歌姫たちと復讐の騎士   作:アキ1113

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 今回は、前回の続きからになります。遂に仇を見つけたハルマですが、これから物語はどうなっていくのか……。

 それでは、どうぞご覧ください。



第18話 苦しみのハルマ

 

 「っ!」

 

 (どこにいる……)

 

 酸賀の研究室から出たハルマは、建物から建物に飛び移りながら仇であるサソリのグラニュートを探していた。すると……

 

 「ちっ……こんなときに……」

 

 そう遠くないところで、空が暗くなってきているのが見えたのだ。それはマックランダーが現れたということで、ハルマは思わず舌打ちをする……。

 

 「っ!」

 

 だが、すぐさまその方向へと飛び上がり、マックランダーが暴れている場所へと向かう。そうして向かい始めてから時間も経たずに、その場所へと到着した。そこでは……

 

 「「きゃあっ!?」」

 

 「はっはっはっ!弱ぇなプリキュア!やっぱり、この前はまぐれだったみたいだな?」

 

 既にアイドルとウインクが戦っており、撮影用カメラのマックランダーと相対していたが、状況から見て苦戦しているようだ……。

 

 「ハルマー!」

 

 「!ハルマ君、来てくれたのですね」

 

 すると、ハルマのことを見つけたのか、物陰に隠れていたプリルンと田中が隣に来ていたのだ。

 

 「……」

 

 「ハルマ……?」

 

 「!……ごめん、すぐに終わらせる」

 

 「ヴラスタムギア」

 

 ハルマはヴラスタムギアを装着すると、生身のままブレイカーを持って歩いていく。

 

 「あっ!」

 

 「ハルマ君!」

 

 「っ!来やがったな仮面ライダー!」

 

 「……」

 

 ハルマはザックリーの言葉に反応することなく、マックランダーのところへと歩みを進める。 

 

 「ハルマ君……?」

 

 「……?」

 

 「あいつ、何かおかしくねぇか……?」

 

 アイドルやウインク、ザックリーは黙ったままのハルマを見て疑問を抱いたものの……

 

 「まぁいい、やれ!」

 

 「マックランダー!」

 

 「っ!危ない!!」

 

 マックランダーに命令し、ハルマに向けてビームを撃たせた……が、

 

 「……」

 

 「マッ!?」

 

 ハルマは鎌モードのヴラムブレイカーで、それを真っ二つにして防いだのだ。そして……

 

 「……」 

 

 「カップオン!」

 

 ハルマは攻撃を防いだ後、黙ったままゴチゾウをセットしたが、いつも変身待機時に流れている音楽は流れず、代わりに静寂が流れ……

 

 「……変身」

 

 「プディングヴラムシステム!」

 

 ポーズを取らずにそのままレバーを下げ、ヴラムへと変身した。

 

 「……」

 

 そんなヴラムを見て、ザックリーはというと……

 

 「!な、何だあの真っ暗闇は……!?」

 

 前にカッティーも見たヴラムの持つ真っ暗闇が見えたのか、驚きを隠せずにいた。そして、ヴラムはブレイカーを握りしめ……

 

 「ハアアアアアッ!!」

 

 いつもとは違い、叫びながらマックランダーに駆け出して行くのだった……。

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 ハルマがマックランダーと戦っている頃、ストマック社にあるニエルブの研究室では……

 

 『ニエルブ様。戻ってきたようです』

 

 「そう……連れてきてくれ」

 

 『はっ』

 

 ニエルブは自身の眷属に、ある人物を連れてくるように命令した。そして……

 

 「入るぞ」

 

 ニエルブの研究室に、ハルマの仇であるサソリのグラニュートが入ってきたのだ。

 

 「急だったのに済まないね」

 

 「いや、どうということはない」

 

 「それで……どうだった?彼と会ったのだろう?」

 

 ニエルブはサソリのグラニュートにそう訊いた。

 

 「……別にどうもこうもない。それに、今回はお前の依頼だから殺さなかったが……次に会ったら確実に仕留めるぞ」

 

 サソリのグラニュートは、ニエルブの言葉にそう答える。

 

 「僕としてはまだ殺さないで欲しいんだけど……まぁ、次も何か頼むことがあると思うから、その時はよろしく頼むよ」

 

 「ふん……」

 

 サソリのグラニュートは手を上げてニエルブの言葉に応え、ニエルブの研究室を後にした。その後でニエルブは、自身のエージェントに撮らせていたヴラムとサソリのグラニュートの戦闘記録を見ていた。

 

 「それにしても、ヴラムをほとんど圧倒するとはね。さすがは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最強の処刑人、エスコルってところかな?

 

 ニエルブはそう言うと、モニターの映像を切ってから……

 

 「そろそろ、次の段階に進めるとしようか」

 

 『スィー?』

 

 「渡し方は……あの人経由が一番無難か」

 

 机の上にあるどっプリンやぷるゼリーと同じ形をした、緑色のゴチゾウを見るのだった……。

 

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 ニエルブが自身の研究室でサソリのグラニュート、エスコルと会っている頃……

 

 「マックランダー!」

 

 ヴラムとマックランダーは戦闘に入っていた。マックランダーはヴラムに向けてビームを次々と放つが、全て避けられ……

 

 「フッ!ハァッ!!」

 

 「マッ!?」

 

 そのまま連続で攻撃を浴びせられていく。

 

 「くそっ!だったら―――」

 

 「マックランダー!」

 

 マックランダーは、カメラに付いているあるボタンを押そうとした。このボタンは対象の動きを止めたり巻き戻すことができるもので、プリキュアたちもこの攻撃に苦戦していた。プリキュアたちと同じように、マックランダーはヴラムの動きを止めようとした……が、

 

 「おい何してる!さっさと動きを止めろ!」

 

 「マ、マックランダー……!?」

 

 中々そのボタンを押せずにいた……マックランダーはヴラムの動きが速く捉えきれないようで、ボタンを押せない状態になっていたのだ。

 

 「っ!!」

 

 「!?」 

 

そんなマックランダーに、ヴラムは連続で蹴りや斬撃を浴びせており……

 

 「ハァッ!!」

 

 最後には真上からのかかと落としで、マックランダーを地面に叩きつけたのだ。

 

 「ヴラム凄いプリ!」

 

 マックランダーを圧倒しているヴラムを見て、プリルンはそう言ったが……

 

 「「……」」

 

 アイドルとウインクは、普段とは違うヴラムの荒々しい戦い方に戸惑っていた……。

 

 「やっぱり、いつもと違うよ……」

 

 「どうしちゃったんだろう……」 

 

 さらには……

 

 「ヴラム……女王様からは、技巧派で冷静な戦い方をすると聞いていましたが……今の彼はまるで―――」

 

 キラキランドの女王から訊いていたヴラムの戦い方と、今目の前で戦っているヴラムの戦いとは違っていたため、田中ですら思わず疑問を覚えた。

 

 「っ!」

 

 「うおっ!?」

 

 「マックランダー!?」

 

 「「「っ!?」」」

 

 ヴラムはマックランダーをザックリーのいる方向へと蹴り飛ばし、その衝撃は再び物陰に隠れている田中たちのいる場所まで届いていた。

 

 「!ウインク!」 

 

 「う、うん!」

 

 ヴラムの戦いを見ていたアイドルとウインクだったが、満身創痍なマックランダーを見て、すぐさま浄化するために途中でヴラムとすれ違いながら走っていく。

 

 「お、起きろ!マックランダー!」

 

 「マッ……クランダー……!」

 

 ザックリーの指示でマックランダーは起き上がろうとしたが、ヴラムから受けたダメージが大きすぎたのか、起き上がれずにいた。

 

 「!今のうちに……!」

 

 そして……

 

 「クライマックスは私、聴いてください!」

 

 ウインクは辺りを満員のライブ会場の空間へと変え、マックランダーを強制的に席に着席させたウインクは、ステージの上にあるガラスでできたピアノの前に座っており、頭にアイドルハートインカムが装着されるのと同時に、曲を弾き始めていた。

 

 「きらめきへ踏み出そう~♪受け取った勇気繋いで♪まばたきの数だけ~♪五線譜に焼きつけていく♪出会えたキミへと奏でたい♪いつまでも鳴り止まないメロディ~♪」

 

 そうして、自身の歌を歌い終わると……

 

 「プリキュア!ウインククレッシェンド!」

 

 マックランダーを浄化し、囚われていた女性を助け出したのだ。

 

 「キィーッ!ウインクの奴眩しいんじゃね―――って、この状況ザックリいってマズイか……?」

 

 今回も見事にマックランダーを浄化されたザックリーは、そう言って撤退していったのだ。

 

 「……」

 

 ザックリーの姿が消えたのを見て、ヴラムはゆっくりとブレイカーを降ろした。

 

 「はぁ……」

 

 その後、ゆっくりと息を吐き、この場から去っていこうとしたが……

 

 「ま、待って!」

 

 アイドルとウインクが駆け寄り、そう声を掛けて止めたのだ。

 

 「……何か用?」

 

 「「!?」」

 

 ヴラムは普段よりも低い声で、2人にそう言った。

 

 「えっと……ずっと様子がおかしかったから……」

 

 「その……何かあったのかなって……」

 

 その声に一瞬驚きながらも、アイドルとウインクはそう尋ねる。 

 

 「!……何でもないよ。別に気にしなくていい」

 

 ヴラムは普段と同じ声色でそう返したが、雰囲気は他人から見ても分かるくらいにはいつもと少し違っていた。すると……

 

 「んん……あれ?私、どうしちゃったんだろう……?」

 

 マックランダーにされていた女性、こはるが目を覚ました。

 

 「こはるさん!」

 

 「大丈夫ですか?」

 

 「は、はい……」

 

 アイドルとウインクは、こはるが無事な様子を見ると……

 

 「そしたら撮影の続き、やりましょう!」

 

 「!……はい!」

 

 そう言って手を差し伸べ、こはるをその場から立ち上がらせた。すると……

 

 「あっ、ヴラムもありがと……ってあれ?」

 

 「ま、またいないね……」

 

 アイドルはヴラムに礼を言おうとするが、そこにヴラムの姿は既になかった………ヴラムはこはるが目を覚まそうとした瞬間に、この場を後にしていたのだ。

 

 「……」

 

 『ハアアアアアッ!!』

 

 アイドルは先ほどのヴラムの戦いの光景を思い出しており……

 

 「ハルマ君……」

 

 (凄い、苦しそうだったな……)

 

 心の中で、そんなことを思っていたのだ。

 

 「……?どうかしましたか?」

 

 「!な、何でもありませんよ?」

 

 アイドルはハルマのことが気になりながらも、気持ちを切り替えて撮影へと戻っていくのだった……。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「わぁ……!皆見てるよ!」

 

 「ちょっと恥ずかしいかも……」

 

 「プリルンも映っているプリ!」

 

 撮影から数日後、実際に店の上にあるディスプレイに流れているCMを見ている人々を見て、各々がそんな反応をしていた。すると……

 

 「やぁ」

 

 「カイトさん!?」

 

 後ろから、レジェンドアイドルであるカイトが声を掛けてきた。

 

 「今日オープンなんだ」

 

 「み、みたいですね!」

 

 うたは自身がプリキュアだとバレないようにそう誤魔化す。すると……

 

 「あっ、カイトさんこの前言ってましたよね?初めての仕事の時に、これだけは大事にしたいことがあったって……それって、何だったんですか?」

 

 うたは、前にカイトに出会った時に話した『初仕事の時に大事にしたいと思ったこと』について訊いたのだ。

 

 「……一緒に仕事をする人たちに、笑顔になってほしいってこと」

 

 「「……!」」

 

 「もちろん、あんな風にCMを見てくれる人たちもね?それに、ほら―――」

 

 カイトが目を向けた方向を見ると、そこには笑顔でお客さんの案内をしているこはるの姿があった。それを見たうたとななは、思わず微笑んだ。そして……

 

 「ハルマ君のことも、あんな風に笑顔にしてあげたいな……」

 

 うたはハルマのことも、こはるや今見ている人たちのようにしたい………そんなことを呟くのだった……。 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 うたたちがカイトと話している頃……

 

 「心、キュンキュンしてます!」

 

 前にハルマがグラニュートから助けた紫髪のツインテールの少女が、店の前のディスプレイに流れるアイドルプリキュアが出ているCMを見て、そう声を上げていた。そして……

 

 「ヴラムさん……一体、どこにいるんでしょうか。ちゃんと会って、あなたにお礼を言いたいです……」

 

 スマホに映ったヴラムの動画を見ながら、そう呟くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 今回で、ハルマの仇であるサソリのグラニュート……エスコルの名前が判明しました。そして、ニエルブはプリンとゼリー以外にもゴチゾウを……?
 そして、ヴラムを探す1人の少女もいて……?

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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