それでは、どうぞご覧ください。
エージェントを倒したヴラムは、ヒトプレスの入ったケースを開け、攫われていた人たちを解放しようとしていた……すると……
「……あ、あの!」
「?」
「た、助けてくれてありがとうございます!」
「……いいよ。気にしなくていい」
「!……やっぱり、気のせいじゃなかったんだ」
こころはそう呟くと、ヴラムの近くにあるヒトプレスを見る。
「これって……攫われた人たち、なんですか?」
「……そうだよ」
「!じゃあ、早く助けないと……私も手伝います!」
こころはヒトプレスを1つ持ち、紐の部分をほどいて攫われた人を助けようとしたのだが……
「あ、あれ?ほどけな―――」
「待った」
「えっ?」
「それ、無理やりやると割れるよ」
「えっ……?」
その言葉を聞いたこころは驚き、思わず動きを止めて固まってしまう……。
「も、もし割れたら……?」
「その人は死ぬ。例えくっつけたりしても、二度と元には戻らない」
「!?」
こころは声を上げなかったものの、相当驚いている様子でいた。
「切るのは僕がやるから、そこに並べておいて」
「は、はい!」
こころは言われた通りに、ヒトプレスを一列に並べていく。そして、ヴラムが……
「こ、ここは……?」
「私、何でこんなところに……?」
次々と攫われた人たちが解放されていく。
「ふぅ……みんな無事で良かったですね―――って、あれ?」
こころはヴラムに話しかけようと隣を向いたが、既にその姿はなかった……。
「ど、どこに―――あっ……!」
こころはプリルンの腕に抱き、辺りを見回した。すると、助けた人々から離れて行こうとしているヴラムを見つけた。
「ま、待ってください!」
「……?」
「私、まだヴラムさんに言わなきゃいけないことがあって……」
「言わなきゃいけないこと……?」
ヴラムは足を止め、こころの言葉を聞く。
「ヴラムさんは覚えてないかもしれませんけど……私、助けられるの初めてじゃないんです」
「……」
「あの時は言えなかったけど……
助けてくれて、本当にありがとうございました!」
こころはそう言い、前に助けられたときの礼を頭を下げて言ったのだ。
「そう……なら、良かったよ」
「!……はい!」
ヴラムのその言葉を聞いたこころは、笑顔でそう返事をしたのだ。すると……
「!そういえばこころ、さっきのお願いって何プリ?」
プリルンは、こころが先ほど言いかけていたことを訊いた。
「あっ……そうでした」
「お願い……?」
「えっと、ヴラムさん……というよりも、ハルマさん?……で合ってますよね?」
「……合ってるよ」
どうやらこころに名前も聞かれていたようで、ヴラムはそう答えながら変身を解除した。
「そんな風になってるんだ……!じゃなくて、プリルンと知り合いってことは、ハルマさんもアイドルプリキュアと知り合いなんですよね?」
こころはハルマに近づきながら、前のめりにそう訊いた。
「!……うん、そうだよ」
「やっぱり……!」
そして、こころはプリルンとハルマに……
「……私をキュアアイドルとキュアウインクに会わせてくれませんか!」
そう頼むのだった……。
◇
「それで……何であんなところにいたの?」
「プリルン、こころと仲良くなりたかったプリ!」
「それでわざわざ追いかけて……」
ハルマはその後、プリルンをうたたちに送り届けることにし、その途中で上着の内側に隠しているプリルンに、何故1人で行動していたのかを訊いていた。そして、ハルマはグリッターの前に到着し、その扉を開ける。
「いらっしゃいま―――!ハルマ君でしたか」
すると、カウンターには田中がおり、入ってきたハルマを出迎えたのだ。
「ハルマ君からここにくるとは珍しいですね……今日はどうされたのですか?」
「……送りにきた」
「送りに……?」
「ただいまプリ!」
ハルマは、上着の内側に隠していたプリルンを出した。
「!そういうことでしたか……ありがとうございます」
喫茶グリッターへと戻ってきたプリルンは、上にいるうたとななのところへと向かっていく……今は客もうたの家族もいないため、プリルンは普通に話したり飛んだりしていた。その様子を見たハルマは……
「もう行くのですか?」
「他に用がある。だから―――」
「あっ!ハルマ君いらっしゃい!」
用も済ませたハルマはすぐに帰ろうとしたが、ハルマが来ていたことに気付いたうたが下まで降りてきたのだ。
「上がって上がって!」
「え、ちょ―――」
そう言われながら手を引かれたハルマは、当たり前のように上まで連れて行かれ……
「お願いプリ!こころに会ってあげてほしいプリ!」
「それって……アイドルプリキュアとしてってこと?」
「そうプリ!」
「……」
うたやなな、田中と一緒にプリルンの話を訊くことになっていた。
「こころちゃん、本当に私たちのことが好きなんだ……!」
「それは嬉しいけど……プリルン、姿を見られた上に友達にまでなっちゃうなんて……」
「プリ……こころと仲良くなりたかったプリー!」
プリルンはそう言って、ななの方に飛んでいき抱き着いた。
「ところで、ハルマ君はなんでプリルンと一緒に……?」
「あぁ……それは―――」
「プリルンとこころの危ないところを助けてくれたプリ!」
「「え?」」
「……2人が偶然ストマック社の奴と鉢合わせになってたから、そいつを倒したんだ」
「「えぇ!?」」
プリルンとこころが危ない目に巻き込まれていたことを知り、2人は声を上げて驚いた。
「おかげで正体もバレたけど……」
「でもこころ、お礼を言えて嬉しそうだったプリ!」
「「!」」
(そっか……こころちゃん、ちゃんと言えたんだ……)
(私からハルマ君にお願いしてみようかと思っていたけど……とにかく良かったよ……!)
プリルンの言葉を聞き、2人は心の中でそんなことを思っていた。すると……
「プリ!もう待ち合わせの時間プリ!」
「「え!?もう!?」」
プリルンは思い出したようにそう言った……どうやら、こころとの約束の時間になったようだ。
「と、とにかく早く行こう!ハルマ君も!」
「えっ?何で僕も―――」
「場所はどこ?」
「あっちプリ!」
「ちょっと?」
ハルマが戸惑いの声を上げるも届かず、3人はグリッターを飛び出していった。
「すみません、どうかついて行ってはくれないでしょうか……ストマック社の件もありますし」
「……分かった」
田中にそう頼まれたハルマは、3人の後を追って行くのだった……。
◇
「……2人にサイン貰わなくちゃ」
待ち合わせの時間が近づき、こころはサイン色紙を見ながら落ち着かない様子でいた……その時、
「こころー!」
「プリルン!」
「お待たせプリ!」
プリルンがこころのところにやってきたのだ。
「キュアアイドルとキュアウインクは?」
「すぐそこまで来てるプリ!」
そして……
「!本物のキュアアイドルにキュアウインクだ……!」
アイドルとウインクが歩いてきているのを、こころは目を輝かせて見ていた。
「こんにちは!私達に会いたいって、プリルンから聞いたよ!」
「こころちゃん、ありがとう!」
「!わ、私の名前を……!!」
自分の名前を呼ばれたこころは、興奮のあまりその場で足踏みをした。
「私。どうしても2人にお会いたくて……プリルン先輩とハルマ先輩にお願いしちゃいました!」
「先輩プリ?」
「プリルン先輩って……それに、ハルマ先輩……?」
プリルンとハルマが先輩呼びされていることに、ウインクは思わずそう呟いた。
「私、キュアアイドルとキュアウインクの大大大ファンなんです!!」
「嬉しいな!そんな風に思っていてくれるなんて!」
「うん!」
こころの言葉を聞き、2人はそう言って嬉しそうに笑った。
「私、なんとなくネットを見ていたら偶然見つけて……でも、その瞬間に心が吸い込まれて……画面で見ているはずなのに、目の前にキュアアイドルがいるみたいで……自分でも、よく分からないんですけど……」
こころは2人に向け、言葉を途切れさせることなく話し続ける。
「お2人のステージに吸い込まれて……あの日から、ずっとずっと1秒も途切れずに……心、キュンキュンしてます!」
そんな風にアイドルとウインクと話すこころを、ハルマは物陰から見守っていた。ハルマがここにいるのは、田中に頼まれて4人の護衛として万が一グラニュートが現れたときに対処するためだ。
「……」
(2人に会うだけで、あんなに喜ぶものなのか……)
ハルマはこころのそんな様子を見ていながらも、周りを警戒していた……すると……
『ニョワニョワ!』
「!君は……」
足元にショウマの眷属であるキッキングミゴチゾウが現れたのだ。
「何か用?」
ハルマはゴチゾウを手に乗せながらそう訊くと……
『ニョワ!ニョワニョワ!』
「……スガが僕に?」
ゴチゾウは、酸賀が会って渡したいものがあることを伝える。さらに……
『ニョワニョワ!ニョワ!』
「え?ショウマも?」
どうやらショウマも、ハルマに何か用があるみたいだ。
「……これが終わったらスガのところに行く。ショウマには、それから行くって伝えておいて」
『ニョワ!』
ハルマはゴチゾウにそう伝えると、ショウマのところに帰って行くゴチゾウを見送った。
「スガもショウマも、僕に何の用で―――」
「ハルマ君、どうかした?」
そこに丁度、こころと話終わった2人がハルマのところへと来ていた。
「いや、何でもないよ。そっちは終わったの?」
「うん!こころちゃん、すごく喜んでくれて良かったよ!」
「うん、そうだね!」
「そっか……」
2人は満足そうにしており、その様子を見たハルマは……
「あれ?もう行っちゃうの?」
「……急用ができた」
そう言い残し、酸賀のところへと向かうのだった……。
◇
「おっ、ハルマ君いらっしゃい。ショウマ君からの伝言が無事に届いたみたいで何よりだよ」
「……で、渡したいものって何?」
最初にハルマは酸賀のところへと訪れ、直接会って渡したいというものを受け取りに来ていた。
「はいはい本題ねー……これだよこれ」
酸賀はそう言うと、1つの箱を近くのテーブルの上に置いた。
「……それは?」
「知り合いからハルマ君に渡してくれって言われてさー」
「知り合い……?」
「そういうわけだからさ、早速開けてみてよ。あ、俺も中身は知らないんだ」
「……」
その言葉を聞き、ハルマはその箱を開けた。その中には……
「!?これは……」
『すぃー』
どっプリンゴチゾウやぷるゼリーゴチゾウと同じ形をした、カップ型のゴチゾウが入っていたのだ。そのゴチゾウは緑色をしていたが、その中は半透明になっていた。
「へぇ~!それ、君が使ってるやつの新しいタイプ?」
「……」
(何でこれがここに……というか、これを作れるのは―――)
「ん?どうしたの?」
「1つ訊くけど……知り合いって、誰のこと?」
ハルマはそのゴチゾウを見てある考えに至り、酸賀にそう問い掛けた。
「あー……実を言うとさ、俺も会ったことないんだよね。あっちから一方的に連絡してくるだけで、こっちからは連絡取れない感じでね……まぁ、俺の研究に必要なものとかデータを色々くれるから、別にそれは気にしてないんだけどね」
「……」
(何かを隠そうとしている……僕の予想が正しければ、スガは確実に―――)
ハルマはそんなことを思いながらも……
「これは貰うけど……いいんだよね?」
(利用できるものは、利用させてもらう………あいつを潰して、仇をとるために……)
新しいゴチゾウを見て、酸賀にそう訊いた。
「もちろん!そもそも、そのつもりで呼んだしね」
酸賀はハルマに背を向けながらそう言い、コーヒーを入れに行った。それを聞いたハルマは新しいゴチゾウを仕舞い、ショウマのところへと向かうのだった……。
「コーヒーできたけど飲………忙しいねー、ハルマ君は」
読んでくださりありがとうございます。
こころはアイドルプリキュアとの対面を果たし……ハルマには、以前ニエルブのところにあった新しいゴチゾウが酸賀によって渡されました。そして、ショウマもハルマに話があるようですが……?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。