RE:召喚勇者の現代帰還〜それでも勇者は勇者としてあり続ける〜   作:MrR

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ハンドレッド編その10・三体の怪獣

 Side 緒方 ミツル

 

 =夜・人気の少ない森林動=

 

「いや~これもう証拠隠滅とか無理ですね——」

 

 と、ミツルは苦笑する。

 怪人だけでもお腹いっぱいなのに、巨大化して怪獣になるのは想定外過ぎた。

 それが自分達を殺すつもりで暴れ回っているのだ。

 今はヒーロー達が必死に救援活動している。

 車はおしゃかになった。

 状況が状況だし責められない。

 文句垂れる前に怪獣が放つ火炎弾や電撃の嵐でお陀仏になるのが先だろう。

 恐竜が火の玉吐いたり、電撃放ったりするのは特撮物の怪人、怪獣ではありがちだが現実で目にする事になろうとは思いだにしなかった。

 

(ああ、もしかしてこれが年貢の納め時って奴ですかね)

 

 公安と言うブラックな職業に就いた時に死ぬ覚悟については漠然ながら考えていた。

 だがダラダラと適当に働いて税金泥棒していたら、巨大化した3体の怪人に呆気なく殺されそうになっている。

 シノブと金髪ギャルのキャロル、スターセイバーがバリアを張って必死に護衛の人員やミツルを守ってくれている。

 相手はとうとう力任せにティラノサウルス型がシノブとスターセイバーが張ったバリアごと踏み潰そうとしてきた。

 

「アレは!?」

 

 そのタイミングで何者かがティラノサウルス型に体当たりした。

 宇宙犯罪組織ジャマルとの最終決戦で現れた光の巨人。

 人の顔を思わせる二本角の銀の頭に赤い髪の毛、体のラインが浮き彫りな赤いボディスーツのような体。あと、とんでもなく大きなバストが特徴。

 間違いなくジャマル事件で関わった巨大ヒロインだ。

 

 続いてトリケラトプスの怪獣を殴り倒し、プテラノドンの怪獣を光線技を発射して迎撃した。

 

『いまだ!! ファイターロボ!!』

 

 今度はファイターレッドが左腕のブレスレットを掲げる。

 同時に巨大ロボが転送されて来た。

 巨大な剣を持った赤いヒロイックな巨大ロボが出現する。

 

 どうでもいいかもしれない知識だが——戦隊ロボが五体合体するようになったのは平成に入ってからである。

 公式三番目から巨大ロボが登場し、合体変形機構無しのロボであった。

 

 ファイターレッドは空高く跳躍し、自分が呼び出した巨大ロボが胸部から放つ緑色の光線に吸い込まれてロボ内へ。

 赤いロボの両目が光り、戦闘態勢へ。

 

 巨大ロボと巨大怪獣の戦い。

 SNS全勢の国民総監視下の今の時代、時間を掛ければ報道ヘリが駆けつけるのも時間の問題だが、緒方 ミツルはとにかく自分の身を案じつつ、部下の人員達に指示を飛ばす。

 

「このままやられ役で終わるのも何だし、自衛隊の駐屯地にこのまま乗り込みましょう」

 

「え? 正気ですか?」

 

 遠回しに正気で言ってんの? とSPの人達に返される。

 後ろではスターセイバーとライドセイバーが飛び蹴りを体長50mのトリケラトプスの怪獣に顔面に食らわせて怯ませていた。

 上空ではウルトラヒロインとプテラノドンの怪獣と激突し、近くではティラノサウルス型の怪獣と巨大ロボが戦っている。

 木々が広がっているエリアだからまだ森林破壊程度で済んでるが、これが街中だったら大惨事になっていただろう。

 

「気持ちは分ります。いや僕もですね、こんな特撮物のフルコースみたいなとんでもバトルに巻き込まれるとは思いもしませんでした。ですが僕達は責任のある大人です。強制しません。最後までこの事件に付き合う義務と責任があります」

 

「当然、言い出しっぺの私は最後まで出来る事を全力でやろうと思います」

 

 激しい火花や衝突音、地面の揺れ。

 巨大怪獣と巨大ヒーローと巨大ロボの戦いに巻き込まれているのだからこの程度は当たり前だ。

 

「どの道、僕達は最悪百体の怪獣と戦う事になります。その次は宇宙人の大部隊が攻めて来るのかもしれません。この程度でへこたれるようなら我々の存在意義なんて無いも等しいでしょう」

 

 そう言われて皆頷く。

 SPの人々は自らの心を誤魔化しているだけかもしれない。

 だが緒方 ミツルの言っていることは全部正しいのだ。

 確かに恐い。

 だがここで投げ出せばただの自己満足で終わってしまう。

 本当にただのやられ役で終わってしまう。

 

「話は分かります。ですが我々は何のスーパーパワーを持たない人間です。武器が必要です」

 

 決意をしたかのようにSPの一人がミツルに尋ねる。

 

「分かっています。末期の日本帝国軍みたいに竹やりで戦闘機や戦車を倒せと言うつもりはありません。我々は我々に出来る戦いをすればいいのです」

 

 ミツルもそう返した。

 背後では巨大ロボが頭部額から光線を発射し、ティラノサウルス型を怯ませていた。

 

 

 Side 藤崎 シノブ

 

 =夜・森林に囲まれた道路=

 

「スターダスト!!」

 

 スターセイバーが金髪を靡かせ、爆乳を揺らしつつ空中高く飛び上がり、二つの手の平の甲を重ね合わせて光線技を放つ。

 光の流星群。

 それが全長50mのトリケラトプス型の怪獣の巨体に満遍なく降り注ぐ。

 

『グルォオオオオオオオオ!!』

 

 お返しとばかりにトリケラトプス型は角から雷撃を放とうとした。

 

『させるか!!』

 

 シノブは角を二つ纏めて、閃光の矢となって蹴り砕く。

 宇宙犯罪組織ジャマルの50m級の巨大ロボの顔面を蹴り砕いた異世界帰りの勇者、シノブ。

 これぐらいは可能だ。

 二つの角が折れ、行き場を失った雷のエネルギーが顔面で爆発。

 明らかに怯んだ。  

 

「全力全開!! スターナックル!!」

 

 大きなエネルギーの、光の拳を作り出すスターセイバー。

 50m級の怪獣の前には大したサイズではない。

 それでも振りかぶり、猛スピードで顔面に振り下ろした。

 瞬間、人が響かせてはいけない轟音が響く。

 

『グォオアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』

 

 トリケラトプス怪獣の体内にあった悪しき力が浄化されていく。

 真っ白くなり、徐々に小さくなり、やがて普通の人間へと戻った。

 

(魔法少女としての力か、本人の素養か……デビルズカードにとって天敵となる力だったんだな)

 

 シノブはそう分析する。

 同じ理屈で、浄化の魔法を使った搦手もいけるかもしれないが——広範囲に100体の怪獣相手に浄化の魔法を掛けて体が持つのかと言う問題もある。

 下手にギャンブルをやる前に、怪獣による総進撃を阻止した方が良いだろう。

 

『あっちも片づいたな』

 

 上空から落下し、ボロボロになったプテラノドンがウルトラヒロインの光線技でトドメが入って大爆発。

 ティラノサウルス型もエネルギーが収束した真っ赤な巨大ロボの必殺剣で一刀両断、火花を散らしながら大爆発を引き起こした。

 2体の中の人間は生きてるかどうか分からない。

 そもそも国家権力相手に平然と殺しに来た連中の人命を心配する方が間違いかもしれないが……

 

 ウルトラヒロインは空の彼方へと立ち去っていく。

 巨大ロボは消滅し、戦隊レッドがシノブの眼前に降り立った。

 シノブは変身を解除して自己紹介する。 

 

「隠し事は無しで行こう。俺は藤崎 シノブ。色々あってライドセイバーの恰好をして戦っている、異世界ユグドで勇者やってた人間だ」

 

 そしてキャロルも、そしてファイターレッドも変身を解いた。

 

「僕は桜井 あきら。ファイターレッドに変身して、こことは違う世界で異次元帝国ディメルで戦っていたんだ」

 

 簡潔に説明するファイターレッドこと桜井 あきら。

 続いて露出高めなカジュアルな金髪爆乳ギャル、キャロルがテンション高めて説明した。

 

「私はキャロル・アイビリーブ。異世界リブラリアでゼツパライア帝国と戦ってるの」

 

 此方も簡潔に説明する。

 

「詳しい話を聞きたいけど——移動しながらにしよう。もう目的地まではそう遠くない筈だし——」

 

 ここで緒方 ミツルが会話に混ざる。

 

「そうしてください。自分達は態勢を整えて目的地の自衛隊駐屯地に向かいます。現地には既に協力者が色々と動いている筈ですからその方と合流してください」

 

 との事だった。

 

「んじゃあ歩きながら色々説明しよっか? あきらもいいでしょ?」

 

「ああ。異世界で勇者をしていたとか色々と興味がある」

 

 ジャンルが違う美女二人にそう言われてシノブはさとみや異世界での女仲間を思い浮かべて複雑な表情になりつつ、ふと桜井 あきらの変身時の姿を見てある質問をした。

 

「桜井さんって仲間に戦隊ピンクいます?」

 

「え?」

 

 唐突な質問をして困惑するあきら。

 キャロルも「あ、それ私も気になる」と乗っかった。

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