う。

 テレビはテレビで嘘が多いが、ネットはネットで嘘は山程あるからだ。

 

「まあ、ウチらには関係ない——と思いたいけど、あいつらの目的、日本橋っぽいからな。巻き込まれる時は巻き込まれるんやろな」

 

「そんなに全国制覇って奴を成し遂げたいんですかね、あいつら」

 

「そこは本人達に聞いてみな分らんわ。ただ、ウチは——仲間達の将来とかを真剣に考えた瞬間、一気に踏ん切りがついたんよ」

 

「将来か……」

 

 工藤 怜治は将来どうするか悩んでいる。

 誰もが運動系とか、体を動かす系の仕事についた方がいいと言う。

 怜治としてはそれ以外の道はないかと勉強を頑張っている最中だった。

 

「ウチはバカで、勉強も出来ひんけどな、だから分る事もあるんよ。怜治なら分るんちゃうか?」

 

「買い被りすぎですよ、藤波さん」

 

 自分はそんな大それた人間ではない。

 暴力でしか活躍できない、頭の悪い人間。

 だからせめて、ケンカには義理や筋を通して振るって罰は受ける。

 それが自分に出来る礼儀だと怜治は考えていた。

 

 

 Side 赤霧 キョウマ

 

 =某所・ビルの裏路地=

  

(あ~クソ、アイツら使えねえ……だけどこれが日本橋か……)

 

 日本橋が裏の世界で恐れられている理由が分かった。

 キョウマは不敵に藁う。

 

(未来は相変わらず大凶状態だが、未来は変えられる筈だ)

 

 赤霧 キョウマは自分が推し進めている計画が必要だと感じた。

 戦力過剰で、世間どころか世界の敵になるが、そこまでしないと天下はとれない。

 

(俺はあらゆる物を犠牲にして来た。あらゆる物を力で黙らせてきた)

 

 そんな自分だからこそ、全てを手に入れる資格はある。

 少年はそう信じていた。

 

(待ってろよ日本橋、この手で地獄に変えてやる)

 

(栄光を掴むのはハンドレッドの赤霧 キョウマだ)

 

 狂信的な薄ら笑いを浮かべながら赤霧 キョウマは歩み出す。 

 

 

 Side 谷村 亮太郎

 

 =谷村 亮太郎の事務所=

 

 谷村 亮太郎はハンドレッドと、その背後にいる連中の調査を進めていた。

 地球に戻ってから最初に関わった事件、フュチャーテックが崩壊する以前から進められていた計画だ。

 途中で計画の責任者が変わって軌道修正が入っている。

 

(やっぱり直接調べるしかないか)

 

 中学時代の元クラスメイト、森住 龍一を思い浮かべる。

 正直もう二度と顔を合わせたくない仲だが、貴重な情報源である。

 異世界での生活を含めると数年ぶりの再会になるが、向こう側からすれば約半年ぶりの再開だ。

 

(正直会いたくないなぁ……)

 

 ハァとため息をたてつつ予定を組み立てる。

 休職中のアイドル、天川 マリネから連絡が入ってほぼ一方的にデートの約束をされるのはこの後の出来事だった。

 

 

 Side キャロル・アイビリーブ

 

 =メイド喫茶ストレンジ=

 

 スターセイバー、キャロル・アイビリーブ。

 遠目から見れば白肌金髪ロングの爆乳ギャル。

 日本文化に馴染み過ぎていて、とてもだが異世界人とは思えない背格好だ。

 露出の多いキャミソールにミニスカ、ソックスに黒のブーツと、オシャレに決めている。

 

 そんな彼女はメイド喫茶ストレンジのVIP席に座っていた。

 眼前には桜井 あきら、世間ではファイターレッドと呼ばれている人物もいる。

 桜井 あきらもへそ出し、胸の谷間とか肩や首回りのラインを露出した、キャロルと似たようなカジュアルな背格好をしていた。

 真面目で堅苦しそうなイメージに反してオシャレだ。

 

「これがデビルズカードの調査資料です」

 

 仏頂面の紫髪のツインテールメイド、メイド喫茶ストレンジの看板メイドの一人、毒島 リンカが一礼して書類をテーブルに置いた。

 

「どうなのキャロル?」

 

「うん、やっぱりウチの世界が絡んでたみたい」

 

 キャロルは自分が元居た異世界、リブラリア。

 そしてゼツパライア帝国の関与を確信する。

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