それでは、どうぞご覧ください。
「!来てくれてありがとう」
酸賀に新しいゴチゾウを貰った後、ハルマは約束通りにショウマのところへと来ていた。
「それで、話って何?」
ハルマは酸賀のときと同じく、早速本題へと入ろうとしていた。
「……攫われた人たちを取り戻すために、協力して欲しいんだ」
「……何かあった?」
ショウマの声色を聞いて、ハルマは何かが起きていると察し、そう訊き返した。
「実は―――」
ショウマの話によると、最近発生している失踪事件により、御手洗タケシという少年が行方不明になっているらしい。標的のグラニュートはチョールだったらしく、それはハルマが倒したのだがヒトプレス自体は未だに見つかっていないようだ……。
「今もゴチゾウたちと探し回ってるけど、見つからなくて………こうなったらグラニュート界に乗り込んで、タケシ君や攫われた人たちを助けるしかないって思ってる」
「……まだヒトプレスにされていない可能性に賭けるってことか……それで、僕にも一緒に来て欲しいってこと?」
「うん」
その話を聞いたハルマは……
「……」
(直接乗り込んでヒトプレスを取り戻すのはいいとして……あっちにエスコルがいれば―――)
グラニュート界にエスコルがいるのではないかと考え……
「……分かった。僕もあっちに用がある」
「!ありがとう」
ハルマはショウマと共に、グラニュート界にあるストマック社の工場に乗り込むことにするのだった……。
◇
「……多分ここ」
「ここが……?」
ハルマはショウマを連れて、ストマックの集積場となっているであろう場所へと着き、着いた後は物陰に隠れながら様子を伺っていた。すると……
『これが今回の分だ』
『了解した』
「!いた……」
そこにはストマック社のエージェントがいて、丁度ヒトプレスをグラニュート界に運ぶ準備をしているところだった。
「ほら、行くよ」
「!う、うん」
ハルマは気配を消しながらエージェントたちのいる場所へと近づいて行き、ショウマもそれに続いていく。2人がエージェントの後を追うとそこは公衆トイレで……
「「!」」
そのうちの扉の1つにエージェントが手をかざすと、そこにストマック社のマークが浮かび上がる。エージェントはそのまま、扉の奥へと消えてしまった。
「!いない……」
ショウマはすぐさまエージェントが入っていった扉を開けるが、そこには普通のトイレがあるだけだった……。
「……」
ハルマはショウマが開けた扉を閉め、もう一度開いてみるが……
「やっぱりだめか……」
相変わらず変化はない。
「何も起こらないね……」
ショウマがそう呟くと……
「!……確か……こうして―――」
ハルマはエージェントがやっていたのと同じように、扉に手をかざした。すると……
「!」
「やった……!」
扉にマークが浮かび上がったのだ。そして、その扉を通ると……
「!ここは……」
「……」
ショウマやハルマが初めて人間界に来る時に通った、人間界とグラニュート界を行き来するための扉が無数に存在している空間へと出た。
「えっと、闇菓子の工場の場所は―――」
「行くよ」
「え?ハルマ君?」
ハルマは無数にある扉のうちの1つを開き、その中へと入っていく。ショウマもその後へと続き、2人はヒトプレスのある闇菓子の工場を目指して侵入していく。侵入した後、2人は徘徊しているエージェントに気付かれないように進んでいく。すると……
「!あれは……」
2人は一本の通路の真ん中から動く気配のないエージェントを見つけた。
「どうしよう……あれじゃ通れな―――」
「大丈夫」
「えっ?」
ショウマはそう呟いたが、ハルマはその手に短剣を持つと気配を消し、一瞬のうちにエージェントの背後に回る。そして……
『っ!?』
「……」
素早く左腕でエージェントの首を絞めながら、同時に急所へと短剣を突き刺した。それにより、騒ぎを起こすことなくエージェントを排除した。
「す、すごい……」
ショウマは思わずそう呟きながらも、ハルマが手招きしているのを見て、先へと進んでいく。それからも、道中に邪魔なエージェントがいるときは、ハルマが排除しながら進んでいく。すると……
「ハルマ君ってさ、ここに来るのって初めて……だよね?」
もともとストマック社にいたショウマの案内もなしに、どんどん工場のある方へと進んでいくハルマに対し、不思議に思ったショウマはそう訊いてみた………ハルマも最近まで処刑人としてストマック社にいたため、ストマック社の中に詳しいのはショウマと同じなのだが。
「……それは―――っ!」
「!?」
ショウマに対し、ハルマは何かを答えようとしたが、進もうとしている先にエージェントの気配を感じ、咄嗟に隣を歩くショウマの腕を掴んだ。
『……?』
「「……」」
エージェントは一瞬だけハルマたちのいる方を向いたが、すぐさまどこかへ歩いて行った。
「……よし、行った……ショウマ?」
「……」
エージェントの気配が遠くに行ったのを確認したハルマは先へと進もうとするが、何故か動かないショウマに声を掛ける。
「ショウマ」
「っ!」
「……どうかした?」
「あ……ううん、何でもないよ」
「……?」
再び声を掛けると気が付いたようで、ハルマに対してそう答えた。その後も2人は進み続け……
「!ここだ……」
闇菓子を製造する工場のある場所に辿り着いた。そこには機械やレーンがあり、レーンの上には攫われた人たちのヒトプレスが並んでいたのだ。それを見たショウマは、ヒトプレスの中からあるものを探し始めた。
「!あった……!」
ショウマが探していたのは、ハルマに話していたタケシのヒトプレスで、それを無事に見つけたことでショウマは少しだけ安堵の表情を浮かべた……その時、
「そこにいるのは誰?」
「「!」」
2人の前に、ストマック家の長女にして闇菓子の製造を担当しているグロッタが現れたのだ。
「あら?誰かと思えば……久しぶりね、赤ガヴ」
「!……グロッタ姉さん」
グロッタはショウマに目を向けた後……
「それに……まさかここに来るとは思わなかったわ、処刑人」
「……」
隣のハルマにそう言ったのだ。
「えっ?処刑人……?」
(それって、前に倒したやつが言っていた……)
その言葉を聞いて、ショウマは前に倒したストマック社のバイト……アベクが言っていたことを思い出した。
「エスコルはどこにいる」
「!なるほどね……わざわざそのために―――」
「……さっさと答えろ」
「さぁ?そもそもあいつの居場所を知ってるのなんて、ストマック社の中でもごくわずか……知っていたとしても、あんたに教える気はないけど」
グロッタがそう答えたのを聞いて、ハルマは……
「そうか……なら―――」
「カップオン!」
「……変身」
「プディングヴラムシステム!」
ハルマはグロッタに向けて歩きながら、ヴラムへと変身した。
「ハァッ!」
「っ!?」
ヴラムは鎌モードのブレイカーをグロッタへと振りかぶり、そのまま近くの壁まで押し込んだ。
「っ!まさか、あんたが3人目のグラニュートハンターだったとはね……!」
「ここでお前を倒す……!ショウマ!」
「!」
ヴラムがグロッタを抑えているうちに、ショウマはレーンに並んでいるヒトプレスを次々とケースの中へと入れていく。
「!こいつらヒトプレスを……させるかっ!!」
2人の目的に気付いたグロッタは、逆にハルマを押しのけてショウマに斬撃を飛ばそうとしたが……
「っ!」
「くっ……!?」
「それはこっちの台詞だ……!」
体制をすぐさま立て直したヴラムが、グロッタにブレイカーで攻撃を加えることでそれを防いだ。すると……
「ハルマ君!」
「!」
(グロッタに見つからなければ、ショウマを逃がして僕1人でエスコルを探すこともできたけど……仕方ない―――)
「ハァッ!!」
どうやら全てのヒトプレスをケースに入れ終わったようで、ショウマはヴラムのことを呼んだ。それに気付いたヴラムは、鍔迫り合いのようになっていたところから、グロッタに蹴りを入れて距離を取る。そして、素早くブレイカーを弓モードに変形させると……
「っ!」
グロッタやその周りに向けて矢をいくつも放ち、ショウマと共にヒトプレスの入ったケースを持ってこの場から離れていく。
「ちっ……追いなさい!」
『『『『はっ!』』』』
グロッタはエージェントを生み出すと、逃げていく2人を追わせ、自身も後に続いていく。
「「っ!」」
エージェントたちは2人に銃弾を放つが、ハルマとショウマは走りながらそれを避け、人間界へと繋がる扉へと急ぐ。そうして、扉の前へと辿り着いたが……
「よし、ここを抜ければ―――」
「っ!避けろ!!」
「はあああああっ!!」
「っ!?変身!」
ハルマの声が聞こえたのと、追ってきたグロッタが鎌を振り下ろしているのが目に入ったショウマは、ギリギリのところで変身した。だが、その攻撃をショウマの前に立って防ごうとしたハルマと共に、攻撃に当たりながら扉の中へと吹き飛ばされるのだった……。
◇
ハルマたちが闇菓子工場に潜入している頃……
「な、何が起きてるの……アイドルプリキュアが、ハルマ先輩みたいに化け物と戦ってる……?」
こころは目の前の光景に困惑していた。プリルンにアイドルハートブローチを渡されたこころは、出番だと言われてここにやってきた……だがそこではマックランダーが暴れており、戦うなんて思っていなかったこころはその場で動けなくなってしまう……そんな時に、同じ学校の先輩であるうたとななが現れ、2人がアイドルプリキュアであることを知ったのだ……。
「アイドルプリキュアは、ただのアイドルじゃないプリ」
「え……?」
「真っ暗闇をキラキラにする救世主プリ!」
「……」
その事実に、こころは言葉が出ずに黙り込んでしまう……。
「キラキラじゃなくなった人がいるのなら!」
「絶対にキラッキランランにしてみせる!」
「マックランダー!?」
アイドルとウインクは、連携してマックランダーに攻撃を加えており……
「アイドルプリキュア!頑張るプリー!」
「……」
そんな2人をプリルンはライトを振って応援しており、こころはその様子を見守っていた。
「アイドルお願い!」
「うん!」
そして、アイドルがマックランダーを浄化しようとする。
「クライマックスは私!盛り上がっていくよー!」
アイドルはマックランダーを強制的に座らせると、自身はステージの上に立つ。
「キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな~サンキュー♪最高のステージで~キミと花を咲かそう♪」
さらに、自分の歌を披露すると……
「プリキュアアイドルスマイリング!」
巨大なハートを放ち、マックランダーを浄化したのだ。
「アイドルプリキュア……眩しいですぞ……!」
戦いも終わり、カッティーも撤退しようとした……その時、
「!な、何!?」
「何ごとですぞ!?」
突然、近くの建物から爆発が起き、その場にいる全員が動きを止めた。そして、その爆発音が聞こえた方に目を向けると、建物の壁が崩れており……
「っ……無事?」
「うん、俺も攫われた人たちも何とか無事」
その前には、吹き飛ばされてきたヴラムとガヴが膝を突いていたのだ。
「ヴラム!?と、あれは……?」
「紫色の仮面ライダー……?」
プリキュアたちやこころたちは、崩れた壁から現れたヴラムやガヴを見て驚きの声を上げる。
「は、ハルマ先輩……!?」
「っ!ちっ……」
(よりにもよってここか……)
「え!?あの子たちって……」
ヴラムはプリキュアたちやこころがいる場所に出てきたことに思わず舌打ちし、ガヴはSNSやテレビなどで知っていたアイドルプリキュアがいることに驚いていた……が、
「追いついたわよ」
「「っ!」」
そこに、ヴラムたちを追ってきたグロッタとそのエージェントが4体現れた。
「だ、誰……あれ……?」
「!もしかして……!」
グロッタを初めて見たアイドルは首を傾げ、ウインクはその正体に察しが付いた様子でいた。
「ん?何か色々いるけど……まぁいいわ。それに処刑人相手なら、この姿のままじゃ不利よね」
その言葉と共に、グロッタの腹の部分にミミックデバイザーが出現する。そして、グロッタはミミックキーを抜き……
「さぁ、覚悟なさい……
赤ガヴ……処刑人!」
グラニュート態へと姿を変えた。それはイカを思わせる姿をしており、両腕と両脚には吸盤状の突起があり、頭は頭巾を被ったような、両脚は紫色のロングブーツのような形状をしていた。さらにその手には、人間態の時にも持っていた武器である大鎌を手にしていた。それを見て……
「っ!」
「ハルマ君!?」
ハルマも鎌モードのブレイカーを構え、グロッタへと駆け出していくのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
今回で2人が闇菓子工場に潜入、そしてグロッタとの戦闘にも入っていきました………着実にあの時が近づいていますが、果たしてこの先どうなっていくのか……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。