イカロス・シンドローム  かくして少女は翼を捨てました   作:虚憂

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砂漠の学び舎

「と言う訳で、連れて来たお客様がこちらになります」

 

「おお〜☆」

 

 うん、軽い拍手をしてくれてるのは十六夜ノノミちゃん、ありがとね。

 何やらすっごいお金持ちだとか……まぁ、私には関係ないけど。

 いやはや、生徒数5人のアビドスだから大幅遅刻も許されて良かった良かった。シロコちゃんに迷惑かけたくないし。

 うちだと怖いのがいるからそこら辺は気が抜けない。

 

「って、気絶してるじゃないっ!」

 

「おろ、まだ起きてないか」

 

 余程お疲れだったんだねぇ。道路の真ん中で野垂れ死にかけてるんだしそりゃ疲れるってものなのだろう。

 

「んー、まあ非合法で攫って来た訳じゃないから安心して?」

 

「さ、攫って来てたら大問題ですよユウキ先輩……」

 

 苦笑いを返してくれているのは奥空アヤネちゃん。

 とっても良い子、でも怒らせたら怖ぁーいからね、気を付けよう。

 

「その時は証拠隠滅するしか……!」

 

「どうどう、大丈夫だってば。私はともかくシロコちゃんを信用してあげなよー?」

 

「ん」

 

「あはは……」

 

「シロコ先輩が1番信用できないのよっ!」

 

「……ん」

 

「ええ」

 

 いや、なんかしゅんとしてるんだけど、そちらの砂狼さん。

 

「まあ、シロコちゃんも良いとこ沢山あるから」

 

「ん……ありがとう」

 

 あらためて、このチョロ……じゃなくて素直な子が砂狼シロコちゃん。

 お察しの通り、ちょーっと危険思想が混ざってる時がある、ほんと誰の影響?

 

「ユウキ先輩はシロコ先輩を甘やかし過ぎなんですよ」

 

「うちのは褒めて伸ばす方針だからねぇ、セリカちゃんも褒めたげようか?」

 

「うぇっ……そ、そうじゃなくてっ!」

 

 この素直になれなさが拭えないのが黒見セリカちゃん。

 言葉はきつく聞こえるかもだけど、誰よりも一生懸命な子だね。

 

「というか、ホシノは?」

 

 小鳥遊ホシノ、この場に見当たらないアビドス高校唯一の3年生。

 責任者だし真っ先に会わせなきゃいけない気がして来たんだけど、いずこ?

 

「ホシノ先輩なら、いつもの屋上でお昼寝だと思います〜」

 

「なるほど。じゃあ私が呼んで来るね?」

 

 その場を立ち上がる。

 あのぱっと見ゆるーい委員長殿の何があれほど睡魔を呼び寄せるのか。

 ……体型か? 平均的な私と比べてもちっちゃいもんねぇ。

 

「あ、私が行きますよ?」

 

「いーのいーの。皆はそこの人が目覚めたら、要件聞かなきゃでしょ」

 

 


 

 

「おーい、ホシノ起きてー?」

 

「うへぇ……あとちょっと〜」

 

 あ、ダメだほんとの睡眠モードだ。

 この状態のホシノは手強いんだよねぇ。

 

「起きないとイタズラするよ?」

 

「んん〜……あと3分」

 

「いやダメだってば、君達にお客さんが来てるんだからさ」

 

「皆がいるでしょ〜」

 

「代表者が堂々とサボろうとするもんじゃないの」

 

 そこそこ問答を繰り返しても尚、起きようとしないリトルピンク。

 全く、皆の保護者がこれで良いのかなぁ。

 

「ほら起きて。起きないと最終手段に出るよー?」

 

「……」

 

 動かない。

 

「うへぇ……」

 

「意志が固いなぁもう」

 

 私が何かしたところで、なのか私なら何されても、なのか。

 どっちかって言うと前者なんだろうけどさぁ。

 

「言ったからね」

 

「……はいはーい……」

 

 うーん何しよう。

 くすぐり……はあんまりだな、私が大変だし。

 お兄さん運んだ後だしめちゃくちゃハードなのはしたくない。

 

「……よしっ」

 

 言うこと聞かない悪いホシノには、羞恥プレイを楽しんでもらおう。

 

「じゃ、行くよー」

 

「……うへ?」

 

 片方の手を膝下に、もう片方をホシノの背中に回す。

 

「……!? ちょ、ちょっと待ってユ    

 

「待たない」

 

 そして一気に持ち上げる。

 

「ほいっと……見た目通り軽いねえほんと」

 

「ちょ……!」

 

 はい、お姫様抱っこのかんせーい。

 

「持ち上げられるかヒヤヒヤしたけど、まぁホシノくらいならへっちゃらだったね?」

 

「お、降ろしてー?」

 

 お、流石のホシノちゃんもお姫様抱っこには羞恥心あるのかなー?

 ダメ元だったけど。

 

「だーめ、ほらお客さん待ってるから。もう行くからねー」

 

「……ほ、ほんと?」

 

「降りられないし、降りさせないからね」

 

 暴れる人間を抑え込む……のは今の体勢じゃ難しいけど。

 ホシノぐらいの体躯で暴れられたとてなのだ。

 相手はこっちに必要以上の攻撃できない訳だし。

 

「ふふ、良かったね。寝たまま運んでもらえるんだし」

 

「う、うへぇ〜。流石のおじさんもちょっと恥ずかしいかなぁ……」

 

「その為だし……可愛いよ?」

 

「……うーん、ユウキってば罪な女」

 

「まさか。こんな状況にでもならなきゃこんなことしないよ」

 

 最低限の労力と、相手へのちょっとした嫌がらせ。

 これが最適解でしょう、かんぺき〜。

 

「じゃ、れっつらご〜」

 

「うへぇ〜」

 

 こうして、ホシノ姫は後輩達に恥ずかしい状態を見られてしまったのでした。

 予想以上に盛り上がっちゃってこっちが戸惑ったってのは内緒、思ってたよりそう言う話題に飢えてたのね君達。




アビドス生もお年頃……らしい?
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