それでは、どうぞご覧ください。
「お前……誰だ?」
ハルマは警戒しながらも、目の前の男にそう尋ねた。
「………そう警戒しないでほしいのですが……」
「ち、違います!2人とも早く行こう」
うたはななとハルマにそう言って、この場から離れようとした……が、
「……」
「ハルマ君……?」
「……2人は先に行って」
ハルマは何故かこの場に残り、3人を先に行かせようとしていた。
「え?でも―――」
「いいから」
「……分かった。でも、ハルマ君もすぐに来てね?」
そして、3人をここから離れさせたハルマは……
「それで……誰なの?返答次第じゃ―――」
ハルマはその男を見据えながら、ヴラスタムギアを構えた。そんなハルマを見ても、男は冷静な様子でいて……
「……申し遅れました。私は―――」
◇
翌日、喫茶グリッターには……
「お待たせしました。コーヒーフロートです」
「どうも」
うたとななをプリキュア、ハルマを仮面ライダーだと言ってきた男が、客として来ていたのだ。
「どうしよう……昨日のあの人……」
「やっぱり……私たちがプリキュアだってバレてる……?」
「それに、ハルマ君のことまで……」
そんな事態に困っていると……
「キュアアイドルかわいい!」
「キュアウインクちゃんも素敵ね」
はもりと音が見ているスマホから、アイドルとウインクのライブ映像が流れてきていた。
「あの人、ライブの動画を見て私たちに気付いたのかな……」
「じゃあ、ハルマ君は何で気付かれて……?」
うたはハルマがヴラムであることを気付かれた理由に、検討がつかないうたであったが……
「!ねぇ、これ……」
「?これって……」
ななが見せて来たスマホの画面には……
『フッ!』
『ぐあっ!?』
ヴラムが戦っている動画が、SNSに何件も載っていたのだ。その動画にはヴラムの声も入っていて……
「まさか、これで……?」
「そうとしか考えられないけど―――」
「お取込み中、失礼します」
「はっ!?」
急にその男が上へと来ており、うたは慌ててプリルンを背中に隠した。すると……
「私、田中と申します」
そう言って、目の前の男……田中は名刺を差し出してきた。その名刺には……
「アイドルプリキュア……」
「マネージャー……」
自己紹介の通り田中と書かれており、肩書として『アイドルプリキュアマネージャー』とあったのだ。
「はい。私、アイドルプリキュアのマネージャーを務めさせていただきます」
「「……ま、マネージャー!?」」
それに対し、2人は声を上げて驚いていた。
「ちなみに、ハルマさんには既に挨拶済みですので」
「「えっ?」」
「最初は、凄く警戒されましたが……」
『……申し遅れました。私、田中と申す者です』
『……は?』
名刺を差し出してきた田中を見て、思わずハルマはそう口に出してしまう。
『あの2人……アイドルプリキュアのマネージャーを務めさせていただきます』
『……敵じゃない、ってこと?』
『えぇ……もちろん、あなたにも害を加えるつもりはありません。というよりも、加えられるとは思っていませんが』
『……』
その言葉を聞いたハルマは、構えていたヴラスタムギアを仕舞う。そして……
『……グラニュートかと思った………』
『?どうかしましたか?』
『いや……何でもないよ』
田中の横を通り、何処かへ行ってしまった……。
「そ、そうなんですね……」
「良かった……」
ハルマがあの後無事だったということを知り、2人は安心した様子でいた……が、
「!というかどうしよう……」
肝心な問題が解決していないことに気付き、うたたちは再び困り果ててしまう……。
「困った時は、女王様に訊いてみるプリ!」
「そ、そうだね」
うたはアイドルハートブローチをテーブルに置き、プリルンはブローチにリボンをセットした。すると……
『お久しぶり……でもありませんね』
そこにピカリーネの姿が現れる。
「女王様!私たちとハルマ君の正体が―――」
『問題ありませんよ』
「えっ?」
『彼もまた、私たちと同じです。ハルマのことは、私の方から伝えました』
「同じって……まさか、田中さんも妖精!?」
目の前の田中がプリルンやピカリーネと同じ妖精であることに、うたは思わず驚きの声を上げる。
「それって、プリルンも知ってるの?」
「?知らないプリ」
『いいえ、彼のことはプリルンも知っていますよ』
プリルンは田中のことを知らないというが、ピカリーネの言葉通りなら田中とプリルンは知り合いらしい。
『彼の本名はタナカーンといいます』
「タナカーン……?プリルンの知ってるタナカーンとは全然違うプリ!」
名前は知っていったようだが、プリルンの中でのタナカーンと目の前の田中では、姿が違い過ぎて一致しないらしい……。
「では……これならどうでしょう」
田中は何とか信じてもらうためなのか、そう言ってプリルンの顎を優しく触った。すると……
「!こ、この手捌きはタナカーンプリ~!」
「「えぇ!?」」
何故かプリルンは、顎を触られただけで目の前の田中を自分の知るタナカーンだと信じたようだ。
「久しぶりプリ!タナカーンはキラキランドでプリルンの家の裏に住んでいたプリ!」
「そ、そうだったんだ……」
そんなやり取りをしていると……
「さて……お話ししたいこともありますので、これから出張所に行きましょうか」
「「出張所……?」」
「プリ……?」
3人は田中にそう言われ、出張所というところに向かうのだった……。
◇
うたたちがグリッターで田中と話をしている頃……
「フッ!」
「ぐあっ!?」
ヴラムはヒトプレスの集積所を見つけ、そこで鉢合わせたグラニュートと戦闘になっていた。そのグラニュートは熊のような姿をしており、武器として両手に鋭い爪がついていたのだ。
「くそっ……何でグラニュートハンターが……!」
「とどめだ」
苦戦することなく熊のグラニュートを追い詰めたヴラムは……
「セット!」
ゴチゾウを弓モードのヴラムブレイカーへとセットし、熊のグラニュートにとどめを刺そうとする……が、
「っ!」
突如ヴラムに向けて銃撃が放たれ、ヴラムはすぐさまその場から飛び退いた。
『グラニュートハンターか』
「……ランゴのエージェント………」
先ほどの銃撃は、ヒトプレスを回収しに来たランゴのエージェントによって放たれたもののようだ。
「!あんたらは……」
『行け』
「っ!待て!」
ヴラムは逃げる熊のグラニュートを追いかけようとするが、それをエージェントたちに邪魔されてしまう……。
「っ!邪魔だ!」
『それはこちらのセリフだ』
「っ……なら……!」
「カップオン!」
「ゼリーヴラムシステム!」
ヴラムはそう呟き、ゼリーカスタムへと姿を変えた。
『何っ!?』
『まだ力を隠していたか……』
エージェントたちは、姿を変えたヴラムにそう反応していたが……
「カップREADY!」
「インビジブルゼリー!」
ヴラムはすぐさまレバーを上げてから倒し、その姿を消した。
『消えただと……?』
エージェントたちはその場から動くことなく、銃を構え続けた……が、
『ぐっ……!?』
『!そこか―――ぐあっ!?』
ヴラムは透明になったままエージェントたちの周りを駆け回り、鎌での攻撃を浴びせていく。
「ゼリーOVER!」
「っ!?またか……!」
姿を現したヴラムは、副作用に対してそう呟きながらも、再びレバーを操作して透明になった。
『『!』』
それを見たエージェントたちは、鎌での近接攻撃に警戒していたが……
『ぐあっ!?』
『っ!?』
ヴラムは透明になった直後にブレイカーを弓に変形させており、今度は透明な矢を放ちエージェントたちに攻撃を浴びせていく。
「ゼリーOVER!」
「これで……!」
「セット!」
「インビジブルゼリー!」
さらにヴラムは、ブレイカーにゴチゾウをセットし、そのままレバーを素早く操作して姿を消した。そして……
「っ!」
『『!?』』
ヴラムは足払いをして、エージェントたちの体制を崩したのだ。体制を崩したエージェントたちは、重なるようにして地面に倒れる。
「ゼリーOVER!」
『『っ!?』』
ヴラムは姿を現すと同時に、地面に倒れているエージェントの身体に向けて、弓モードのブレイカーを横向きに構えた。その状態のまま、ヴラムは零距離でレバーを引き絞り……
「ヴラムシューティング!」
『『ぐあああああっ!?』』
そのまま必殺技の一撃を放ち、エージェントたちをあっという間に倒したのだ。
「はぁ……はぁ……!」
エージェントを倒したヴラムは変身解除し、その場で胸を押さえたが……
「早く追い掛けるか……」
そう言ってハルマは、逃げたグラニュートを追い掛けていくのだった……。
◇
「危なかった……さっさと遠くに行かないと―――」
エージェントたちのおかげで逃げることができた熊のグラニュートは、ガヴからミミックキーを抜いて人間の若い男の姿に戻った……が、
「あっ!いた!」
「なっ!?」
その瞬間を、丁度SNSの情報を基にグラニュートを探していたショウマに見られ、熊のグラニュートはすぐさまこの場から逃走を図る。
「待て!」
ショウマもその後を追って来ており、熊のグラニュートはとある地下の駐車場まで逃げたものの……
「!おっと、逃がさねぇぞ?」
反対側からは絆斗も来ており、そのまま2人に挟み撃ちにされた。
「っ……何なんだよお前たちは!?」
「攫った人たちを返せ!」
ショウマがそう言うが……
「やだね!渡すもんか!」
熊のグラニュート……アベクはそう言ってミミックキーを抜き、若い男の人間態から姿を変える。
「絆斗!」
「あぁ!」
それを見たショウマは、腹の部分にあるジッパーを開いて自身の赤色ガヴを出し、絆斗はヴァレンバスターを構える。そして……
「グミ!」
「チョコ!」
2人はそれぞれ、ガヴとバスターにポッピングゴチゾウとチョコドンゴチゾウをセットした。
「Eatグミ!Eatグミ!」
「Setチョコ!Setチョコ!」
ショウマはガヴについているハンドルを回し、透明な菓子袋状のバリアに包まれる。その中には、グミのようなものが無数に舞っていた。絆斗はヴァレンバスターのジャッキを閉じて片膝をつき、バスターを地面に向けた。
「「変身!」」
2人はそう言い、ショウマがガヴのボタンを押し込み、絆斗はバスターの引き金を引いた。ショウマの方では、バリアが弾け飛ぶとグミのようなものがガヴへと吸収されていき、身体に装甲が生成されていった。絆斗の方では、バスターからチョコレートの液体が射出され、それが全身に纏わりついた。さらに、その上から板チョコのような装甲が形成されていく。
「ポッピングミ!ジューシー!」
「チョコドン、パキパキ」
そうして2人は、仮面ライダーガヴと仮面ライダーヴァレンへと変身し、それぞれの武器を持ってグラニュートへと駆け出していく。
「ちっ、お前たちもグラニュートハンターか……!」
そう舌打ちをしながら、アベクは2人を両手の爪で迎撃した。
「「っ!」」
その攻撃をガヴは上へと跳んで、ヴァレンは下へスライディングしながら避け……
「フッ!」
「ハァッ!」
それぞれの武器で攻撃を加えていく。
「ぐっ!?」
その攻撃は当たり、アベクはダメージを受けて吹き飛ばされる。
「くそっ……ハァッ!!」
「「!」」
アベクは2人に向け、爪でいくつもの斬撃を飛ばし、反撃してきたが……
「フッ!」
「ハァッ!」
2人はそれを近くの柱や壁を利用して搔い潜り、息の合ったコンビネーションで連続攻撃を浴びせていったのだ。
「ぐあっ……!?」
その攻撃で吹き飛ばされ、アベクは地面を転がっていく。そして……
「CHARGE ME!CHARGE ME!」
「どうする?2度と闇菓子に関わらないか……それとも俺たちに倒されるか……!」
ガヴはハンドルを回した後、ブレイドを構えながらそう訊き、ヴァレンはバスターのジャッキを開いてアべクに狙いを定めた。だが……
「闇菓子に関わらない、だと……?そんなことは有り得ない!それに、僕は必ず……
必ず処刑人を探し出して、仲間の仇を取るんだ!!」
「「……?」」
何とアベクの口から、処刑人という言葉が出てきたのだ。それを聞いた2人は、疑問には思ったものの……
「ポッピングミ!フィニッシュ!」
「チョーコードーンー!」
「「ハァッ!!」」
ガヴはエネルギーを貯めたブレイドから斬撃を、ヴァレンは丸いチョコのようなエネルギーを銃撃として放ち……
「こんなところでええええええ!!」
そのままアベク撃破し、ヒトプレスを取り返したのだ。アベクを倒した2人は……
「なぁ……あいつ」
「うん……最後に処刑人って……」
変身したままヒトプレスを回収しながら、アベクが言っていた処刑人という言葉について話していた……その時、
「処刑人、か……お前、聞いたこ―――」
「……」
「!?ヴァレン!」
ヴァレンの背後に以前ハルマたちを見ていたマントの人物が立っており、ヴァレンに短剣を突き刺そうとしていたのだ。それに気付いたガヴは、手に持っていたブレイドでその短剣をギリギリのところで防いだ。
「!」
それを見たマントの人物はすぐさまガヴを足で蹴り、2人から距離をとって着地した。
「!危ねぇ……助かったぜ」
「ううん、それよりも―――」
「あぁ……誰だ、お前?」
ヴァレンはガヴに礼を言うと、その謎の人物にそう訊いたのだ……が、
「……」
「だんまりかよ……なら、力ずくで訊き出すだけだ!」
謎の人物は黙ったままでおり、その様子を見たヴァレンはその人物へと駆け出していった。
「っ!」
それに続いて、ガヴもブレイドを持って走り出していく。すると……
「……」
「っ!?」
その人物は、腰の部分から長い尻尾のようなものを伸ばし、それを使ってヴァレンに攻撃を加えたのだ。
「ぐあっ!?」
その刺突のような早い連続攻撃を受け、ヴァレンはダメージを負ってその場に膝をついてしまう……さらに……
「ヴァレン!っ!?」
ガヴの方にも尻尾を伸ばしてきており、そのまま薙ぎ払うように攻撃を加えてくる。
「ぐあっ!?」
ガヴは咄嗟にブレイドを盾にして防御したが、その攻撃で武器ごと吹き飛ばされてしまったのだ。
「な、何なんだあいつ……!」
「ぐっ……は、早ぇ……それにあれは―――」
その攻撃でダメージを受け、地面に転がっている2人の目線の先には……
鋭い
読んでくださりありがとうございます。
2人の前に、前回でハルマたちを見ていた人物が現れました……その人物は果たして何者なのか……?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。