イカロス・シンドローム  かくして少女は翼を捨てました   作:虚憂

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放浪する阿呆燕と華麗なる黒鳩

「暇だなぁ」

 

 とても、すごーく暇である。

 どれくらいかと言われると、ユウカちゃんの    

 

「……いや辞めとこ。その方がいい気がする」

 

 とにかく暇なのだ、いやそれなら学校行けって話なんだけど。

 今日は休日……じゃないからその意見は私に効くんだよね、辞めようねー。

 

「それはそれで……うーん」

 

 まあそんなこんなで繁華街をぶらぶら〜と歩き回ってたんだけど。

 ぱちりと、不意に誰かと目が合った。

 

「おろ?」

 

「あれ?」

 

 黒い制服……っぽいものを身に纏った、糸目の女の子。

 でもゲヘナじゃないな、誰だろう?

 

「えーと……ハジメマシテ?」

 

「っすね。すみません、ジロジロ見つめちゃって」

 

「いえいえこっちこそ」

 

 黒……黒……。

 あ、なんか思い出せそう、どこだったっけな。

 

「その制服は……ミレニアムっすか?」

 

「お、せいかーい。そう言う君は……えーと」

 

「ふむ……ふふ、わかるっすか?」

 

 あ、酷い。

 わかってないと言うか、思い出せてないのを察して笑ってるよこの子。

 うーんどこ? いや黒い制服ってだけで結構絞れそうなものなんだけどなー……平和ボケしたかな私。

 

「……だーめだ、降参。Youはどこからこの場所へ?」

 

「おや、では私の勝ちっすね」

 

「そうだねぇ」

 

「……というか、自己紹介も無しにいきなり何やってるんすかね?」

 

「あはは、確かに?」

 

 なんだかすーっと始まったよね、学校当てゲーム?

 

「じゃあとりあえず私から。私は屍ユウキ、お察しの通りミレニアムで一応3年生、よろしくね」

 

「てことは、先輩なんすね。……私はトリニティ総合学園、正義実現委員会の仲正イチカっす、よろしくっす」

 

 ……へえ、トリニティなんだ。

 正義実現委員会というと、あれだ。

 治安維持組織的な場所だった筈。

 

「トリニティだったかぁ……黒い服装がイマイチ結び付かなかったや、残念残念」

 

「あー、知らない人からはよく言われるっすね」

 

「やっぱり?」

 

 白いトリニティにはよく映える色よね、黒と赤。

 その他にも色んな意味でトリニティらしいという感想が浮かんで来る。

 

「でもイチカちゃんには白よりそっちのが似合ってそう」

 

「……おお〜、中々大胆っすねユウキさん」

 

「へ? ……あっ、他意はないから、不快だったらごめんね」

 

 なんか初対面でナンパしてる人みたいになっちゃった。

 そんなつもりないからね、本心だからね。

 

「あははっ、冗談っすよ」

 

「冗談って……イチカちゃんって意外と意地悪だったりするのかな〜?」

 

 わかってないのを理解した上でクイズ形式にしてきたり、それっぽい発言を揶揄ってきたり。

 なんというか、しっかり遊ばれてる感じ。

 

「んー……なんか、この人なら大丈夫そうだな〜って感じちゃったので?」

 

「え?」

 

「なんでもないっすよ」

 

 らしくないな〜とぼやくイチカちゃん、まるで意味がわからない。

 まぁ、普段関わらない別学校の先輩なんていくら弄ったって禍根は残らないんだろうけどね。

 

「んじゃ、デートしよっか」

 

「おや、他意はないんすよね?」

 

「本命だからね、先輩にご馳走させて?」

 

「……なるほど」

 

 なので今のうちに仕返しだ。

 なんで今日こんなところにいるのかはわからないけど、普段は治安維持に尽力してるんだろうし、今日みたいなことは珍しい筈だからね。

 

「学校は、いいんすか?」

 

「私は一応部活動の範囲だからいいんですよー。あとそっくりそのままお返しします」

 

「私も今日は1日羽を伸ばせって先輩達に言われてるんすよねぇ……」

 

 ほむ、羽を伸ばせとな。

 

「確かに、綺麗な翼だ〜」

 

「いやそういう意味じゃないっすから……言葉が上手っすね、ユウキさん」

 

「純粋に褒めてるだけだよ? ……まぁ、私にはないものだからちょっぴり、羨ましさ混ざってたりはするけど」

 

 背中が、ちくりと痛んだ気がする。

 なんだよ、ここにあるって?

 しっかりないでしょうが、全く困った残滓だね。

 

「……大丈夫っすか?」

 

「へ?」

 

「いや、悲しそうだったので」

 

「……ん、大丈夫大丈夫、お姉さんはばっちり元気です」

 

「なら、よかったっすよ」

 

 とまぁ、この後もこんな他愛もない話をぐだぐだと話したりした、初対面なのに。

 まぁ楽しかったから全てよしっ!




仲正イチカさんの立ち絵って人を狂わせる何かがあると思います。
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