歌姫たちと復讐の騎士   作:アキ1113

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 今回は前回の続きからになります。

 自身が隠していたものに加え、初めて知る秘密までもショウマたちやうたたちの前で知られたハルマ……ここからどうなってしまうのか……。

 それでは、どうぞご覧ください。



第23話 ハルマとショウマ

 

 「ま、待って!」

 

 「ショウマ……」

 

 「良かった……まだ近くにいた……」

 

 うたたちの前から去ったハルマだったが、その後ろからショウマが追いかけてきていた。

 

 「良かったらなんだけどさ……ハルマ君の話、聞かせてくれないかな」

 

 「……何で?」

 

 「今のハルマ君を放っておけない……そう、思ったから」

 

 その言葉を聞いたハルマは……

 

 「……それはそっちも―――いや……分かった」

 

 「!いいの?」

 

 「ただ……そっちの話もしてくれるなら、ね」

 

 「!……それでいいよ」

 

 ショウマの話もすることを条件に、自身の過去について話すことにするのだった……。

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 「ハルマ君……」

 

 ハルマの去っていく姿を見て、アイドルは何も声を掛けることができずにいた……が、

 

 「私、こころキュンキュンしてません……」

 

 「!」

 

 アイドルプリキュアの戦い……そして、仮面ライダーたちとグラニュートの戦いを見ていたこころがそう呟くのを聞いて、そちらの方に目を向けた。

 

 「私は、アイドルプリキュアみたいには……なれない……」

 

 「こころちゃん……」

 

 すると……

 

 「!その手に持ってるのって……」

 

 「アイドルハートブローチ……!?」 

 

 「プリ!こころは、アイドルプリキュアプリ!」 

 

 「「……!」」

 

 プリルンは、こころが3人目のアイドルプリキュアであることを2人に言ったのだが……

 

 「ごめんね、プリルン……」

 

 「プリ……?」

 

 それに反して、こころはプリルンに謝りながらアイドルハートブローチを返した。

 

 「あんな怖いのと戦うなんて無理だよ……それに私、ハルマ先輩みたいになんて―――」

 

 「こころ……」

 

 「アイドルプリキュアになりたいなんて、言っちゃだめだった……」

 

 「っ……!こころちゃ―――」

 

 「助けてくれて、ありがとうございました……さようなら―――」

 

 こころは一筋の涙を流しながら、アイドルたちの前から走り去ってしまった……。

 

 「こころー!!」

 

 そんな様子を……

 

 『すぃー……』

 

 いつの間にかハルマから離れていた、すぃ~ヨウカンゴチゾウが見つめていたのだった……。

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 「つまり……闇菓子の材料として攫われてきた母親は被害者で、ショウマはそれを許せないってことか……」

 

 場所を変えたところで、ショウマはハルマの条件通りに自身のことについて話した。そんな2人の後ろでは、それぞれのゴチゾウたちが交流をしていた。

 

 「信じてくれるの……?俺も、ストマック社の人間なのに……」

 

 「信じるもなにも、さっき一緒にグロッタと戦ったでしょ………それに、ストマックの人間って言うなら、僕もそうみたいだし―――」

 

 ショウマの詳しく事情を知っても、ハルマは他のストマック社に関わっているグラニュートのように殺意や敵対心を向けることはなかった。

 

 「……ハルマ君のお父さんって……その、ストマック家の―――」

 

 ショウマはハルマの父親について、訊きづらそうに尋ねた。

 

 「……オース」

 

 「オース……?」

 

 「それが僕の父さんの名前………ストマック家出身っていうのは……今日、初めて知った」

 

 「そう、なんだ……」

 

 「……何で父さんが僕に、ストマック家出身だったのを隠していたのかは―――いや、そもそも僕に話す前に父さんはあいつに……」

 

 「ハルマ君……」

 

 そんなハルマの様子を見て、ショウマは心配そうにハルマの方を見た。すると……

 

 「……父さんと母さんが死ぬ前、僕たちはグラニュート界で過ごしていた」

 

 「えっ?この世界じゃなくて……?」

 

 ハルマはショウマに、まだオースと自身の母親が生きていた頃の話をし始めた。

 

 「人里離れた場所……あの世界の中心からは、遠いところだけど」

  

 ハルマの父親であるオースとハルマの母親……そして幼少期のハルマは、ストマック社がある街から離れたところで平和に生活していたようだ。

 

 「でも、あの日―――」

 

 

 

 

 

 

 『お父さん!!お母さん!!』

 

 『すまない、ハルマ……生きてくれ……!』

 

 『生きてハルマ!ハルマ……!』

 

 

 

 

 

 「っ……」

 

 オースとハルマの母親……湊葵(みなとあおい)は、何の前触れもなく現れたエスコルによって、幼いハルマの目の前で殺されてしまった……その時の光景を思い出し、ハルマは自身の拳を血が出るほどに握りしめていた……。

 

 「そして、何故か僕だけが殺されずストマック社に連れていかれて………そのまま処刑人になった」

 

 「その……処刑人って言うのは……?グロッタもハルマ君のことをそう呼んでいたけど……」 

 

 ショウマはグロッタがハルマのことをそう呼んでいたことを思い出し、そう尋ねた。

 

 「バイトから足を洗おうとしているグラニュートや、ストマック社に敵対する可能性のある不穏分子……文字通り、そいつらを始末するんだよ」

 

 「!始末って………そんなことをさせてたなんて―――」

 

 ストマック社が自身よりも年下のハルマに、闇菓子に手を染めたとはいえグラニュートの命を奪わせていたことに対し、ショウマは思わずそう呟いた……。

 

 「あそこで生きるためには、選択肢はそれ以外なかった」

 

 「……」

 

 「でも、悪いことばかりじゃなかった」

 

 「えっ?」

 

 ハルマがそう言ったのに対し、ショウマは思わずそんな声をあげる。

 

 「処刑人になったおかげで、2人の仇を討つための力が手に入った………もちろん、これもね」

 

 ハルマはそう言い、手元のヴラスタムギアを見つめる……。

 

 「それに、色々知ることができた。闇菓子やストマック社のこと………僕と同じ人間とグラニュートのハーフ―――ショウマがいるってことも」

 

 「えっ!?俺のこと知ってたの……!?」  

 

 「まぁ、あいつらが話しているのをたまたま聞いたってだけだけど……」

 

 ハルマは処刑人をしていた頃、ストマック家のきょうだいたちが話しているのを聞いていたようで、ショウマの話を聞く前から、大体の事情に察しはついていたようだ。

 

 「でも逆に、何で僕だけがあの時生かされたとかは、知ることはできなかったけど……」

 

 そうして、ハルマが自身のことをショウマに話し終えた後……

 

 「それで……そっちはこれからどうするの?」

 

 ハルマはショウマに、今後どうしていくのかを尋ねた。

 

 「っ……俺は、絆斗に謝りたい……けど―――」

 

 ショウマは絆斗に、今まで自身が隠しごとをしていたことを謝りたいと思ってはいるものの、どうすればよいかが分からない様子でいた……。

 

 「……」

 

 「……ハルマ君は?」

  

 「エスコルを殺して仇をとる……今まで通りだよ」

 

 「……あの子たちとは、どうするの?仲間……なんでしょ?」

 

 「……」

 

 (仲間、か……) 

 

 そう訊かれたハルマは、すぐに答えることができずにいたが……

 

 「グロッタの話を聞いても、ハルマ君のこと心配してたし……だから―――」

 

 ショウマはあの時のやり取りを見ていたのか、ハルマにうたたちなら本当のことを話しても受け入れてくれるのではないかということを伝えようとしたが……

 

 「これ以上は関わらせない……あっちがどう思っていようがね」

 

 「そう……」

 

 ハルマはうたたちアイドルプリキュアを、自身の戦いに関わらせるのを止めることにしたようだ……。

 

 「話してくれてありがとう、ハルマ君」

 

 「ありがとうって……それはそっちも同じでしょ?」

 

 ハルマはショウマにそう言うと……

 

 「また何かあったら……その時はよろしく」

 

 「!……うん、よろしく」

 

 「ほら、行くよ」

 

 『『ぷる!』』

 

 自身のゴチゾウたちを呼び、この場から去ろうとしたが……

 

 「……?もう1人はどうしたの?」

 

 すぃ~ヨウカンゴチゾウがいないことに気付き、残りのゴチゾウたちにその居場所を訊いた。

 

 『ぷる……ぷるぷる?』

 

 『ぷるぷる』 

 

 「え……噓でしょ?」

 

 『『ぷる』』

 

 ゴチゾウたちの話によれば、ここに来る前には既に何処かに行ってしまっていたようだ。

 

 「……」

 

 (何かよくいなくなるな……僕のゴチゾウって……)

 

 ハルマはそんなことを思いながらも、いなくなったゴチゾウを探しに行くことにするのだった……。

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 「一体どういうことだよ!あいつらがグラニュートだったなんて……!」

 

 「へぇ……絆斗君、俺の知らない間に色んな情報掴んでたんだ」

 

 「……あんた、ガヴとヴラムの正体知っていたんじゃないだろうな?」

 

 絆斗はそう言い、酸賀を問い詰めようとしたが……

 

 「いや、彼らのことはグラニュートなんじゃないかと思ってはいたけど……知ってたかって言うと―――」

 

 「……」

 

 「それに、ショウマ君がストマック家の出身だっていうのも、ハルマ君もそこに関係している出自だっていうのも初耳だし」

 

 「っ……」 

 

 酸賀はそう言い、あの時点では確信が持てていなかったことを伝える。

 

 「それにしても、ハルマ君がねー……」

 

 「……何だよ?」

 

 「いや?ハルマ君の方は、ショウマ君ほどグラニュートだとは思っていなかったからさ」

 

 「そうかよ……」

 

 絆斗はそう言いながら、酸賀の研究室から去っていった……その後、1人になった酸賀は……

 

 「さてと……そろそろ、頃合いですかね―――」

 

 部屋の入り口とは反対側にある扉の方を見ながら、そう呟くのだった……。

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 「なに?処刑人が3人目のグラニュートハンターだっただと?」

 

 ストマック社の会議室では、ランゴとニエルブがグロッタの報告を聞いていた。

 

 「えぇ……それにあいつ赤ガヴと手を組んで、ヒトプレスを根こそぎ奪っていったわ」

 

 「なるほど……赤ガヴと手を組んだというわけか」

 

 「そういうことになるわね。処刑人の方は、ヒトプレスを奪うのが本当の目的じゃなかったようだけど」

 

 「というと?」

 

 ニエルブがグロッタにそう訊くと……

 

 「奴の目的はエスコルよ」

 

 「あいつが来ていたのか?」

 

 『!?』

 

 ニエルブの背後から、顔の部分だけグラニュート態にしたエスコルが姿を現したのだ。

 

 「エスコル……聞いていたのか」

 

 「あぁ」

 

 どうやら今まで気配を完全に消し、3人の話を聞いていたようだ。 

 

 「……こうなるなら、利用せずにあの時殺しておくべきだったんじゃないのか?」

 

 「……」

 

 エスコルがランゴにそう言うと……

 

 「あーあ……ランゴ兄さんの目も節穴だったってわけね?」

 

 「……あの時、お前の意見も訊いたはずだが?」

 

 「それを言うならニエルブだって、あいつの脚を改造しなければ、ここまで厄介になることもなかったかもしれないでしょう」

 

 3人で責任の押し付け合いを始めたのだ。

 

 「まぁまぁ……過ぎたことを責めあっても仕方ない。もっと建設的な話をしよう」

 

 (そもそも、あいつの脚は遺伝的なものだ。例え僕が改造をしていなくても、状況的に変わったかどうかは分からなかっただろうね……)

 

 「そうだな……ニエルブは扉のセキュリティを強化しろ。グロッタは工場の設備を点検しておけ」

 

 ランゴはニエルブとグロッタにそう指示を飛ばす……

 

 「ランゴ兄さんも、ヒトプレスの確保よろしくね?」

 

 「あと、バイトの管理も頼むよ」

 

 「……分かっている」

 

 が、逆に2人にそう言われ、バツの悪い態度を隠せずにそう返した。そして、グロッタとニエルブが去った後……

 

 「俺は今まで通り動くが……構わないな」

 

 その場に残っていたエスコルは、ランゴにそう訊いたが……

 

 「あぁ―――と言いたいところだが」

 

 「……俺にも何かあるのか?」

 

 「依頼の合間でいい……人間界でグラニュートハンターからヒトプレスを守ってもらいたい」

 

 「つまりは護衛ということか……いいだろう」

 

 「悪いな」

 

 「俺たちの仲だ。そういうのはいい」

 

 ランゴの依頼をエスコルは承諾し、その姿を消すのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 今回でハルマの父親と母親の名前が明らかになりました……ハルマの父親と母親については、先の話で詳しくやっていきます。そして、酸賀やストマック社の方でも動きが……?

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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