歌姫たちと復讐の騎士   作:アキ1113

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 今回から、物語が動いていきます。プリキュアの要素も少しずつ出していけるようにします。

 それでは、どうぞご覧ください。


第2話 人間界へ

 

 side:ハルマ

 

 ハルマがとあるグラニュートを始末してから数日後……

 

 「や、やめ―――」

 

 ハルマは前とは別のグラニュートを始末していた。それを終えたハルマは、いつものように報告をするためにランゴのいる場所へと足を運んでいた………が、

 

 「やぁ、処刑人」

 

 「……ニエルブ様」

 

 そんなハルマの前に、珍しくニエルブが現れたのだ。その手には、黒いアタッシュケースが握られている。

 

 「……何か御用でしょうか?」

 

 自分のところを訪れたニエルブに対し、ハルマは用件を訊いた。

 

 「僕個人からの依頼……受けてはくれないかい?」

 

 「個人の……?」

 

 「あぁ……僕と君だけの秘密の、ね」

 

 ニエルブはアタッシュケースを開け、ハルマに向けて中身を見せる。

 

 「これは……?」

 

 「僕の発明品だ。君ならこれを使いこなせると思ってね……もちろん、報酬も出そう」

 

 「……」

 

 アタッシュケースの中には、ニエルブが開発したヴラスタムギア………そして、赤ガヴ―――ショウマの眷属を基に作ったプリンとゼリーを模したゴチゾウがあったのだ。

 

 「……何が、目的なんです?」

 

 ハルマはニエルブに対し、警戒した様子でそう訊いたが……

 

 「目的、か……僕はただ、面白い実験ができればそれでいいんだ」

 

 「……」

 

 それを聞いて、アタッシュケースの中からバックルとゴチゾウを受け取る。

 

 「契約成立だ……そうそう、後で使った感想も聞かせてくれ」

 

 ハルマはその言葉に頷き、この場を去ろうとしたが……

 

 「このことは、もちろん他言無用で頼むよ?」

 

 「……分かってますよ」

 

 ニエルブのその言葉を了承し、ランゴのところへと報告しに行くのだった……。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 ニエルブと別れた後、ハルマはいつものようにランゴに報告するために、会議室へと訪れていた。だが、今日はランゴだけではなく……

 

 「あら?久し振りね、処刑人」

 

 「……どうも、グロッタ様」

 

 ランゴの妹であり、ストマック家の長女であるグロッタもいたのだ。声を掛けてきたグロッタに対し、ハルマは軽くそう返し、いつものように報告をし始めた。そして、報告が終わった後……

 

 「さて、次の仕事だが………お前には人間界に行ってもらう」

 

 「人間界……?」

 

 突然ランゴからそんなことを言われたのだ。いつもとは違う仕事の内容に、ハルマは少し疑問を覚えた………が、どちらにしろ従うしか選択肢はないため、そのまま黙って話を聞くことにした。

 

 「最近、そっちに逃げ込んだやつがいてな……そいつを始末してもらいたい」

 

 そう言いながらランゴは、ハルマに今回のターゲットについて書かれたものを渡す。ハルマはそれを受け取り、渡された情報に目を通していく。

 

 「案内してやれ」

 

 『はい』 

 

 それからハルマはランゴのエージェントへとついて行き、会議室から去っていく………その後で、ランゴとグロッタは……

 

 「……あいつを人間界で始末しろ」

 

 「さぁ、行きなさい」

 

 『『『『了解しました、ランゴ様、グロッタ様』』』』

 

 自身の眷属を2体ずつ呼び出し、ハルマを始末するように命令した………ランゴがハルマを人間界へと行かせたのは、ハルマにグラニュートを始末させるためではなく、ハルマを始末するためであった。ランゴがハルマに言ったことは、実際には間違いではない………だが、さっきハルマに渡した情報は、完全に噓の情報だったのだ……。

 

 「ここで完全にあいつを始末する……いつ俺たちの邪魔をしてくるか分からないからな」

 

 「そうね………でも、始末に手こずることはなさそうね?」

 

 「あぁ……あいつには、赤ガヴとは違って元からガヴがない。厄介なことにはならないだろう」

 

   

 

 

 

    ◇ 

 

 

 

 

 

 ハルマはランゴのエージェントに連れられ、とある場所にいた。

 

 「……ここが?」

 

 『そうだ』

 

 そこは、人間界へと向かうための扉が沢山ある空間で、ストマック社のバイトたちやエージェントは、この空間にある扉を利用して人間界へと行っている。 

 

 『この扉に入れ』

 

 「……分かった」

 

 ハルマはそう言って、エージェントに指定された扉を通った。

 

 「ここは……」

 

 扉は人間界のとある建物の扉へと繋がっており、ハルマが扉を通った直後、その扉はエージェントによって閉められた。ハルマは後ろを振り返り、今自分が通ってきた扉を試しに開けてみたが……

 

 「なるほどね……」

 

 そこにさっきの空間はなく、ただの物置になっていたのだ。それからハルマは、この場から動いた方がいいと思ったのか、周りの地形や今いる場所について把握するために、出てきた場所の目の前にあった階段を上っていく。階段を上り切ると、そこは展望台になっており……

 

 「……!」

 

 多くの人々が住む街が一望できるようになっていたのだ………ハルマは、グラニュート界ではまず見ることのできない景色に、少しの間だが目を奪われていた。

 

 「これが……人間界………ん?」

 

 しばらく辺りを見回していたハルマだったが、視界の端にとあるものを見つけた。

 

 「あれって……もしかして、桜……?」

 

 それは、ハルマがまだ小さい時に母親から教えてもらった桜という花が咲いている木だった………ただ、その桜の木は花が咲いているところがハートの形になっている珍しいものだった。

 

 「……」

 

 (昔、約束したっけ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ハルマ』

 

 『なに?』

 

 『いつかみんなで、桜を見に行きましょう』

 

 『!ホントに?』

 

 『えぇ、約束よ』

 

 『うん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 (でも、その約束は―――)

 

 「……早く行こう」

 

 ハルマは桜を見て、昔のことを思い出していたものの、そう口にして展望台から去ろうと歩き出す………その顔は、何処か寂しそうな表情をしていた。そんなハルマの前に……

 

 「♪~」

 

 階段の方から、1人の少女が歌を口ずさみながら歩いてきているのが見えた。その少女は茶色のロングヘアをしており、頭にはカチューシャや音符の形をした髪飾りを付けていた。両腕には、何かのぬいぐるみのようなものを抱いていたのだ。ハルマは自分の顔を見られるのは避けた方がいいと思い、フードを頭から被った………仮面は人間界では逆に怪しまれると思い、仕舞ったままにしたが。

 

 「あっ!こんにち―――」

 

 その少女とすれ違おうとすると、ハルマに向かって少女の方から声を掛けようとしてきた………が、

 

 「って、あれ?」

 

 人間と関わるのをなるべく避けるために、ハルマはその脚力で一瞬のうちに階段の前までたどり着き、少女に気付かれないうちにそのまま下って行ってしまった……。

 

 「うた、どうかしたプリ?」

 

 「!ううん、何でもないよ?………見間違いかな……?」

 

 うたと呼ばれたその少女は、さっきまで確かにいたハルマの姿が見えないことに疑問に思いながらも、展望台でも特に街がよく見える場所へと歩いていった………この2人が近いうちに再会することになるとは、誰も知る由もないのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 最後のあたりに少しだけですが、あのキャラたちを登場させました………ここから、主人公はこのキャラたちとどのように関わっていくのか……。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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